2019年7月31日水曜日

コンパクトシティ政策の次のステージに向けて ~中間とりまとめ~

暑いですね~。
わたしの本業でもある海の生きもの調査が本格的にスタートしました。そんなわけで試験が終わってからというもの連日のように海に潜っています。離島出張が続いているもんですから、沖縄本島とは比べものにならないくらい透き通ったエメラルドグリーンの海を目にすると、仕事なんですが夏休みの小旅行気分です。

その旅行中(じゃなくて出張中)にも添削講座への問い合わせをいただいています。
先週から令和2年度試験に向けた添削講座を開始したわけですが、早くも応募があることに驚いています(開設前から問い合わせもいただきました)。これまではもう少しゆっくり始動していたように記憶していますが、今年は早いですね。
令和2年度技術士試験 添削講座

さらに先日の筆記試験の再現論文コメント評価のほうも例年以上に申し込みをいただいております。応募のある部門もわたしがこれまで拝見したことのない専門外&想像外の部門のかたからもコメントがほしいとの問い合わせも複数いただいております。それだけこのブログを見てくださっているかたが多いのだと、驚くとともに嬉しい気持ちでいっぱいです。専門外ですができるだけ力になりたいと誠心誠意、コメントをお返しするよう努めています。
令和元年度筆記試験の再現論文に対するコメント評価

そんな折、国交省からコンパクトシティについての新たな方策が公表されました(といってもそんなに目新しくはないようですが)。
今年度から建設一般、必須科目も論文試験となりました。これまでの建設環境目線だけでなく、建設部門の技術者としての目線でこういった政策、社会的課題を見つめなおしてみてください。

暑中お見舞い申し上げます
野甫大橋から伊是名島を望む【沖縄県島尻郡伊平屋村】

報道・広報

コンパクトシティ政策の次のステージに向けて

~都市計画基本問題小委員会 中間とりまとめ~


令和元年7月30日
 今般、社会資本整備審議会「都市計画基本問題小委員会」において、「コンパクトシティ政策」「都市居住の安全確保」に関する方策がとりまとめられました。
 今後、国土交通省において、居住誘導区域における生活利便施設の立地促進やハザードエリアへの住宅の立地抑制など、次期通常国会での制度化や、令和2年度予算概算要求等を目指して、本とりまとめの具体化に向けた検討を進めてまいります。

 都市計画基本問題小委員会は、今日の都市計画基本問題(都市において現実に生じている、都市計画に起因し、又は関連する基本的かつ構造的な諸課題)について、解決に向けて講ずべき施策の方向性を幅広く検討するため、社会資本整備審議会都市計画・歴史的風土分科会のもと、平成29年2月に設置されました。(委員は別紙1参照)  
 第一弾として、空き地、空き家等の低未利用地の増加を背景とする「都市のスポンジ化」について、平成29年8月にとりまとめ、それを具体化した改正都市再生特別措置法等が平成30年7月に施行されました。  
 平成31年2月に再開し、「コンパクトシティ政策」「都市居住の安全確保」について7回会議を開催して、議論を重ねてまいりました。

〈中間とりまとめの主な内容〉
 1.コンパクトシティの意義等をわかりやすく整理・共有すること
 2.立地適正化計画の制度・運用を不断に改善し、実効性を高めること
 3.分野や市町村域を超えた連携を進めること
 4.居住誘導区域外に目配りすること
 5.市街地の拡散を抑制すること
 6.立地適正化計画等と防災対策を連携させること

(添付資料)
都市計画基本問題小委員会 中間とりまとめ「概要」 ※とりまとめ資料「本文」「参考資料」、過去の会議資料については、以下の国土交通 省HPに掲載しております。
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s204_toshikeikakukihonmondai_past.html

2019年7月21日日曜日

令和2年度技術士試験 添削講座

新しい評価基準である技術士コンピテンシーによる初めての試験が終わりました。予想どおりだったところもあれば、意外な問いに驚いたりと、とても興味深い2日間を過ごしました。その後1週間にわたって連載した試験問題の振り返りもひと段落しましたので、ここで次年度試験に向けての講座を開講することにいたします。

わたしの講師としての活動は、平成22年度試験に合格した翌年からSUKIYAKI塾の添削講座に参加するかたちでスタートしました。
SUKIYAKI塾のほか、身近な知り合いを含めると、これまでの9年間でのべ180名ほどのかたたちに指導アドバイスしたことになります。そしてその一助となったかどうか、平成30年度試験までの8年間で46名のかたが合格されました。

また、平成27年度からは総監の指導アドバイスも開始したところ、初年度にもかかわらず6名ものかたから吉報をいただくことができました。わたしはあくまで触媒にすぎませんが、『総監合格』にいくらかでも貢献できたであろうことに我ながら驚いています。

SUKIYAKI塾の活動と平行して綴り始めたこのブログですが、平成26年ごろからブログを訪問してくださるひとが増え始め、それに比例するように添削指導の依頼をあちらこちらから受けるようになりました。そこで平成28年から独自の添削講座を開講して受験に真剣に取り組む方のサポートを始めました。

軌道に乗った平成29年度以降、多くの受講生の皆さんとメールによる濃密なやりとりができました。受講生に恵まれたことが大きいと感じていますが、受講生の皆さんの理解の度合や伸び具合がそれはとても良い感触でした。
受講者さんから試験本番の感想を頂きました。

【総監】
●試験がようやく終わりました。論文については、ヒューマンエラーについての記載でした。文章は何らか記載できましたが、評価は・・。かな?私の現時点で出来ることはしたので、後は結果を待つのみです。これまで、指導ありがとうございました^_^。

●日曜日に総監を受けてきました。記述はなんとか五枚を9割りがた埋めることができました。特にはじめは今回の添削の内容をほぼ使うことができたので、考える余裕ができました。ありがとうございます。これで予定の50パーセントは獲得できたと思います。しかし、択一が23~26のできなので、あともう少しだったと思っています。来年はオリンピックもあるので、総監に専念して望みたいと思います。ご指導をありがとうございました。

【建設環境】
●試験終わりました。必須はまぁ書けました。選択は難しかったです。3はなんとか埋めましたが、手応えがありません。2-1と2はほぼ書けませんでした。約半年間色々とご指導をありがとうございました。

●本日、建設環境の筆記試験を受験して参りましたので、試験問題をお送りいたします。必須や専門のⅢでは、最も重要な課題に対する複数の解決策と、それらの解決策に共通するリスクと対策法について問われました。専門のⅡ-2では、これまでのアセスそのものの設問がなくなり、特にⅡ-2-2では、業務経験がないと対応が難しかったという印象です。全問、ほぼ100%埋めることができましたが、新傾向の部分にはどれだけ題意に沿えているのか、自信がないです。昨年のほうが手応えはあったような気がします。以上、速報でした。これまで半年間、ご指導、ありがとうございました。

●本日の筆記試験、なんとか、とりあえずは全ての問題を無事書ききることができたので、取り急ぎお礼と報告をさせていただきます。以下は個人的なご報告ですので、読んでいただけなくとも構いません・・問題は、Ⅱ-2の自主アセス以外は全て、添削で指導いただいたものにアレンジを加えた内容で対応できました。Ⅰは防災、Ⅱ-1は多自然川づくり→生態系ネットワークで書いた課題のアレンジで対応しました。(個人的には手応えありでしたが、そういう時ほど落ちているという声もよく聞きますが・・)ただ、Ⅲでは社会資本整備事業の方を選んだのですが、、(略)・・・と、思っています。しかし、あの瞬間ほかに解答を作成する技量は自分にはなかったので、そういう意味では今ある力でとりあえず悔いなくできたかなと思います。合格ラインに到達できたかはわかりませんが、とにかくご指導のおかけで試験本番乗り切れたと思っております。勝手なメールでかなり長くなってしまいましたが、また10月末に結果のご報告だけでもさせていただければと思います。以上、ありがとうございました。

