2016年6月12日日曜日

平成27年度 国土交通白書 ~生産性の向上~

白書が出ましたね。
今年は、生産性革命をもたらす戦略的なインフラマネジメント、つまり『生産性の向上』というのがメインテーマでした。
一見、建設環境とは縁遠いテーマではありますが、平成25年度以降の問題Ⅲでは、国交省の掲げるテーマ(課題)に対して建設環境の技術者としてその課題達成に向けてどのようにしたらよいと考えるか?という設問が多いです。
つまり建設部門共通の課題に対して建設環境の技術者としてどう取り組むのか?が問われています。
ぜひ今回の『生産性向上』について多面的に考えてみてください。
取り上げられているのは主に「渋滞等を解消して移動時間を短縮すること」のようですが、そこにはあまり拘る必要はないと思います。

たとえば概要をみると、
●インフラ整備によるストック効果に企業が着目し、その効果を最大限活用するよう、インフラ整備によるストック効果の「見える化」・「見せる化」の取組みが重要。
という文言がありました。見える化ではなく、『見せる化』が要注目ですね。
インフラツーリズムなども絡めて自然に配慮した事業や自然再生事業などをいかに見せるか、といったあたりを展開できると面白そうですね。

また、
●将来にわたり、インフラの整備や維持・管理を支える担い手の確保・育成とともにICT技術を活用した現場の生産性向上(i-Construction)が重要である。
という文言もありますので、効率アップに関して、専門分野の最新技術動向もチェックしておいたほうがいいでしょう。

コスト縮小、工期短縮、人材不足、それでも品質はしっかり確保、という総監的な視点も必要になりそうです。
ただし、その達成(解決)にあたっては、総監のようなマネジメント技術を駆使するよりもあくまで専門分野の専門技術によって達成(解決)させる、というあたりに重心をおいた回答を心がけるべきでしょう。

いずれにしても課題(設問のテーマ)に対して、自分で問題点を抽出し、それに対する解決策をも導き出す、という能力が求められています。
難しいようですが、うまくやると事前に準備できる、ということでもあります。

残りひと月がんばってください!

道路整備、土地区画整備、ごみ処理施設整備、護岸整備、港湾整備、発電所建設など
業務詳細ネタの宝庫【沖縄島中部】

国土交通省

「平成27年度国土交通白書」の閣議配布について
 我が国の経済成長を支える国土交通行政の展開 ~生産性革命をもたらす戦略的なインフラマネジメント~

平成28年6月10日
 「平成27年度国土交通白書」が6月10日の閣議で配布、公表されましたので、お知らせいたします。

【概要】

2016年6月8日水曜日

運輸部門における二酸化炭素排出量

昨日に引き続き、国交省HPに掲載されている地球温暖化対策についてまとめられている箇所を抜き出してみました。
こうしてみると(こうしてみるまでもないですが)、21世紀に入って減少に転じた傾向は維持できてはいるものの、運輸部門、さらには自動車(自家用&貨物)からの排出はまだまだどうにかする必要がありますね。特に貨物の減少率が低下したことが気になります。
どうしてなんでしょうか。
考えてみてください(ついでに1990年比での貨物の減りと自家用車の伸び具合も)。

とさでん はりまや橋停留場【高知市】


運輸部門における二酸化炭素排出量

1.運輸部門における二酸化炭素排出量

【運輸部門における二酸化炭素排出量(内訳)】
 日本の二酸化炭素排出量(12億6,500万トン)のうち、運輸部門からの排出量(2億1,700万トン)は17.2%、自動車全体では運輸部門の86.0%(日本全体の14.8%)、うち、旅客自動車が運輸部門の50.8%(日本全体の8.7%)、貨物自動車が運輸部門の35.1%(日本全体の6.0%)を排出しています。



 1990年度から1996年度までの間に、運輸部門における二酸化炭素の排出量は22.6%増加しましたが、その後、1997年度から2001年度にかけてほぼ横ばいに転じ、2001年度以降は減少傾向を示しています。
 2014 年度の排出量(2億1,700万トン)は、旅客輸送における自動車の燃費改善、貨物輸送における輸送量の減少等により、2005 年度比で減少しており、また、旅客輸送における排出量の減少等により、前年度比でも減少しています。

