問題解決能力及び課題遂行能力とはなんでしょうか。
「平成31(2019)年度 技術士試験の概要について」によると、「社会的なニーズや技術の進歩に伴い,社会や技術における様々な状況から,複合的な問題や課題を把握し,社会的利益や技術的優位性などの多様な視点からの調査・分析を経て,問題解決のための課題とその遂行について論理的かつ合理的に説明できる能力」とあります。
その出題内容は、
必須科目Ⅰが
・現代社会が抱えている様々な問題について,「技術部門」全般に関わる基礎的なエンジニアリング問題としての観点から,多面的に課題を抽出して,その解決方法を提示し遂行していくための提案を問う。
選択科目Ⅲが
・社会的なニーズや技術の進歩に伴う様々な状況において生じているエンジニアリング問題を対象として,「選択科目」に関わる観点から課題の抽出を行い,多様な視点からの分析によって問題解決のための手法を提示して,その遂行方策について提示できるかを問う。
ということです。
論理的、ということですから、これは従来から確認されている技術士の資質である論理的考察ができるかどうか、そしてそれを試験官に伝えることができるか、がキモです。
これには骨子(表)で整理して記述するクセを身につけると、書き間違うことはありません。骨子(表)についてはこれまでにも何回か記述していますし、SUKIYAKI塾のHPにも詳しいのでそちらをご確認ください。
【蹴上インクライン 京都市】
実はこれができているかどうかでほぼ合否が分かれるといっても過言ではありません。わたしが行っている添削講座でもほぼこの問題要因の抽出とボトルネックの抽出についての指導になっています。それだけ皆さんが苦手としている部分です。ここをクリアすると一足お先に「合格」することができます。
また、多面的に課題を抽出、多様な視点からの分析も重要です。
一面的でなく多面的な視点が求められています。よく受講生から多面的(多様)な視点とはどういったものなのでしょうか、という質問を受けますが、定義はないので多面的でさえあれば試験としてはOKです。多面的については設問(1)か(2)で問われています。ここでは課題について幅広い視点(多様な視点)から記述していることを表現してください。いっぺんに書こうとするから書けないんです。センテンスで区切るなり、項目だてするなり、ひとつの面づつ箇条書きでもいいので書き分けてください。
物事にはいい面だけでなく悪い面もあります。
プラスの効果だけでなくマイナスもあります。
あるいは環境保全とインフラ整備はトレードオフになっている場合が多いです。
さらには予算は限りがあるわけですからどれだけ素晴らしい提案内容だとしても資金面が追い付かなければ実現可能性は下がってしまいます。
益をこうむる人もいれば犠牲を強いられる人も出てきます。下流側を守るために上流側を犠牲にせざるを得ないなどがありますよね。
そして生物多様性保全には4つの危機的側面があります。
あるいはいろんな地域として森、川、海、や都市と地方。
はたまた時間的に異なる側面として計画段階、施工段階、維持管理段階、等々。
これらのことはリスクや留意点でも使えます。
白書や解説書、そのほかいろんな資料ではあることについて説明があったあと、「一方で、~」というのがありますよね。これが別の面について述べているもので、つまり多面的な視点になります。
なお、多面的とはいえ、たくさん書きすぎてもしょうがないので、数の指定がなければ3つくらいにまとめるのが無難です。同じく数の指定がなければ、リスクや留意点だったら多くて2つ、なんだったら1つでもいいでしょう。
必須科目Ⅰと選択科目Ⅲにおける対象分野の傾向と予想は次回以降に。
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