●15日の技術士試験を無事に終えてきました。今年もお世話になった御礼をメールしようと思いつつも、技術士試験の後、すぐに長期出張だったので落ち着く時間がありませんでした。今年は試験形式が変わりましたが、これまで繰り返し添削してきていただいた、積み重ねてきたことが十分に出せたと感じています。とても完璧とは言えませんが、手ごたえがあります。もちろん、まだ結果は分かりませんが、自信をもって本番を望めたこと自体、ここで添削し続けてもらったおかげだと思っています。(なぜなぜ分析やボトルネック抽出、技術者としての技術力アピール等、とても役に立ちました)今年は、結果発表に向けて前向きに、復元論文や面接対策も進めようと思います。今年こそ、10月29日によい結果報告ができたらと思います。それでは、また。

【河川砂防】
●報告が遅くなりましたが、試験を終えてきました。一般は、・生産性向上・国土強靭化であり、想定範囲内の出題内容でした。しかし、問われ方が、(3)までは、河川砂防の問題Ⅲと同じ設問、(4)で倫理(略)、社会の持続可能性(略)であり、回答用紙に収めるのに苦労しました。バランスの悪い字数の記載となりましました。この一般問題で、テンションダウンです。しかし、午後の専門は、すごろく様のアドバイス通り、栄養ドリンクを飲んで、昼休みに添削指導頂いた内容をレビューしたところ、・1枚ものの出題内容は、過去問通り、・2枚ものも出題内容は、過去問通りで、設問を変更。以上は、一応、記載しました。しかし、問題Ⅲで(略)どうも、(2)で(1)の課題のうち1つについて複数の解決策(3)で複数の解決策に共通したリスクと対策になじめませんでしたが、一般ほどの苦労はしなかったと思います。結論としては、一般と問題Ⅲの出来が合格に左右されると思います。ご指導を受けたにも拘らず、反映できずに、申し訳ありません。問題を送るのが、これまでご指導頂いたことへのお礼ですが、それは、明日、対応させて頂きます。

【環境部門自然環境保全】
連絡遅くなり、申し訳ありません。試験が終わり、ようやく落ち着いてきました。改めまして、この度は、ご指導ありがとうございました。添削、指導をいただくのが勉強のモチベーションになっていました。試験は、一応、全ての問題で全てのマスを埋めました。出来ですが・・・、微妙なラインかなと思っています。必須は、SDGsを選択しました。環境部門に関係のある5つの目標について問われたのですが、(1)、(4)が用意不足でざっくりとしか答えられずでした。専門Ⅱは、1は自然環境保全地域を選択、2は域外保全を選択し、これは自信を持って回答できました。専門Ⅲは、地域戦略を選択しました。(1)の課題の抽出と分析について考えてしまい、時間がなくなり、焦って、題意に沿った回答ができてないような気がしています。一応全マス埋めましたがどのくらい点数をもらえるかと思っています。正直、緊張してしまいました。結果が出るまでは、口頭試験の準備をしようと思います。ダメだったら、悔しいので、また一からやろうと思っています。重ね重ねですが、この度は本当にありがとうございました。

などの報告をいただきました。
総監は順当な出題だった印象ですが、総監以外部門のほうはほぼ予想どおりの出題テーマに対して、細かい設問、特に必須科目Ⅰや選択科目Ⅲの問い方の変化に翻弄されている様子が生々しく描写されていますね。試験が終わったいま読んでも「頑張れ!」と手に力が入ってしまいます。

そして早くも次年度試験対策講座への問い合わせもいただいています。ありがたいことにブログの読者にお尻を叩かれここにようやく準備が整いましたので、ただいまより令和2年度試験に向けての添削講座を開講いたします。
これまでの指導経験を注力しますのでお任せください。

そのほか筆記試験再現論文に対するコメント評価も行います。
先日の試験答案について第3者の視点からの評価を欲しているかたはぜひどうぞ。


本サービス(添削指導アドバイス)はSUKIYAKI塾とは異なり有料でお受けします。
対象とする技術部門科目は以下の2つです。
●建設部門建設環境
技術士受験指導の経験は早いもので9年、そして建設環境分野の技術者としての業務経験は24年になりました。これまで主に沖縄県内での環境調査、環境影響評価、自主アセス(ミニアセス)に携わっております。
わたしの専門はどちらかというと自然環境に関する分野ですので生活環境の保全に関する現場感覚はやや劣るかもしれません。しかしながらこれまで添削するうえで支障はありませんでした。
また、他の部門科目(例えば環境部門など)についてもご希望であればお引き受けします。ただし専門技術に関する指導はできませんので論理構成や文章に関する指導アドバイスとなります。
なお、これまで建設環境以外には、河川、砂防及び海岸・海洋の環境寄りのかた、環境部門の環境保全計画と自然環境保全、水産部門の水産資源及び水域環境のかたを指導いたしました。

●総合技術監理部門
総監については科目を問いません。ただし建設-建設環境以外の科目の場合には専門技術を踏まえた管理については言及できないこともあります。
なお、これまで建設環境以外には、施工計画・施工設備及び積算、道路、都市及び地方計画、河川砂防・海岸海洋、土質及び基礎、上水道及び工業用水道、農業土木、環境保全計画、自然環境保全のかたを指導いたしました。
ご希望のかたには、平成29年2月23日で頒布が終了した「技術士制度における総合技術監理の技術体系(第2版)」(いわゆる青本)のテキストデータを差し上げます。
なお一部内容を法律等の改正に伴い書き換えています(ただしH29年時点までのものです)。

下記の5つのコースを設けました。
※併願・重願の場合はそれぞれの部門科目単位で受け付けます。

★お申込みはこちらからお願いします
お申込みフォーム

①令和元年度筆記試験の再現論文に対するコメント評価
内容:再現論文のコメント評価を行います。建設環境は必須科目Ⅰ、選択科目Ⅱ-1、Ⅱ-2、Ⅲの合計4つ、総監は記述論文(必須科目Ⅰ-2)です。
原稿に赤を入れるのではなく、メールでコメントをお返しする方式です。
返信回数:各問題に対し、1回のコメントとそのコメントを受けての再質問・返信を1回の計2回
料金:3,000円

【令和2年度試験対策】
②出願書類作成コース
期間:受付完了時から令和2年度試験の申込期限日7日前の4月13日(月)まで書類を受け付けます。
※令和元年度技術士第一次試験再試験の合格者で、受験資格を満たすひとについては5月1日(金)まで。
内容:受験申込書の記載内容と業務経歴票(5行の業務経歴と「業務内容の詳細」)についての添削指導を行います。令和2年度の様式が正式発表されるまでは令和元年度様式で添削指導を行い、令和2年度様式が発表され次第、あらためて添削指導いたします。
うまく作成できないかたには業務経歴のたな卸しと詳細業務の骨子の作成アドバイスからスタートします。
添削回数:期間内は回数無制限です。ただしわたしがOKと判断したらそこで終了とすることもあります。
料金:15,000円

③筆記試験論文添削 長期コース(7~11カ月)
期間:受付完了時から令和2年度筆記試験日7日前まで論文を受け付けます。総監部門は7月4日(土)まで、その他部門は7月5日(日)までです。
内容:建設環境については必須科目と選択科目を、総監については記述論文(必須科目Ⅰ-2)の添削指導を行います。過去問題に対する回答論文の添削です。原稿に赤を入れるのではなく、メールでコメントをお返しする方式です。
論文の仕上がり具合に自信がないかた、文章作成が苦手なかた、論理的思考が苦手なかた、専門技術分野が偏っているかた、それぞれに応じた指導をいたします。
添削回数:期間内は回数無制限です。ただし複数の論文を同時並行では添削しません。わたしが次の問題に移ってOKと判断してから別の設問に取り組んでください。
料金:30,000円 (平成31年度の筆記試験論文添削コースを受講したかたで同部門同科目の場合は25,000円)