2.輸送量あたりの二酸化炭素の排出量

【輸送量当たりの二酸化炭素の排出量について】 
 一般に、輸送量が増加すれば二酸化炭素の排出量も増加します。輸送量は景気の動向等に左右されるため、運輸部門における二酸化炭素の排出量の削減を、輸送量の増減に関わらず確実なものとするには、効率のよい輸送を促進することが重要となります。
 ここでは、旅客輸送と貨物輸送において、効率の目安となる単位輸送量当たりの二酸化炭素の排出量を比較しました。
 旅客輸送において、各輸送機関から排出される二酸化炭素の排出量を輸送量(人キロ:輸送した人数に輸送した距離を乗じたもの)で割り、単位輸送量当たりの二酸化炭素の排出量を試算すると下図のようになります。


 貨物輸送において、各輸送機関から排出される二酸化炭素の排出量を輸送量(トンキロ:輸送した貨物の重量に輸送した距離を乗じたもの)で割り、単位輸送量当たりの二酸化炭素の排出量を試算すると下図のようになります。

※本HPに掲載しているグラフは、温室効果ガスインベントリオフィスHP(http://www-gio.nies.go.jp/aboutghg/nir/nir-j.html)で公開されている温室効果ガス排出量のデータ及び国土交通省の交通関係統計等資料HP(http://www.mlit.go.jp/k-toukei/index.html)で公開されている「自動車輸送統計調査」「内航船舶輸送統計調査」「航空輸送統計調査」「鉄道輸送統計調査」のデータを基に作成しております。なお、自動車の輸送量は一部推計値を使用しております。


2016年6月7日火曜日

国土交通省における地球温暖化対策について

先日の環境白書でもフィーチャーされていたパリ協定ですが、昨年の協定採択のニュース以降、社会経済や政治上の重大ニュースがつぎつぎと世間を駆け巡り、パリ協定のことなんかすっかり忘れてしまっていたようなところはありませんでしょうか(わたしはじゃっかんそういう面がありました)。
そこであらためてその内容をおさらいする意味も込めて、経緯と現況とともに、どうせなら建設部門のメイン省庁である国交省はどのような切り口で取り組んでいこうとしているのかを確認してみました。

記述問題対策だけでなく、択一のほうでもこのあたりは要チェックだと思います。

Planet Earth

国土交通省における地球温暖化対策について【概要】

1.地球温暖化対策に関するこれまでの経緯

 1997年の気候変動枠組条約第3回締約国会議(COP3)で採択された京都議定書において、我が国は二酸化炭素(CO2)等の温室効果ガス排出量を、2008年度から2012年度の第一約束期間に基準年(1990年度)から6%削減することが定められました。
 我が国は2005年4月に京都議定書目標達成計画を閣議決定(2008年3月全部改定)し、総合的かつ計画的な地球温暖化対策を講じた結果、基準年比6%減を達成しました。

 2013年以降の削減目標については、我が国は、京都議定書の第二約束期間(2013年~2020年)には参加しない方針を表明し、自主的な削減努力を実施することとしています。
我が国の2020年度の削減目標については、1990年度比25%減としていたところ、東日本大震災等の我が国が直面した状況の変化を受けて目標の見直しを行い、2005年度比で3.8%減とすることとしています。

 2020年以降の国際枠組みについては、2011年のCOP17において、全ての締約国に適用される新たな法的枠組みを2015年までに採択することが合意され、昨年のCOP21において、パリ協定が採択されました。
 2013年のCOP19では、全ての国に対し、COP21に十分先立ち、自国が決定する2020年以降の貢献案を示すことが招請されました。2015年7月、我が国は、2030年度の削減目標を2013年度比で26.0%減(2005年度比で25.4%減)とする「日本の約束草案」を決定し、条約事務局に提出しました。
 パリ協定においては、全ての国が5年ごとに貢献を提出・更新すること、各国は貢献の目的を達成するため緩和に関する国内措置を遂行すること等が規定されました。今後、パリ協定の実施に向けて国際的な詳細なルールの構築に取組むこととなります。

2.我が国における温室効果ガス排出量の現況

【我が国における温室効果ガス排出量の現況(2014年度確報値)】
2014年度の我が国の排出量(確報値)は、13億6,400万トン(CO2換算、前年度比-3.1%、2005年度比-2.4%)でした。
国土交通省と関係の深い3部門(運輸、業務その他、家庭)のCO2排出量は全体の約5割です。



3.国土交通省における地球温暖化対策

 国土交通省は、所管分野の地球温暖化対策等について、社会資本整備審議会環境部会・交通政策審議会交通体系分科会環境部会合同会議において議論を重ね、平成26年3月に国土交通省の環境行動計画(平成26年度~32年度)を策定しました。
 (平成26年3月 環境行動計画)
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/environment/sosei_environment_fr_000101.html

