2022年7月21日木曜日

環境部門 必須科目Ⅰ 地方自治体の海外支援と気候変動適応策

それでは続きまして環境部門の問題文を取り上げます。まずは必須科目から。

19 環境部門【必須科目Ⅰ】
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)

Ⅰ-1 環境分野に係る技術,制度等を我が国から発展途上国に展開することにより,その国の環境と経済の両立を実現し持続可能な社会の構築を支援することが求められている。地方公共団体は,住民や企業と直接対応する機会によって培われたノウハウを有しているため,国際環境協力において果し得る役割が大きいと期待されている。一方,地方公共団体の予算,人的資源等を発展途上国の環境問題に活用するに当たっては,国等から適切な支援を得て負担を軽減しつつ,住民や企業に対して,理解を得ていくこととともに還元していくことが必要である。
 このような背景の中で,国内の地方公共団体Aは,発展途上国に位置する地方公共団体Bからの依頼を受け,Bにおける環境問題に協力して対策していくこととなり,担当技術者として業務を実施することとなった。
 このような状況を想定して,以下の問いに答えよ。なお,前記の担当者については,地方公共団体Aの職員,地方公共団体Aから業務委託等を受けたコンサルタント企業の社員,関係する環境分野に係る技術を保有する企業の社員,地方公共団体Aを支援する国・法人の職員等,いずれの立場も想定できるものとする。

(1)担当技術者としての立場で,支援に当たって多面的な観点から取り組むべき課題を3つ抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その課題の内容を示せ。なお,解答に当たって,支援が求められている環境分野を限定しないこと。

(2)抽出した課題のうち,困難性があり最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する解決策を,専門技術の観点から複数示せ。

(3)前問(2)で示した解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)~(3)の業務遂行に当たり,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を題意に即して述べよ。

長い問題文ですね。
「なお」書きが多いことや立場を想定させるあたりなんかはまるで総監のようです。実際に業務で関わっているひとはもちろん、関わっていなくてもご自分の得意の専門分野を海外の発展途上国で活用する場合をイメージして、その障害等を解決策とセットでひねり出せたら、もうバッチリですね。
最後の倫理のところで「題意に即して述べよ」とあるのも目に留まりました。これはⅠ-2も同じでした。

シアトルの持続可能なビル
【沖縄県恩納村】

Ⅰ-2 地球温暖化・気候変動により,国内外で深刻な気象災害が多発している。国会においても2020年11月に気候非常事態宣言決議を行った。また,2022年2月のIPCC作業部会報告においても「人間の活動が引き起こす気候変動により,異常気象の頻度と強度が増加し,自然と人々に広範な悪影響を及ぼしている」と強調されている。温室効果ガスの削減(気候変動緩和策)とともに,気候変動への備え(気候変動適応策)も重要な課題である。日本では,2021年10月に「気候変動適応計画」が閣議決定されている。その中では,農業・林業・水産業,水環境・水資源,自然生態系,自然災害・沿岸域,健康,産業・経済活動,国民生活・都市生活の7つの分野について,気候変動の影響を認識し,それへの基本的な施策が示されている。
 このような状況を踏まえ,以下の問いに答えよ。

(1)気候変動適応について,技術者としての立場から多面的な観点で気候変動適応計画に挙げられた分野の中から3つの課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その課題の内容を示せ。

(2)そのうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を,専門技術用語を交えて示せ。

(3)前問(2)で示した解決策を実行したうえで生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

(4)前問(1)~(3)の業務遂行に当たり,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を題意に即して述べよ。

気候変動適応策は建設環境のかたなら準備していたと思いますが、環境部門のかたももちろん準備していましたよね?なんだかかたっ苦しい表現で惑わされそうですが、難しく考える必要はありません。素直に問題文に沿って解答しましょう。「専門技術用語を交えて」って、交えてるに決まってるじゃないですか!技術士試験ですよ、舐めてもらっては困ります(笑)

どうでしたか?
問題文はなんだかヤヤコシイというか回りくどい表現を用いていますが、ようは自分の専門分野を海外で適用する際の、あるいは気候変動適応策を計画あるいは実施する場合の課題と解決策です。ぜんぜん難しいことはないですよね。

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