④筆記試験論文添削 中期コース(3~6カ月)
期間:令和元年12月下旬頃から受付を開始します。受付完了時から令和2年度筆記試験日の7日前まで論文を受け付けます。総監部門は7月4日(土)まで、その他部門は7月5日(日)までです。
内容:建設環境については必須科目と選択科目を、総監については記述論文(必須科目Ⅰ-2)の添削指導を行います。過去問題に対する回答論文の添削です。原稿に赤を入れるのではなく、メールでコメントをお返しする方式です。
論文の仕上がり具合に自信がないかた、文章作成が苦手なかた、論理的思考が苦手なかた、専門技術分野が偏っているかた、それぞれに応じた指導をいたします。
添削回数:期間内は回数無制限です。ただし複数の論文を同時並行では添削しません。わたしが次の問題に移ってOKと判断してから別の設問に取り組んでください。
料金:20,000円

⑤筆記試験論文添削 短期コース(1~2カ月)
期間:令和2年4月末頃から受付を開始します。受付完了時から令和2年度筆記試験日の7日前まで論文を受け付けます。総監部門は7月4日(土)まで、その他部門は7月5日(日)までです。
内容:建設環境については必須科目と選択科目を、総監については記述論文(必須科目Ⅰ-2)の添削指導を行います。過去問題に対する回答論文の添削です。原稿に赤を入れるのではなく、メールでコメントをお返しする方式です。
論文の仕上がり具合に自信がないかた、文章作成が苦手なかた、論理的思考が苦手なかた、専門技術分野が偏っているかた、それぞれに応じた指導をいたします。
添削回数:期間内は回数無制限です。ただし複数の論文を同時並行では添削しません。わたしが次の問題に移ってOKと判断してから別の設問に取り組んでください。
料金:15,000円

【注意事項】
●本サービスは、Gmailを使用して行いますので、Gmailの送受信が可能な環境であることが必須条件です
●本サービスに使用するファイル形式はPDFもしくはMS Wordファイルのみです。これ以外のファイルは原則として対応できません
●添削指導の対象である経歴票や論文等はメールに添付してお送りいただきます
●メール受信後、添削コメント等を返信するまでに最大4日間の日数をいただきます
●総監については科目を問いませんが建設-建設環境、水産-水産資源及び水域環境以外の科目の場合には専門技術を踏まえた管理については言及できないこともあります
●領収書は発行いたしません
●振込手数料はご負担ください

本サービス(添削指導アドバイス)をご希望されるかたは上記の内容を確認いただいたうえで下記のフォームにてお申込みください。お申込みの時点で上記の注意事項に同意いただいたものとします。

フォームを受信後、遅くとも翌日中には振込先の銀行口座をご案内するメールをGmailで返信いたします。
※3日以上経過しても返信がない場合はGmailとのやりとりが不可能な環境と思われます。その際はお手数ですがご自身で設定等を調整したうえで再度ご応募ください。

★お申込みはこちらからお願いします
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2019年7月20日土曜日

環境部門と水産部門 選択科目Ⅲ 生物多様性

建設環境でもズバッと出題された生物多様性ですが、なんと環境部門(自然環境保全)でも、水産部門(水産資源及び水域環境)でも出題されました。
同じテーマですが回答する場合はそれぞれの部門科目の技術者としての立場が異なります。見比べることでそれぞれの部門科目で求められている視点が浮かび上がってくると思います。
同じ「環境」分野、「生物多様性保全再生」分野ですが、この違いを理解することも技術士受験の場合には大事な視点になりますので、ぜひ研究してみてください。これが経歴票作成や口頭試験の際に受験する部門科目の技術士としての相応しさに繋がります。

まずは環境部門自然環境保全です。

19-3 自然環境保全【選択科目Ⅲ】
Ⅲ 次の2問題(Ⅲ-1,Ⅲ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

 Ⅲ-2 「生物多様性国家戦略2012-2020」においては,生物多様性を社会に浸透させることが生物多様性施策の基本戦略の1つに挙げられ,地方自治体による地域戦略の策定を促進することが示されている。このような状況において,以下の問いに答えよ。

(1)ある市町村において,豊かな自然の恵みを地域資源として活用し地域産業の活性化に繋げる生物多様性地域戦略を策定するに当たり,技術者の立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ選択し,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で提示した解決策において新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

市町村の生物多様性地域戦略策定に向けた提言

生物多様性地域戦略は鉄板ですよね。これまでもたびたび出題されているので皆さんシッカリ書けたのではないかと思います。
続いて水産部門水産資源及び水域環境から。

14-1 水産資源及び水域環境【選択科目Ⅲ】
 Ⅲ-2 サンゴ礁は海洋生態系の中で最も生物多様性が高い場所であると言われている。しかし,サンゴ礁は地球規模並びに地域規模で起こる環境改変に対して脆弱であり,さまざまな原因により被害を受け衰退の危機にさらされている。このような状況の中で,サンゴ礁の再生に取り組むに当たって,以下の問いに答えよ。

(1)技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

サンゴ礁の修復と再生

環境部門の鉄板さに比べて、水産部門は(自然再生はまぁ鉄板なのですが)サンゴ礁生態系限定というのに驚きました。サンゴ礁が身近にない全国各地の受験生は大丈夫だったのかちょっと心配です。。。

国の名勝及び天然記念物、日本の重要湿地500、生物多様性保全上重要な湿地
八重干瀬(やびじ)
【宮古列島池間島の離礁】

2019年7月19日金曜日

環境部門と水産部門 必須科目 SDGs

わたしの講座の受講生は建設環境と総監を受験するひとが多いのですが、今年度は環境部門(自然環境保全)と水産部門(水産資源及び水域環境)、建設部門の他科目では河川砂防を受験するかたに指導アドバイスを行いました。
これらの部門科目についても目を引いた問題文を掲載したいと思います。

まずは、環境部門と水産部門の必須科目で出題されたSDGsです。
建設部門や建設環境の選択科目でも出題されてもおかしくない分野です。建設環境のかたも令和2年度試験対策の際は参考にしてください。

建て替え工事のため6/17で閉鎖した牧志公設市場
【沖縄県那覇市】

19 環境部門【必須科目Ⅰ】
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-2 SDGsを中核とする2030アジェンダは,2015年9月にニューヨーク国連本部で開催された持続可能な開発のための首脳会議国連総会で採択された。SDGsは,17のゴールとゴールごとに設定された合計169のターゲットから構成されている。17のゴールの中では「ゴール6(水)」,「ゴール12(持続可能な生産・消費)」,「ゴール13(気候変動)」,「ゴール14(海洋)」,「ゴール15(生態系・森林)」の5つのゴールは,特に環境と関わりが深くなっている。

(1)これら5つのゴールの目標を明確にした上で,現状・課題をそれぞれ述べよ。

(2)これら5つのゴールのうちあなたが最も重要と考えるゴールを1つ挙げ,その選定理由と複数の解決策を述べよ。

(3)解決策の実施に際して,新たに生じ得るリスクとそれへの対策についてあなたの専門技術を踏まえて考えを述べよ。

(4)上記事項を業務として遂行するに当たり,技術者としての倫理及び経済・社会・環境の三側面統合の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。

第1章 地球環境の限界と持続可能な開発目標(SDGs) - 環境省

そして水産部門でもSDGsが出題されました。

14 水産部門【必須科目Ⅰ】
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-2 平成27(2015)年に国際連合で採択されたSDGs(SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS 持続可能な開発目標)のうち,目標14は「海の豊かさを守ろうー持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し,持続可能な形で利用する」である。こうした国際目標は我が国の水産技術者にとっても個々の専門分野の枠を超えて念頭に置くべき目標であることはいうまでもない。
 そこでこの目標を実現するために,以下の問いに答えよ。

(1)技術者としての立場で,水産部門全般にわたる多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

(4)以上を総合した取組においてを必要な要件を技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から述べよ。

水産研究機関からのSDGsへの貢献 〜SH“U”Nプロジェクトの推進〜
SDGsとは? SDGs14 海の豊かさを守ろう!

