2023年7月19日水曜日

建設環境 選択科目Ⅲ コンパクト+ネットワーク等による脱炭素型まちづくりと環境に配慮した治水事業

「問題解決能力及び課題遂行能力に関する」問題Ⅲ、Ⅲ-1が脱炭素型まちづくり、Ⅲ-2環境に配慮した治水事業でした。パターンとしては「脱炭素」と「生物多様性」ということでは昨年度と同じでしたね。どちらも想定内どころか過去問でも類似したものが出題されていますから骨子ネタなど流用できたんじゃないでしょうか。そういうことでは今回もどちらの問題を選択するか迷ったかもしれませんね。迷ってしまうと見切り発車で書き始めることにもなって、最後の最後で選択問題番号を書き忘れてしまう事案が発生しやすいです。くれぐれも注意してください(ってもう試験は終わってしまいましたが)。
それにしても課題を「3つ以上」というのは4つ5つとたくさん書いたほうが評価されるのか、3つに留めてひとつひとつを深堀したほうが評価されるのか、どうなんでしょうかね。

Ⅲ 次の2問題(Ⅲ-1,Ⅲ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(赤色の答案用紙に解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)

Ⅲ-1 令和2年12月に設置された「国・地方脱炭素実現会議」において,地域脱炭素化に向けたロードマップに関する検討が進められ,令和3年6月に「地域脱炭素ロードマップ」が策定された。その中で,全国津々浦々で取り組むことが望ましい脱炭素の基盤となる重点対策として,「コンパクト・プラス・ネットワーク等による脱炭素型まちづくり」が掲げられており,市街地が拡散した都市構造を見直し,集約型の都市構造へ転換を図ることの重要性が示されている。都市構造は交通システムや土地利用に影響を及ぼし,中長期的に二酸化炭素排出量にも影響を与えることから,集約型の都市構造は脱炭素社会の実現に向けて重要な役割を持つことを踏まえ,以下の問いに答えよ。

(1)市街地が拡散した都市構造から集約型の都市構造へ転換を図るための取組を進めながら,同時に脱炭素型まちづくりの実現に向けた取組も進めるに当たり,市街地が拡散した都市構造が抱える二酸化炭素排出量の増加につながっている課題を,技術者としての立場で多面的な観点から3つ以上抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を,都市構造の集約化を含めて複数示し,専門技術用語を交えて具体的に説明せよ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。



大阪市街と大川(旧淀川)~土木学会田中賞受賞の川崎橋上空
【大阪府大阪市】

Ⅲ-2 気候変動の影響で大規模な水災害が頻発しており,全国各地で緊急的な河川の流下能力向上を目的とした治水事業が行われている。一方,河川は洪水を安全に流下させるための空間としてだけでなく,河川全体の自然の営みを視野に入れ,地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し,河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全・創出することが求められており,河道掘削等の整備内容に応じた河川環境の保全や影響緩和を検討することが必要である。このような状況を踏まえ,以下の問いに答えよ。

(1)整備内容に応じた河川環境の保全や影響緩和の検討に当たって,技術者としての立場で多面的な観点から課題を3つ以上抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち,最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を,専門技術用語を交えてを示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。


流域治水については必須科目Ⅰ対策で抑えていたと思いますが、これに環境配慮と繋げて考えていたひとは専門技術用語を交えてスラスラ書けたことでしょう。

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2023年7月18日火曜日

建設環境 選択科目Ⅱ-2-2 閉鎖性海域における海の再生計画

つづきまして海の再生計画です。久しぶりの閉鎖性水域モノでしたね。
久しぶりとはいえ、なんだか環境部門だとか水産部門っぽくもあり、建設環境で出題されたのにはちょっと驚きました。

前の投稿でも書きましたが、こうした自然再生の計画策定にあたってアレコレ考えるのって楽しいですよね。自分なら何を書こうかなと夢が膨らんじゃいます。

Ⅱ-2-2 平成27年の「瀬戸内海環境保全特別措置法」の改正では,「生物の多様性及び生産性が確保されていること等その有する多面的価値及び機能が最大限に発揮された豊かな海とする」ことが盛り込まれた。このような動向を踏まえつつ,閉鎖性海域において,「豊かな海」を目指した海の再生計画を策定することとなった。この業務を担当責任者として進めるに当たり,下記の内容について記述せよ。

