2018年6月30日土曜日

A評価論文を書くために~考えや意見を記述する場合は必ず根拠を伴うこと

いよいよ本シリーズの最終回、問題Ⅲです。
日本技術士会が公表している試験内容の解説「平成25年度技術士第二次試験の内容について」によると、論理的かつ合理的に解決策を策定できる能力」とあります。
その試験内容は、
・「選択科目」に係わる社会的な変化・技術に関係する最新の状況や「選択科目」に共通する普遍的な問題を対象とし,これに対する課題等の抽出を行わせ,多様な視点からの分析によって実現可能な解決策の提示が行えるか等を問う内容とする。
ということです。
論理的、ということですから、これは技術士の資質である論理的考察ができるかどうか、そしてそれを試験官に伝えることができるか、がキモです。
平成30年度技術士試験 要チェック分野まとめ(Ⅲ)前編
で書いたことのほかに、添削していてよく目につくのが、今回の本題『考えや意見を記述する場合は必ず根拠を伴うこと』です。


球陽橋
【琉球大学構内】

技術的課題を抽出する際も、●●だからナニナニ●●なのでホニャララ
解決策(技術的提案)を提案する際も、●●だからナニナニ●●なのでホニャララ
リスクや留意点を記載する際も、●●だからナニナニ●●なのでホニャララ
です。
●●が根拠に該当するわけですが、なかなか合格できないひとにわりと共通する特徴としてこの根拠を書かないというものがあります。
いきなりナニナニやホニャララを(根拠を提示することなく)書いてしまうわけです。これではナニナニやホニャララがいくら相応しい課題、正しい策、もっともなリスクや留意点だとしても根拠が伴わないと妥当性が判断できません。

どうしてその策としたのか、なんでその案を提案するのか、常に自問自答してみてください。
慣れてくると逆に書いていないとなんだか気持ちが落ち着かなくなります。

添削指導を受けているひとは他者から気づきを与えてもらえるのでそれほど心配はしていませんが、独学でがんばっているひとはこの点を意識してご自分の解答論文を再度見直してみてください。

2018年6月29日金曜日

A評価論文を書くために~Ⅱ-1は2部構成

前回はⅡ-2を先に取り上げましたが、今回は問題Ⅱ-1です。
日本技術士会が公表している試験内容の解説「平成25年度技術士第二次試験の内容について」を見ると、Ⅱ‐1で問われている『専門知識』の意味する内容は、
・「選択科目」における重要キーワードや新技術等に対する専門的知識を問う。 
とあります。重要キーワード新技術というのがミソですね。
解答内容は関連する施策に沿ったものが評価が高いです。

「あなたは現在の日本社会に存在するこれらの課題について知っていますか?」という試験官からの質問です。知っていることを整然と答えることが求められています。

H29年度の問題を見ると、どの問題も大きく2つの問いになっています(★印はわたしが付けました)。
Ⅱ-1-1 我が国では,生物多様性条約第10回締約国会議で採択された愛知目標の達成に向けて行動計画を策定し,各主体がさまざまな施策や事業,行動等に外来種対策の観点を盛り込み,計画的に実施しているところである。
この行動計画において,外来種対策を進めるに当たっての基本的な対策の考え方を2つ述べよ。
また,1つの主体を挙げ,求められる役割を述べよ。

Ⅱ-1-2 平成27年の「瀬戸内海環境保全特別措置法」の改正に当たっては,瀬戸内海を「豊かな海」とするための取組を推進することが定められた

★このように閉鎖性水域における環境保全に係る施策を「豊かな海」を目指して推進する際の目標として考えられることを,幅広い観点から3つ示し概説せよ。
★また,それぞれの目標ごとに,目標達成のための具体的な施策を1つずつ挙げよ。

Ⅱ-1-3 気候変動を考慮したインフラ整備の将来計画を立案するに当たり,

★「比較的発生頻度が高い*外力に対する防災対策」及び「施設の能力を大幅に上回る外力に対する減災対策」について対策立案の基本的考え方をそれぞれ説明した上で,
★それらに応じた具体的取組について示せ。
 *外力:災害の原因となる豪雨,高潮等の自然現象

