2020年10月24日土曜日

2050年を展望した国土の方向性と課題

すっかり秋ですね。
わたしの業務も先日ようやく”夏季”調査が終わりまして(ギリギリセーフ?で)ホッとしているところです。
そして筆記試験からひと月が経過し、皆さん試験のことは脇に置いて日々を過ごされていることと思います。現にブログの訪問者数もすごく少なくなっています(笑)
いまは試験スケジュール的には小休止の期間になりますかね。しっかり休んで来るべき口頭試験、あるいは来年の筆記試験に向けて英気を養っておいてください。
とはいえ、爪はひそかに研いでおくことをオススメします。
筆記試験の出題テーマは秋から冬にかけての社会の動き、行政の取組施策から出題されることが多いですからね。

で、さっそくに試験的にもたいへん重要な報道がありましたのでご紹介いたします。
今回の中間とりまとめは要注目ですよ!
来年の建設部門必須科目Ⅰはこれを踏まえて解答する必要がありますね。今年度の口頭試験では直接問われることはないと思いますが、口頭試験でもこの内容を踏まえた回答ができると安心ですよね。今年の受験生も来年の受験生も皆さん、いまのうちにチェックしておいてください。

なんせ今後の国土形成上の課題(というか踏まえるべき状況)である
●頻発する大規模災害
●新型コロナ感染症の拡大
●SDGs
●デジタル革命
について取り上げられています。
ほかにも「東京一極集中」などもありますので、ぜひチェックしてください。

アオウミガメもサンゴ礁のすき間で小休止
【那覇港沖にて】

2050年を展望した国土の方向性と課題を公表します
~「国土の長期展望専門委員会」中間とりまとめ~

令和2年10月23日

 国土交通省では、昨年10月以降、新型コロナウイルス感染症による影響も踏まえながら、2050年の国土の姿と長期的な課題について検討を進めてきました。
 このたびその中間とりまとめとして、2050年に向けた国土の基本的考え方や国土づくりの方向性・課題を整理しました。


1. 中間とりまとめのポイント
 自然災害の激甚化・頻発化、新型コロナウイルス感染症の発生・まん延、SDGsの取組、世界中で進展するデジタル革命など、昨今、我が国の国土を巡る状況に大きな変化が生じています。
 特に、テレワークなど「密」を避ける新しい生活様式は、これまでの働き方や暮らし方を見直すきっかけとなり、国民のマインドに大きな変化をもたらしています。

 中間とりまとめでは、人口構造をはじめとする2050年の国土を巡る長期的な推計等を示すとともに、この1年間の検討を踏まえ「物」にとどまらない「真の豊かさ」を目指すことを基本的考え方として明確化しました。また、国土づくりにより対応すべき「リスク・課題」や豊かさの実現のために目指すべき「国土の姿」に関して、論点を明らかにしています。


2. 今後の検討内容
 東京への過度な人口集中を是正し、地方においても豊かな暮らしを実現できるようにしていくため、本中間とりまとめで整理されたデータや論点も踏まえつつ、地方の生活圏域の在り方などについてさらに検討を深めていきます。2021年初夏を目途に最終とりまとめの予定です。



中間とりまとめに関する資料は、下記URLからご覧下さい。
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/kokudo03_sg_000214.html

添付資料

報道発表資料(PDF形式)PDF形式

2020年10月11日日曜日

技術士1次試験 おつかれさまでした!

技術士1次試験、たいへんお疲れさまでした。
昨年は東京と神奈川では台風で試験が中止(のちに再試験)となりましたが、今回もちょうど試験日程に合わせるように台風が接近しました。昨年のような大ごとにはなりませんでしたが局所的には土砂崩れや大雨などがあったようです。皆さん、無事に受験できましたでしょうか。

わたしも今日は試験監督として参加しました。
新型コロナウィルス感染拡大防止対策もあって、これまでとはだいぶ異なるルールが設定され、受験生、試験官ともになかなかたいへんでしたね。いちにちのスケジュールも先月の2次筆記試験と同様に、12時からの午後ぶっ通し試験で、間に30分の休憩が2回挟まりましたが、答案用紙や試験問題の配布でぜんぜん休憩になりませんでした(笑)
適性科目も大昔とは違っていまでは総監の択一と同じような出題でずいぶんと難しくなりましたね。
ともかく、途中で脱落する受験生がほぼいなかったというのが嬉しかったですね。それに知り合いの受験生もみんな棄権せずちゃんと受験していたのも嬉しかったです。