(1)業務を進めるに当たり,調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順を列挙して,それぞれの項目ごとに留意すべき点,工夫を要する点にを述べよ。

(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

下灘駅
日本で一番海に近い駅
【愛媛県伊予市】

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建設環境 選択科目Ⅱ-2-1 陸生動植物及び陸域生態系の環境影響評価(方法書から準備書まで)

つづいて「選択科目」に関する応用能力について試される選択科目Ⅱ-2です。
今回は陸の環境アセスと海の再生計画でした。
まずは王道の環境アセスから。自然環境系のひとはこっちを選んだかもですね。
しかし私の専門分野は海域の自然環境系なので、受験していたらどっちを選んだのかなぁと考えちゃいます。無難に淡々とアセスについて書くならこっち、風呂敷をひろげながらパッションを試験官に直接ぶつけるならあっち、でしょうか。書いていて気持ちが乗りそうなのはやっぱり海の再生計画ですかね。

Ⅱ-2 次の2設問(Ⅱ-2-1,Ⅱ-2-2)のうち1設問を選び解答せよ。(青色の答案用紙に解答設問番号を明記し,答案用紙2枚を用いてまとめよ。)

Ⅱ-2-1 環境影響評価法に定める第一種事業に該当する鉄道事業(地上部)が,ある自然豊かな地域で計画されている。本事業における環境影響評価のうち,陸生の動植物及び陸域生態系に関する環境影響評価について,方法書の作成から準備書の作成までを担当責任者として進めるに当たり,下記の内容について記述せよ。

(1)方法書の作成に当たって,調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)方法書の作成から準備書の作成までの手順を列挙して,それぞれの項目ごとに留意すべき点,工夫を要する点を述べよ。

(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

秋田新幹線こまち
【秋田県大仙市 大曲駅】

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建設環境 選択科目Ⅱ-1

一夜が明けました。バッチリうまく書けて自信と期待がたっぷりなひと、問題によってはデキがいまいちだったのがあって不安でいっぱいなひと、なんとか無理やり書いたけどやっぱりたぶん無理なんだろうなと半分諦めてしまっているひと、その間を行きつ戻りつ逡巡しているひと、いろんなひとがいると思います。10月末の合格発表までの短いようでそれなりに長い期間、受験したひとだけが味わえる(味わわざるを得ない)感情の浮き沈みは貴重な体験でもあります。とにもかくにも試験が終わりましたので、頭と体を休めて気持ちをリフレッシュさせ、これからの夏本番、業務に実務に集中してください!

それでは建設環境Ⅱ‐1、4つの設問のうち1問を選ぶスタイルの、「選択科目」に関する専門知識について試される選択科目Ⅱ-1です。

○健全な水循環に向けた取組(課題と対応策)
○使用済み太陽光パネルの処理(課題と対策)
○道路緑化による景観向上機能と環境保全機能
○景観地区制度

4問ともなかなかシブいですねぇ。このブログでも5月に出題予想をしたわけですが、今回はひとつも当てることができませんでした。。。これまで4つのうち1つや2つはカスっていたんですけどね。スミマセン。
でも、景観地区制度は制度について知らなかったらなかなか厳しいものがありますが、水循環とか太陽光パネル廃棄物、あるいは道路緑化の機能については、持てる知識を総動員すればなんとか対応できるのではないか(建設環境の技術者なら対応してほしい)とも思います。無理やりでも頭の片隅から引っ張り上げて、なんとか答案用紙1枚ぶんを絞り出して下さい!そういう意味ではそこまで難しい問題ではなかったと思います。

9-11 建設環境【選択科目Ⅱ】
Ⅱ 次の2問題(Ⅱ-1,Ⅱ-2)について解答せよ。(問題ごとに答案用紙を替えること。)

Ⅱ-1 次の4設問(Ⅱ-1-1~Ⅱ-1-4)のうち1設問を選び解答せよ。(緑色の答案用紙に解答設問番号を明記し,答案用紙1枚にまとめよ。)

Ⅱ-1-1 平成26年に「水循環基本法」が制定され,健全な水循環の維持又は回復に向けて,その関連する施策が総合的かつ一体的に推進されている。健全な水循環の維持又は回復に向けた取組を進めるに当たっての課題を複数挙げ,それぞれの対応策を述べよ。