Ⅱ-1-4 
★土壌汚染対策法が想定している土壌汚染による特定有害汚染物質の摂取経路を2つ挙げ,土壌汚染対策法により指定される有害汚染物質に係る基準について摂取経路を関連づけて経路ごとに説明せよ。
★また,土壌汚染状況調査の結果,汚染状態が基準に適合しない場合における区域指定について,汚染除去等の措置の必要性と関連づけて説明せよ。

【赤福&伊勢うどん】

前々回のA評価論文を書くために~書く前に、骨子やタイトル構成で整理するのところでも書いたように、問題文で書くことが求められていることをそのままタイトルとしたらいいです。

Ⅱ-1-1 外来種防止行動計画
1.基本的な対策の考え方
(1)対策の考え方その1
(2)対策の考え方その2
2.●●(主体)に求められる役割

Ⅱ-1-2 閉鎖性海域の環境保全目標
1.「豊かな海」を目指して推進する際の目標
(1)その1
(2)その2
(3)その3
2.具体的な施策
(1)その1
(2)その2
(3)その3

あるいは3部構成になりますが、
1.目標と具体的な施策
2.目標と具体的な施策
3.目標と具体的な施策

Ⅱ-1-3 気候変動を考慮した防災対策、減災対策
1.比較的発生頻度が高い外力に対する防災対策
(1)基本的考え方
(2)具体的取組
2.施設の能力を大幅に上回る外力に対する減災対策
(1)基本的考え方
(2)具体的取組

あるいは、
1.対策立案の基本的考え方
(1)比較的発生頻度が高い外力に対する防災対策
(2)施設の能力を大幅に上回る外力に対する減災対策
2.具体的取組
(1)比較的発生頻度が高い外力に対する防災対策
(2)施設の能力を大幅に上回る外力に対する減災対策

Ⅱ-1-4 土壌汚染による有害汚染物質の摂取経路
1.特定有害汚染物質の摂取経路
(1)その1
(2)その2
2.基準に適合しない場合における区域指定について

ほぼ2部構成になっていますよね。
解答の際の文章量としては半々くらいがいいです。

問題Ⅱ-1の4問から2問の選択とそれぞれの推敲には、2問で5~7分、1問あたり2~3分くらい、1問あたり25分で計50分、見直しに1分といったところでしょうか。長くても合計で1時間以内に収めてください(実際はⅡ-2を書き終わった後の残り時間をフルに使うというイメージで)。

添削指導を受けているひとは他者から気づきを与えてもらえるのでそれほど心配はしていませんが、独学でがんばっているひとはこの点を意識してご自分の解答論文を再度見直してみてください。

2018年6月28日木曜日

A評価論文を書くために~Ⅱ-2は手順について詳細に

これからは選択科目それぞれの書き方、試験年度や試験部門・科目で共通する解答パターンを探っていきましょう。

今回は問題Ⅱ-2です。わざとⅡ-1は後回しにしています。
日本技術士会が公表している試験内容の解説「平成25年度技術士第二次試験の内容について」によると、Ⅱ-2は応用能力に関する問題となっています。そして応用能力とは、
これまでに習得した専門的知識や経験等に基づいて、与えられた条件に合わせて正しく問題点を認識し、必要な分析を行ない、適切な業務プロセスや留意すべき内容を説明できる能力
とあります。
具体的にはどんなことが問われるのかを見てみると、
・選択科目に関係する業務に関し、与えられた条件に合わせて、専門的知識や実務経験に基づいて業務遂行手順が説明でき業務上で留意すべき点や工夫を要する点等についての認識があるかを問う内容とする。
ということです。
業務遂行手順留意点工夫を要する点、というのがキモのようです。

H29年度の問題を見ると、まさに「専門的知識や実務経験に基づいて業務遂行手順が説明でき、業務上で留意すべき点や工夫を要する点等についての認識があるかを問う」ものになっています。

