2023年7月27日木曜日

気候変動による災害激甚化に関する影響評価結果

全国的に梅雨が明けましたが、これからは台風シーズンです。まだまだ気は抜けません。さっそく今週来週は沖縄方面にも2つばかりやってきます。来週前半は沖縄本島が直撃の予報です。早くも海の仕事は延期だとか中止だとかで影響が出ています。まぁこれは毎度のことなので業務内といえるわけですが。

そして台風来襲を前にして標記の評価結果とあわせてそれを一般向けに解説したパンフレットが公表されました。
環境省の報道発表ですが、これは建設部門の皆さんも目を通しておいてください。
特にパンフレットはよくまとめられています。それにしてもオドロオドロシイ表紙ですね。たしかに台風が近づいてきたら表紙の絵のような暗い感じの不安を煽る空模様ですよね。

Windy

2023年07月21日 
  • 地球環境

気候変動による災害激甚化に関する影響評価結果について~地球温暖化が進行した将来の台風の姿~

 環境省では、地球温暖化が進行した世界で同様の気象現象が発生した場合どのような影響がもたらされるか評価する事業を実施しています。
 今般、令和元年東日本台風(台風第19号)及び、平成30年台風第21号を対象とし、地球温暖化が進行した世界で同様の台風が襲来した場合の影響について評価した内容についてとりまとめました。
 その結果、いずれの場合においても、地球温暖化が進行した世界では、台風がより発達した状態で上陸する可能性が示されました。また、中心気圧が実際の台風に比べて低下するとともに、降水量が増加し河川での氾濫のリスクが高まることや、風が強まることで風害や沿岸や河川の河口付近での高潮による浸水のリスクが高まることが示されました。
 今後は、平成30年に西日本を中心に大きな被害をもたらした、平成30年7月豪雨を対象として同様の評価を実施するとともに、社会経済分野に関する影響評価手法の調査・検討を行う予定です。

【パンフレット】勢力を増す台風 ~我々はどのようなリスクに直面しているのか~ 2023 - [PDF 約13MB]

目的・調査概要

環境省では令和2年度より、将来の気候変動影響を踏まえた適応策の実施に役立てるため、近年大きな被害をもたらした台風について、文部科学省の気候変動研究プログラムの成果等を活用して、地球温暖化が進行した世界で同様の気象現象が発生した場合どのような影響がもたらされるか評価する事業を実施しています。
本事業では実際に日本に襲来した特定の台風について、地球温暖化が進行した条件下において、同じ位置で台風が発生し、実際と近い経路を通過した場合どのような影響がもたらされるか評価を行っています。
これまでに、令和3年度に中間報告を行った令和元年東日本台風(台風第19号)に加え、平成30年台風第21号を対象とし、地球温暖化が進行した世界※1で同様の台風が襲来した場合の中心気圧や雨量、風速などの変化、洪水や高潮への影響についてスーパーコンピュータを用いたシミュレーションを実施しました。
今後は、平成30年に西日本を中心に大きな被害をもたらした、平成30年7月豪雨を対象として同様の手法を活用した評価を実施するとともに、社会経済分野に関する影響評価手法の調査・検討を行う予定です。
 
※1  地球温暖化が進行した場合として、以下のシナリオを設定。
 2℃上昇シナリオ:世界平均気温が工業化以前(18世紀半ば頃)より2℃上昇(積極的な緩和策により将来の温暖化をかなりの程度抑制した場合)すると仮定
 4℃上昇シナリオ:世界平均気温が工業化以前(18世紀半ば頃)より4℃上昇(現状を超える緩和策が行われず、温暖化の抑制ができなかった場合)すると仮定
 上記結果と、対象となる各台風が発生した際の気象条件において、同台風を気象モデル再現するために実施した
 シミュレーション(このシミュレーションの結果を以下では「現在気候」とします)とを比較します。
 
【留意点】
本調査は、過去の台風と同様の台風が発生した場合の気候変動の影響について評価することを目的としたものであり、シミュレーションした台風が今後発生することを示すものではありません。また、台風はその経路によって大雨や強風等の影響が大きく異なります。本報告は各台風の経路、中心気圧、雨量、風速などについて得られた予測(27ケース)のうち、対象の各台風の経路と近いものとして選択した複数のケースをベースとしたものである点に留意が必要です。

令和元年東日本台風(台風第19号)に関する結果

概要

令和元年10月6日に発生した令和元年東日本台風は、「大型で強い勢力」で伊豆半島に上陸、その後関東地方を通過しました。関東甲信地方、東北地方を中心に広い範囲で記録的な大雨となりました。特に静岡県や新潟県、関東甲信地方、東北地方の多くの地点で 3、6、12、24時間降水量の観測史上1位の値を更新しました。
今回のシミュレーションでは、地球温暖化が進行した将来においては、現在よりも中心気圧が低下して、より強い勢力を保ったまま日本に接近し、関東・東北地方により多くの雨をもたらすとともに、浸水被害が発生する地域がさらに広がり、浸水経験の少ない地域においても洪水が発生する可能性が高まることが示されました。

洪水への影響 ※2

特に令和元年東日本台風による被害が大きかった8水系(荒川、多摩川、利根川、千曲川(信濃川)、那珂川、久慈川、阿武隈川、鳴瀬川(吉田川))を対象として、各水系の基準地点について、その上流域に降った雨(流域平均降水量)と河川災害リスクを見る一つの指標であるピーク流量(最大流量)を算出しました。その結果、地球温暖化が進行した場合を想定した2℃上昇シナリオでは、平均して10%(3~16%)、4℃上昇シナリオでは、平均して23%(14~34%)増加する結果となりました。また、4℃上昇シナリオでは、特に影響を受けた8水系のうち、5水系で長期的な河川整備の目標である河川整備基本方針の流量を上回る予測となりました。
令和元年東日本台風では、東日本全域にわたり大きな被害が発生しましたが、将来の気候変動下で同様の台風が発生した場合には、浸水被害が発生する地域がさらに広がり、浸水の経験の少ない地域でも発生する可能性が高まることが示唆されました。



※2  本シミュレーションでは、複数の流域をまたぐ広い領域を同時に扱っているため、個々の河川の流量の定量的な評価には不確実性が多く含まれます。また現実には、上流で氾濫が発生することにより下流での流量が減少する場合がありますが、今回のシミュレーションでは、そのような可能性は考慮していません。本結果では、ピーク流量・ピーク流出高により洪水氾濫発生の可能性を示していますが、詳細には河川堤防や防潮堤等の整備状況等も考慮する必要があります。
 

平成30年台風第21号に関する結果

概要

平成30年8月28日に発生した平成30年台風第21号は、「非常に強い」勢力で徳島県に上陸、近畿地方を縦断し日本海に抜けました。西日本を中心に広い範囲で大雨・強風を引き起こし、大阪府、和歌山県等で観測史上第1位の最大風速を記録しました。また、大阪府、和歌山県等では過去の最高潮位の記録が更新されました。
今回のシミュレーションでは、地球温暖化が進行した将来においては、現在よりも中心気圧が低下して、より強い勢力を保ったまま日本に接近することが示されました。
特に風は、2℃上昇シナリオでは最大風速が平均8.6m/s増加、4℃シナリオでは最大風速が平均10.2m/s増加する結果となり、高潮のリスクがさらに高まることが示されました。

高潮への影響 ※3

高潮による大阪湾の潮位の変化(最大潮位偏差)について、地球温暖化が進行した場合を想定したシナリオでは、現在気候に比べ、2℃上昇シナリオでは平均27.5% (-51.7~127.6%)、4℃上昇シナリオでは平均23.0%(-27.4~281.6%)上昇する結果となりました。これは、台風の中心気圧が低下し、風速が増加したことにより、吸い上げ効果及び吹き寄せ効果 が強まったことが主な要因と考えられます。
平成30年台風第21号では、大阪湾でのこれまでの最高潮位を更新したものの、市街地への浸水は発生しませんでした。一方で、将来の気候変動下で同様の台風が発生した場合には、最大潮位の増加により、高潮の被害を発生させる可能性が示唆されました。


 
※3 本結果では高潮による浸水への影響には言及できていませんが、同影響を把握するためには、最大水位の上昇の他、河川堤防や防潮堤等の整備状況等も考慮する必要があります。また、高潮のシミュレーション結果は、台風の経路等の条件によって異なる結果となりますので、留意が必要です。

参考資料

【過去の報道発表】気候変動による災害激甚化に関する影響評価(中間報告)について(https://www.env.go.jp/press/109720.html

2023年7月24日月曜日

令和6年度 技術士試験対策 添削講座

令和5年度の筆記試験から早くも1週間が経ちました。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
本日より令和6年度の試験に向けた添削講座を開講いたします。

わたしの講師としての活動は、平成22年度試験に合格した翌年からSUKIYAKI塾の添削講座に参加するかたちでスタートしました。
SUKIYAKI塾のほか、身近な知り合いを含めると、令和4年度試験までの12年間でのべ99名のかたが合格されました。
また、平成27年度からは総監の指導アドバイスも開始したところ、これまで24名ものかたから吉報をいただくことができました。わたしはあくまで触媒にすぎませんが、『総監合格』にいくらかでも貢献できたであろうこと嬉しいですね、講師冥利につきます。

SUKIYAKI塾の活動と平行して綴り始めたこのブログですが、平成26年ごろからブログを訪問してくださるひとが増え始め、それに比例するように添削指導の依頼をあちらこちらから受けるようになりました。そこで平成28年から独自の添削講座を開講して受験に真剣に取り組む方のサポートを始めました。

軌道に乗った平成29年度以降、多くの受講生の皆さんとメールによる濃密なやりとりができました。受講生に恵まれたことが大きいと感じていますが、受講生の皆さんの理解の度合や伸び具合がそれはとても良い感触でした。
令和4年度合格発表後に頂いたメッセージを抜粋します。

【建設環境】
●すごろくさま
面接練習では、大変お世話になりました。
技術士、おかげさまで合格することができました。
コンピテンシーで求められるポイントをわかりやすく教えていただき、本番の回答に活かすことができました。
心から感謝申し上げます。ありがとうございます。

●すごろく様
お陰様で無事に合格することができましたので、結果の報告と口頭試験の再現メモを送付します。誠にありがとうございました!