今回は環境部門と水産部門から掲載しましたが、ほかの部門でも出題されていることでしょう。ぜひチェックしてみてください。

2019年7月18日木曜日

建設部門 必須科目Ⅰ 生産性向上と国土強靭化

今年から復活した記述式による必須科目、テーマは「生産性の向上」と「国土強靭化」でした。
この2題こそ、王道中の王道で(←コレばっかり繰り返してますね)、どちらの問題でも書けるように準備していたかたが多いのではないでしょうか。建設環境のひとはやはり防災減災対策をからめた話を準備していた人が多いですから結局Ⅰ-2のほうを選んだひとが多いかもしれませんね。

それにしても選択科目Ⅲのところでも書きましたが、『平成 31 年度技術士第二次試験に関する出題内容等について』には必須科目Ⅰは「専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの」とあるのに、ふたを開けてみたら「課題を抽出し分析せよ」て、話が違いますよね。。。。皆さん動じずに対応できていたらよいのですが。

そして面白いことに、(1)~(3)まで選択科目Ⅲと同じでしたね(出題はこっちが午前で先なわけですが)。そしてそしてこれまた興味深いことに、選択科目Ⅲでは(3)のリスクとその対策で終わっていたのですが、必須科目Ⅰではさらに(4)として「技術者としての倫理と、社会の持続可能性」が問われました。
「倫理と持続可能性」がここまであからさまに問われるとは想像もしていませんでした。受講生からも「倫理」についてはどんな準備をしたらいいですか?という質問も頂いていていたのですが、それに対しては「そんなに気にする必要はないと思います。倫理的に誤っていないことを当たり前に記述していたらいいんじゃないでしょうか」なんて回答していたのですが。実はもっと積極的に記述すべきだったのですね(過去問対応では限界がありますが)。
皆さん、倫理と持続可能性の観点ってどんな感じで書きましたか?

9 建設部門【必須科目Ⅰ】
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-1 我が国の人口は2010年頃をピークに減少に転じており,今後もその傾向の継続により働き手の減少が続くことが予想される中で,その減少を上回る生産性の向上等により,我が国の成長力を高めるとともに,新たな需要を掘り起こし,経済成長を続けていくことが求められている。
こうした状況下で,社会資本整備における一連のプロセスを担う建設分野においても生産性の向上が必要不可欠となっていることを踏まえて,以下の問いに答えよ。

(1)建設分野における生産性の向上に関して,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

(4)(1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる条件を,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から述べよ。

生産性革命プロジェクト(国土交通省)
平成27年度 国土交通白書 ~生産性の向上~

そしてもういっこの問題もテーマが異なるだけでそれ以外は全く同じ問い方でしたので、続けてⅠ-2も掲載しちゃいます。見比べてみてください。そして実はこれ、建設部門だけじゃなくて、全部門全科目ともこんなだったみたいですよ。

粘り強い防波堤【那覇港】

Ⅰ-2 我が国は,暴風,豪雨,豪雪,洪水,高潮,地震,津波,噴火その他の異常な自然現象に起因する自然災害に繰り返しさいなまれてきた。自然災害への対策については,南海トラフ地震,首都直下型地震等が遠くない将来に発生する可能性が高まっていることや,気候変動の影響等により水災害,土砂災害が多発していることから,その重要性がますます高まっている。
 こうした状況下で,「強さ」と「しなやかさ」を持った安全・安心な国土・地域・経済社会の構築に向けた「国土強靭化」(ナショナル・レジリエンス)を推進していく必要があることを踏まえて,以下の問いに答えよ。

(1)ハード整備の想定を超える大規模な自然災害に対して安全・安心な国土・地域・経済社会を構築するために,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

(4)(1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から述べよ。

国土強靭化基本計画の見直し(概要)
国土強靭化(内閣官房)
地域強靭化基本計画(国土強靭化地域計画)(内閣官房)

今回、いちばんの変更点ともいえる必須科目の記述問題ですが、問題テーマ、出題方式だけでなく、答案用紙のマス目の色も何色になるんだろうと思っていました。
これまた予想に反してなかなか上品な紫色でしたね。わたしはベタに黄色系を想像していたのですが、さすが技術士会、センスがありますね~。プリンス好きにとってもすごく嬉しいです。

建設環境はひとまずこれで終了です。次からは環境部門や水産部門を取り上げますね。お楽しみに(ってまもなく公表されますが)。

2019年7月17日水曜日

建設環境 選択科目Ⅲ 生物多様性保全再生の取組と、都市と緑・農が共生するまちづくり

「問題解決能力及び課題遂行能力に関する」問題Ⅲ、Ⅲ-1が生物多様性保全再生の取組、Ⅲ-2が都市農業振興計画でした。
都市農業は数年前にブログで取り上げたきり、すっかり忘れていました。。。。まさかⅢで出題されるとは。
というわけで、ほとんどのかたは生物多様性のほうを選ばれたのでしょうか。しかし自然環境系のひとにとっては基本中の基本、王道中の王道なのでいいとして、生活環境系のかたはなかなかに厳しかったかもしれませんね。。。だからと言って農業を選ぶわけにもいかないし。。。。
そして『平成 31 年度技術士第二次試験に関する出題内容等について』には選択科目Ⅲは「問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの」とあるのに、ふたを開けてみたら「課題を抽出し分析せよ」て、話が違いますよね。。。。午前の必須科目で経験済とはいえ、皆さん動じずに対応できていたらよいのですが。

【南海電鉄の車内にて】

Ⅲ 次の2問題(Ⅲ-1,Ⅲ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

 Ⅲ-1 これまでの急激な都市化等により,水辺や緑地,藻場,干潟等の自然環境が失われつつあるなど,生態系の破壊,分断,劣化等が進行している。そのため人類の存立基盤である環境が,将来にわたって維持されるよう,生物多様性が保たれた良好な自然環境の保全,再生等の取組を加速する必要がある。このような状況を踏まえ,以下の問いに答えよ。

(1)社会資本整備事業において,生物多様性の保全,再生等の取組を行うに当たって,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

自然共生と生物多様性の保全(国土交通省)

シツコク「課題」について取り上げますが、「課題を抽出し」はこれまで通りなのでまだいいとして、「分析せよ」ってビビっちゃいますよね。
生物多様性の保全・再生というテーマそのものには抵抗がなかったと思いますが、この「分析せよ」に怯んじゃったひともいるようです。言葉の圧力に惑わされずに落ち着いて対応できたらいいのですが。

もういっこの問題もテーマが異なるだけでそれ以外は全く同じ問い方でしたので、続けてⅢ-2も掲載しちゃいます。見比べてみてください。そして実はこれ、建設環境のなかのはなしだけじゃなくて、全部門全科目ともこんなだったみたいですよ。

 Ⅲ-2 人口減少,少子高齢化等を踏まえた計画的な土地利用コントロールによる緑地・農地と調和した都市環境・都市景観の形成や,平成28年5月に策定された「都市農業振興基本計画」等を踏まえ,都市農地の保全や都市農業の多様な機能の発揮に関する取組を地域ごとに行うことが求められている。このような状況を踏まえ,以下の問いに答えよ。

(1)ある地域で都市と緑・農が共生するまちづくりの検討を実施するに当たって,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

考えてみよう。都市農業の多面的機能。 ←6つの機能があるんですね
農地を都市に「あるべきもの」 へと転換 ~ 「都市農業振興基本計画」

これは都市計画系のひとじゃないと書けませんね。あるいは農業部門農村地域・資源計画(旧農村環境)の技術士のひとか。。。。繰り返しますがまさかこれが選択科目Ⅲで出題されるとは。。。。