Ⅱ-2-1 環境影響評価法に定める第一種事業に当たる建設事業が計画されており,あなたは担当者として,この事業に関する方法書以降の手続に係る環境影響評価を行うこととなったが,以下の問いに答えよ。なお,環境保全措置については複数案の比較を通じて検討した結果,回避,低減,代償の措置が取られることとなった。

(1)あなたが想定した建設事業の概要と,その事業が実施される地域の状況を具体的に述べよ。


(2)(1)で述べた地域の状況との関連性を踏まえ,この事業による環境影響を想定して,影響要因及び影響を受ける環境要素の項目(以下「環境項目」という。)を3つ挙げよ。また,それらを選定した理由を併せて述べよ。


(3)(2)で選定した環境項目から2つ選び,実施することが適切であると考えられる環境保全措置の内容を説明せよ。ただし,1つ目の環境項目は回避・低減措置の内容を,2つ目は代償措置の内容を説明せよ。このうち,代償措置については,当該措置をとるに当たって行った複数案の比較検討の内容を説明せよ。


【福岡市中央区西中洲】

前々回のA評価論文を書くために~書く前に、骨子やタイトル構成で整理するのところでも書いたように、問題文で書くことが求められていることをそのままタイトルとしたらいいです。

Ⅱ-2-1 第1種事業の環境アセス(環境保全措置~回避低減、代償措置)
(1)まず第1に、第1種事業である事業を設定してください。つまり第1種事業であることがわかる事業規模を示してください(一般国道であれば4車線以上で10km以上、ダムやそのほか土地区画整理事業や宅地の造成事業であれば、面積100ha以上など)。
そのあと、(2)や(3)で取り上げる環境項目が課題となるであろう状況を設定してください。河川があるとか、宅地があるとか、猛禽類が営巣する森林があるだとか等々。
ボリュームとしては、だいたい解答用紙の2/3~3/4くらいでしょうか。

(2)影響要因は、たとえば
①工事中だと施工による(一時的な)影響の要因のことで、建設機械の稼働や資機材の運搬車両(ダンプ)の走行などがあります。
②工事後の供用時だと施設の存在や供用による影響の要因のことで、土地の形状の変更、施設の存在、利用車両の走行などがあります。

そしてこれらの影響要因に連なって影響を受ける環境要素の項目を以下の4分野からなるべく幅広く3つ、影響要因と環境要素をセットで3パターンを書いて下さい。
①環境の自然的構成要素の良好な状態の保持(騒音、振動、悪臭、水質、底質、土壌、地形など)
②生物多様性及び自然環境の体系的保全(植物、動物、生態系)
③人と自然との触れ合い(景観、人と自然との触れ合い活動の場、歴史的文化的環境)
④環境への負荷(廃棄物、温室効果ガスなど)

(3)環境保全措置は、取り上げた3つの環境項目の中から2つを選んで、2通りの環境保全措置を書いて下さい。
①1つ目は回避低減措置
②2つ目は代償措置と(その措置を取るにあたって行った)複数案の比較検討について
複数案は少なくとも2案(A案、B案)以上は示して下さい。そして、●●なのでA案が採用された、というような採用する際の根拠についても忘れずに。

以上、問題Ⅱ-2は手続きの流れ、調査や検討する手順などをしっかり再確認しておいてください。フロー図などが頭の中に浮かぶとバッチリです。
●環境調査を発展させた環境アセスの手続きの流れをしっかり頭に入れる(こっちが王道です)
●都市計画ものは何が出るか不明ですが、都市計画ものならではの調査及び検討手順を余力があれば確認しておく
●多自然川づくりなど自然再生事業の実施手順についても再確認しておいてください(←なんだか匂います)