●すごろくさま
試験結果について、丁寧にご指導いただいたおかげで、無事「合格」いたしましたのでご報告させていただきます。ご報告が遅くなり大変申し訳ございませんでした。
誠にありがとうございました。

【施工計画、施工設備及び積算】
●すごろく様
技術士2次試験の結果を報告します。合格でした。
口頭試験対策では大変お世話になりました。いまはただただほっとしています。口頭試験直前に心臓が破裂しそうになった記憶がよみがえります。良い報告をすることができて本当に良かったです。ありがとうございました。

【水産土木】
●すごろく様
私の受験番号が、ありました。
水産土木、3度目の挑戦で、やっと合格しました。
正直なところ、試験前日に、論文の復習をして、キーワードの定着が良くなかったため、受験を締めようと、一度は考えました。しかし、翌日、気を取り直して、試験会場へ行きました。あきらめなくて良かったです。
今回の合格は、すごろく様から、ロジックの綻びをご指導頂いたため、試験会場では、問題文から、添削指導を受けた骨子に整理し、答案を埋めることができたことによるものと、考えています。
すごろく様、ご指導頂きましたことに、大変感謝します。
どうも、ありがとうございました。

【環境測定】
●ご報告が遅くなりましたが、無事に技術士二次試験に合格することができました。
口頭試験に際しアドバイスいただき、ありがとうございました。

【自然環境保全】
●すごろく様
ご報告遅くなりましたが、口頭試験に無事通過し、無事に合格することができました。
御礼申し上げます。

【総監】
●すごろく様
令和4年度技術士第二次試験合格発表を今確認しました。
結果、「合格」でした。
今思えば、自分自身どうしたらよいかもわからずに模擬面接を申し込みました。
面接を通じたご指導がなければ、絶対に合格はなかったと思っています。
これからもおごらず研鑽を継続し、後進の育成にも携わっていければと考えています。
本当にありがとうございました。

●すごろくさま
総監合格しました。ありがとうございました。
口頭試験の対策時は、大変お世話になりました。
本当にありがとうございました。

●すごろく様
おはようございます。●●です。
総合技術監理部門、合格しておりました。
ご指導ありがとうございました。

●すごろく様
お世話になります。
令和4年度の口頭試験に合格したことを報告させていただきます。
ご指導をいただきましてありがとうございました。

●すごろくさま
お世話になっております。●●です。
先日技術士二次試験合格発表がありまして、無事合格いたしましたので、お礼のメールを差し上げます。ありがとうございました。

などの嬉しい報告をたくさんいただきました。
令和6年度試験に向けて、これから1年かけてじっくり取り組みたいかたの力になれるよう、これまでの指導経験を注力しますのでお任せください。

そのほか令和5年度筆記試験の再現論文に対するコメント評価も行っています。
試験答案について第3者の視点からの評価を欲しているかたはぜひどうぞ。
いまいち書けなかったと自信のないかたには、(合格レベルに足りないのであれば)どこが足りないかのアドバイスも行いますので、勇気を出して連絡を頂けたら嬉しいです。


●建設部門建設環境・環境部門自然環境保全・水産部門水産資源及び水域環境
技術士受験指導の経験は早いもので12年、そして建設環境分野、自然環境保全分野、水産水域環境分野の技術者としての業務経験は27年になりました。これまで主に沖縄県内での環境調査、環境影響評価、自主アセス(ミニアセス)に携わっております。
わたしの専門はどちらかというと自然環境に関する分野ですので生活環境の保全に関する現場感覚はやや劣るかもしれません。しかしながらこれまで添削するうえで支障はありませんでした。
また、他の科目についてもご希望であればお引き受けします。ただし専門技術に関する指導はできませんので論理構成や文章に関する指導アドバイスとなります。
なお、これまで建設環境、水産資源及び水域環境、自然環境保全以外の科目については、建設部門の都市及び地方計画、道路、河川、砂防及び海岸・海洋の環境寄りのかた、環境部門の環境保全計画、環境影響評価、水産部門の水産土木のかたを指導いたしました。
また、建設部門の鋼構造及びコンクリート、施工計画・施工設備及び積算、環境部門環境測定のかたに対しては必須科目(部門共通の問題)を中心に指導いたしました。

●総合技術監理部門
総監については科目を問いません。ただし建設-建設環境や水産-水産資源及び水域環境、環境-自然環境保全以外の科目の場合には専門技術を踏まえた管理については言及できないこともあります。
なお、これまで建設環境、水産資源及び水域環境、自然環境保全以外では、電気電子-電気設備、土質及び基礎、鋼構造及びコンクリート、都市及び地方計画、河川砂防・海岸海洋、港湾及び空港、道路、施工計画・施工設備及び積算、上水道及び工業用水道、下水道、農業-農業農村工学、経営工学-サービスマネジメント、環境-環境保全計画のかたを指導いたしました。
ご希望のかたには、平成29年2月23日で頒布が終了した「技術士制度における総合技術監理の技術体系(第2版)」(いわゆる青本)のテキストデータを差し上げます。
なお一部内容を法律等の改正に伴い書き換えています。ただしH29年時点までのものです。それにしてもだいぶ年月が経過しちゃいましたね。。。
※択一対策は、繰り返し過去問を解くことの他に、総合技術監理部門 キーワード集2023を用いてご自分でキーワードの解説集を作成するのが合格への近道です。

下記の2つのコースがあります。
※併願・重願の場合はそれぞれの部門科目単位で受け付けます。

★お申込みはこちらからお願いします

①令和5年度筆記試験の再現論文に対するコメント評価
内容:再現論文のコメント評価を行います。総監以外は必須科目Ⅰ、選択科目Ⅱ-1、Ⅱ-2、Ⅲの合計4つ、総監は記述論文(必須科目Ⅰ-2)です。
原稿に赤を入れるのではなく、メールでコメントをお返しする方式です。
返信回数:各問題に対し、1回のコメントとそのコメントを受けての再質問・返信を1回の計2回
※令和5年度試験の答案用紙を模したワードファイルを差し上げます
料金:3,000円

【令和6年度試験対策】
②出願書類作成
期間:受付完了時から令和6年度試験の受験申込期限日の7日前(令和6年4月8日)まで書類を受け付けます。
内容:受験申込書の記載内容と実務経験証明書(5行の業務経歴と「業務内容の詳細」)についての添削指導を行います。受験する部門科目に合致しているかの確認と令和3~4年度の口頭試験における実際の試問内容を踏まえた記述内容となるよう指導いたします。
令和6年度の様式が正式発表されるまでは令和5年度様式で添削指導を行い、令和6年度様式が発表され次第、あらためて添削指導いたします。
うまく作成できないかたには業務経歴のたな卸しと詳細業務の骨子の作成アドバイスからスタートします。
添削回数:期間内は回数無制限です。ただしわたしがOKと判断したらそこで終了とすることもあります。
料金:15,000円

③筆記試験論文添削 長期コース
期間:受付完了時から令和6年度筆記試験日の7日前(総監は令和6年7月7日、その他部門は7月8日)まで論文を受け付けます。
内容:総監以外については必須科目と選択科目を、総監については記述論文(必須科目Ⅰ-2)の添削指導を行います。過去問題に対する回答論文の添削です。原稿に赤を入れるのではなく、メールでコメントをお返しする方式です。
論文の仕上がり具合に自信がないかた、文章作成が苦手なかた、論理的思考が苦手なかた、専門技術分野が偏っているかた、それぞれに応じた指導をいたします。
※令和5年度試験の答案用紙を模したワードファイルを差し上げます。
添削回数:期間内は回数無制限です。ただし複数の論文を同時並行では添削しません。わたしが次の問題に移ってOKと判断してから別の設問に取り組んでください。
料金:30,000円

④筆記試験論文添削 中期コース
期間:令和6年1月から受付を開始します。受付完了時から令和6年度筆記試験日の7日前(総監は令和6年7月7日、その他部門は7月8日)まで論文を受け付けます。
内容:総監以外については必須科目と選択科目を、総監については記述論文(必須科目Ⅰ-2)の添削指導を行います。過去問題に対する回答論文の添削です。原稿に赤を入れるのではなく、メールでコメントをお返しする方式です。
論文の仕上がり具合に自信がないかた、文章作成が苦手なかた、論理的思考が苦手なかた、専門技術分野が偏っているかた、それぞれに応じた指導をいたします。
添削回数:期間内は回数無制限です。ただし複数の論文を同時並行では添削しません。わたしが次の問題に移ってOKと判断してから別の設問に取り組んでください。
料金:25,000円

⑤筆記試験論文添削 短期コース
期間:令和6年4月末頃から受付を開始します。受付完了時から令和6年度筆記試験日の7日前(総監は令和6年7月7日、その他部門は7月8日)までまで論文を受け付けます。
内容:総監以外については必須科目と選択科目を、総監については記述論文(必須科目Ⅰ-2)の添削指導を行います。過去問題に対する回答論文の添削です。原稿に赤を入れるのではなく、メールでコメントをお返しする方式です。
論文の仕上がり具合に自信がないかた、文章作成が苦手なかた、論理的思考が苦手なかた、専門技術分野が偏っているかた、それぞれに応じた指導をいたします。
添削回数:期間内は回数無制限です。ただし複数の論文を同時並行では添削しません。わたしが次の問題に移ってOKと判断してから別の設問に取り組んでください。
料金:15,000円