できたひとできなかったひといろいろあるみたいですが、1週間後の10月19日(月)に正答が発表されると思いますから、答え合わせをして、手ごたえのあるひと、そして4年の業務経験を来年3月末時点でお持ちのかたは、12月18日(金)の発表を待たずに、来年の2次試験に向けてさっそくにスタートするのがイイと思いますよ。
勉強癖がついている今、続けてポンポーンとイっちゃってください。わたしの身近なひとも1次試験合格の翌年に2次試験を受験してそのまま合格したひとがいます。決して夢物語ではありません。

わたしも2次試験を受験するかたを応援、というかお手伝いしています。

次は2次試験ですよ

2020年10月6日火曜日

建設リサイクル推進計画2020~「質」を重視するリサイクルへ~

すっかり秋になりましたね。
私の住む沖縄も先週末には猛禽類のサシバが北風に乗って渡ってきました。雲も高くなり、水蒸気が少ない(湿度が低い)せいか空の青がくっきりしています。

試験が終わったばかりで、皆さん仕事にまい進しておられることと思いますが、次年度以降の試験でたいへん参考になる(というか要注意)の資料がリリースされたのでご紹介しておきます。

先日のⅡ-1でも出題された建設リサイクル(特定建設資材廃棄物)ですが、早くも関連重要施策が打ち出されました。来年すぐ出題されるかはわかりませんが近いうちに出題されることでしょう。あるいはⅢのほうで出題されてもおかしくありません。特に新規に追加された項目は要注意です。

○廃プラスチックの分別・リサイクルの促進
→SDGsなど国際的に対応が求められている廃プラスチックについて、建設分野
における排出量も大きいことから、これまでの計画では個別に扱っていなかった建
設工事から発生する廃プラスチックの分別・リサイクルを促進
○リサイクル原則化ルールの改定
→中期的に排出抑制、再資源化に資するため、現行のリサイクル原則化ルールにつ
いて、距離制限や搬出先となる再資源化施設の指定等の観点から改定を検討する
・社会情勢の変化(交通網の発達等)による距離制限の改定の検討
・AS塊等の品目別の再資源化施設の指定の検討
○建設発生土のトレーサビリティシステム等の活用
→建設発生土の発生元から最終の搬出先までの移動実態を把握することは、建設発
生土の不適切な取扱の抑制等にも資する可能性があるため、ICT技術を活用し、
発生元から搬出先までを正確に把握するトレーサビリティシステムの導入等につい
て試行を行う

ぎんなん
【東京郊外にて】

「建設リサイクル推進計画2020 ~「質」を重視するリサイクルへ~」の策定について

令和2年9月30日

社会資本整備審議会環境部会・交通政策審議会交通体系分科会環境部会 建設リサイクル推進施策検討小委員会」(委員長:勝見武 京都大学教授)の審議を経て、国土交通省における建設リサイクルの推進に向けた基本的考え方、目標、具体的施策をとりまとめた「建設リサイクル推進計画2020 ~「質」を重視するリサイクルへ~」を策定しました。

概要

 国土交通省は、これまで建設リサイクルや建設副産物の適正処理を推進するため、建設リサイクル推進計画を定期的に策定し、各種施策を展開してまいりました。
 その結果、建設廃棄物のリサイクル率について、1990年代は約60%程度だったものが、2018年度は約97%となっており、1990 年代から2000 年代のリサイクル発展・成長期から、維持・安定期に入ってきたと考えられ、今後は、リサイクルの「質」の向上が重要な視点となると想定されます。
 今般、このような背景を踏まえ、「建設リサイクル推進計画2020~「質」を重視するリサイクルへ~」を策定しましたので公表いたします。

<建設リサイクル推進計画2020のポイント>
・維持・安定期に入ってきた建設副産物のリサイクルについて、今後は「質」(※)の向上が重要な視点
 (※)より付加価値の高い再生材へのリサイクルを促進するなど、リサイクルされた材料の利用方法に目を向ける
・建設副産物の再資源化率等に関する2024年度達成基準値を設定し、建設リサイクルを推進
主要課題を3つの項目で整理し、取り組みの実施主体を明確化
・新規施策として、「廃プラスチックの分別・リサイクルの促進」、「リサイクル原則化ルールの改定」、「建設発生土のトレーサビリティシステム等の活用」に取り組む
・これまで本省と地方で分かれていた計画を統廃合

2020年10月3日土曜日

建設部門 必須科目Ⅰ 担い手確保と戦略的なメンテナンス

総監必須科目の択一正答が発表され数日が経過しました。
皆さんからの報告によると、今回の択一はなかなか難しかったようで6割に満たないかたが多いような印象を持ちました。
自分の筆記試験における成績(点数)を開示請求したところ、総監4回受験したうち、論文の成績はほぼ6割前後を推移していたのですが、択一が6割程度のときは不合格、合格したときは8割取れていたことが判明しました。そんな自分の経験を踏まえて受講生の皆さんには最低でも6割、できることなら8割取ってください!とハッパをかけていたんです。
だもんで早くも諦めモードのかたが多いようなのですが、5割で合格しているひともいますので択一5割取れていたらまだ諦めないでください。とにかく再現だけはしておいてくださいね。毎年のことですが、思いもよらず合格しちゃったひと(そしてそれで慌てるひと)がいますので。