建設環境が取り組む業務(調査)はほぼ同じような手順で進められると思います。問題文で提示された業務分野にあわせてアレンジする程度で対応できると思います。事業アセスをやったことがないひともたくさんおられますが、基本的な流れは抑えておいてください。建設環境の技術士は事業アセスを担当できる技術者であることが暗に求められているからです。
いずれにしろ実務経験のあるかたはそんなに難しい問題ではないと思います。
「あなたは建設環境の技術士に相応しい業務遂行手順を知っていますか?」という試験官からの質問です。知っていることを整然と答えることが求められています。

問題Ⅱ-2の選択とその推敲に5~7分、2枚を50分、見直し1~2分といったところでしょうか。これで合計1時間です。ちなみに解答する順番は、Ⅱ-2から先にやってください。

添削指導を受けているひとは他者から気づきを与えてもらえるのでそれほど心配はしていませんが、独学でがんばっているひとはこの点を意識してご自分の解答論文を再度見直してみてください。

2018年6月27日水曜日

A評価論文を書くために~1枚30分弱を目安に

試験も間近なのでどんどん行きましょう。
今回は「有限性」を意識する、簡単にいえば時間を意識する、つまりは時間管理についてです。

試験勉強中に論文を作成する際は、時間を気にせず推敲に推敲を重ねていることと思います。しかし本番の試験では時間が決まっています。
お手元の受験票をいまいちど確認してください。
●問題Ⅱ(2時間;解答用紙1枚×2問、解答用紙2枚×1問)
●問題Ⅲ(2時間;解答用紙3枚×1問)

まずは、ご自分の記述スピードを把握してください。
あらかじめ作り込んだ模範解答を模擬答案用紙に手書きで書いてみて、どれくらい時間がかかるのかを把握してください。

ほぼ真っ白のゆし豆腐そば【北谷町字浜川】

●問題Ⅱ
問題Ⅱは2時間で原稿用紙4枚ですから、単純に割ると1枚あたり30分になります。これに書き始める前の推敲(骨子表作成含む)の時間を確保するとなると、1枚あたり25分くらいでは書ききりたいです。
・2枚論文の問題Ⅱ-2の選択とその推敲に5~7分、2枚を50分、見直し1~2分といったところでしょうか。これで合計1時間です。
ちなみに解答する順番は、Ⅱ-2から先にやってください。
最悪でもⅡ-1は残った時間にやっつけで書いても何とかなる率が高いです(逆にⅡ-2は何とかなる率は低いです)。
・1枚論文の問題Ⅱ-1は4問から2問の選択とそれぞれの推敲に、2問で5~7分、1問あたり2~3分くらい、1問あたり25分で計50分、見直しに1分といったところでしょうか。合計で1時間。

●問題Ⅲ
問題Ⅲは2時間で原稿用紙3枚ですから、単純に割ると1枚あたり40分になります。問題Ⅱよりは時間があるようですが、こっちは課題解決過程を試されているので事前の推敲にはじゅうぶんに時間をかけたいですよね。そうなるとやはり1枚あたり30分弱くらいでは書ききりたいです。
・問題Ⅲの選択とその推敲には30分、1枚あたり28分で3枚合計1時間24分、見直しに6分といったところでしょうか。合計で2時間。

どうですか?1枚30分弱くらいでは書きたいですね。
ご自分の記述スピードと大きく差があるようでしたら速度対策もしっかり行ってください。書きやすいシャープペンシルだとかちょっと柔らかめの芯にするとか。

あとは模範解答をひたすら写経するように筆写する、というのもオススメです。
練習するとだんだん早くなります。

さらにキーワードや言い回し、センテンス、骨子パターンを腕が覚えます(頭というよりは体に覚え込ませるイメージで)。

そして漢字練習にもなります。普段、手書きしていないぶん、意外と漢字が書けないものです。試験本番前に重要キーワードや技術用語や行政用語などに慣れ親しんでおきましょう。

それから筋トレにもなります。試験本番でいきなり4時間もの長時間(記述時間は3時間半くらいでしょうか)ひたすら書き続けるわけですから、最後は腕が持ちません。無理やり書いても凄い汚い字、試験官が読めない字になる可能性もあります。時間いっぱい最後までしっかり書ききるためにも筋肉トレーニングは必要です。