【注意事項】
●本サービスは、Gmailを使用して行いますので、Gmailの送受信が可能な環境であることが必須条件です
●本サービスに使用するファイル形式はPDFもしくはMS Wordファイルのみです。これ以外のファイルは原則として対応できません
●添削指導の対象である受験申込書や論文等はメールに添付してお送りいただきます
●メール受信後、添削コメント等を返信するまでに最大4日間の日数をいただきます
●総監については科目を問いませんが、建設-建設環境、水産-水産資源及び水域環境、環境-自然環境保全以外の科目の場合には専門技術を踏まえた管理については言及できないこともあります
●PDFの領収書は発行できますが、受講代金の10%を上乗せした代金を頂戴します
●なおインボイス発行事業者への登録は行っておりませんので適格請求書の発行はできません
●振込手数料はご負担ください

本サービス(添削指導アドバイス)をご希望されるかたは上記の内容を確認いただいたうえで下記のフォームにてお申込みください。お申込みの時点で上記の注意事項に同意いただいたものとします。

フォームを受信後、遅くとも翌日中には振込先の銀行口座をご案内するメールをGmailで返信いたします。
※3日以上経過しても返信がない場合はGmailとのやりとりが不可能な環境と思われます。その際はお手数ですがご自身で設定等を調整したうえで再度ご応募ください。

★お申込みはこちらからお願いします

令和5年度版 技術士筆記試験の答案用紙

早いもので筆記試験から1週間が経ちました。
わたしの講座の再現論文に対するコメント評価のほうにも続々と再現論文が寄せられています。皆さんの、試験会場での手に汗握る攻防が立ち上がってくるようで、拝読するこちらもふだんの論文添削とは違って緊張するといいますか、体のあちこちに力が入ってしまいます。

R5年度筆記試験のコメント評価をしています。第3者目線での評価を欲している方はぜひどうぞ。詳しくはこちらをご覧ください。

そして令和5年度技術士第2次試験筆記試験の問題文が日本技術士会HPに掲載されましたね。

答案用紙については公開がないので、令和5年度の答案用紙を模したWordファイルを作成しました。
これまで同様、「技術士受験を応援するページSUKIYAKI塾」の資料室のなかにあるダウンロード集、二次試験対策の3.筆記試験の内容(総監部門以外)と4.筆記試験の内容(総監部門)のところにアップしてもらいましたので、よかったらご活用ください。


今回は目を凝らさないと気がつかないほどのマイナーチェンジです。チェンジというか追記でした。
それにしても昨年度から強調されている選択した問題番号の記入を促すメッセージが嫌でも目に入りますね。入りますよね?入るとよいのですが。。。。

シツコイですが老婆心ながら毎度の注意喚起ですが、口頭試験のためにも、来年の筆記試験のためにも、後進のためにも、指導してくれる講師のためにも、ご自分の書いた論文の再現はせめて骨子レベルでもいいので書き起こしておきましょうね(←沖縄訛が移っています)。

ご活用ください!

2023年7月21日金曜日

水産部門 必須科目Ⅰ 地域を支える漁村の活性化と水産資源の持続的利用

最後に水産部門必須科目の問題文を取り上げます。
皆さん大方の予想通り、新たな水産基本計画から出題されました。第1の柱(海洋環境の変化も踏まえた水産資源管理の着実な実施)と第3の柱(地域を支える漁村の活性化の推進)でした。ということは来年は第2の柱(増大するリスクも踏まえた水産業の成長産業化の実現)が出題されることでしょう。
出題順に見ますと、1問めの漁村の活性化なんかはもう皆さん万全の準備をしていたのではないでしょうか。もう1問は気候変動による影響に加えてウクライナ情勢等もあってロシアからの水産物が激減したり北方海域での操業も難しくなるほか、公海漁場での外国漁船団によるサンマの大量漁獲、さらには世界的にも将来的な食料の安定供給が不安視されていることを反映した水産資源の持続的利用についての問題でした。
いずれにしろどちらでも対応できたのではないでしょうか。それだけにギリギリまでどっちを選ぶか悩まれたことと思います。そしてそういうときこそ、答案用紙に選択問題番号の記入忘れが発生しがちですからくれぐれも注意してくださいね(ってもう試験は終わっていますが)。

14 水産部門【必須科目Ⅰ】
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)

Ⅰ-1 令和4年3月に水産基本法に基づく新たな水産基本計画が閣議決定された。新たな水産基本計画では,水産に関し総合的かつ計画的に講ずべき施策の柱として,地域を支える漁村の活性化の推進が掲げられている。人口減少と少子高齢化による地方の活力低下が懸念んされる中,地方創生の観点からも,漁村の活性化が重要であるものの,海洋環境の変化等も含め,漁村をめぐる状況は変わりつつあり,地域ごとの特色を活かした新たな取組についても進めていくことが重要とされたところである。このような状況を踏まえて,以下の問いに答えよ。

(1)地域を支える漁村の活性化の推進に当たり,技術者としての立場で,水産部門全体にわたり広く多面的な観点から3つの課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

(4)前問(1)~(3)の実現に当たり,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を題意に即して述べよ。


【東京都江東区】

Ⅰ-2 我が国周辺海域が含まれる太平洋北西部海域は世界で最も漁獲量が多く,令和2(2020)年には世界の漁業生産量の21%に当たる1,945万トンが生産された。しかし,地球温暖化等による気候変動は水産資源にも影響を及ぼし,水産業の不安定化が危惧されている。さらに,ロシアによるウクライナ侵攻後,水産物を含め世界の食料調達は深刻な状況に陥った。一方,近年は世界的な水産資源への需要が急速に高まる中,外国漁船による我が国周辺海域での操業が頻繁に見られるようになった。
 このような状況を踏まえ,将来にわたって食料を安定的に確保するために,水産業が果たすべき役割と課題について,以下の問いに答えよ。

(1)水産物を食料として安定的に確保するための水産資源の持続的利用について,技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を,水産部門の専門用語を交えて示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

(4)前問(1)~(3)の業務遂行に当たり,技術者としての倫理と,社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を題意に即して述べよ。


R5年度筆記試験のコメント評価をしています。
第3者目線での評価を欲している方はぜひどうぞ。
詳しくはこちらをご覧ください。

2023年7月20日木曜日

自然環境保全 選択科目Ⅲ 池のかいぼりと除染済土壌等の再生利用

「問題解決能力及び課題遂行能力に関する」問題Ⅲ、Ⅲ-1が池のかいぼり、Ⅲ-2が除染済土壌等の自然公園事業での再生利用でした。池のかいぼりはTV番組を想起したためちょっと笑みが漏れましたが、2つめの問題文に目を移すと、環境部門必須科目ⅠのALPS処理水と対をなすかのように、福一原発事故による放射能汚染の除染処理後の土壌等再生利用についてのものでした。原発の放射能汚染処理後についてこうまで続けて問われるとは思わなかったのでしばし茫然となりました。

皆さんどちらを選択されましたでしょうか。実際に汚染処理土壌の再生利用に携わっているひと以外は外来種対策としての池のかいぼりのほうを選んだのではないでしょうか。こっちは実際に取組んだことがなくてもTV番組の視聴経験だとかニュース記事などの記憶をもとに専門家ならではの視点から課題を抽出できそうですよね。

Ⅲ 次の2問題(Ⅲ-1,Ⅲ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(赤色答案用紙に解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)

Ⅲ-1 多種の外来生物が蔓延している都市公園内の池(1ha)について,かいぼりを実施し,主に在来生物により構成される生態系を取り戻すための事業が行われることになり,自然環境保全技術者の立場で事前調査及び実施計画策定を担当することとなった。

(1)事前調査及び実施計画策定に当たり,技術者の立場からどのような課題が考えられるか,多面的に検討したうえで課題を3つ示し,その内容を述べよ。

(2)前問(1)で示した課題のうち最も重要と考えるものを1つ選び,重要と考える理由とその課題に対する解決策を示せ。

(3)前問(2)で示した解決策に関連して新たに浮かび上がる将来的な懸念事項とそれへの対応策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。


わたしもずいぶん昔に業務でとある農業ダムのかいぼりに係る環境調査に関わったことがあり、かいぼりして救出したミナミメダカの一部を自宅で繁殖させています。増えすぎたメダカを生きもの好きのひとに配ったり、ラムサール条約登録湿地のビジターセンターにも譲渡したことがありますが、沖縄県では令和2年11月に沖縄県希少野生動植物保護条例が制定され、これまでのようには譲渡できなくなっちゃいました。そうはいってもメダカたちは人間の都合などお構いなしにどんどん増えるばっかりですから、いったいこれからどうしたものかと悩んでいます。

Ⅲ-2 原子力災害後,福島県内で除染により除去した土壌等(総発生量見込み約1,330万m3)は,同県大熊町と双葉町にまたがる中間貯蔵施設(約16km2)に保管されている(一部搬入中のものあり)。同土壌等のうち線量が低く(8,000Bq/kg以下)再生利用可能なものは,公共事業等に活用することとなっている。同土壌等を国立,国定公園において,国又は県の自然公園等事業で使用する場合を想定し,以下の問いに答えよ。

(1)盛土材料が必要な具体的な1つの事業を想定し,当該地で同土壌等の再生利用を行う場合,技術者の立場で,計画,施工,運搬・管理の工程を通じて多面的に検討したうえで,合意形成及びその他の課題2つの計3つを抽出し,それぞれの課題の内容と対応の基本的な考え方を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち特に重要となる合意形成について,複数の解決策を,専門技術用語を交えて示せ。