2019年7月16日火曜日

建設環境 選択科目Ⅱ-2-2 便益計測手法

問題数も多いのでサクサク行きましょう。
つづいて2つ目のⅡ-2-2環境整備事業の便益計測手法です。

渋いとこ突いてきましたねぇ~。唸りました。作問者に拍手を送りたいです。
私自身はやったことないのですが、5年前くらいでしょうか、まさにこの環境改善事業の費用対効果をアンケートにより調査し、結果を分析し、評価した知り合いがいて、そのアンケート用紙の内容について事前に相談を受けたことがあります。

コレ、環境部門では過去に問われていたでしょうか。総監の社会環境管理でも齧るところですよね。でもここまで実際的な作業手順等はチェックしないでしょうから、ホントに実務で経験したひとしか書けないのではないでしょうか。
でも、だからと言って、環境アセス以外の手順モノとしては、なかなかいい問題だと思いました。
これからは環境保全措置に対する効果を「定量的」に評価することが社会からも求められていると思います。「順応的管理でPDCAを回す」なんて機械的に書いていますが、PDCAを回すためにも定量評価をしないことにはさらなるアクションは起こせませんよね、実際のところ。

この問題を選んだひとは少ないと思いますが、そこそこ書いていたら高い評価が得られるのではないでしょうか。

Ⅱ-2-2 ある環境を改善する事業において,事業効果の評価を行う必要が生じた。アンケートを活用した適切な手法によって,環境整備による効果を便益として計測する業務を担当責任者として進めるに当たり,下記の内容について記述せよ。

(1)具体的な便益計測手法を選定するに当たって,調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)選定した具体的な便益計測手法に基づいて業務を進める手順について,留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的,効果的に進めるためのアンケート回答者を含む関係者との調整方策について述べよ。


堀川水辺環境整備事業
【京都府京都市】


今回、これを選択しなかったひともこの機会に勉強してみてください。視野が広がりますよ。そして総監チャレンジのひともぜひ目を通してください。択一試験では頻出の項目です。

建設環境 選択科目Ⅱ-2-1 自主アセス

つづいて「選択科目」に関する応用能力について試される選択科目Ⅱ-2です。
これまでどおり2つのうち1つは環境アセスでしたね。ただし第1種どころか第2種にも該当しない自主アセスでした。
わたしの講座の受講生は「法アセスをやったことがない」かたが多かったのですが建設コンサル会社に勤務するかたは自主アセスの経験はあるのではないでしょうか。ちょっとした環境調査で、環境に影響を与えることが予想される環境項目を現地調査し、環境への影響を評価し、環境保全対策を検討し、住民説明会などを開催したような事業をご自分の経験を踏まえて書けたのではないでしょうか。経験がないかたでも、これまでの添削論文作成の過程で法アセスについては勉強されていたと思います。なんとか書けていればいいのですが。

Ⅱ-2 次の2設問(Ⅱ-2-1,Ⅱ-2-2)のうち1設問を選び解答せよ。(解答設問番号を明記し,答案用紙2枚以内にまとめよ。)

Ⅱ-2-1 ある集落の近くで,環境影響評価法や地方公共団体の環境影響評価に関する条例の対象にならない建造物を新設することになったが,地域住民の信頼や同意を得る必要があると考え,事業者として自主的に環境影響評価を行うことにした。環境影響評価の担当責任者として業務を行うに当たり,下記の内容について記述せよ。

(1)建造物を設置環境と合わせて想定し,環境影響に関して調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について,留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。


六本木ヒルズ
【東京都港区】


取り上げる建造物はなにも小規模火力発電所である必要はないのですが、リンクを貼った実務集は、「適切な環境配慮や住民理解等を促進する観点から、地域にとって望ましくかつ事業者が積極的に取り組める内容として、環境影響評価図書の公表・説明会の開催による住民等の意見聴取やメリハリをつけた調査・予測・評価等、自主的な環境アセスメントの在り方等」がまとめられていますのでとても参考になると思います。

それから、設問の「(2)業務を進める手順について,留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。」と「(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。」ですが、Ⅱ-2-1も2もどちらもまったく同じでしたね。
これは実は建設環境だけのはなしじゃなくて、環境部門や水産部門のⅡ-2でも一字一句同じ問いでした。おそらく全部門全科目ともほぼ共通だったのだと思います。
さらに必須科目の(2)、(3)、(4)の問いも多くの部門科目で共通でした。きっと作問委員の間で申し合わせたのでしょう。新しい採点基準・評価基準に照らし、問題文も統一されたのだと思います。
すると違うのはテーマと書き手の立場になりますね。来年度からどうなるのかが興味深いです。

2019年7月15日月曜日

建設環境 選択科目Ⅱ-1

筆記試験、たいへんお疲れさまでした(^^)/
択一がなくなり、技術士コンピテンシーという新しい評価基準のもとでの初めての試験でした。お昼休憩を挟んでの午後の3時間半は、ふだん手書きしていないぶん、腕や手首、肩がガタガタになったのではないでしょうか。
皆さん、どうでしたか。

わたしは今年は受験はせず、試験監督として14日の総監に続いて本日の試験を担当しました。担当した会場がわりと大きめの教室だったのでいちばん奥の受験生にもちゃんと届くように慣れない大声で注意事項等を読み上げるなど、2日連続の監督というのは初めてのこともあり緊張が続いたせいかとても疲れました。

【大阪市西成区太子】

それでは試験問題を振り返ってみましょう。
順番としては、建設部門共通の必須科目から取り上げようかとも思いましたが、ルーティーン的にⅡ-1から投稿することにしました。
4つの設問のうち今年からは1問を選ぶスタイルの、「選択科目」に関する専門知識について試される選択科目Ⅱ-1です。
  • 建設リサイクルと建設発生土(有効利用と適正処理の方策)
  • 騒音発生源対策(の技術的留意点)
  • 多自然川づくり(の技術的課題)
  • 環境影響評価法(における計画立案段階から準備書まで)の手続き
どうですか?王道ジャンルからの出題ですよね。
しかしてっきり王道中の王道である(閉鎖性水域の)水質保全モノがくると思っていたのですがハズレてしまいました。スミマセン。
建設リサイクル&建設発生土と騒音対策については過去にも出題されていますよね。建設リサイクルは前回の試験方法が変更になった初年度のH25年度、建設発生土と騒音対策はH28年度に出ています。過去問に取り組んでいた方ならどっちにしようか迷ったんじゃないでしょうか。
多自然川づくりは昨年度に散々騒いでいて出題されなかったのが今年になって出題されました。しかも「多自然川づくり基本指針から約10年を経た」って、わたしは「河川法改正から20年を経た」昨年に出題されるとばっかり思っていたのに。。。今後の予想に活かします。しかし、ただ多自然川づくりについて説明させるのではなく「約10年を経た現状における技術的な課題」を挙げさせる問いには唸りました。
環境アセスの手続きについては、こういう出し方があるのかと感心しました。手続きの流れについてはⅡ-2対策で口酸っぱく取り上げていたので応用(というほどでもないですね、転用)できたのではないでしょうか。

9-11 建設環境【選択科目Ⅱ】
Ⅱ 次の2問題(Ⅱ-1,Ⅱ-2)について解答せよ。(問題ごとに答案用紙を替えること。)

Ⅱ-1 次の4設問(Ⅱ-1-1~Ⅱ-1-4)のうち1設問を選び解答せよ。(解答設問番号を明記し,答案用紙1枚以内にまとめよ。)

Ⅱ-1-1 我が国の建設リサイクルの取組状況について説明し,さらに建設発生土について有効利用及び適正処理の促進の方策について述べよ。

Ⅱ-1-2 道路・鉄道その他の建設事業の施工時又は供用時における騒音発生源とその対策を2つ挙げ,概説せよ。また,それぞれの対策の実施における技術的留意点について述べよ。

Ⅱ-1-3 平成18年に国土交通省によって定められた「多自然川づくり基本方針」における「多自然川づくり」の定義を説明せよ。また,「多自然川づくり基本方針」から約10年を経た現状における多自然川づくりの技術的な課題を2つ挙げ,それぞれ概要を説明せよ。