さらなる効果としてはアガリ症対策にも有効です。試験本番で真っ白な解答用紙を目の前にしてもアガらないように、普段から記述前の白紙の解答用紙に慣れておくのも精神的にすごく効果があります。

2018年6月26日火曜日

A評価論文を書くために~書く前に、骨子やタイトル構成で整理する

早くも本シリーズ3回目になります。
今回はこれまで述べてきた①訊かれたことからズレる②盛り込みすぎると横道にソレる、についての試験本番での対処法です。

試験勉強中に論文を作成する際は、合格論文を参考にしつつ、ネットなどで関連する資料を参照しながら模範解答論文を作成していると思います。
PC上での作業ですから、センテンスごと引っ越したり、文章の前後を入れ替えたり、削除、挿入など自由自在に編集しているのではないでしょうか。
しかし試験当日はPCではなく手書きで論文を作成しなければいけません。編集作業はほぼ不可能と思っていてください。けっして本能のままに見切り発車で頭から書き始め、途中書きながら考えてそれをまた書く、ということはやめてください。あとで消すのがそれはもう大変なことになります。
では編集ナシの一発で論文を書ききるにはどうすればよいか。
これはあらかじめ書くことを決めておいて、解答用紙に清書するように書くしかありません。
本能寺跡【京都市上京区】

一推しはやはり「骨子法」です。これは表形式で整理するもので、横方向に論理展開が単純化されており、視覚的に論旨が認識しやすいことが特徴です。つまり論理的に横道にソレにくいわけです。これを問題用紙の余白を利用して作ってみてください。
これはそのまま論文内容を記録したメモがわりになりますので、問題用紙を持ちかえって再現論文を起こすのにも重宝します。試験が終わるとビックリするほどあっという間に忘れちゃうんですよね(笑)
骨子法についてはSUKIYAKI塾HPにさらに詳しい解説がありますのでそちらを参照してください。

骨子法に慣れてくると、問題文から書き下すようにタイトルと記述項目を整理して、その下に記述内容のキーワードをメモする、というやりかたもあります。
そうするとこのメモをもとに自宅で再現論文もすぐに作成できます。
ただし、論理的整合性が確認しづらいという弱点はあります。論理的整合性についてはしっかり確認するようにしてください。

Ⅱ-2-1 環境影響評価法に定める第一種事業に当たる建設事業が計画されており,あなたは担当者として,この事業に関する方法書以降の手続に係る環境影響評価を行うこととなったが,以下の問いに答えよ。なお,環境保全措置については複数案の比較を通じて検討した結果,回避,低減,代償の措置が取られることとなった。
(1)あなたが想定した建設事業の概要と,その事業が実施される地域の状況を具体的に述べよ。
(2)(1)で述べた地域の状況との関連性を踏まえ,この事業による環境影響を想定して,影響要因及び影響を受ける環境要素の項目(以下「環境項目」という。)を3つ挙げよ。また,それらを選定した理由を併せて述べよ。
(3)(2)で選定した環境項目から2つ選び,実施することが適切であると考えられる環境保全措置の内容を説明せよ。ただし,1つ目の環境項目は回避・低減措置の内容を,2つ目は代償措置の内容を説明せよ。このうち,代償措置については,当該措置をとるに当たって行った複数案の比較検討の内容を説明せよ。

太字下線で示した部分が解答すべき事柄なので、これを素直にタイトルにします。
本番の試験問題文には太字下線はありませんので、解答すべき内容を漏れることなく記述するためにご自分でアンダーラインを引くなどしてください。

1.建設事業の概要
(1)建設事業の概要
・第1種事業であることがわかる事業規模を提示
(2)地域の状況
・次にとりあげる環境項目を含む状況
2.影響要因及び影響を受ける環境要素の項目
(1)環境項目①
・影響要因、影響を受ける環境要素、選定した理由
(2)環境項目②
(3)環境項目③
3.環境保全措置
(1)環境項目①の回避・低減措置
・回避低減措置の内容
(2)環境項目②の代償措置
・代償措置の内容、複数案の比較検討

