2021年7月15日木曜日

水産部門 必須科目Ⅰ 東日本大震災からの復旧復興とスマート水産業

最後に水産部門必須科目の問題文を取り上げます。

14 水産部門【必須科目Ⅰ】
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)

Ⅰ-1 平成23年(2011年)3月11日に発生した東日本大震災による地震及び津波は,豊かな漁場に恵まれている東北地方太平洋沿岸地域を中心に,水産業に甚大な被害をもたらした。被災から10年を経て復旧・復興が進みつつも,今も被災前の水準まで回復できない地域・分野も多い。また,原子力発電所事故の影響が今も続いている。こうした現状を踏まえて,被災地域の復旧・復興を加速するために水産技術者の一層の貢献が望まれている。

(1)被災地域の復旧・復興を加速するために,技術者としての立場で,水産部門全体にわたり広く多面的な観点から3つ課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,課題の内容を示せ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の技術的解決策を示せ。

(3)それら複数の技術的解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

(4)以上を総合した取組において必要な要件を技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から述べよ。


東日本大震災からの復旧復興でした。
ちょうど10年の節目でもありますからね。少し前には福島第一原発のトリチウムなど含む処理水を、薄めたうえで海洋に放出するとの方針を政府が決定したことについてさかんに報道されていました。
震災から10年、復旧復興はまだまだ終わりということにはなっていません。水産技術者(技術士)にはその持てる力をしっかり発揮して、さまざまな難問をひとつづつ解決してゆくことが求められているのだと伝わってきました。遠い南の島の技術者ではありますが、わたしも頑張らねばと思った次第です。

松川浦新漁港
【福島県相馬市】

Ⅰ-2 近年,「スマート水産業」と称し,ICT(Information and Communication Technology),IoT(Internet of Things),AI(Artificial Intelligence)といった技術やドローンを含むロボット技術を水産業の現場へ導入・普及していくことが検討されている。既に,水産業の様々な現場において,技術開発や民間企業等における「スマート水産業」を目指した取組が進められている。これらの取組を充実し,より多くの分野に「スマート水産業」を展開することと,さらなる高度化に向けた検討と実証を推進していくことが必要とされている。
 以上の状況を踏まえて,以下の問いに答えよ。

(1)ICT,IoT,AIやロボット技術の水産業の現場への導入と普及に向けて,技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,課題の内容を示せ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)それら複数の技術的解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

(4)以上を総合した取組において必要な要件を,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から述べよ。


ICT関連からの出題は多くのかたが予想したとおりでしたね。
しかし水産部門はこれまで「新たな水産基本計画」からの出題でしたが、今回は2問とも「水産白書」からといっても差支えない結果でした。平成29年を最後に更新されていないのでさすがに古くなってきましたかね。そろそろ次の水産基本計画が出されると思います。
それにしてもICT関連は予想どおりでしたが、もうひとつの震災復興を取り上げたのはさすが水産部門ですね。心強く思いました。

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