つづきまして、2つの設問から1問を選ぶスタイルの「問題解決能力及び課題遂行能力」が問われる必須科目Ⅰと選択科目Ⅲです。
毎年のことですが、出題予想のまえにまずは問題解決能力及び課題遂行能力の振り返りです(笑)。振り返りというか完全に過去の投稿のコピペです(笑)。でも、とても大事なことなので繰り返しアップします!
問題解決能力及び課題遂行能力とはなんでしょうか。
「平成31(2019)年度 技術士試験の概要について」によると、「社会的なニーズや技術の進歩に伴い,社会や技術における様々な状況から,複合的な問題や課題を把握し,社会的利益や技術的優位性などの多様な視点からの調査・分析を経て,問題解決のための課題とその遂行について論理的かつ合理的に説明できる能力」とあります。
その出題内容は、
必須科目Ⅰが
・現代社会が抱えている様々な問題について,「技術部門」全般に関わる基礎的なエンジニアリング問題としての観点から,多面的に課題を抽出して,その解決方法を提示し遂行していくための提案を問う。
選択科目Ⅲが
・社会的なニーズや技術の進歩に伴う様々な状況において生じているエンジニアリング問題を対象として,「選択科目」に関わる観点から課題の抽出を行い,多様な視点からの分析によって問題解決のための手法を提示して,その遂行方策について提示できるかを問う。
ということです。
論理的、ということですから、これは従来から確認されている技術士の資質である論理的考察ができるかどうか、そしてそれを試験官に伝えることができるか、がキモです。
これには骨子(表)で整理して記述するクセを身につけると、書き間違うことはありません。骨子(表)についてはこれまでにも何回か記述していますし、SUKIYAKI塾のHPにも詳しいのでそちらをご確認ください。
問題文の構成は必須科目Ⅰ、選択科目Ⅲともほぼ同じなのですが、問い方(というか文言)が微妙に変化しているのが興味深いです。こうして並べてみると、だんだん文章が長くなっていますね。
R1は(1)~課題を抽出し分析せよ。
R2は(1)~課題を抽出し,その内容を観点とともに示せ。
となってましたが、
R3は(1)~課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,課題の内容を示せ。
となりました。
意味合いは同じだと思いますが、試験官が答案に書いてほしいことをちゃんと誤解なく説明するよう努めたら問題文の文章がだんだん長くなってしまったのかもしれません。
そういうことを鑑みると、R4はもっと長くなっているかもしれません(笑)
そして(2)は同じで
(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
次の(3)もR2からは変更なく、
(3)すべての解決策を実行した上で生じる波及効果と,新たな懸案事項への対応策を示せ。
(3)すべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。
でした。
そして(4)も同じで
(1)~(3)の業務遂行に当たり,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から必要となる要件,留意点を述べよ。
といったように、技術者倫理と社会の持続可能性についてのものでした。
そしてR1の試験では、
答案用紙3枚以内にまとめよ。
だったのがR2以降、
答案用紙3枚を用いてまとめよ。
となっています。いくら内容がよくても2枚ではダメかもしれませんね。
選択科目Ⅲは、R1、R2とほぼ同じでした。
ただしR3は「建設環境の技術者として」という指定がありました。受験科目の技術者として答えるべきなのは当然のことですが、わざわざ指定されていることは注意してほしいところです。建設環境は建設環境以外の技術士のひとが2科目めにチャレンジするパターンも多いですよね。建設環境は出題ジャンルが広いので、ついつい建設環境じゃない視点でも書けてしまいますから、そういった2科目めで受験するひとは要注意です。
Ⅲ-X (前文にテーマが示され)~することが求められている。このような状況を踏まえ,以下の問いに答えよ。
(1)~を行うに当たって,多面的な観点から課題を3点抽出し,その内容を観点とともに示せ。
あるいは
(1)~の課題を,技術者として多面的な観点から3つ抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,課題の内容を示せ
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する建設分野における解決策を複数示せ。
あるいは
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)前問(2)で示した解決策に共通して生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
あるいは
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。
選択科目Ⅲでは必須科目Ⅰの(4)技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点がないだけで、あとは同じですね。必須科目Ⅰは建設部門の技術者としての視点で、選択科目Ⅲでは建設環境の技術者としての視点で記述してください。
この流れ、平成時代の過去問に取り組む場合も令和時代用にアレンジする際に参考にしてください。もしかしたらR4年度は変えてくるかもしれませんが、それでも上記を整理して準備しておけば大丈夫でしょう。
平久保崎からの眺め
【沖縄県石垣市】
評価にあたっては、課題を課題たらしめている根本の要因を炙り出せるか(これが課題分析)、それを文章で表現できるか、にかかっています。
実はこれができているかどうかでほぼ合否が分かれるといっても過言ではありません。わたしが行っている添削講座でもほぼこの課題の分析(問題点の抽出)についての指導になっています。逆に考えると、提案する解決策のそもそもの理由・根拠なんですが、それだけ皆さんが苦手としている部分です。ここをクリアすると一足お先に「合格」することができます。
また、多面的に課題を抽出、多様な視点からの分析も重要です。
一面的でなく多面的な視点が求められています。よく受講生から多面的(多様)な視点とはどういったものなのでしょうか、という質問を受けますが、定義はないので多面的でさえあれば試験としてはOKです。ここでは課題を幅広い視点(多様な視点)でもって抽出していることをアピールしてください。
手っ取り早く把握するには、過去の合格論文を参考にするとよいでしょう。多くの合格者がさまざまな課題を挙げているのがわかりますが、ほぼ共通したネタに収れんしているということもわかり、多面的なネタ集めとしてもとても参考になると思います。
なお、多面的とはいえ、たくさん書きすぎてもしょうがないので、数の指定がなければ3つくらいにまとめるのが無難です。
必須科目Ⅰと選択科目Ⅲにおける対象分野の傾向と予想はまた次回に。
わたしの講座です。論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。
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