問題文(の太字下線)とタイトルの対比をしてみてください。問題文そのままですよね?これが前々回取り上げた『問われたことについて素直に解答する』の実践になります。

添削指導を受けているひとは他者から気づきを与えてもらえるのでそれほど心配はしていませんが、独学でがんばっているひとはこの点を意識してご自分の解答論文を再度見直してみてください。

2018年6月25日月曜日

A評価論文を書くために~文章は簡潔に

受験票が皆さんの手元に届いたことと思います。身が引き締まりますね。
前回に引き続きA評価論文を書くための留意点について取り上げます。
今回はこれまた受講生にも口酸っぱく指摘している『文章は簡潔に』です。

情報てんこ盛り~下関海戦図
【坂本龍馬記念館】

前回指摘した、「自分に知識があることを試験官にわかってほしい」という思いが強いひとにこの傾向があるように感じます。
技術的内容が薄いんじゃないかと自信がもてず不安になってしまって、あれこれ頭に浮かんでくる重要キーワードを脈略なくなんでもかんでも盛り込んでしまうわけです。
書いている本人としては関連するキーワードなので脈略なく書いているわけではないのでしょうが、あれこれ風呂敷を広げすぎると着地点が違うところになっちゃう恐れがありますし、たとえ着地点はOKでも寄り道しすぎると横道にそれたぶんだけ根拠が怪しい、ということにもなってしまいます。
また、たとえ論理的に整合性がとれていたとしてもよっぽと文章力が高くないと、結局読み手(つまり試験官)に甘えてしまうことになります。どういうことかといいますと、長い文章をよんでいる間、主語なり述語なりを読む側はずっと記憶しつづけないといけないからです。
こういう文章が続くと読んでいてとっても疲れます。

ひとつの文章には主語、述語をひとつづつに絞ったほうがいいです。そして目的語を明確に。短文のつながりを論理的に展開するほうが論理的な技術士論文に相応しいA評価の文章が書けると思います。

添削指導を受けているひとは他者から気づきを与えてもらえるのでそれほど心配はしていませんが、独学でがんばっているひとはこの点を意識してご自分の解答論文を再度見直してみてください。

2018年6月24日日曜日

A評価論文を書くために~問われたことについて素直に解答する

前回の投稿で「すっかり試験のことは脇に置いているといったことはありませんでしょうか」と書いたとたん、そんなことないよとでもいうように添削依頼がどっと舞い込みました。嬉しい悲鳴です。皆さん頑張っておられるようでなによりです。

先月に予想分野をあれこれ取り上げた記事を連投しましたが、今回からは出題分野予想ではなく、技術士論文、合格論文のための基本的事項を再確認したいと思います。
何年か前も書いているのでそれも参考にしてください(平成25年度以前の試験に対応したものですが)。
筆記試験突破のカギ

第1回は、受講生にも口酸っぱく指摘している『問われたことについて素直に解答する』です。

【宮古島市 東平安名崎】

問題文というのは、試験官からの質問です。質問に答えることが受験生に課せられているわけです。
答案に記述した内容がどんなに科学技術的に高度なレベルのものであっても問題文で問われていること、つまり試験官が解答してほしいと考えている内容と違う内容を書いてしまっては評価は下がります。
「自分に知識があることを試験官にわかってほしい」という思いが強いひとにこの傾向があるように感じます。
けっして勉強して得た知識を吐き出す場ではありません。
「お尋ねのことについて、わたしはこういうふうにしたらよいと考えます」とあくまで訊かれたことに対して冷静に素直に答えてください。
技術的なことを盛り込んでいないとどうしても自信がもてなくて不安になってしまうひともあるようですが、まず優先すべきは訊かれたことに素直に答えることです。そのなかで勉強して得た知識を披露するようにしてください。

添削指導を受けているひとは他者から気づきを与えてもらえるのでそれほど心配はしていませんが、独学でがんばっているひとはこの点を意識してご自分の解答論文を再度見直してみてください。

