だんだん駆け足になってきているような感じですが、続いては水産部門を取り上げます。
わたしは何を隠そう水産部門は水産水域環境の技術士でもあるんですが、水産水域環境はとてもマイナーな科目でして、それゆえ令和元年度からは漁業及び増養殖と科目が統合され、水産資源及び水域環境ということになりました。
もともと受験者数が少ないことがあると思うのですが今年度は水産資源及び水域環境を受験するかたのお手伝いはしておりません。しかしなぜかありがたいことに水産土木を受験するかたを複数名受け持っています。環境分野からの出題も意外とあるからでしょうか。
そういったわけで環境部門について取り上げたのであれば水産部門を取り上げないわけにはいきませんよね(なんて書いちゃうとついでに取り上げたみたいですね)。
気を取り直して出題ジャンル予想です(っていうか実は予想になっていませんが)。水産部門は必須科目Ⅰしか取り上げませんけれども、ともかく必須科目Ⅰ、令和元年から復活した記述式(解答用紙3枚)です。
「技術部門」全般にわたる専門知識,応用能力,問題解決能力及び課題遂行能力に関するもので,
現代社会が抱えている様々な問題について,「技術部門」全般に関わる基礎的なエンジニアリング問題としての観点から,多面的に課題を抽出して,その解決方法を提示し遂行していくための提案を問う。
というやつです。
水産部門は令和以降、ズバリ「新たな水産基本計画」から出題されています。今後も手を変え品を変えここから出題されるはずです。
では具体的にどういったことが出題されていたのか、見てゆきましょう。
R2
①新技術の活用(新たな水産基本計画から)
②地球温暖化対策
R1
①水産物の安定供給と漁村の維持発展(新たな水産基本計画から)
②SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」
H24
●水産資源の持続的利用
H23
●漁業・漁村の6次産業化
H22
●我が国の水産業の現状と課題
H21
●我が国や世界の漁業及び養殖業の現状と課題
H20
●水産物の安定供給と水産業の健全な発展
H19
●水産分野の現状と課題
※平成18年度以前は部門共通ではなく専門分野ごとに出題されているので割愛します(15問から1問を選択するという形式なんです)。
令和元年度以降は2問のうち1問は最新の水産基本計画から出ています(ちなみにわたしのときはどうだったっけ?と考えてみたら平成30年度の必須科目はマークシートでした)。
平成24年度以前は水産業の現状と課題、そしてその対策で統一されていますね。
同じですね。令和元年度以降もこのテーマがずうっと根底にあります。つまり何が出題されようともコレしか出ません。
ということは試験対策も同じです。
水産分野の課題っていろいろあるようで、実は結構決まっていますよね。特に新技術(ICT)は要注目です。漁業者も高齢化しているし、海外に対抗するには効率化、集約化、自動化、付加価値化するしかないですもんね。それら定番の課題を骨子などでまとめておけば、試験本番では出題テーマが何であろうともそのあらかじめ準備しておいた骨子をアレンジすることで対応できるはずです。
(追記)
とまぁなんだかんだ書きましたが、やはり目玉としては「脱炭素」ですかね。
2030年目標を達成するためには水産分野としてどんな課題があってそれをどう解決すればよいか、ということが出題されると思いますよ。
なお、ここで注意してほしいのですが、必須科目Ⅰは水産部門共通の問題です。問題文にもわざわざ書いてある通り「技術者としての立場で,水産部門全体にわたり広く多面的な観点から課題を抽出し」とか「技術者としての立場で,水産部門全般にわたる多面的な観点から抽出し」とあります。
課題の抽出にあたってはご自分の専門とする科目だけじゃなくてほかの科目における課題についても意識してくださいね。そうすることで高い評価が得られますし、他の受験生との差がつくはずです。
ここでおさらいですが、水産部門の専門科目は、「水産資源及び水域環境」、「水産食品及び流通」、「水産土木」の3つからなります。わたしは必須科目や選択科目Ⅲの回答の際には(問題文に数の指定がない限り)課題を3つ程度挙げることを推奨していますが、ちょうどこの3科目から課題をひとつづつ抽出すると多面的な観点がバランスよくアピールができると思います。3科目からが無理だったとしても少なくとも2科目から3つ程度抽出するようにしてください。
そのためには、いまの時期にご自分の受験する科目に関する勉強は当然のことながら、ほかの科目も意識した課題の抽出を時間をかけて整理しておくことで、試験本番では広い視野を備えた課題の抽出が瞬時にできることでしょう。準備することなしに、試験本番でゼロベースで課題を抽出、解決策を提示する、なんてあの短い試験時間にできっこないです。
知床世界自然遺産登録地の漁協
【北海道斜里郡斜里町】
わたしの講座です。課題や解決策の妥当性、論理的整合性の確認を含めて、論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。
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