(3)前問(2)で示した解決策を実行しても生じる可能性のあるリスクとそれへの対応策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

特定廃棄物埋立情報館 リプルンふくしま
【福島県双葉郡富岡町】


設問(2)では最も重要な課題が問題文で「合意形成」と指定されているのも驚きました。これは必須科目Ⅰ-2のALPS処理水の問題文でも最後の設問(3)では技術者倫理だけでなくコミュニケーションについても問われたことと共通していると思います。放射能汚染については合意形成といった多様な関係者とのコミュニケーションが最もデリケートで最も配慮すべき最も重要なことであることを反映した問いだからなのでしょう。問題文を通して、ただの技術士筆記試験問題とは違った重みで技術士の社会的な役割について考えさせられることとなりました。

先月はちょうどSUKIYAKI塾東北主催の「福島のいま」と題したツアーに参加し、(一定濃度(8,000Bq/kg)を超える放射性物質を含み環境大臣が指定した廃棄物である)特定廃棄物の埋立に関する情報施設「リプルンふくしま」をはじめ特定廃棄物の埋立処分場やセメント固型化処理施設などを見学してまわりました。
福島には震災後これまで3回、たまたまですが4年ごとに訪れています。
1回目の震災から4年後の2015年時点ではまだまだ瓦礫がそこかしこに放置されていましたが、2019年では放棄された田畑などに汚染された土壌等が詰まった黒いフレコンバックがうずたかく積みあがっていました。2023年ではそのフレコンバックがほとんどなくなっており、人間活動エリアの除染がだいぶ片付いたように見受けられました(森林などの除染はまだまだ進んでいませんが←森林部門森林環境Ⅲ-2で出題されました!)。再生利用できないものはセメント固型化ののち埋立処分され、本問題のように再生利用できるものは中間貯蔵施設にて保管されているわけです。
今後も震災からの復興を追いかけたいと思っています。

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自然環境保全 選択科目Ⅱ-2 自然共生サイト認定申請と家畜感染症対策計画に係る野生鳥獣生息状況調査

つづいて「選択科目」に関する応用能力について試される選択科目Ⅱ-2です。
ひとつは30by30に絡んだ自然共生サイトの認定申請、30by30でOECM認定に向けた動きが熱いですもんね、当然予想しておくべき分野でした。もういっこは家畜感染症対策計画に係る野生鳥獣生息状況調査、ここ数年続いている獣害モノでした。鳥インフルエンザの影響で卵の市場価格が高騰するなど社会的にも大問題となってますもんね。家畜感染症関連、これまた盲点でした。。。
とはいえ、どちらも自然環境調査であることには変わりありませんし、その業務目的がそれぞれ違うということで、その目的に沿った調査や検討すべき事項を外さないように記載できればOKではないでしょうか。試験官としても発注者や社会の意向や潜在的なニーズなどをその目的を踏まえて専門技術者として提案できるそして計画できる技術者を自然環境保全の技術士としたい、ということですよね。

Ⅱ-2 次の2設問(Ⅱ-2-1,Ⅱ-2-2)のうち1設問を選び解答せよ。(青色答案用紙に解答設問番号を明記し,答案用紙2枚を用いてまとめよ。)

Ⅱ-2-1 我が国では,30by30目標達成に向けて,2022年4月に「30by30ロードマップ」を公表し,国立公園等の保護地域の拡張に加え,保護地域以外で生物多様性保全に資する区域(OECM:Other Effectibe areaーbased Conservation Measures)の設定及び管理を中心施策として取り組むこととしている。そのような中,OECMの設定を進めるため,「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」を「自然共生サイト」に認定する制度を開始し,「自然共生サイト」認定区域のうち,保護地域との重複を除いた区域については,OECMとして国際データベースに登録することとしている。そこで,ある事業者が自然共生サイトの認定を申請することとなった。この業務を担当責任者として進めるに当たり,以下の内容について記述せよ。
(1)対象区域の自然的社会的条件を設定し,本業務における調査,検討すべき事項について説明せよ。
(2)業務を進める手順を列挙し,それぞれの留意すべき点,工夫を要する点を述べよ。
(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

どんなところが自然共生サイトに認定(まだ試行段階ですが)されているのかと調べてみると、意外と身近なちょっとした自然環境(屋上緑化も!)認定の試行サイトとして紹介されていました。これは気軽に申請できそうな感じですよね。これから一気に全国的な動きになるかもしれません。


大手町タワー(東京建物株式会社)
自然共生サイト認定の試行(後期)協力サイト
【東京都千代田区】

Ⅱ-2-2 2022年から2023年にかけて,野鳥における高病原性鳥インフルエンザの感染が例年以上の頻度で確認され,また,豚熱に関しては,2018年9月以降,各地で野生イノシシの感染が拡大している。このように近年,野生鳥獣由来の感染症の影響は野生鳥獣のみならず畜産業界へも甚大な被害をもたらしている。そこで,ある市町村が畜産農家の家畜感染症対策計画を策定するため,周辺地域に生息する野生鳥獣の生息状況等を調査することとなった。この業務を担当責任者として進めるに当たり,以下の内容について記述せよ。なお,本業務は対象地域において感染症が確認される以前に行われる調査を想定する。
(1)本業務における調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順を示し,それぞれの段階において留意すべき点,工夫を要する点を述べよ。
(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

問題文前文最後の「なお」書きは要注意です。「本業務は対象地域において感染症が確認される以前に行われる調査を想定」したものでなければダメですよ。問題文を慌てて読んで、感染症発生後調査だぁ!と業務の設定を誤ってしまうとマズイです。


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自然環境保全 選択科目Ⅱ-1

続きまして、自然環境保全Ⅱ‐1、4つの設問のうち1問を選ぶスタイルの、「選択科目」に関する専門知識について試される選択科目Ⅱ-1です。

○ワシントン条約
○国立公園、国定公園など
○ビジターセンターなどの管理運営計画
○グリーンインフラ

ワシントン条約はアレとして、公園関係が2つも並んで出題されたのには驚きました。しかもいまさらな感じで公園の制度上の違いについて書かせるなんて。字面だけ見るとまるでクイズ番組の台本のようです。
そしていまさらといえばグリーンインフラが問われました。考えてみると昨年は建設部門の建設環境のほうでEco-DRRが出題されましたが、コール&レスポンスのように今年は環境部門の自然環境保全のほうでグリーンインフラが出題されました。なんだか往復書簡というか、内輪でイチャついているのを見せつけられているような感じもいたします(笑)。わたしが受験した10数年以上昔は国交省と環境省はあまり反りが合わなかった印象がありましたが、いまではすっかり仲良しになっているようですね。

19-3 自然環境保全【選択科目Ⅱ】
Ⅱ 次の2問題(Ⅱ-1,Ⅱ-2)について解答せよ。(問題ごとに答案用紙を替えること。)

Ⅱ-1 次の4設問(Ⅱ-1-1~Ⅱ-1-4)のうち1設問を選び解答せよ。(緑色答案用紙に解答設問番号を明記し,答案用紙1枚にまとめよ。)

Ⅱ-1-1 ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の目的と概要を述べ,同条約と関連がある我が国の国内法を2つ以上挙げ,そのうちの1つについて,同条約と関連する規制内容を述べよ。

Ⅱ-1-2 国立公園,国定公園,国民公園,国営公園のそれぞれについて,制度上の違いを述べよ。また,各公園の具体的な名前を挙げよ。

Ⅱ-1-3 国立公園などの利用拠点における博物展示施設(ビジターセンター,インフォメーションセンターなどを含む。)の管理運営計画の検討に必要な基本的な考え方を述べ,計画に載せるべき主要な項目を3つ挙げよ。そのうえで,主要な項目に含まれる細部項目を複数挙げ,さらに細部項目を1つ選び,計画に掲載する際の検討内容を詳しく述べよ。

Ⅱ-1-4 自然共生やレジリエントな地域づくりに向けて,「グリーンインフラ」や「生態系を活用した防災・減災(EcoーDRR)」の取組がある。「グリーンインフラ」について,以下の問いに答えよ。
(1)「グリーンインフラ」の概要と効果について述べよ。
(2)「グリーンインフラ」の事例を3つ以上挙げよ。

横山展望台・横山ビジターセンター
【三重県志摩市 伊勢志摩国立公園】


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環境部門 必須科目Ⅰ 持続可能で強靭な社会経済を実現するためのアプローチと放射性物質汚染冷却水等の処理水の海洋放出

今日は環境部門の問題文を取り上げます。まずは必須科目から。

19 環境部門【必須科目Ⅰ】
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)

Ⅰ-1 令和4年版の環境白書によれば,現在,「気候危機」とも言われている状況にあり,また,大量生産・大量消費・大量廃棄のライフスタイルは,大量の廃棄物や排出ガス,排水等を発生させるとともに,生物多様性の損失を招き,地球環境に限界をもたらしつつある。これらの危機に対処するためには,持続可能性を実現するための「脱炭素」,「循環経済」,「分散・自然共生」という多角的かつ相関している3つの切り口からのアプローチが必要である。以上を踏まえ,持続可能で強靭な社会経済を実現するためのアプローチについて,以下の問いに答えよ。

(1)上記の切り口を踏まえ,技術者としての立場で3つ以上の観点から課題をそれぞれ抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち,国際的目標達成の困難性が高い課題であっても最も重要と考えるものを1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を,環境部門の専門技術用語を交えて示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)~(3)の業務遂行に当たり,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から必要な要件を題意に即して述べよ。