Ⅱ-1-4 環境影響評価法に基づく第一種事業の環境アセスメント手続きにおいて,計画立案段階から環境影響評価準備書の作成までの間に事業者が行うべき環境影響評価法上の主要な手続きについて,時系列順に説明せよ。

建設発生土の官民有効利用マッチングシステムホームページ
騒音対策について
「多自然川づくり基本指針」の策定について
環境アセスメントの手続き

先日、予想した「追記 平成31年度技術士第2次試験 要チェック分野まとめ(Ⅱ-1)」では、
①気候変動適応計画、改正国交省気候変動適応計画
②土壌汚染対策法ガイドライン
③ブルーカーボン、沿岸透明度の目標設定ガイドライン
④「美しい山河を守る災害復旧基本方針」ガイドライン
⑤SDGs(17のゴール)、第5次環境基本計画
⑥海洋再生可能エネルギー発電、洋上風力発電アセス
⑦環境アセス実施上の課題
⑧第四次循環型社会形成推進基本計画
⑨プラスチック問題(6/13追加)

としましたが、どれも外れちゃいましたね。。。。
ブルーカーボンは水産部門の水産資源及び水域環境の選択科目Ⅱ‐1で、SDGsは環境部門と水産部門の両方で必須科目で出題されました。
また、プラスチックは環境部門環境保全計画と環境測定の選択科目Ⅲで出題されてました。

ハズレたとはいえ、4つの出題ジャンル(どころか必須科目や選択科目)はすべて王道分野からでしたので、試験方法変更1年目であることに加え、令和元年度ということで、素直な出題、直球ど真ん中の真っ向勝負だったのではないかと思います。

Ⅱ-2は次回とします。

2019年7月14日日曜日

総監 必須科目Ⅰ-2 記述式問題文

筆記試験、たいへんお疲れさまでした(^^)/
皆さん、どうでしたか?

記述問題はヒューマンエラーでしたね!
長文のわけのわからないものではなく、素直な問題文でしたね。
前半にわざと(?)JIS Z8115:2019のディペンダビリティを持ち出してましたが(笑)
わたしの講座の受講生からも手ごたえがあったとのメールが続々と入ってきています!

【北海道札幌市狸小路】

必須科目
Ⅰ-2 次の問題について解答せよ。(指示された答案用紙の枚数に収めること。)

 ヒューマンエラーとは人為的過誤や失敗など,目標から逸脱した人の判断や行動を意味し,「ディペンダビリティ(総合信頼性)用語」を規定したJIS Z8115:2019では,「人間が実施する又は省略する行為と,意図される又は要求される行為との相違」と定義している。思い込み,勘違い,不注意,慣れ,などに起因して,ヒューマンエラーが発生する可能性は業種や職種を問わず存在する。日々の業務を実施する上で,ヒューマンエラーを完全に排除することは困難であるが,ヒューマンエラーへの対応を誤ると重大な問題,被害が発生する危険性がある。
 そのため,総合技術監理の技術者としても,様々な事業・プロジェクトの推進や組織運営を担う上で,ヒューマンエラーを極力防止する方策の検討は重要な観点である。そこで,ヒューマンエラー発生の原因と対策について考えていくことにする。
 ここでは,あなたがこれまでに経験した,あるいはよく知っている事業又はプロジェクト(以下「事業・プロジェクト等」という。)を1つ取り上げ,その目的や創出している成果物等を踏まえ,ヒューマンエラーに関して総合技術監理の視点から以下の(1)~(2)の問いに応えよ。ここでいう総合技術監理の視点とは,「業務全体を俯瞰し,経済性管理,安全管理,人的資源管理,情報管理,社会環境管理に関する総合的な分析,評価に基づいて,最適な企画,計画,実施,対応等を行う。」立場からの視点をいう。
 なお,書かれた論文を評価する際,考察における視点の広さ,記述の明確さと論理的なつながり,そして論文全体のまとまりを特に重視する。

(1)本論文においてあなたが取り上げる事業・プロジェクト等の内容と,それに関する過去に発生したヒューマンエラーの事例について,次の①~④に沿って示せ。
(問い(1)については,答案用紙3枚以内にまとめよ。)
① 事業・プロジェクト等の名称及び概要を記せ。
② この事業・プロジェクト等の目的を記せ。
③ この事業・プロジェクト等が創出している成果物(製品,構造物,サービス,技術,政策等)を記せ。
④ この事業・プロジェクト等を計画段階と実施段階の2つに分け,それぞれについて実際に発生したヒューマンエラーの事例を1つずつ挙げ,それぞれ以下の4つの項目を含む形で記せ。
・ヒューマンエラーの内容とそれによってもたらされた影響
・それが発生した原因
・そのとき取られた対応
・その後の再発防止対策(その後における同種のヒューマンエラーの防止のため,若しくはその発生による事業・プロジェクト等への影響を軽減されるために実施された方策。)
 なお,計画段階と実施段階の考え方については,例えばシステムの設計と実装のようにそれぞれ異なる工程を取り上げても良いし,あるいは例えば設計工程における現地調査と設計作業のように,単一の工程内における計画段階と実施段階を取り上げても構わない。

(2)この事業・プロジェクト等において,さらに今後発生する可能性があると思われるヒューマンエラーについて以下の問いに答えよ。
(問(2)については,答案用紙を替えた上で,答案用紙2枚以内にまとめよ。)

(a)この事業・プロジェクト等(又は今後実施される同種の事業・プロジェクト等でも構わない。)において,さらに今後発生する可能性があり,かつ重大な影響をもたらすと思われるヒューマンエラーを1つ取り上げ,次の①~②に沿って示せ。
① 取り上げたヒューマンエラーの概略と事業・プロジェクト等への影響について記せ。
② ヒューマンエラーの発生する原因として考えられることを記せ。

(b)(a)で記したヒューマンエラーに対して,今後新たな技術や方策の導入により,その防止や影響の軽減が期待できる状況について,次の①~②に沿って記せ。導入が期待される技術や方策は複数であっても構わない。
① ヒューマンエラーの防止,若しくはその発生による事業・プロジェクト等への影響を軽減させることが期待できる新たな技術や方策を記せ。取り上げる技術や方策はより具体的なものであることが望ましい。
② ①で記述した技術や方策について,例えば技術的,組織的,経済的等の観点から,実現するために乗り越えなければならない課題や障害,若しくは実現させることのデメリットを具体的に記せ。

(1)は①~③までで1枚、④の計画段階と実施段階でそれぞれ1枚、(2)は(a)で1枚、(b)で1枚で埋めることを目安にすればいいと思います。
総監の問題は書くことが細かく指定されているので、それに素直に応えるように記述すればあっという間に答案用紙が埋まってしまいます。
もちろん総合技術監理の視点で書かないとダメです。
問題文にもあるとおり、総監の視点とは、「業務全体を俯瞰し,経済性管理,安全管理,人的資源管理,情報管理,社会環境管理に関する総合的な分析,評価に基づいて,最適な企画,計画,実施,対応等を行う。」立場からの視点のことです。異なる管理分野の関係性だとかトレードオフだとかを盛り込んでください。

択一も青本から離れたとはいえ、総監キーワード集からの出題が多く、しかも誤りの個数を選ばせるものがありませんでした。これは合格率が上がりそうですね!

2019年7月12日金曜日

試験がんばってください!

