2020年10月3日土曜日

建設部門 必須科目Ⅰ 担い手確保と戦略的なメンテナンス

総監必須科目の択一正答が発表され数日が経過しました。
皆さんからの報告によると、今回の択一はなかなか難しかったようで6割に満たないかたが多いような印象を持ちました。
自分の筆記試験における成績(点数)を開示請求したところ、総監4回受験したうち、論文の成績はほぼ6割前後を推移していたのですが、択一が6割程度のときは不合格、合格したときは8割取れていたことが判明しました。そんな自分の経験を踏まえて受講生の皆さんには最低でも6割、できることなら8割取ってください!とハッパをかけていたんです。
だもんで早くも諦めモードのかたが多いようなのですが、5割で合格しているひともいますので択一5割取れていたらまだ諦めないでください。とにかく再現だけはしておいてくださいね。毎年のことですが、思いもよらず合格しちゃったひと(そしてそれで慌てるひと)がいますので。

そしてスミマセン!建設部門必須科目の問題文をアップするのを忘れていました。
技術士会からは問題文も公表されましたので速報としての価値は全くありませんが、周年通じて参考にしてくださるかたがいますので、いまさらながらなのかもしれませんが必須科目の問題文を掲載します。

昨年から復活した記述式による必須科目、テーマは「(地域の中小建設業における)担い手確保」と「戦略的なメンテナンス」でした。
昨年同様、今年も2題とも建設部門の王道中の王道でしたね。どちらの問題でも書けるように準備していたかたが多いのではないでしょうか。建設環境のひとはインフラ維持管理をからめたネタを準備していたひとが多いようですからⅠ-2のほうを選んだのかな。
ひとつめの担い手確保のほうは「地域の中小建設業が今後もその使命を果たすべく」というのが奮っていますね。わたしも地方の(建設業ではないのですが)中小企業に勤務する中間管理職という立場ですので、担い手不足、担い手確保、技術継承、事業継続についてはとても敏感になっています。建設業と違って環境調査会社なのでインフラ施設建設のための測量、設計や施工には絡んでいないということもあって問題文にある「地域の安全安心を支える」というまでの意識はやや薄いのですが、やはり社会の一員としての「使命」は意識しています。ここらへんの心情は技術者倫理にも繋がっているんでしょうね。

テーマとは別に、問い方も微妙に変化していました。昨年の問題文と比べてみますと、
(1)~課題を抽出し分析せよ。
だったのが今年は
(1)~課題を抽出し,その内容を観点とともに示せ。
となってました。
観点ってなんだよ、分析しなくていいのかよ、と思わなくもないですが、観点を示すことが分析したことになるんでしょうね。

そして(2)は同じでしたが、次の(3)ですがⅠー1のほうだけちょっと変わりました。
(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
だったのが
(3)すべての解決策を実行した上で生じる波及効果と,新たな懸案事項への対応策を示せ
にアレンジされていましたね。昨年度のようなマイナスの影響だけでなく、プラスマイナスの影響、つまり正負両面について書けばいいのではと思います(必ずしもプラスの波及効果でなくてもいいのですが)。

そして(4)も昨年とほぼ同じで技術者倫理と社会の持続性についてのものでした(昨年及びⅠー2は社会の持続可能性ですが)。

さらに意外と大きな変化ともいえるかもしれませんが、昨年の試験では、
答案用紙3枚以内にまとめよ。
だったのが
答案用紙3枚を用いてまとめよ。
に変わっていました。2枚ではダメかもしれませんね。

9 建設部門【必須科目Ⅰ】
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(答案用紙に解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)

Ⅰ-1 我が国の総人口は,戦後増加を続けてきたが,2010年頃をピークに減少に転じ,国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(出生中位・死亡中位推計)によると,2065年には8,808万人に減少することが予測されている。私たちの暮らしと経済を支えるインフラ整備の担い手であり,地域の安全・安心を支える地域の守り手でもある建設産業においても,課題の1つとしてその担い手確保が挙げられる。

(1)それぞれの地域において,地域の中小建設業が今後もその使命を果たすべく担い手を確保していく上で,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し,その内容を観点とともに示せ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)すべての解決策を実行した上で生じる波及効果と,新たな懸案事項への対応策を示せ。

(4)上記事項を業務として遂行するに当たり,技術者としての倫理,社会の持続性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。


世界最古の建設会社 金剛組
578年創業で現存する世界最古の企業
【大阪 四天王寺にて】

Ⅰ-2 我が国の社会インフラは高度経済成長期に集中的に整備され,建設後50年以上経過する施設の割合が今後加速度的に高くなる見込みであり,急速な老朽化に伴う不具合の顕在化が懸念されている。また,高度経済成長期と比べて,我が国の社会・経済情勢も大きく変化している。
 こうした状況下で,社会インフラの整備によってもたらされる恩恵を次世代へも確実に継承するためには,戦略的なメンテナンスが必要不可欠であることを踏まえ,以下の問いに答えよ。

(1)社会・経済情勢が変化する中,老朽化する社会インフラの戦略的なメンテナンスを推進するに当たり,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し,その内容を観点とともに示せ。

(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

(4)(1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から述べよ。

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