2022年9月13日火曜日

流域治水の観点も踏まえた河川整備基本方針の見直し

ここ沖縄地方は台風が次から次へとやってきていて、現地調査のやりくりが大変です。テキヤ殺すにゃ刃物は要らぬ、雨の3日も降ればいい、って寅さんも嘆いていましたが、なかなか思うように仕事が進まないのでヤキモキしています。

とはいえものごとには何事も両面があるものでして、宮古島や石垣島などの先島諸島ではこの夏は台風がぜんぜん来なかったこともあって海水温が高めで推移していたせいかサンゴが白化し始めていましたが、ここへきてようやくばんばん台風がやってきて海の水を引っ搔き回し、さらには熱エネルギーを吸収したことで高水温によるサンゴの死滅という最悪の事態は避けられるんじゃないかと期待しています。

でもやっぱり人間社会にとっては度を超えた風雨になると困りますよね。台風の影響を受けて南からの湿った空気が日本全体に流れ込み、大気が不安定化するところが増えてしまいます。所によっては大雨を降らせ、河川の氾濫なども引き起こしてしまいます。
流域治水が叫ばれて久しいですが、まだまだ安心な暮らしには至っていません。行政もメインテーマで取り組んでいますし、技術士試験でも特に建設部門では毎年のように問われているテーマになっています。

今回はそんな流域治水ネタを取り上げました。
建設部門の必須科目対策としても、さらには建設環境など環境配慮の事例としても参考になる内容になっています。報道発表資料の概要部分だけでもチェックしてみてください。河川利用や環境などに配慮した河道掘削のところでは、環境面への効果として「平水位以上の掘削を行うことで、 サケの遡上環境となる現況の澪筋、瀬・淵環境を保全」といったことなども記載されていますよ。

春の十勝大橋
【北海道帯広市】

気候変動を考慮して十勝川、阿武隈川の長期計画を変更しました
~流域治水の観点も踏まえた河川整備基本方針の見直し~

令和4年9月9日

 近年の水災害の頻発に加え、今後、気候変動の影響により更に激甚化するとの予測を踏まえ、治水計画を「過去の降雨実績に基づくもの」から「気候変動の影響を考慮したもの」へと見直し、抜本的な治水対策を推進することとしています。
 このたび、十勝川水系および阿武隈川水系の河川整備基本方針について、気候変動の影響による将来の降雨量の増大を考慮するとともに、流域治水の観点も踏まえたものに見直しを行いました。
 気候変動の影響を考慮した一級水系の河川整備基本方針の変更は、令和3年度に変更した新宮川、五ヶ瀬川、球磨川の3水系に続き、今回の変更で5水系になります。
 引き続き各水系における河川整備基本方針の見直しを進めてまいります。

<河川整備基本方針変更の主なポイント>
●将来の降雨量の増加を見込んだうえで、長期的な河川整備の目標流量である洪水の規模(基本高水)を変更しています。
 十勝川水系 帯広地点 既定計画6,800m3/s → 今回変更9,700m3/s
 阿武隈川水系 福島地点 既定計画7,000m3/s → 今回変更8,600m3/s
 ※この基本高水の流量を河道と洪水調節施設等に配分。

●十勝川においては、
 ・河川利用や環境などを考慮した河道づくり
 ・上流部や支川における霞堤の保全
 ・災害リスクを考慮した立地誘導と連携した市街地への氾濫抑制対策(二線堤等の整備)

 阿武隈川においては、
 ・沿川の土地利用と一体となった遊水機能の確保や遊水地整備
 ・水田貯留の普及・拡大
 ・上下流の交流・連携の推進
 など、流域治水の取組を推進する方向性を提示しています。

<関係資料の掲載先について(国土交通省ウェブページ)>
・「十勝川水系及び阿武隈川水系河川整備基本方針」の本文
 http://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/gaiyou/seibi/about.html
・社会資本整備審議会での審議経過
 https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/kihonhoushin/index.html

添付資料

報道発表資料(PDF形式)PDF形式

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