建設部門と同様、課題は「3つ以上の観点」から抽出することが求められていますね。まぁこれまで通りの3つでもOKです。
環境白書からザックリ出題されているので取組やすいですね。皆さん各自で準備していたネタが使えたと思います。それを問題文で問われている3つの切り口からのアプローチであることがわかるように記述できたらバッチリです。

Ⅰ-2 平成23年(2011年)3月に発生した東日本大震災と,それに伴い引き起こされた東京電力福島第一原子力発電所内原子炉群の損傷により,放射性物質に汚染された大量の冷却水等が発生した。この冷却水等については,トリチウム水以外の大部分の放射性物質をALPSという浄化装置を通して除去し,処理水として同敷地内に設置されたタンクに保管されてきた。その保管量はタンク容量の97%(令和5年(2023年)4月現在)になっており,対応が急がれている。政府は,福島県はじめ関係者に,同処理水について,トリチウムは国が定める濃度限度の40分の1,500Bq/L以下,トリチウム以外の核種も規制基準の100分の1以下の濃度に低減させたうえで海洋へ放出することの了解を得るべく説明を続けてきたが,このたび令和5年度(2023年度)中に同処理水の海洋放出を行うこととなった。以上のことから,本件事案にかかる技術的側面,環境への影響に関する知見,合意形成といった観点を踏まえつつ,以下の問いに答えよ。

(1)技術者としての立場で,処理水を海洋放出することに際して3つ以上の観点から課題をそれぞれ抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題の中から最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を,環境部門の専門技術用語を交えて示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行したうえでなお生じうる課題と,それへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)~(3)の業務遂行に当たり,技術者としての倫理,様々なステークホルダ間でのコミュニケーションや合意形成の観点から必要となる要件・留意点を題意に即して述べよ。


2019年5月当時の福島第一原子力発電所敷地
【福島県双葉郡大熊町・双葉町】

ALPS処理水の海洋放出が問われるとは夢にも思いませんでした。参りました。きちんと考えていなかったです。どちらかというと水産部門の技術士として福島県沿岸産(東日本沿岸産)の水産物への影響や風評被害などについていろいろと考えていました。
これからわたしもじっくり考えてみようと思います。

最後の設問(4)は技術者倫理だけでなくコミュニケーションについても問われていますね。これについても驚きました。まぁコミュニケーション手法ではなく、あくまでそのために必要となる要件、留意点なのですが。

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2023年7月19日水曜日

令和5年度技術士筆記試験の再現論文に対するコメント評価

すでに受付を開始しておりますが、あらためてご案内いたします(例年通りです)。
デキに手ごたえのあるかたも、自信のないかたも、試験答案について第3者の視点での評価を欲しているかたはぜひどうぞ。

①令和5年度筆記試験の再現論文に対するコメント評価
内容:再現論文のコメント評価を行います。総監以外は必須科目Ⅰ、選択科目Ⅱ-1、Ⅱ-2、Ⅲの合計4つ、総監は記述論文(必須科目Ⅰ-2)です。原稿に赤を入れるのではなく、メールでコメントをお返しする方式です。
返信回数:各問題に対し、1回のコメントとそのコメントを受けての再質問・返信を1回の計2回
※令和5年度試験の答案用紙を模したワードファイルを差し上げます
料金:3,000円

★お申込みはこちらからお願いします

対象とするは以下の2つです。
●建設部門建設環境・環境部門自然環境保全・水産部門水産資源及び水域環境ほか
技術士受験指導の経験は早いもので12年、そして建設環境分野、自然環境保全分野、水産水域環境分野の技術者としての業務経験は27年になりました。これまで主に沖縄県内での環境調査、環境影響評価、自主アセス(ミニアセス)に携わっております。
わたしの専門はどちらかというと自然環境に関する分野ですので生活環境の保全に関する現場感覚はやや劣るかもしれません。しかしながらこれまで添削するうえで支障はありませんでした。
また、他の科目についてもご希望であればお引き受けします。ただし選択科目の専門技術に関する評価、指摘や指導はできません。あくまで論理構成や文章に関する添削となります。
なお、これまでほかの科目については、建設部門の道路、鋼構造及びコンクリート、河川、砂防及び海岸・海洋、環境部門の環境保全計画、環境影響評価、水産部門の水産土木のかたの答案を添削いたしました。

●総合技術監理部門
総監については科目を問いません。ただし建設-建設環境や水産-水産資源及び水域環境、環境-自然環境保全以外の科目の場合には専門技術を踏まえた管理については言及できないこともあります。
なお、これまで建設環境、水産資源及び水域環境、自然環境保全以外では、電気電子-電気設備、土質及び基礎、鋼構造及びコンクリート、都市及び地方計画、河川砂防・海岸海洋、港湾及び空港、道路、施工計画・施工設備及び積算、上水道及び工業用水道、農業-農業農村工学、経営工学-サービスマネジメント、環境-環境保全計画のかたの答案を添削いたしました。

【注意事項】
●本サービスは、Gmailを使用して行いますので、Gmailの送受信が可能な環境であることが必須条件です
●本サービスに使用するファイル形式はPDFもしくはMS Wordファイルのみです。これ以外のファイルは原則として対応できません
●添削指導の対象である受験申込書や論文等はメールに添付してお送りいただきます
●メール受信後、添削コメント等を返信するまでに最大4日間の日数をいただきます
●総監については科目を問いませんが、建設-建設環境、水産-水産資源及び水域環境、環境-自然環境保全以外の科目の場合には専門技術を踏まえた管理については言及できないこともあります
●PDFの領収書は発行できますが、受講代金の10%を上乗せした代金を頂戴します
●なおインボイス発行事業者への登録は行っておりませんので適格請求書の発行はできません
●振込手数料はご負担ください

本サービスをご希望されるかたは上記の内容を確認いただいたうえで下記のフォームにてお申込みください。お申込みの時点で上記の注意事項に同意いただいたものとします。

フォームを受信後、遅くとも翌日中には振込先の銀行口座をご案内するメールをGmailで返信いたします。
※3日以上経過しても返信がない場合はGmailとのやりとりが不可能な環境と思われます。その際はお手数ですがご自身で設定等を調整したうえで再度ご応募ください。


★お申込みはこちらからお願いします

建設環境 選択科目Ⅲ コンパクト+ネットワーク等による脱炭素型まちづくりと環境に配慮した治水事業

「問題解決能力及び課題遂行能力に関する」問題Ⅲ、Ⅲ-1が脱炭素型まちづくり、Ⅲ-2環境に配慮した治水事業でした。パターンとしては「脱炭素」と「生物多様性」ということでは昨年度と同じでしたね。どちらも想定内どころか過去問でも類似したものが出題されていますから骨子ネタなど流用できたんじゃないでしょうか。そういうことでは今回もどちらの問題を選択するか迷ったかもしれませんね。迷ってしまうと見切り発車で書き始めることにもなって、最後の最後で選択問題番号を書き忘れてしまう事案が発生しやすいです。くれぐれも注意してください(ってもう試験は終わってしまいましたが)。
それにしても課題を「3つ以上」というのは4つ5つとたくさん書いたほうが評価されるのか、3つに留めてひとつひとつを深堀したほうが評価されるのか、どうなんでしょうかね。

Ⅲ 次の2問題(Ⅲ-1,Ⅲ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(赤色答案用紙に解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)

Ⅲ-1 令和2年12月に設置された「国・地方脱炭素実現会議」において,地域脱炭素化に向けたロードマップに関する検討が進められ,令和3年6月に「地域脱炭素ロードマップ」が策定された。その中で,全国津々浦々で取り組むことが望ましい脱炭素の基盤となる重点対策として,「コンパクト・プラス・ネットワーク等による脱炭素型まちづくり」が掲げられており,市街地が拡散した都市構造を見直し,集約型の都市構造へ転換を図ることの重要性が示されている。都市構造は交通システムや土地利用に影響を及ぼし,中長期的に二酸化炭素排出量にも影響を与えることから,集約型の都市構造は脱炭素社会の実現に向けて重要な役割を持つことを踏まえ,以下の問いに答えよ。

(1)市街地が拡散した都市構造から集約型の都市構造へ転換を図るための取組を進めながら,同時に脱炭素型まちづくりの実現に向けた取組も進めるに当たり,市街地が拡散した都市構造が抱える二酸化炭素排出量の増加につながっている課題を,技術者としての立場で多面的な観点から3つ以上抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を,都市構造の集約化を含めて複数示し,専門技術用語を交えて具体的に説明せよ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。



大阪市街と大川(旧淀川)~土木学会田中賞受賞の川崎橋上空
【大阪府大阪市】

Ⅲ-2 気候変動の影響で大規模な水災害が頻発しており,全国各地で緊急的な河川の流下能力向上を目的とした治水事業が行われている。一方,河川は洪水を安全に流下させるための空間としてだけでなく,河川全体の自然の営みを視野に入れ,地域の暮らしや歴史・文化との調和にも配慮し,河川が本来有している生物の生息・生育・繁殖環境及び多様な河川景観を保全・創出することが求められており,河道掘削等の整備内容に応じた河川環境の保全や影響緩和を検討することが必要である。このような状況を踏まえ,以下の問いに答えよ。

(1)整備内容に応じた河川環境の保全や影響緩和の検討に当たって,技術者としての立場で多面的な観点から課題を3つ以上抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち,最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を,専門技術用語を交えてを示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。


流域治水については必須科目Ⅰ対策で抑えていたと思いますが、これに環境配慮と繋げて考えていたひとは専門技術用語を交えてスラスラ書けたことでしょう。

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2023年7月18日火曜日

建設環境 選択科目Ⅱ-2-2 閉鎖性海域における海の再生計画

つづきまして海の再生計画です。久しぶりの閉鎖性水域モノでしたね。
久しぶりとはいえ、なんだか環境部門だとか水産部門っぽくもあり、建設環境で出題されたのにはちょっと驚きました。