Ⅱ-1-2 将来にわたり太陽光発電設備が健全に普及していくためには,導入段階から廃棄段階までの様々な課題に対して具体的な対策を進めていくことが重要である。このうち同設備の廃棄段階における使用済み太陽光パネルの処理に関する環境上の課題を複数挙げ,それぞれに関して対策を述べよ。

Ⅱ-1-3 道路緑化の機能のうち,「景観向上機能」,「環境保全機能」について,それぞれ説明せよ。

Ⅱ-1-4 「景観法」に規定されている景観地区制度について説明せよ。

赤福本店
景観地区:内宮おはらい町地区
【三重県伊勢市】


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2023年7月17日月曜日

建設部門 必須科目Ⅰ 巨大地震対策とインフラメンテンナンス第2フェーズ

筆記試験、たいへんお疲れさまでした(^^)/
皆さん、どうでしたか?
昨年に引き続きわたしも試験本部員として参加しました。沖縄会場は久しぶりの沖縄大学でした。コロナの3年間はリゾートホテルで実施していましたからね、パラソルが並んだプールがすぐ横にあったり、試験室の照明がシャンデリアだったりとなんだか落ち着かなかったのですが、大学構内での実施が叶い、ようやく平常に戻った感がします。
それではこれから複数回にわたって問題文をアップいたします。
まずは建設部門の必須科目から。

それにしてもアレですね、今回の建設部門は2問とも王道中の王道ジャンルでした。
どっちも準備していたひとがほとんどだったのではないでしょうか。しかし今年が関東大震災から100年とは全く認識しておりませんでした。わたしは実は高校まで関東で育ったので、関東大震災は幼少期から骨身に染みるほど叩き込まれていました。小学校時代は各自の席に自前の防空頭巾をクッション替わりに使用していましたしね。そうですか、100年になるんですか。。。
もうひとつは維持管理でした。ただし維持管理とはいえ、ちょっと変化球というか最新の取組方策である「第2フェーズ」について問われているため、事前準備していなかったひとは念のため避けたかもしれませんね。課題や問題点ネタが問題文前文で既に展開されていますからね。それを受けてどんな課題があるのか、が問われました。
それにしても環境部門などはちょっと予想外のジャンルが出題されたこともあって新鮮な驚きがありましたが、建設部門のこの揺るがない王道感は面白味がない反面、技術力、意識、姿勢が問われているような気がします。

そして当然のことながら(?)、各設問の出題様式はほぼこれまで通りの例年通りでした。

9 建設部門【必須科目Ⅰ】
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)

Ⅰ-1 今年は1923(大正12)年の関東大震災から100年が経ち,我が国では,その間にも兵庫県南部地震,東北地方太平洋沖地震,熊本地震など巨大地震を多く経験している。これらの災害時には地震による揺れや津波等により,人的被害のみでなく,建築物や社会資本にも大きな被害が生じ復興に多くの時間と費用を要している。そのため,将来発生が想定されている南海トラフ巨大地震,首都直下地震及び日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の被害を最小化するために,国,地方公共団体等ではそれらへの対策計画を立てている。一方で,我が国では少子高齢化が進展する中で限りある建設技術者や対策に要することができる資金の制約があるのが現状である。
 このような状況において,これらの巨大地震に対して地震災害に屈しない強靭な社会の構築を実現するための方策について,以下の問いに答えよ。

(1)将来発生しうる巨大地震を想定して建築物,社会資本の整備事業及び都市の防災対策を進めるに当たり,技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち,最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり,技術者としての倫理,社会の持続性の観点から必要となる要点・留意点を述べよ。

おつかれさまでした!
【沖縄県那覇市首里】

Ⅰ-2 我が国の社会資本の多くが高度経済成長期以降に整備され,今後建設から50年以上経過する施設の割合は加速度的に増加する。このような状況を踏まえ,2013(平成25)年に「社会資本の維持管理・更新に関する当面講ずべき措置」が国土交通省から示され,同年が「社会資本メンテナンス元年」と位置づけられた。これ以降これまでの10年間に安心・安全のための社会資本の適正な監理に関する様々な取組が行われ,施設の現況把握や予防保全の重要性が明らかになるなどの成果が得られている。しかし,現状は直ちに措置が必要な施設や事後保全段階の施設が多数存在するものの,人員や予算の不足をはじめとした様々な背景から修繕に着手できていないものがあるなど,予防保全の観点も踏まえた社会資本の管理は未だ道半ばの状態にある。

