2021年8月9日月曜日

環境影響評価制度における「報告書」手続について

なお、本事業は、環境影響評価法に基づき報告書手続を行う初の案件である。
なんて書いてあったので思わず取り上げてしまいました。
環境影響評価手続きについては建設環境科目で必ず出題されるジャンルです。皆さん、手続きの流れについては参考資料に頼らずとも人に説明できるくらいに頭に入れてくださいね。
その手続きなかでいちばん地味なのが、アセスの最終章となる「報告書」手続きです。地味というだけあって、これまであまたの環境アセスが実施されてきましたが、驚いたことに、「なお、本事業は、環境影響評価法に基づき報告書手続を行う初の案件である。」なんだそうです。
その記念すべき1発目の事業がこれまたなんとわたしも関わった「那覇空港滑走路増設事業」とのこと。嬉しいですね。残念ながらこの報告書の作成には直接的に関わってるわけではないのですが、それでも報告書に記載されているであろう調査データのいくつかはわたしの肉体を通して出てきた数字もあるはずです(変態的な表現ですね(笑))。

まぁ報告書そのものを熟読する必要はないですが、「報告書」にはどんなことが取り上げられていて、それについてどんな意見が出されたのかをチェックしてみるのも勉強になると思います。
環境大臣が言うことには、「今後、望まれる事項として(1)事後調査等の結果の継続的な公表や(2)那覇空港環境計画の見直しに当たり、①2030年度における温室効果ガス削減目標及び2050年カーボンニュートラルと整合した環境計画となるよう検討を進めること、②プラスチックごみの発生抑制及び循環利用に配慮すること等を求める」なんだそうです。こういった意見を提出するんですね。なかなか面白いです。

環境影響評価制度における「報告書」手続について
環境影響評価制度は、事業者自らがあらかじめ事業の実施前に環境への影響を評価し、その結果を公表して、国、地方公共団体、国民から意見を聴き、それらの意見を踏まえることで、環境の保全の観点からよりよい事業が行われるようにする手続。
評価書に記載された環境保全措置の実施状況や事後調査の結果について、国民や行政機関が確認できる仕組みとして、前回法改正(H23)において、事業実施後の環境保全措置の結果等を示す報告書の手続を導入

評価書の手続が終わり、基本的に工事を完了した段階において、事業者が
① 工事中及び供用後の環境の状況等を把握するための調査等の事後調査の結果や
② 事後調査により判明した環境の状況に応じて講ずる環境保全措置、
③ 評価書に記載した環境保全措置のうち効果が不確実なものの実施結果 等
を取りまとめ、報告・公表するもの。
報告書に係る手続を行うことにより、事業実施後に行われた環境保全措置の内容や効果等を報告書にて公表。
この際、事業者において評価書手続でとりまとめた環境保全措置等を適切に実施すること等を求めるため、免許等を行う者等は環境大臣の意見を勘案して、事業者に必要に応じ環境の保全の見地からの意見を述べることができる。
環境影響評価後の環境配慮の実効性を担保
環境影響評価制度自体の信頼性の確保と後続事業の予測・評価技術の向上等にも資する

こうして取り上げてみると、なんだか選択科目Ⅱー1あたりで出題されてもおかしくありませんね。

那覇空港第2滑走路
【沖縄県】

令和3年8月6日
総合政策
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那覇空港滑走路増設事業に係る報告書に対する環境大臣意見の提出について

 環境省は、8月6日、「那覇空港滑走路増設事業に係る報告書」に対する環境大臣意見を国土交通大臣に提出した。
 本事業は、内閣府沖縄総合事務局及び国土交通省大阪航空局が、沖縄県の持続的振興発展への寄与等を目的とし、那覇空港の既設滑走路の西側1,310mの沖において、160.3haの公有水面を埋め立て、2,700mの滑走路を増設したものである。
 本報告書には、本事業の実施に伴い講じた環境保全措置の経緯、事後調査の結果等の情報が整理されており、本事業者は、環境影響評価手続の趣旨を踏まえ、本事業の実施による周辺環境への影響の回避又は低減を図っていると考えられる。
 環境大臣意見では、今後、望まれる事項として(1)事後調査等の結果の継続的な公表や(2)那覇空港環境計画の見直しに当たり、①2030年度における温室効果ガス削減目標及び2050年カーボンニュートラルと整合した環境計画となるよう検討を進めること、②プラスチックごみの発生抑制及び循環利用に配慮すること等を求めるとともに、引き続き、周辺環境に配慮しつつ、那覇空港が沖縄県の持続的振興及び発展に寄与すること等を期待する旨を述べている。
 なお、本事業は、環境影響評価法に基づき報告書手続を行う初の案件である。

1.背景

 環境影響評価法は、滑走路の新設(2,500m以上)又は延長(延長後の滑走路2,500m以上かつ延長500m以上)を伴う飛行場及びその施設の変更の事業を対象事業としており、環境大臣は、送付された報告書※について、国土交通大臣からの照会に対して意見を述べることができる。本件は、この手続きに沿って意見を提出するものである。
 今後、国土交通大臣から事業者である内閣府沖縄総合事務局及び国土交通省大阪航空局に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられることとなる。

※報告書:事業の実施後に事後調査の結果や環境保全措置の内容、効果等を取りまとめ、報告・公表するものである。報告書手続は、平成23年の環境影響評価法改正で導入された手続であり、平成24年4月1日以降に評価書の公告及び縦覧を行った事業に適用される。

2.対象事業の内容

  ・事 業 者  内閣府沖縄総合事務局及び国土交通省大阪航空局

  ・事業規模   那覇空港の既設滑走路の西側1,310mの沖に、160.3haの公有水面を埋立て、2,700mの
         那覇空港第2滑走路の増設をしたもの

  ・対象事業が実施された区域及び埋立区域の位置

   ●滑走路の新設を伴う飛行場及びその施設の変更
    沖縄県那覇市字大嶺、沖縄県那覇市字大嶺及び豊見城市字瀬長地先公有水面

   ●公有水面埋立て
    沖縄県那覇市字大嶺及び豊見城市字瀬長地先公有水面

3.環境大臣意見

   別紙1のとおり。

  (参考)環境影響評価に係る手続

   【方法書の手続】
   ・縦覧         平成22年8月2日~平成22年9月1日
   ・沖縄県知事意見提出  平成22年12月27日

   【準備書の手続】
   ・縦覧         平成24年9月28日~平成24年10月29日
   ・沖縄県知事意見提出  平成25年3月10日

   【評価書の手続】
   ・送付         平成25年6月26日
   ・環境大臣意見提出   平成25年8月5日

   【第2滑走路供用開始】
   ・令和2年3月26日

   【報告書の意見照会】
   ・令和3年6月30日    国土交通大臣から環境大臣に意見照会
   ・令和3年8月 6日    環境大臣から国土交通大臣に意見提出

添付資料

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