 

2016年6月2日木曜日

平成28年版 環境白書

SUKIYAKI塾沖縄でいごの会の年間最大行事ともいえる筆記試験対策セミナーが去った28日(土)にありまして、その前後のあれやこれや(セミナー準備から県外講師を囲んでの前夜祭と当日懇親会と翌日の観光案内まで)が無事に終わり、いまは少し呆けているところです。

その後の離島出張もあってネット環境から遠ざかっていたのですが、その間に平成28年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書が閣議決定されていました。
やはりメインはパリ協定の採択のことでしたね。地球温暖化対策の最新の動向をしっかりチェックしてください。
そのほか建設環境に関連する項目としては、森里川海をつなぎ支えるための取組(第2章)資源循環を通じた環境・経済・社会の統合的向上(第3章)、などがあります。
流し読みでもいいので概要を把握してください。

 今帰仁城跡近くの湧水「親川(エーガー)」【沖縄県今帰仁村】

環境省:Ministry of the Environment
平成28年5月31日
総合政策
この記事を印刷

平成28年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書について

平成28年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書は、本日5月31日(火)に閣議決定され、国会に提出されました。
本年の白書は「地球温暖化対策の新たなステージ」をテーマとし、COP21におけるパリ協定の採択等により、国際的な地球温暖化対策が新たなステージに入ったことを踏まえ、地球温暖化対策に関する国際的な動向、我が国の地球温暖化対策の状況及び今後の取組の方向性等を紹介しています。
また、東日本大震災及び東京電力福島第一原子力発電所事故から5年が経過したことを踏まえつつ、被災地における環境の回復の状況や復興に関する取組を紹介しています。
これらに加え、持続可能な開発のための2030アジェンダについて概説し、それと関係の深い重要な課題に関する取組として、森里川海をつなぎ支えるための取組、資源循環を通じた環境・経済・社会の統合的向上等についても取り上げています。
1.環境白書、循環型社会白書、生物多様性白書の経緯について
 これら3つの白書は、環境基本法、循環型社会形成推進基本法、生物多様性基本法に基づく国会への年次報告ですが、国民にわかりやすく環境問題の全体像を示し、参加協力を促すため、平成21年版より合冊しています。
 全体の構成としては、第1部・総合的な施策等に関する報告、第2部・各分野の施策等に関する報告からなっています。
2.白書の閲覧及び市販版等の入手方法について
(1)環境省ウェブサイトへの掲載等
 本日閣議決定された「平成28年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」は、PDFデータを環境省ウェブサイト(http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/)に掲載しております。なお、HTML形式のデータについては、6月下旬以降、同ウェブサイトに掲載する予定です。
(2)市販版の入手方法
 「平成28年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」は、政府刊行物センターや政府刊行物取扱書店等で購入することができます(1部2,380円(税別、予価)、6月下旬発売予定)。市販版の入手方法等については、発行元の日経印刷株式会社第三営業部(03-6758-1013)までお問い合わせください。
3.今後の普及啓発について
 白書の内容を広く国民に普及させることなどを目的として、以下のとおり「白書を読む会」の開催や各冊子の発行等を予定しています。
(1)「白書を読む会」の開催
 環境省では、本年の白書に関するテーマやねらいなどを環境省職員が説明を行う「白書を読む会」を全国で開催する予定にしています(入場無料)。開催日程や場所等については、別途お知らせします。
(2)「英語版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」
 国際社会に対して我が国の環境行政を発信するため、本年の白書の英語版小冊子を作成します。同冊子は、環境省ウェブサイト(http://www.env.go.jp/en/wpaper/)にも掲載する予定です。
(3)「環境統計集」
 環境白書に掲載したデータ等は、機械判読可能なデータで環境省ウェブサイトに掲載する予定です。過去のデータは、環境省ウェブサイト(http://www.env.go.jp/doc/toukei/contents/index.html)に掲載しています。
4.その他
 「平成28年版環境白書・循環型社会白書・生物多様性白書」の印刷工程の電力使用に伴い発生する二酸化炭素(CO2)については、環境省が創設した「オフセット・クレジット制度(J-VER制度)」に基づき発行された東日本大震災における被災地のクレジットを購入し、オフセットしています。

添付資料

トピックス(更新情報、報道発表等)