地球規模生物多様性概況第5版(GBO5)日本語版の作成について
1.内容
GBO5は、これまでのGBO、各国から提出された国別報告書、IPBESアセスメント等の既存の生物多様性に関する研究成果やデータをもとに、生物多様性戦略計画2011-2020及び愛知目標(注1)の達成状況について分析した生物多様性条約事務局(カナダ、モントリオール。以下「条約事務局」という。)による報告書です。
昨年9月にオンラインで開催された生物多様性条約第24回科学技術助言補助機関会合(SBSTTA24)(注2)及び第3回条約実施補助機関会合(SBI3)(注3)の特別バーチャル・セッションの会議期間中に、条約事務局により公表されました。
GBO5では、愛知目標のほとんどの項目についてかなりの進捗が見られたものの、20の個別目標で完全に達成できたものはない(注4) こと、2050年ビジョン「自然との共生」の達成は、生物多様性の保全・再生に関する取組のあらゆるレベルへの拡大、気候変動対策、生物多様性損失の要因への対応、生産・消費様式の変革及び持続可能な財とサービスの取引といった様々な分野での行動を、個別に対応するのではなく連携させていくこと、などが必要と指摘しています。
2.活用方法
GBO5は、国際的な生物多様性の状況や、保全と持続可能な利用の取組が概観できる内容となっており、今後の生物多様性に関する議論での基礎資料となります。
GBO5日本語版が、都道府県及び市町村による「生物多様性地域戦略」の策定、これに基づく施策の進捗状況や、目標の達成状況を点検・評価する際の参考として御活用いただく等、生物多様性の保全と持続的な活用に関する施策推進の一助となることを期待しています。
主なポイントは以下に掲載していますので御活用ください。https://www.biodic.go.jp/biodiversity/about/aichi_targets/index_05.html
3.入手方法
環境省ウェブサイトからダウンロードできます。
http://www.biodic.go.jp/biodiversity/about/library/files/gbo5-jp-lr.pdf
生物多様性条約事務局ウェブサイトからもダウンロードすることが可能です。
4.その他
我が国の生物多様性や生態系サービスの状況については、令和3年3月19日に「生物多様性及び生態系サービスの総合評価2021(Japan Biodiversity Outlook 3。以下「JBO3」という。」)の政策決定者向け要約報告書を公表しました。このたび、JBO3の詳細版報告書を以下の環境省ウェブサイトに公表しましたので、併せてお知らせいたします。
http://www.biodic.go.jp/biodiversity/activity/policy/index.html
(注1)生物多様性戦略計画2011-2020及び愛知目標
COP10(2010年・愛知)において採択された2011年以降の生物多様性の世界目標。
長期目標(Vision)<2050年>:
「自然と共生する(Living in harmony with nature)世界」
短期目標(Mission)<2020年>:
生物多様性の損失を止めるため効果的かつ緊急な行動を実施
個別目標(Target)=愛知目標:
2020年又は2015年までをターゲットにした20の個別目標
(注2)科学技術助言補助機関(SBSTTA: Subsidiary Body on Scientific, Technical and Technological Advice: SBSTTA)
・生物多様性条約第25条に基づいて設立された。
・条約の実施状況について科学技術的な見地から締約国会議(COP)及び他の補助機関に対して助言を行うことを任務とする。
(注3)条約実施補助機関(SBI: Subsidiary Body on Implementation)
・CBD-COP決定Ⅻ/26により、条約の構造とプロセスを効率化するために設立された。
・生物多様性条約第23条第4項に従い、条約の実施を常に評価する上で締約国を支援することを目的として、生物多様性条約、並びにカルタヘナ議定書及び名古屋議定書の実施状況について科学技術的な見地以外の観点からCOP及び補助機関に対して助言を行うことを任務とする。
(注4)各目標は、複数の要素により進捗状況が評価される。GBO5では、20の目標を60の要素に分解して評価し、うち7が達成、38が進展あり、13が進展なし・後退、2が不明と評価された。ただし、すべての要素が達成・進展ありとなった目標はなかった。
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