2018年6月21日木曜日

第四次循環型社会形成推進基本計画

筆記試験まで残りひと月を切りました。
皆さん、GWも明け平成30年度が本格的にスタートし、業務のほうに気持ちがとられてすっかり試験のことは脇に置いているといったことはありませんでしょうか。それともワールドカップに意識を持ってかれてませんか。ポルトガル-スペイン戦は凄かったですね、日本もまさかあんな展開になるとは思いませんでしたね。強豪国が相手と言えども諦めないで勝つための方策にしっかり取り組んだ結果の結晶だと思います。我々の試験対策にも当てはめたいですね。

とにかくほかのことに意識を持っていかれがちだとしても、メリハリつけて試験のための時間を1日のうちで30分でも1時間でも確保すれば大丈夫です。ひと月あればギリギリ持ち直せますので、受験申込書を提出したひとは、ここで諦めないでもう一度やる気の炎に火を着けてください。

といっても、わたしはというと、先週末に沖縄でAPECさんの筆記試験対策セミナーを開催したわけですが、その事務方として準備段階からいろいろと奔走していたところ(そのせいではないですが)セミナー2日前から扁桃腺を腫らしてしまい40度近い高熱が数日続くというアクシデントに見舞われてしまいました。。。。。結局、セミナーおよび関連する行事をすべてキャンセルする事態となってしまいました。
建設環境のテキストも作って、気合入れて準備していたんですけどねー。
まっ、試験本番でなくて本当によかった、と前向きに考えています。
皆さんも、これからのひと月は体調管理も試験対策の重要項目となりますからしっかり怠ることなく、うがい手洗いの徹底に努めてください。

月初めに環境白書がリリースされたのでこれとほとんどネタが被っているとは思いますが、このタイミングで第4次循環型社会形成推進基本計画が閣議決定されました。
建設環境のひとはこれをそのまま漫然と眺めるのではなく、建設事業に絡んだ箇所、つまり建設リサイクルに関係する箇所を抜き出してチェックしておいてください。

タラ号【北谷フィッシャリーナ】

報道発表資料
平成30年6月19日この記事を印刷

第四次循環型社会形成推進基本計画の閣議決定及び意見募集(パブリックコメント)の結果について

循環型社会形成推進基本法に基づき、循環型社会の形成に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、中央環境審議会の答申を踏まえ、第四次循環型社会形成推進基本計画を閣議決定しましたのでお知らせします。
併せて、平成30年5月8日(火)から平成30年5月28日(月)に実施した本案に対する意見募集の結果についてもお知らせします。

1.第四次循環型社会形成推進基本計画の閣議決定に関する経緯

循環型社会形成推進基本計画は、循環型社会形成推進基本法に基づき、循環型社会の形成に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために定めるものです。同法の中で、本計画は概ね5年ごとに見直しを行うものとされていることから、環境省では、平成25年5月に策定された現行計画の見直しを検討するため、平成29年 10月に中央環境審議会に諮問を行いました。
中央環境審議会での審議の結果、答申案が取りまとめられ、中央環境審議会長から答申が行われました。答申は酒井伸一中央環境審議会循環型社会部会長より中川雅治大臣に手交されました。これを踏まえ、本日、第四次循環型社会形成推進基本計画を閣議決定しました。

2.第四次循環型社会形成推進基本計画の概要

新たな計画では、環境的側面、経済的側面及び社会的側面の統合的向上を掲げた上で、重要な方向性として、
①地域循環共生圏形成による地域活性化
②ライフサイクル全体での徹底的な資源循環
③適正処理の更なる推進と環境再生
などを掲げ、その実現に向けて概ね2025年までに国が講ずべき施策を示しています。