いよいよ試験ですね。
総監はあさって、そのほかの部門はしあさってです。

例年と大きく異なることは、総監だけじゃなくてそのほか部門も午後から3時間半もぶっ続けなんですよね。選択科目ⅡとⅢの問題と答案用紙が一緒くたに配布されます。つまり試験が終わったら答案用紙を一緒くたに投函しなければいけません。きっと答案用紙が分厚くなっていると思いますので、選択した問題の番号の記入漏れは今まで以上に注意してください!
そして当然、それぞれの問題に対する時間配分についてはうまく調整しながら時間管理してください。きっとある程度のところで見切る判断もこれまで以上に求められることでしょう。満点取る必要はありません。6割で合格です。見切るときは思い切って見切りましょう。そして最後に時間が余ったら可能な範囲で手を入れることにしましょう。

今回はわたしは受験を見送り、皆さんのサポートに徹します。
下記は昨年に受験するにあたって書き出した持ち物リストです。試験会場で実力をしっかり発揮するためのおすすめリストですので、よかったら参考にしてください。

●受験票
●運転免許証等の写真付き身分証明書(受験票を紛失した場合への備え。本人確認を求められることもあるそうです)
●財布(現金やクレジットカード、SuicaやPasmoなど交通系ICカード)
●使いやすいシャープペンシル(わたしはDr.グリップです)
●替え芯(わたしはBです)
●消しゴム2種類(四角い良く消えるやつとノック式の1文字づつ消せるやつ、電動は不可)
●鉛筆削り(電動は不可)
●筆記用具ケース
●腕時計(Apple Watchなどのスマートウォッチはダメですよ!)
●飲み物(ペットボトルの麦茶とかほうじ茶など。蓋つきボトルはOK、缶は不可)
●おにぎり2個(食べ過ぎると脳に血液が回らなくなるため少なめを推奨します)
●択一問題資料(総監のみ)
●記述論文資料
●上着(長袖シャツ)
●眼鏡や老眼鏡(必要なひとは)
●スマートフォン(試験中はオフです。機内モードにすれば着信しないからと安心してはいけません。タイマーやアラームで音が鳴ることがあります。電源は必ずオフにしてください!)
●タオル
●ポケットティッシュ
●「透明の」定規(1回も使ったことはありませんが)
●カード式の計算機(総監のときに1回使ったことがあります。電子音が出ないように!関数電卓は不可)
●栄養ドリンク2本(朝と昼)
●足に負担のない運動靴(サンダルのひとも多いですよね)
●これらを収納するかばん、というか手提げ袋

こんなところでしょうか。
前泊の方はこれに宿泊用道具とか着替えなどもありますね。忘れ物のないようにしっかり準備してから出発してください。

これまで試験監督をやっていて実感するのは、座席によって寒かったり暑かったりいろいろです。そして試験中に設定温度をいじったりもしますので途中で暑くなったり寒くなったりと体感気温が変化することもよくあります。
試験会場が暑くても寒くても、さらには試験の最中に温度が変化したとしても対応できる服装にしてくださいね。つまり脱ぎ着できる格好です。

あとは会場には早めに着くようにしましょう。
これも試験監督をやっていた経験からですが、ギリギリ、あるいはそれこそ遅刻なんかするとたとえ受験できたとしてもよくないことがその後に起こりがちです。ろくなことないです。いいことないです(とは言っても実際に遅刻しちゃったとしてもあきらめちゃダメですよ)。
泊りがけで遠方から受験するひとは特に初めての会場の場合は事前に下見することをオススメします。

加えて、毎年これも口酸っぱく言っていることですが、試験監督をしていてなにがツライかというと、受験番号や選択問題番号の書き忘れ、が頻発していることです。
ひとつの試験会場(部屋単位)で数件発生しているんじゃないでしょうか。
こういったことは沖縄だけなのかもしれませんが、毎回必ずいるんです、これをやっちゃうひとが。本当に気を付けて下さい。

もうここまできたら勉強に根詰めるのではなく、睡眠をとって試験本番時にフル回転できるように前日は脳をしっかり休めておきましょう。寝不足厳禁です。

それでは皆さん、頑張ってきてください。
予想外の出題でもたじろがず最後まで喰らいついていきましょう!
6割さえ取れれば、ぜったい合格するんですから!

わらべ歌「通りゃんせ」でおなじみの三芳野神社
【埼玉県川越市】

2019年7月5日金曜日

ついに太陽光発電が対象事業に ~施行令の一部改正が閣議決定~

参議院選挙の公示があり、街はとても賑やか、といいますかとても騒がしいですね。沖縄は与野党真っ二つ、保革真っ二つですから、それは激しいものがあります。

その選挙前にバタバタとたくさんの決定がなされたようで、本日取り上げた環境影響評価法施行令の一部改正する政令も無事に閣議決定され、本日(7月5日)の公布、そして次年度4月1日からの施行となりました。
かくなる上は、今年度試験か今年度出題されなければ来年度試験には確実に出題されると思います。細かい内容はともかく、報道ニュースレベルでは把握しておいてください。
もちろん今年度試験に出題されなくとも回答論文で触れてもいいような機会があればどんどん積極的に書いちゃってもイイと思います。

太陽光発電については以前にもちょこっと取り上げていますのでこちらもチェックしてみてください。
太陽光発電施設等に係る環境影響評価の基本的考え方

いまはどこもかしこも太陽光パネルが設置されていますよね。
5月に訪ねた福島も、もともと水田だったところはいまでは太陽光発電パネルだらけでした。。。
急激な変化は軋轢を生む最大の要因のような気がいたします。
ひとりひとりが社会に感心を持つことがなにより重要で、それが社会をよりよくする地道な一歩になるのだと思います。

【福島県相馬市】

報道発表資料
令和元年7月2日
総合政策
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「環境影響評価法施行令の一部を改正する政令」の閣議決定及び意見募集の結果について

「環境影響評価法施行令の一部を改正する政令」が本日7月2日に閣議決定されましたので、お知らせいたします。
本政令は、太陽電池発電所の設置の工事の事業等を環境影響評価の対象事業とするため、必要な要件等を定めるものです。
あわせて、令和元年5月10日(金)~6月10日(月)の間に実施した本政令案に関する意見募集(パブリックコメント)について、その結果を取りまとめましたので、お知らせいたします。
1.「環境影響評価法施行令の一部を改正する政令」の概要
○ 対象事業の規模要件(別表第1関係)
出力が4万kW 以上である太陽電池発電所の設置の工事の事業を第一種事業とし、出力が3万kW 以上4万kW 未満である太陽電池発電所の設置の工事の事業を第二種事業とする。変更の工事においても同様とする。
○ 軽微な修正の要件(別表第2関係)
発電所の出力が10%以上増加しないこと、対象事業実施区域の位置が修正前の対象事業実施区域から300 メートル以上離れた区域が新たに対象事業実施区域とならないことを要件とする。
○ 軽微な変更の要件(別表第3関係)
発電所の出力が10%以上増加しないこと、対象事業実施区域の位置が修正前の対象事業実施区域から300 メートル以上離れた区域が新たに対象事業実施区域とならないことを要件とする。
※ 今後の予定
公布:令和元年7月5日
施行:令和2年4月1日
2.意見募集の内容
(1)意見募集の概要
 ①意見募集の周知方法
  電子政府の窓口(e-GOV)、環境省ホームページ及び記者発表
 ②意見提出期間
  令和元年5月10日(金)~6月10日(月)
 ③意見提出方法
  電子メール、郵送又はFAX
(2)意見募集の結果及びそれに対する考え方
 ①意見提出者数:15通
 ②延べ意見数:18件
 ③頂いた御意見の概要及びこれに対する考え方は別添のとおりです。

添付資料

2019年7月4日木曜日

グリーンインフラ推進戦略

鹿児島県や宮崎県など、豪雨でたいへんでしたね。わたしはちょうど北海道に出張しておりニュースをほとんどチェックしていなかったのですが、ホテルでの朝食のときに流れていたTVを見てビックリしました。
鹿児島市在住の知り合いによると今日はうってかわっての晴天だったようでとりあえず安堵しましたが全国各地の皆さんも大丈夫でしたでしょうか。
近頃、筆記試験の直前に災害が発生することが多くなってきたように思います。特にこの時期は豪雨災害ですよね。その対応に追われて受験をあきらめるひとがいるし、そもそも試験どころではないですし、でもこの1年頑張っていたのを応援していたし、ととても複雑な思いをすることが本当に多くなってきました。試験本番まで今後も心配が続きます。