(1)これからの社会資本を支える施設のメンテナンスを,上記のようなこれまで10年の取組を踏まえて「第2フェーズ」として位置づけ取組・推進するに当たり,技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち,最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり,技術者としての倫理,社会の持続性の観点から必要となる要点・留意点を述べよ。


とにかく論文の再現だけは、今日か、遅くとも明日中にはやっておいてくださいね!
毎年再現できなくて泣きを見る人がいます。

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2023年7月16日日曜日

総監 必須科目Ⅰ-2 記述式問題文

筆記試験、たいへんお疲れさまでした(^^)/
記述問題は「SWOT分析」でしたね!
冒頭「新型コロナウイルス感染症の流行~」なんてあるので「うおぉぉぉっ!?」となりましたが、BCPとかではなく無難(?)な経営戦略的なものでしたね。
SWOT分析やクロス分析なんて言葉に触れたことがあるだけのひとが多かったと思いますが問題文を読むと解説的な内容にもなっているので設問ひとつづつを素直に丁寧に追っかけたら何とかなったのではないでしょうか(なぁんてそんな簡単な話ではないと思いますが)。
要は外部環境と内部環境のそれぞれのプラスマイナスを分類してその組み合わせを踏まえた戦略(対策、将来計画)を立てたらイイと思います(答案に書くのはそのうち3つ)。で、その戦略を立てる場合にちゃんと全体最適化、トレードオフを意識した計画にするとバッチリですよね。

それにしても秋田の豪雨災害は思いのほか酷いことになってしまいました。先月に秋田県を訪問する機会があり、案内していただいた知り合いの秋田県在住技術士のひとに連絡したら今日明日の試験を断念するひとも少なくないだろうとのことです。報道を見ても試験どころじゃない甚大な被害が出ているようです。試験地が仙台になると思いますから移動手段が失われたひともいると思います。1年に1度しかない国家試験というのは重いです。

有料ですが再現論文を添削評価します。よかったら下記フォームからお申し込みください。

【秋田県大仙市大曲通町】

必須科目
Ⅰ-2 次の問題について解答せよ。(指示された答案用紙の枚数にまとめること。)

 近年,新型コロナウイルス感染症の流行,国際的な政情不安等,社会の様々なリスク要因が増加しつつある。またICTの急速な進展の成果等が利用可能となる反面,深刻な少子高齢化や労働力不足の加速化等,我が国の経済社会は大きく変化しつつある。不安定な時代にあって,組織を様々な視点から分析し,組織の持続的発展等に向けた戦略を適切に立案することは,総合技術監理部門の技術士など組織を総合的に俯瞰すべき者にとり,益々重要となってくるといえよう。
 そこでここでは,SWOT分析の考えをベースにした組織分析,組織の戦略立案を行いたい。
 SWOT分析は主に,経営・マーケティング分析で用いられてきた手法であるが,近年は行政機関でもこの手法を施策づくりに活用するなどの例が出てきている。組織の目的はその性質によって様々であり,例えば民間企業では「利益の最大化」などが考えられ,行政機関等では「公益の最大化」などが考えられる。その目的達成のための戦略立案に,SWOT分析が活用できるであろう。以下,この論文において実施するSWOT分析の手法について説明する(図1を参考されたい)。
 まずSWOT分析では,内部環境としての「強味(Strength)」と「弱み(Weakness)」,外部環境としての「機械(Opportunity)」と「脅威(Threat)」の4つの要因に着目し,それぞれに含まれる項目を特定する。本論文では,「内部環境(S:強味,W:弱み)」は組織の活動や努力によって変えうるものとし,例えば人材・設備・技術・ノウハウ等の組織の様々な経営資源や組織文化等の無形資源が考えられる。また「外部環境(O:機会,T:脅威)」は,取り上げた組織の活動や努力とは無関係又は変更が困難なものとし,例えばICTの進展等の技術的要因,景気動向等の経済的要因,法令・規制の変更等の政治的要因,人口動態やライフスタイルの変化等の社会的要因,顧客や市場の変化,競合他社の動向,などが考えられる。
 S,W,O,Tそれぞれに含まれる主な項目を特定した次の段階として,各項目を掛け合わせるクロス分析により,様々な戦略を立案することが一般的に行われる。クロス分析のパターンとしては,以下の4つのパターンがあり,それぞれにおいて考えられる典型的な戦略の例を合わせて示す。
 パターンA:(S:強味×O:機会)組織の強みがある領域に機会が生じたパターンであり,例えば活動の拡大や新規の活動への進出等の戦略が考えられる。
 パターンB:(W:弱み×O:機会)組織の弱みがある領域に機会が生じたパターンであり,機会を活かせるようにするために,例えば外部からの補強や他組織との提携,経営資源の段階的な改善等の戦略が考えられる。
 パターンC:(S:強み×T:脅威)組織の強みがある領域に脅威が生じたパターンであり,例えば製品・サービスの付加価値向上による差別化等の戦略が考えられる。
 パターンD:(W:弱み×T:脅威)組織の弱みがある領域に脅威が生じたパターンであり,脅威を回避するために,例えば活動の縮小や撤退等の戦略が考えられる。