前の投稿でも書きましたが、こうした自然再生の計画策定にあたってアレコレ考えるのって楽しいですよね。自分なら何を書こうかなと夢が膨らんじゃいます。

Ⅱ-2-2 平成27年の「瀬戸内海環境保全特別措置法」の改正では,「生物の多様性及び生産性が確保されていること等その有する多面的価値及び機能が最大限に発揮された豊かな海とする」ことが盛り込まれた。このような動向を踏まえつつ,閉鎖性海域において,「豊かな海」を目指した海の再生計画を策定することとなった。この業務を担当責任者として進めるに当たり,下記の内容について記述せよ。

(1)業務を進めるに当たり,調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順を列挙して,それぞれの項目ごとに留意すべき点,工夫を要する点にを述べよ。

(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

下灘駅
日本で一番海に近い駅
【愛媛県伊予市】

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建設環境 選択科目Ⅱ-2-1 陸生動植物及び陸域生態系の環境影響評価(方法書から準備書まで)

つづいて「選択科目」に関する応用能力について試される選択科目Ⅱ-2です。
今回は陸の環境アセスと海の再生計画でした。
まずは王道の環境アセスから。自然環境系のひとはこっちを選んだかもですね。
しかし私の専門分野は海域の自然環境系なので、受験していたらどっちを選んだのかなぁと考えちゃいます。無難に淡々とアセスについて書くならこっち、風呂敷をひろげながらパッションを試験官に直接ぶつけるならあっち、でしょうか。書いていて気持ちが乗りそうなのはやっぱり海の再生計画ですかね。

Ⅱ-2 次の2設問(Ⅱ-2-1,Ⅱ-2-2)のうち1設問を選び解答せよ。(青色答案用紙に解答設問番号を明記し,答案用紙2枚を用いてまとめよ。)

Ⅱ-2-1 環境影響評価法に定める第一種事業に該当する鉄道事業(地上部)が,ある自然豊かな地域で計画されている。本事業における環境影響評価のうち,陸生の動植物及び陸域生態系に関する環境影響評価について,方法書の作成から準備書の作成までを担当責任者として進めるに当たり,下記の内容について記述せよ。

(1)方法書の作成に当たって,調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)方法書の作成から準備書の作成までの手順を列挙して,それぞれの項目ごとに留意すべき点,工夫を要する点を述べよ。

(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

秋田新幹線こまち
【秋田県大仙市 大曲駅】

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建設環境 選択科目Ⅱ-1

一夜が明けました。バッチリうまく書けて自信と期待がたっぷりなひと、問題によってはデキがいまいちだったのがあって不安でいっぱいなひと、なんとか無理やり書いたけどやっぱりたぶん無理なんだろうなと半分諦めてしまっているひと、その間を行きつ戻りつ逡巡しているひと、いろんなひとがいると思います。10月末の合格発表までの短いようでそれなりに長い期間、受験したひとだけが味わえる(味わわざるを得ない)感情の浮き沈みは貴重な体験でもあります。とにもかくにも試験が終わりましたので、頭と体を休めて気持ちをリフレッシュさせ、これからの夏本番、業務に実務に集中してください!

それでは建設環境Ⅱ‐1、4つの設問のうち1問を選ぶスタイルの、「選択科目」に関する専門知識について試される選択科目Ⅱ-1です。

○健全な水循環に向けた取組(課題と対応策)
○使用済み太陽光パネルの処理(課題と対策)
○道路緑化による景観向上機能と環境保全機能
○景観地区制度

4問ともなかなかシブいですねぇ。このブログでも5月に出題予想をしたわけですが、今回はひとつも当てることができませんでした。。。これまで4つのうち1つや2つはカスっていたんですけどね。スミマセン。
でも、景観地区制度は制度について知らなかったらなかなか厳しいものがありますが、水循環とか太陽光パネル廃棄物、あるいは道路緑化の機能については、持てる知識を総動員すればなんとか対応できるのではないか(建設環境の技術者なら対応してほしい)とも思います。無理やりでも頭の片隅から引っ張り上げて、なんとか答案用紙1枚ぶんを絞り出して下さい!そういう意味ではそこまで難しい問題ではなかったと思います。

9-11 建設環境【選択科目Ⅱ】
Ⅱ 次の2問題(Ⅱ-1,Ⅱ-2)について解答せよ。(問題ごとに答案用紙を替えること。)

Ⅱ-1 次の4設問(Ⅱ-1-1~Ⅱ-1-4)のうち1設問を選び解答せよ。(緑色答案用紙に解答設問番号を明記し,答案用紙1枚にまとめよ。)

Ⅱ-1-1 平成26年に「水循環基本法」が制定され,健全な水循環の維持又は回復に向けて,その関連する施策が総合的かつ一体的に推進されている。健全な水循環の維持又は回復に向けた取組を進めるに当たっての課題を複数挙げ,それぞれの対応策を述べよ。

Ⅱ-1-2 将来にわたり太陽光発電設備が健全に普及していくためには,導入段階から廃棄段階までの様々な課題に対して具体的な対策を進めていくことが重要である。このうち同設備の廃棄段階における使用済み太陽光パネルの処理に関する環境上の課題を複数挙げ,それぞれに関して対策を述べよ。

Ⅱ-1-3 道路緑化の機能のうち,「景観向上機能」,「環境保全機能」について,それぞれ説明せよ。

Ⅱ-1-4 「景観法」に規定されている景観地区制度について説明せよ。

赤福本店
景観地区:内宮おはらい町地区
【三重県伊勢市】


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2023年7月17日月曜日

建設部門 必須科目Ⅰ 巨大地震対策とインフラメンテンナンス第2フェーズ

筆記試験、たいへんお疲れさまでした(^^)/
皆さん、どうでしたか?
昨年に引き続きわたしも試験本部員として参加しました。沖縄会場は久しぶりの沖縄大学でした。コロナの3年間はリゾートホテルで実施していましたからね、パラソルが並んだプールがすぐ横にあったり、試験室の照明がシャンデリアだったりとなんだか落ち着かなかったのですが、大学構内での実施が叶い、ようやく平常に戻った感がします。
それではこれから複数回にわたって問題文をアップいたします。
まずは建設部門の必須科目から。

それにしてもアレですね、今回の建設部門は2問とも王道中の王道ジャンルでした。
どっちも準備していたひとがほとんどだったのではないでしょうか。しかし今年が関東大震災から100年とは全く認識しておりませんでした。わたしは実は高校まで関東で育ったので、関東大震災は幼少期から骨身に染みるほど叩き込まれていました。小学校時代は各自の席に自前の防空頭巾をクッション替わりに使用していましたしね。そうですか、100年になるんですか。。。
もうひとつは維持管理でした。ただし維持管理とはいえ、ちょっと変化球というか最新の取組方策である「第2フェーズ」について問われているため、事前準備していなかったひとは念のため避けたかもしれませんね。課題や問題点ネタが問題文前文で既に展開されていますからね。それを受けてどんな課題があるのか、が問われました。
それにしても環境部門などはちょっと予想外のジャンルが出題されたこともあって新鮮な驚きがありましたが、建設部門のこの揺るがない王道感は面白味がない反面、技術力、意識、姿勢が問われているような気がします。

そして当然のことながら(?)、各設問の出題様式はほぼこれまで通りの例年通りでした。

9 建設部門【必須科目Ⅰ】
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)

Ⅰ-1 今年は1923(大正12)年の関東大震災から100年が経ち,我が国では,その間にも兵庫県南部地震,東北地方太平洋沖地震,熊本地震など巨大地震を多く経験している。これらの災害時には地震による揺れや津波等により,人的被害のみでなく,建築物や社会資本にも大きな被害が生じ復興に多くの時間と費用を要している。そのため,将来発生が想定されている南海トラフ巨大地震,首都直下地震及び日本海溝・千島海溝周辺海溝型地震の被害を最小化するために,国,地方公共団体等ではそれらへの対策計画を立てている。一方で,我が国では少子高齢化が進展する中で限りある建設技術者や対策に要することができる資金の制約があるのが現状である。
 このような状況において,これらの巨大地震に対して地震災害に屈しない強靭な社会の構築を実現するための方策について,以下の問いに答えよ。

(1)将来発生しうる巨大地震を想定して建築物,社会資本の整備事業及び都市の防災対策を進めるに当たり,技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち,最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり,技術者としての倫理,社会の持続性の観点から必要となる要点・留意点を述べよ。

おつかれさまでした!
【沖縄県那覇市首里】

Ⅰ-2 我が国の社会資本の多くが高度経済成長期以降に整備され,今後建設から50年以上経過する施設の割合は加速度的に増加する。このような状況を踏まえ,2013(平成25)年に「社会資本の維持管理・更新に関する当面講ずべき措置」が国土交通省から示され,同年が「社会資本メンテナンス元年」と位置づけられた。これ以降これまでの10年間に安心・安全のための社会資本の適正な監理に関する様々な取組が行われ,施設の現況把握や予防保全の重要性が明らかになるなどの成果が得られている。しかし,現状は直ちに措置が必要な施設や事後保全段階の施設が多数存在するものの,人員や予算の不足をはじめとした様々な背景から修繕に着手できていないものがあるなど,予防保全の観点も踏まえた社会資本の管理は未だ道半ばの状態にある。

(1)これからの社会資本を支える施設のメンテナンスを,上記のようなこれまで10年の取組を踏まえて「第2フェーズ」として位置づけ取組・推進するに当たり,技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち,最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり,技術者としての倫理,社会の持続性の観点から必要となる要点・留意点を述べよ。