3.意見募集の結果

(1)意見募集の対象

「第四次循環型社会形成推進基本計画(案)」

(2)意見募集の周知方法

電子政府の総合窓口及び環境省ホームページ

(3)意見募集期間

平成30年5月8日(火)~平成30年5月28日(月)まで

(4)意見提出方法

電子政府の総合窓口(e-Gov)意見フォーム・郵送・ファクシミリ

(5)意見提出者数

19名

添付資料

2018年6月5日火曜日

平成30年版 環境白書

環境白書が公表されました。こないだ第五次環境基本計画が出ましたが、それに沿った内容になっているようです(当たり前ですね)。その解説本として活用してもいいんじゃないでしょうか。

やはりSDGs推しですよね。このなかに8つの優先課題がありますが建設環境分野に関わることは整理しておくべきでしょう。

次にパリ協定ですね。気候変動ネタのときは積極的に活用してください。
パリ協定の「2℃目標達成」のため、21世紀後半の温室効果ガス排出の実質ゼロを目指す、とか、日本は2030年までに、2013年比で、温室効果ガス排出量を26%削減する(2005年比では、25.4%削減)ことが求められている、という内容が書けたらすごく評価があがります。

そして第5次環境基本計画です。これまた6つの重点戦略で建設環境分野に関連する事項を整理しておいてください。

 サンゴのスリック
【竹富島】

環境省:Ministry of the Environment
平成30年6月5日
総合政策
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平成30年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書の閣議決定について

 平成30年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書は、本日6月5日(火)に閣議決定され、国会に提出されました。
 本年の白書は、「地域循環共生圏の創出による持続可能な地域づくり」をテーマとして、第五次環境基本計画(平成30年4月閣議決定)で提唱した「地域循環共生圏」の創造に向けて、地域資源を持続的に活用することで地域に活力をもたらす取組や、ライフスタイルの転換に向けた取組等について、我が国で既に始まっている先進的な取組事例等を紹介しています。
1.環境白書、循環型社会白書、生物多様性白書の経緯について
 環境白書、循環型社会白書、生物多様性白書の3つの白書は、それぞれ、環境基本法、循環型社会形成推進基本法、生物多様性基本法に基づく国会への年次報告書です。環境問題の全体像を国民に分かりやすく示し、参加協力を促すため、平成21年版から3つの白書を合冊しています。
 全体の構成は、第1部・総合的な施策等に関する報告、第2部・各分野の施策等に関する報告からなっています。
2.白書の閲覧及び市販版等の入手方法について
(1)環境省ウェブサイトへの掲載等
 本日閣議決定された「平成30年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」は、PDFデータを環境省ウェブサイト(http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/)に掲載しています。なお、HTML形式のデータについては、6月下旬以降、同ウェブサイトに掲載する予定です。
(2)市販版の入手方法
 「平成30年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」は、政府刊行物センターや政府刊行物取扱書店等で購入することができます(1部2,380円(税別、予価)、6月中下旬発売予定)。市販版の入手方法等については、発行元の日経印刷株式会社第三営業部(03-6758-1013)までお問い合わせください。
3.今後の普及啓発について
 白書の内容を広く国民に普及させることなどを目的として、以下のとおり「白書を読む会」の開催や冊子の作成等を予定しています。
(1)「白書を読む会」の開催
 本年の白書に関するテーマやねらいなどを環境省職員が説明する「白書を読む会」を開催します(入場無料)。開催日時・場所等については、別途お知らせします。
(2)「英語版 環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」
 国際社会に対して我が国の環境行政を発信するため、本年の白書の英語版小冊子を作成します。同冊子は、本年秋頃をめどに、環境省ウェブサイト(http://www.env.go.jp/en/wpaper/)にも掲載する予定です。
(3)「環境統計集」
 白書に掲載したデータ等は、機械判読可能なデータ形式で環境省ウェブサイトに掲載します。過去のデータは、環境省ウェブサイト(http://www.env.go.jp/doc/toukei/tokeisyu.html)に掲載しています。
4.その他
 「平成30年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」の印刷工程の電力使用に伴い発生する二酸化炭素(CO2)については、環境省の「オフセット・クレジット制度(J-VER制度)」に基づき発行された東日本大震災における被災地のクレジットを購入し、オフセットしています。

添付資料