 以上を踏まえ,総合技術監理の視点に留意しつつ,以下の(1)~(3)の問いに答えよ。
 なお総合技術監理の視点とは,「業務全体を俯瞰し,経済性管理,安全管理,人的資源管理,情報管理,社会環境管理に関する総合的な分析,評価に基づいて,最適な企画,計画,実施,対応等を行う。」立場からの視点をいう。なお,書かれた論文を評価する際,考察における視点の広さ,記述の明確さと論理的なつながり,そして論文全体のまとまりを特に重視する。

(1)本論文においてあなたが取り上げる組織について,以下の問いに答えよ。
 ここでの「組織」は,継続的に事業やプロジェクトを実施する機能を有する「組織」のことであり,組織が取り扱う事業やプロジェクトそのものではないことに留意されたい。また取り上げる組織としては,組織体全体でもよいし,その一部を構成する「事業部」,「地方組織」などの単位で自由に設定してもよい。
(問い(1)については,答案用紙1枚以内にまとめよ。)
① 取り上げる組織の概要及び組織の役割を記せ。
② この組織における経営資源(人財・設備・技術・ノウハウ等),及びアウトプット(この組織が創出する製品・構造物・サービス・技術・政策等)を記せ。
③ この組織の主要な業務プロセス(経営資源によりアウトプットを創出する過程の代表例)を記せ。

(2)取り上げた組織に関する,S:強み,W:弱み,O:機会,T:脅威の4つの要因について,「それぞれ2項目ずつ」を挙げ,各項目の具体的内容を記せ(合計8項目を記載すること)。
(問(2)については,答案用紙を替えたうえで,答案用紙1枚以内にまとめよ。)
 S1:(強みの1つめの記載)
 S2:(強みの2つめの記載)
 W1:(弱みの1つめの記載)
 ・・・
 以下同様に,SWOTの順で記載すること。

(3)近い将来(概ね今後5年以内)の実現を図ることを目標とし,「組織が何をすべきか(What),そのためにどう具体的に行動するか(How)」を主体として「戦略」を立案したい。
 ここでは,パターンA,B,C,Dから異なる3つのパターン(例えば,A,B及びD)を選択し,選んだ3つのパターンそれぞれについて,項目の組合せを選び,それらをベースとした戦略を考える(計3つの戦略を立案する)。項目の組合せを選ぶに当たり,S,W,O,Tのそれぞれについて問(2)で記した2つの項目から1項目のみを組み合わせに用いてもよいし,2項目の両方を用いてもよい。
 上記に留意し,以下の問いに答えよ。
(問い(3)については,3つの戦略それぞれについて,答案用紙を替えたうえで,答案用紙1枚以内にまとめよ。)
① 戦略のベースとなる項目の組合せ及び戦略が目指す目標を簡潔に記せ。
 (なお項目の組合せについては,例えば「S1」と「O2」の組合せを選んだ場合,(S1×O2)と記し,「W1及びW2」と「T1」の組合せの場合は(W1・W2×T1)のように記す。続いて戦略が目指す目標を記す)。
② この目標を達成するための,戦略の具体的な方策(組織が何をすべきか,どう行動するか)について記せ。
③ この戦略を今後5年以内に実現するに当たり直面する障害とその克服策を,総合技術監理の視点から記せ。(異なる総合技術監理分野のトレードオフに留意すること)
ーーーここまでーーー