とにかく論文の再現だけは、今日か、遅くとも明日中にはやっておいてくださいね!
毎年再現できなくて泣きを見る人がいます。

再現論文を添削評価します。よかったらどうぞ下記からお申し込みください。

2023年7月16日日曜日

総監 必須科目Ⅰ-2 記述式問題文

筆記試験、たいへんお疲れさまでした(^^)/
記述問題は「SWOT分析」でしたね!
冒頭「新型コロナウイルス感染症の流行~」なんてあるので「うおぉぉぉっ!?」となりましたが、BCPとかではなく無難(?)な経営戦略的なものでしたね。
SWOT分析やクロス分析なんて言葉に触れたことがあるだけのひとが多かったと思いますが問題文を読むと解説的な内容にもなっているので設問ひとつづつを素直に丁寧に追っかけたら何とかなったのではないでしょうか(なぁんてそんな簡単な話ではないと思いますが)。
要は外部環境と内部環境のそれぞれのプラスマイナスを分類してその組み合わせを踏まえた戦略(対策、将来計画)を立てたらイイと思います(答案に書くのはそのうち3つ)。で、その戦略を立てる場合にちゃんと全体最適化、トレードオフを意識した計画にするとバッチリですよね。

それにしても秋田の豪雨災害は思いのほか酷いことになってしまいました。先月に秋田県を訪問する機会があり、案内していただいた知り合いの秋田県在住技術士のひとに連絡したら今日明日の試験を断念するひとも少なくないだろうとのことです。報道を見ても試験どころじゃない甚大な被害が出ているようです。試験地が仙台になると思いますから移動手段が失われたひともいると思います。1年に1度しかない国家試験というのは重いです。

有料ですが再現論文を添削評価します。よかったら下記フォームからお申し込みください。

【秋田県大仙市大曲通町】

必須科目
Ⅰ-2 次の問題について解答せよ。(指示された答案用紙の枚数にまとめること。)

 近年,新型コロナウイルス感染症の流行,国際的な政情不安等,社会の様々なリスク要因が増加しつつある。またICTの急速な進展の成果等が利用可能となる反面,深刻な少子高齢化や労働力不足の加速化等,我が国の経済社会は大きく変化しつつある。不安定な時代にあって,組織を様々な視点から分析し,組織の持続的発展等に向けた戦略を適切に立案することは,総合技術監理部門の技術士など組織を総合的に俯瞰すべき者にとり,益々重要となってくるといえよう。
 そこでここでは,SWOT分析の考えをベースにした組織分析,組織の戦略立案を行いたい。
 SWOT分析は主に,経営・マーケティング分析で用いられてきた手法であるが,近年は行政機関でもこの手法を施策づくりに活用するなどの例が出てきている。組織の目的はその性質によって様々であり,例えば民間企業では「利益の最大化」などが考えられ,行政機関等では「公益の最大化」などが考えられる。その目的達成のための戦略立案に,SWOT分析が活用できるであろう。以下,この論文において実施するSWOT分析の手法について説明する(図1を参考されたい)。
 まずSWOT分析では,内部環境としての「強味(Strength)」と「弱み(Weakness)」,外部環境としての「機械(Opportunity)」と「脅威(Threat)」の4つの要因に着目し,それぞれに含まれる項目を特定する。本論文では,「内部環境(S:強味,W:弱み)」は組織の活動や努力によって変えうるものとし,例えば人材・設備・技術・ノウハウ等の組織の様々な経営資源や組織文化等の無形資源が考えられる。また「外部環境(O:機会,T:脅威)」は,取り上げた組織の活動や努力とは無関係又は変更が困難なものとし,例えばICTの進展等の技術的要因,景気動向等の経済的要因,法令・規制の変更等の政治的要因,人口動態やライフスタイルの変化等の社会的要因,顧客や市場の変化,競合他社の動向,などが考えられる。
 S,W,O,Tそれぞれに含まれる主な項目を特定した次の段階として,各項目を掛け合わせるクロス分析により,様々な戦略を立案することが一般的に行われる。クロス分析のパターンとしては,以下の4つのパターンがあり,それぞれにおいて考えられる典型的な戦略の例を合わせて示す。
 パターンA:(S:強味×O:機会)組織の強みがある領域に機会が生じたパターンであり,例えば活動の拡大や新規の活動への進出等の戦略が考えられる。
 パターンB:(W:弱み×O:機会)組織の弱みがある領域に機会が生じたパターンであり,機会を活かせるようにするために,例えば外部からの補強や他組織との提携,経営資源の段階的な改善等の戦略が考えられる。
 パターンC:(S:強み×T:脅威)組織の強みがある領域に脅威が生じたパターンであり,例えば製品・サービスの付加価値向上による差別化等の戦略が考えられる。
 パターンD:(W:弱み×T:脅威)組織の弱みがある領域に脅威が生じたパターンであり,脅威を回避するために,例えば活動の縮小や撤退等の戦略が考えられる。


 以上を踏まえ,総合技術監理の視点に留意しつつ,以下の(1)~(3)の問いに答えよ。
 なお総合技術監理の視点とは,「業務全体を俯瞰し,経済性管理,安全管理,人的資源管理,情報管理,社会環境管理に関する総合的な分析,評価に基づいて,最適な企画,計画,実施,対応等を行う。」立場からの視点をいう。なお,書かれた論文を評価する際,考察における視点の広さ,記述の明確さと論理的なつながり,そして論文全体のまとまりを特に重視する。

(1)本論文においてあなたが取り上げる組織について,以下の問いに答えよ。
 ここでの「組織」は,継続的に事業やプロジェクトを実施する機能を有する「組織」のことであり,組織が取り扱う事業やプロジェクトそのものではないことに留意されたい。また取り上げる組織としては,組織体全体でもよいし,その一部を構成する「事業部」,「地方組織」などの単位で自由に設定してもよい。
問い(1)については,答案用紙1枚以内にまとめよ。
① 取り上げる組織の概要及び組織の役割を記せ。
② この組織における経営資源(人財・設備・技術・ノウハウ等),及びアウトプット(この組織が創出する製品・構造物・サービス・技術・政策等)を記せ。
③ この組織の主要な業務プロセス(経営資源によりアウトプットを創出する過程の代表例)を記せ。

(2)取り上げた組織に関する,S:強み,W:弱み,O:機会,T:脅威の4つの要因について,「それぞれ2項目ずつ」を挙げ,各項目の具体的内容を記せ(合計8項目を記載すること)。
(問(2)については,答案用紙を替えたうえで,答案用紙1枚以内にまとめよ。)
 S1:(強みの1つめの記載)
 S2:(強みの2つめの記載)
 W1:(弱みの1つめの記載)
 ・・・
 以下同様に,SWOTの順で記載すること。

(3)近い将来(概ね今後5年以内)の実現を図ることを目標とし,「組織が何をすべきか(What),そのためにどう具体的に行動するか(How)」を主体として「戦略」を立案したい。
 ここでは,パターンA,B,C,Dから異なる3つのパターン(例えば,A,B及びD)を選択し,選んだ3つのパターンそれぞれについて,項目の組合せを選び,それらをベースとした戦略を考える(計3つの戦略を立案する)。項目の組合せを選ぶに当たり,S,W,O,Tのそれぞれについて問(2)で記した2つの項目から1項目のみを組み合わせに用いてもよいし,2項目の両方を用いてもよい。
 上記に留意し,以下の問いに答えよ。
問い(3)については,3つの戦略それぞれについて,答案用紙を替えたうえで,答案用紙1枚以内にまとめよ。
① 戦略のベースとなる項目の組合せ及び戦略が目指す目標を簡潔に記せ。
 (なお項目の組合せについては,例えば「S1」と「O2」の組合せを選んだ場合,(S1×O2)と記し,「W1及びW2」と「T1」の組合せの場合は(W1・W2×T1)のように記す。続いて戦略が目指す目標を記す)。
② この目標を達成するための,戦略の具体的な方策(組織が何をすべきか,どう行動するか)について記せ。
③ この戦略を今後5年以内に実現するに当たり直面する障害とその克服策を,総合技術監理の視点から記せ。(異なる総合技術監理分野のトレードオフに留意すること)
ーーーここまでーーー

昨年度に引き続き設問(3)は計画策定ならぬ戦略立案でした。
SWOT分析なんてやったことないひとが多いと思いますが、なんとか喰らいついて試験官の言わんとすることを汲み取れたら、こういった計画立案系は面白いですよね。
自組織の強みと弱みをしっかり抽出できたら、ただの良く書けた答案で終わらせずに今後の組織のさらなる発展に活かしたいです。今回の分析結果を埋もれさせずに戦略をさらに具体化させるなり上層部に進言するなりしてもいいんじゃないでしょうか。

択一のほうはまだ確認していないのですが、皆さん、どうだったでしょうか。
(7/18追記)試験から2日後の本日、日本技術士会HPに早くも択一の正答が発表されています!問題文はまだ未発表なのに(驚)。

2023年7月11日火曜日

気候変動等を考慮した臨海部の強靱化のあり方

九州北部の大雨は土石流を引き起こすなどたいへんな災害になりました。
毎年のように被害が発生しています。防災減災についてはすでにいろいろな対策をしているはずですが、どうしても被害がでてしまいますね。それでも過去の経験が活かされている側面もあるはずです。世の中が少しづつでもよくなる方向へとわたしも微力ながら尽力したいと思っています。

そして昨日は標記のような答申が公表されました。
臨海部限定ですが、大まかな方針は防災減災インフラ整備に転用できる「強靭化のあり方」だと思います。
来週の筆記試験でも特に建設部門の必須科目で「国土強靭化」分野が出題された場合には積極的に下記答申ポイントを転用してください。