その試験まで残りあと10日あまりとなり―現在も添削ラッシュが続いているのですが―わたしが指導している受験生の皆さんはご自分で完成させた模範解答の写経のほうに重心を移し始めているようです。
そんな便りが増えてきた折、トンデモナイ資料が公表されました!
自然環境系のかたはぜひとも概要だけでもチェックしておいてください。直接グリーンインフラが問われたときはもちろん、直接に問われていない場合でも使えるネタ、使うべきネタが豊富です。これまで作成した模範解答が完成していたとしても、この資料のネタと差し替えられる箇所やセンテンス等は躊躇せず差し替えてください。
事例もあります。試験官との共通イメージを構築できると思いますのでこちらもぜひチェックしておいてくださいね。

百舌鳥古市古墳群のひとつ、樋の谷古墳(仁徳天皇陵陪塚丙号)近く
【大阪府堺区堺市】

グリーンインフラで持続可能な魅力ある国土・都市・地域づくりを!
~ グリーンインフラ懇談会「グリーンインフラ推進戦略」の公表 ~

令和元年7月4日
 国土交通省では、昨年12月より「グリーンインフラ懇談会」において、グリーンインフラの取組を推進する方策等の検討を進め、今般、「グリーンインフラ推進戦略」のとりまとめを行いました。今後、同戦略に基づき必要な方策を進めるなど、グリーンインフラの取組を加速してまいります。

○国土交通省においては、国土形成計画(平成27年8月閣議決定)等を踏まえ、社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりを進めるグリーンインフラに関する取組を進めてまいりました。

○昨今の自然災害の頻発化・激甚化、人口減少や少子高齢化等の社会経済情勢の変化を踏まえ、次世代を見据えた社会資本整備や土地利用を推進する観点から、一部の先進事例にとどまっていたグリーンインフラの取組を社会資本整備や土地利用等を進める上での全般的な取組として普及・促進するため、昨年12月に有識者からなる「グリーンインフラ懇談会(注:裏面参照)」を開催し、欧米の事例も参考にして議論を進めてまいりました。

○今般、懇談会での議論を踏まえ、本年4月に公表を行った「中間整理」に示された方向性を具体した「グリーンインフラ推進戦略」のとりまとめを行いましたので公表いたします

○今後、この推進戦略を踏まえ、プラットフォームの創設等グリーンインフラ主流化のための環境整備、グリーンインフラ推進のための支援の充実等、グリーンインフラの取組を加速してまいります。


◆公表資料
 ・グリーンインフラ推進戦略   (別添1)
 ・グリーンインフラ推進戦略の概要(別添2)
 ・グリーンインフラの事例    (参考資料)

※ 過去のグリーンインフラ懇談会の会議資料等は、下記国土交通省ホームページを参照ください。
    http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_tk_000017.html
※ 参考:グリーンインフラポータルサイト
    http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_tk_000015.html



グリーンインフラ懇談会の設立趣旨と検討経緯

1.グリーンインフラ懇談会の設立趣旨
○ 国土交通省では、国土形成計画(平成27年8月閣議決定)等を踏まえ、社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において、自然環境が有する多様な機能を活用し、持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりを進めるグリーンインフラに関する取組を推進してきた。

○ 人口減少や社会資本の老朽化が進行し、気候変動の影響等により自然災害が激甚化する中、次世代を見据えた効果的・効率的な社会資本整備と土地利用を推進する必要がある。また、平成27年国連総会で決議された持続可能な開発目標(SDGs)推進の機運も高まっている。そのような中、SDGsと親和性が高く、多くの社会的課題の解決策となる可能性を有するグリーンインフラを、多様な主体の連携のもと推進していくことが求められている。

○ そのため、今後の社会資本整備や土地利用等に際して、グリーンインフラの取組を推進する方策について、幅広く議論し、検討することを目的として設立するものである。

<懇談会の委員(敬称略・五十音順)>
朝日 ちさと  首都大学東京都市環境学部教授
○ 石田 東生    筑波大学名誉教授 (座長)
木下 剛      千葉大学大学院園芸学研究科准教授
田口 政一    横浜市環境創造局政策調整部長
中村 太士    北海道大学大学院農学研究院教授
涌井 史郎    東京都市大学環境学部特別教授


2.グリーンインフラ懇談会の検討経緯
 第1回(平成30年12月26日)
  (1)グリーンインフラに関する近年の取組について
  (2)その他

 第2回(平成31年2月8日)
  (1)グリーンインフラの取組の現状等について
     日本政策投資銀行等からの情報提供
  (2)第1回懇談会を踏まえた整理について
  (3)グリーンインフラ施策の進め方について

 第3回(平成31年3月28日)
  (1)中間整理(案)について(審議)

 平成31年4月17日
  中間整理とりまとめを公表

 第4回(令和元年6月24日)
  (1)グリーンインフラの推進戦略(案)について(審議)

2019年7月3日水曜日

令和元年版 国土交通白書

国土交通白書がリリースされました。
昨年の「大きく変化する暮らしに寄り添う国土交通行政」といった生活密着路線(?)に引き続き、今年は「令和時代の「豊かな生活空間」とは」です。
「新しい時代に応える国土交通政策」をテーマに、平成時代の技術の進歩や日本人の感性(美意識)の変化などを振り返り、新しい令和時代の「豊かな生活空間」に向けた国土交通政策について展望しているんだそうです。
「サイエンスとアートの融合」だとか、「日本人の感性(美意識)」だとか、やや抽象的な表現なので実際に手に取って読んでみないとわかりませんね。
パッと見、「インフラは外国人観光客にウケるデザインにしましょう!」とも読めなくもないですが。

ひねくれずに建設環境の立場から見てみると、「日本人の美意識」を育んできたのは間違いなく日本の自然環境ですから、この自然環境との両立を意識することなく「豊かな生活空間」づくりは成り立たないと思ます。
という熱い情熱を感じさせるような表現を論文に盛り込むと、同じような内容の回答論文群のなかでキラッと光って好印象かもしれません(もちろん無理に書く必要はありません)。

無電柱化(電線地中化)した蔵造りの町並み
【埼玉県川越市】

報道・広報

令和元年版国土交通白書 令和時代の「豊かな生活空間」とは
~技術の進歩と日本人の感性(美意識)を活かして~

令和元年7月2日
今回の国土交通白書では、「新しい時代に応える国土交通政策」をテーマに、平成時代の技術の進歩や日本人の感性(美意識)の変化などを振り返り、新しい令和時代の「豊かな生活空間」に向けた国土交通政策について展望しています。

概要

〇 国土交通白書は、国土交通省の施策全般に関する年次報告として、公表しているものです。本年は、令和への移行に当たり、平成を「技術の進歩」と自然・伝統など「日本人の感性(美意識)」から振り返りつつ、新しい時代に求められる「豊かな生活空間」について検討しました。

〇 独自の国民意識調査や既往の調査を整理・分析した結果を踏まえ、
 ・平成は、ICTなど技術の進歩に加え、「物」ではなく「心」の豊かさを重視する人が約6割までになったこと、
 ・新しい時代には、自動運転やVRなどの技術の進歩により時間的・場所的な制約から更に解放され、それが充実したヒューマンライフの実現につながること、
 ・これからの生活空間の在り方として、日本人の感性(美意識)を今以上に取り込むべきと考える人の割合がすべての年代で約8割であること、   
 ・将来住んでみたい街の特徴として、「きめ細やかな配慮がある」「自然・歴史・伝統を感じる」ことを希望する人が約8割に達すること、
 等について言及しています。

〇 その上で、国土交通省は、これまでの取組みの深化に加え、新技術と一体となった新たな取組み(サイエンスとアートの融合)を進めていくこととしています。これにより、生活空間(住空間、公共空間、移動空間)における利便性や快適さを高めるとともに、「真の豊かさ」につながる、日本人の感性(美意識)を取り入れた新しい生活空間づくりを目指します。