昨年度に引き続き設問(3)は計画策定ならぬ戦略立案でした。
SWOT分析なんてやったことないひとが多いと思いますが、なんとか喰らいついて試験官の言わんとすることを汲み取れたら、こういった計画立案系は面白いですよね。
自組織の強みと弱みをしっかり抽出できたら、ただの良く書けた答案で終わらせずに今後の組織のさらなる発展に活かしたいです。今回の分析結果を埋もれさせずに戦略をさらに具体化させるなり上層部に進言するなりしてもいいんじゃないでしょうか。

択一のほうはまだ確認していないのですが、皆さん、どうだったでしょうか。
(7/18追記)試験から2日後の本日、日本技術士会HPに早くも択一の正答が発表されています!問題文はまだ未発表なのに(驚)。

2023年7月11日火曜日

気候変動等を考慮した臨海部の強靱化のあり方

九州北部の大雨は土石流を引き起こすなどたいへんな災害になりました。
毎年のように被害が発生しています。防災減災についてはすでにいろいろな対策をしているはずですが、どうしても被害がでてしまいますね。それでも過去の経験が活かされている側面もあるはずです。世の中が少しづつでもよくなる方向へとわたしも微力ながら尽力したいと思っています。

そして昨日は標記のような答申が公表されました。
臨海部限定ですが、大まかな方針は防災減災インフラ整備に転用できる「強靭化のあり方」だと思います。
来週の筆記試験でも特に建設部門の必須科目で「国土強靭化」分野が出題された場合には積極的に下記答申ポイントを転用してください。

【答申に示された施策のポイント(をすごろくがアレンジ)】
(1)災害等に強い海上交通ネットワークの構築
・耐震強化岸壁整備等の加速化
・全国的視点による広域的・一元的な利用調整
(2)物流・産業・生活機能が集積し、面的に広がる港湾・臨海部の強靱化(面的強靱化)
・災害等に対する脆弱性の評価(リスクの見える化)
・官民連携した防災・減災計画による対策の実施
(3)実現のための枠組み
・気候変動適応等を関係者が協働して進めるための枠組みの構築
・港湾防災情報のデジタル化・高度化

門司港
【福岡県北九州市門司区】



「気候変動等を考慮した臨海部の強靱化のあり方」をとりまとめ
~交通政策審議会の答申を公表~

令和5年7月10日

気候変動や大規模地震・津波の切迫等を踏まえて、本日、交通政策審議会より、「気候変動等を考慮した臨海部の強靱化のあり方」が答申されました。
今後、本答申に示された、災害等に強い海上ネットワークの構築や港湾・臨海部の面的強靱化等を推進して参ります。

○気候変動による気象災害リスクの増大の明確化や、大規模地震・津波災害の切迫化、カーボンニュートラルポート形成を
 含めた港湾を取り巻く環境の変化等を踏まえた臨海部の強靱化のあり方について、令和4年12 月より、5回にわたり
 交通政策審議会港湾分科会防災部会において審議されてきたところ、本日、交通政策審議会から国土交通大臣に対し、
 答申されました。
○今後は、本答申に示された施策の実現に向け、関係者が連携した所要の仕組みの整備や新たな技術開発等を進めるとともに、
 社会情勢の変化や気候変動の状況等にも柔軟に対応しつつ、着実な施策の展開を図っていきます。

【答申に示された施策のポイント】(答申の概要は別紙参照)
(1)災害等に強い海上交通ネットワークの構築
・耐震強化岸壁整備等の加速化
・全国的視点による広域的・一元的な利用調整
(2)物流・産業・生活機能が集積し、面的に広がる港湾・臨海部の強靱化(面的強靱化)
・災害等に対する脆弱性の評価(リスクの見える化)
・官民連携した防災・減災計画による対策の実施
(3)実現のための枠組み
・気候変動適応等を関係者が協働して進めるための枠組みの構築
・港湾防災情報のデジタル化・高度化

※答申(本文)及び防災部会における審議経過について、以下のURL よりご覧ください。
 https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s303_kouwanbousai01.html
 

添付資料

報道発表資料(PDF形式)PDF形式