【答申に示された施策のポイント(をすごろくがアレンジ)】
(1)災害等に強い海上交通ネットワークの構築
・耐震強化岸壁整備等の加速化
・全国的視点による広域的・一元的な利用調整
(2)物流・産業・生活機能が集積し、面的に広がる港湾・臨海部の強靱化(面的強靱化)
・災害等に対する脆弱性の評価(リスクの見える化)
・官民連携した防災・減災計画による対策の実施
(3)実現のための枠組み
・気候変動適応等を関係者が協働して進めるための枠組みの構築
港湾防災情報のデジタル化・高度化

門司港
【福岡県北九州市門司区



「気候変動等を考慮した臨海部の強靱化のあり方」をとりまとめ
~交通政策審議会の答申を公表~

令和5年7月10日

気候変動や大規模地震・津波の切迫等を踏まえて、本日、交通政策審議会より、「気候変動等を考慮した臨海部の強靱化のあり方」が答申されました。
今後、本答申に示された、災害等に強い海上ネットワークの構築や港湾・臨海部の面的強靱化等を推進して参ります。

○気候変動による気象災害リスクの増大の明確化や、大規模地震・津波災害の切迫化、カーボンニュートラルポート形成を
 含めた港湾を取り巻く環境の変化等を踏まえた臨海部の強靱化のあり方について、令和4年12 月より、5回にわたり
 交通政策審議会港湾分科会防災部会において審議されてきたところ、本日、交通政策審議会から国土交通大臣に対し、
 答申されました。
○今後は、本答申に示された施策の実現に向け、関係者が連携した所要の仕組みの整備や新たな技術開発等を進めるとともに、
 社会情勢の変化や気候変動の状況等にも柔軟に対応しつつ、着実な施策の展開を図っていきます。

【答申に示された施策のポイント】(答申の概要は別紙参照)
(1)災害等に強い海上交通ネットワークの構築
・耐震強化岸壁整備等の加速化
・全国的視点による広域的・一元的な利用調整
(2)物流・産業・生活機能が集積し、面的に広がる港湾・臨海部の強靱化(面的強靱化)
・災害等に対する脆弱性の評価(リスクの見える化)
・官民連携した防災・減災計画による対策の実施
(3)実現のための枠組み
・気候変動適応等を関係者が協働して進めるための枠組みの構築
・港湾防災情報のデジタル化・高度化

※答申(本文)及び防災部会における審議経過について、以下のURL よりご覧ください。
 https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s303_kouwanbousai01.html
 

添付資料

報道発表資料(PDF形式)PDF形式

2023年7月10日月曜日

持ちものリスト

九州北部では線状降水帯が発生した大変な状況のようです。梅雨の終わりは毎年怖いですね。とても心配です。

いよいよ筆記試験1週間前となりました。
総監受験のかたは択一対策を、その他部門のかたは手書き練習や骨子の再確認など、最後の最後まで最後の悪あがきをしてください。
と同時に、試験本番までの残り期間はいよいよ「新型コロナウイルスの感染防止及び健康管理」を最優先にお過ごしください。沖縄は再び感染者数が増加しています。自宅近くに比較的大きな病院があるのでここ数日救急車のサイレンが昼夜問わずひっきりなしです。やはり増えてるなと実感します。わたしは実はまだ一度も罹っていないのでそろそろかも?と腹をくくっていますが、それでもやっぱり試験前後はとても忙しいのでここで倒れてしまっては多くの皆さんに迷惑をかけてしまいますのでなんとか頑張っています。
高齢者や基礎疾患のあるひとを除くとそれほど心配しなくてもよいような感じもしますが、それでも受験に影響します。発熱すると受験できませんし、発症から数日経過して社会活動できる状況に回復したとしても万全ではないと思います。とてもじゃないけど1日受験は体力的にとてもキツイんじゃないでしょうか。感染対策レベルを緩めていたかたも受験対策としてはいまいちど気を引き締めなおしてください。

重要といえば持ち物も大事ですよね。持参必須のモノを忘れては話になりませんが、必須ではないもののあったほうがいいモノ、役に立つモノが手元にあるとなにかと安心です。
下記はわたしが受験する際の持ち物リストです。試験会場で実力をしっかり発揮するためのおすすめリストですので、よかったら参考にしてください。

★受験票(今回も試験当日の体温記入欄があるのかな?)
●運転免許証やマイナンバーカード、社員証等の顔写真付き身分証明書(受験票を紛失した場合への備え。本人確認を求められることもあります)
●財布(現金やクレジットカード、SuicaやPasmoなど交通系ICカードや電子マネー)
●スマートフォン(試験中はオフです。機内モードにすれば着信しないからと安心してはいけません。タイマーやアラームで音が鳴ることがあります。電源は必ずオフにしてください!)
★使いやすいシャープペンシル(わたしはDr.グリップです)
●替え芯(わたしはBです)
★消しゴム2種類(四角い良く消えるやつとノック式の1文字づつ消せるやつ、電動は不可)
▲えんぴつのひとは鉛筆削り(電動は不可)
●筆記用具ケース
★腕時計(Apple Watchなどのスマートウォッチはダメですよ!通信機能があるやつはダメです!下手をすると即退場になっちゃいます。そして音が出ないように!)
●飲み物(ペットボトルの水、麦茶とかほうじ茶など。蓋つきボトル缶はOK、水筒や缶類は不可。さらに保冷ケースも不可)
●栄養ドリンク(休憩時に後半戦用のパワーを注入、脳にブドウ糖を補充しましょう。ヤクルトでもいいかもしれません)
▲熱中症対策として飴などもあってもよいかもしれません(試験中はたべてはダメですが)
▲総監のひとは択一問題対策の資料
●記述論文資料
●いちおうマスク。マスクなしでも受験できますが、念のためにご自分用のフィットするやつを忍ばせておいたほうが良いと思います。
●上着(長袖シャツとか薄手のパーカーとか)
●眼鏡や老眼鏡(必要なひとは)
●タオルとハンカチ(汗を拭くだけでなく、くしゃみや咳の際に口を押えるのにも便利です)。今年から試験監督の許可を得れば机上に置いたままでも大丈夫のようです。
●ポケットティッシュ(ひとによってはウェットティッシュも)
●うちわ、または扇子(机上には置けません。これまで持っていったことはないのですが、コロナ対策で換気を徹底する、とのことなのでクーラーしてても暑い可能性があります)
▲「透明の」定規(1回も使ったことはありませんが)
●カード式の計算機(総監のときに使ったことがあります。音が出ないように!関数電卓はもちろん不可)
●おにぎり2個(眠くなるなど頭の回転が悪くなっちゃうので食べ過ぎに注意してください)
▲最寄りの駅などから試験会場まで炎天下を歩く場合は日傘(もしくは雨傘)もあってもイイかもしれませんね
●これらを収納するリュックやバッグ、カバンなど
●足に負担のない運動靴(サンダルのひとも多いですよね)

こんなところでしょうか。

前泊の方はこれに宿泊用道具とか着替えなどもありますね。飛行機や特急電車や船などで移動されるかたはチケットも。これら忘れもののないようにしっかり準備してから出発してください。

これまで試験監督をやっていて実感するのは、同じ部屋であっても座席によって寒かったり暑かったりいろいろです。そして試験中に設定温度をいじったりもしますので途中で暑くなったり寒くなったりと体感気温が変化することもよくあります。
試験会場が暑くても寒くても、さらには試験の最中に温度が変化したとしても対応できる服装にしてくださいね。つまり脱ぎ着できる格好です。

あとは会場には早めに着くようにしましょう。
これも試験監督をやっていた経験からですが、ギリギリ、あるいはそれこそ遅刻なんかするとたとえ受験できたとしてもよくないことがその後に起こりがちです。ろくなことないです。いいことないです(とは言え実際に遅刻しちゃったとしてもあきらめちゃダメですよ)。
泊りがけで遠方から受験するひとなど試験会場周辺の交通事情も含めて不案内のひとは事前に下見することをオススメします。沖縄も今年は久しぶりの沖縄大学ですし、例年とは違う試験会場のところが多いですからね。地元民でも放浪者が続出するかもしれません。

加えて、毎年これも口酸っぱく言っていることですが、試験監督をしていてなにがツライかというと、「受験番号」や「選択問題番号」の書き忘れが頻発していることです。
ひとつの部屋(大学の教室単位等)で数件発生しているんじゃないでしょうか。
こういったことは沖縄だけなのかもしれませんが、毎回必ずいるんです、これをやっちゃうひとが。本当に気を付けて下さい。

もうここまできたら勉強に根詰めるのではなく、睡眠をとって試験本番時にフル回転できるように前日は脳をしっかり休めておきましょう。寝不足厳禁です。

それでは皆さん、頑張ってください。
予想外の出題でもたじろがず最後まで喰らいついていきましょう!
60点以上で合格です!

久しぶりの沖縄大学
【沖縄県那覇市】

令和5年度第二次試験の実施について(7日前周知)

令和5年度技術士第二次試験は、予定どおり実施いたします。
受験者の皆様におかれましては、以下について、必ずご確認ください。

1.新型コロナウイルス感染防止対策について
 新型コロナウイルスの感染防止及び健康管理に努めて頂くこと、試験における感染防止対策(下記添付資料1)のご理解・ご協力をお願いいたします。
2.試験中止の判断基準
 自然災害等不可抗力により、一部試験地等において試験を中止せざるを得ない状況について、あらかじめ受験者皆様における、予見可能性を確保していただくため、既に受験申込み案内で周知しているとおり(下記添付資料2)、対応いたします。
 試験中止の判断の基準は、添付資料2の(試験中止の判断基準)をご参照ください。
  試験実施日;7月16日(日)・17日(月・祝)