平成31年度試験からは「社会的なニーズや技術の進歩に伴う様々な状況において生じているエンジニアリング問題を対象」とした出題になるのですが、平成30年度までの試験では「(建設環境)に係わる社会的な変化・技術に関係する最新の状況」や「(建設環境)に共通する普遍的な問題」について問われました。
上記、文言が変わりましたが内容はそう大きくは変わらないと思います。
では具体的にどういったことが出題されていたのか、見ていきましょう。
H30
①グリーンインフラを組合わせた防災・減災の取組
②持続可能な都市のための都市計画
H29
①生態系ネットワーク(エコロジカルネットワーク)
②再生可能エネルギーの利活用
H28
①気候変動適応策
②大規模津波災害からの復旧復興事業における自然環境への配慮
H27
①コンパクトシティと環境配慮
②建設副産物の3R推進策
H26
①防災減災と生物多様性
②インフラ更新と環境配慮
H25
①低炭素都市づくり
②閉鎖性水域の水質改善策
いずれも建設部門共通の社会的課題について建設環境の技術者としてどのようにアプローチするか(課題を抽出してそれをどのように解決を図るのか)が問われています。
建設部門共通の社会的課題のほうは、白書で取り上げられるような社会的課題に対して、建設環境の技術者としての取り組みを書けるかどうかになるのではないでしょうか。
御所建礼門へ至る路
【京都市上京区】
【京都市上京区】
建設部門の共通課題(国土のグランドデザイン2050)としては、これまでにも出題されているものも含めて
①人口減少社会(H27・H30)
②少子化・高齢化社会(H27・H30)
③防災減災(H26・H28・H30)
④インフラ更新(H26)
⑤災害復興や東京オリンピック等に向けての建設ラッシュ(H27・H28)
⑥気候変動適応策と緩和策(H28)
⑦低炭素都市づくり(H25・H27 ・H30)
⑧観光立国
⑨建設産業の活性化・技術継承
⑩建設事業の海外展開
⑪生産性の向上~i-Construction
があり、
建設環境独自のものとしては、
⑫環境改善(閉鎖性水域の保全再生)(H25)
⑬生態系保全(H29)
⑭再生可能エネルギー(H29)
がありました。
環境改善ものとしては、水質のほかにも底質(水質みたいなものですが)、自然再生事業、都市緑化などもあるかもしれません。
一昨年から昨年にイチオシしていたものに、
⑮多自然川づくり
があります。一昨年はちょうど河川法改正から20周年でした。
今年こそ「過去を振り返り今後に活かす」というテーマで出題されるのではないでしょうか。これまでの取り組みの成果(効果)、解決されていない課題及び新たに浮かび上がった課題、その解決策、その留意点です。
ただし「多自然川づくり」というのは河川に限定したはなしになっちゃいますから、ここはもっと大きくくくったテーマとして、
⑯生物多様性保全
というズバリそのままで出題される可能性もあるんじゃないかと考えています。
もしくはH29のように生態系ネットワーク(エコロジカルネットワーク)の視点からの問いもあるかもしれません。
そして生物多様性というのは自然環境系のひとを対象としているので、もうひとつのほうは生活環境系の大ネタである
⑰閉鎖性水域の水質改善
が出る、というのはどうでしょうか。●●保全策、●●改善策シリーズです。
平成25年度に試験方法が変更された初年度にも閉鎖性水域の水質改善策が出題されています。
平成31(2019)年度はもしかしたら奇をてらわない、誰でも答えられる(そのぶん高度な記述レベルが求められる)出題内容になると面白いなと思っています。
とはいえ採点する側になって考えると誰でもとりあえず回答できる問題だったら答案レベルに差がつきにくくなっちゃって採点するほうがかえってたいへんなことになっちゃうかもしれませんね。そう考えるとやっぱりナイかな。
たくさん挙げてしまいましたが、なにがテーマとなっても建設環境の技術者としての対応はそんなにはバリエーションはないと思います(解答ネタ、解答パターンとして)。
要はどんなテーマであっても環境負荷低減を図ることでボトルネックを解決解消し、課題を達成するということです。あるいはボトルネックを解決解消して課題である環境負荷低減を図るということです。この軸さえブレなければ大丈夫です。
この際、カギとなるのが「ボトルネックの抽出」になります。
ここでご自分の解決策を展開しやすいボトルネックを抽出できるかどうかで、あの短い限られた時間で回答論文を書ききることができるかどうかが決まるのではないでしょうか。
頑張ってください!
*ボトルネックとは、課題の達成を阻む問題点のことで、近年の問題文では「技術的課題」とも。
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