そしてスミマセン!建設部門必須科目の問題文をアップするのを忘れていました。
技術士会からは問題文も公表されましたので速報としての価値は全くありませんが、周年通じて参考にしてくださるかたがいますので、いまさらながらなのかもしれませんが必須科目の問題文を掲載します。

昨年から復活した記述式による必須科目、テーマは「(地域の中小建設業における)担い手確保」と「戦略的なメンテナンス」でした。
昨年同様、今年も2題とも建設部門の王道中の王道でしたね。どちらの問題でも書けるように準備していたかたが多いのではないでしょうか。建設環境のひとはインフラ維持管理をからめたネタを準備していたひとが多いようですからⅠ-2のほうを選んだのかな。
ひとつめの担い手確保のほうは「地域の中小建設業が今後もその使命を果たすべく」というのが奮っていますね。わたしも地方の(建設業ではないのですが)中小企業に勤務する中間管理職という立場ですので、担い手不足、担い手確保、技術継承、事業継続についてはとても敏感になっています。建設業と違って環境調査会社なのでインフラ施設建設のための測量、設計や施工には絡んでいないということもあって問題文にある「地域の安全安心を支える」というまでの意識はやや薄いのですが、やはり社会の一員としての「使命」は意識しています。ここらへんの心情は技術者倫理にも繋がっているんでしょうね。

テーマとは別に、問い方も微妙に変化していました。昨年の問題文と比べてみますと、
(1)~課題を抽出し分析せよ。
だったのが今年は
(1)~課題を抽出し,その内容を観点とともに示せ。
となってました。
観点ってなんだよ、分析しなくていいのかよ、と思わなくもないですが、観点を示すことが分析したことになるんでしょうね。

そして(2)は同じでしたが、次の(3)ですがⅠー1のほうだけちょっと変わりました。
(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
だったのが
(3)すべての解決策を実行した上で生じる波及効果と,新たな懸案事項への対応策を示せ
にアレンジされていましたね。昨年度のようなマイナスの影響だけでなく、プラスマイナスの影響、つまり正負両面について書けばいいのではと思います(必ずしもプラスの波及効果でなくてもいいのですが)。

そして(4)も昨年とほぼ同じで技術者倫理と社会の持続性についてのものでした(昨年及びⅠー2は社会の持続可能性ですが)。

さらに意外と大きな変化ともいえるかもしれませんが、昨年の試験では、
答案用紙3枚以内にまとめよ。
だったのが
答案用紙3枚を用いてまとめよ。
に変わっていました。2枚ではダメかもしれませんね。

9 建設部門【必須科目Ⅰ】
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(答案用紙に解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)

Ⅰ-1 我が国の総人口は,戦後増加を続けてきたが,2010年頃をピークに減少に転じ,国立社会保障・人口問題研究所の将来推計(出生中位・死亡中位推計)によると,2065年には8,808万人に減少することが予測されている。私たちの暮らしと経済を支えるインフラ整備の担い手であり,地域の安全・安心を支える地域の守り手でもある建設産業においても,課題の1つとしてその担い手確保が挙げられる。

(1)それぞれの地域において,地域の中小建設業が今後もその使命を果たすべく担い手を確保していく上で,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し,その内容を観点とともに示せ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)すべての解決策を実行した上で生じる波及効果と,新たな懸案事項への対応策を示せ。

(4)上記事項を業務として遂行するに当たり,技術者としての倫理,社会の持続性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。


世界最古の建設会社 金剛組
578年創業で現存する世界最古の企業
【大阪 四天王寺にて】

Ⅰ-2 我が国の社会インフラは高度経済成長期に集中的に整備され,建設後50年以上経過する施設の割合が今後加速度的に高くなる見込みであり,急速な老朽化に伴う不具合の顕在化が懸念されている。また,高度経済成長期と比べて,我が国の社会・経済情勢も大きく変化している。
 こうした状況下で,社会インフラの整備によってもたらされる恩恵を次世代へも確実に継承するためには,戦略的なメンテナンスが必要不可欠であることを踏まえ,以下の問いに答えよ。

(1)社会・経済情勢が変化する中,老朽化する社会インフラの戦略的なメンテナンスを推進するに当たり,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し,その内容を観点とともに示せ。

(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

(4)(1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から述べよ。