2019年8月31日土曜日

環境影響評価法に基づく対象事業の実施

これまで建設部門の他科目における建設環境ジャンルの問題をピックアップしてきましたが、今回からは他部門に目を向けてみます。といっても環境部門になるわけですが。
その環境部門のなかでも「環境影響評価」は建設環境での出題よりもより専門性を掘り下げた問題になっていることが多いですが、それでも参考とすべき出題がたくさんあります。

19-4 環境影響評価【選択科目Ⅱ】
Ⅱー2ー2 環境影響評価法の改正法(平成23年法律第27号)に基づく,対象事業の実施について,下記の内容について記述せよ

(1)環境影響評価法の第1種事業を1つ挙げ,その事業特性と地域特性を設定せよ。

(2)この事業について,環境影響評価項目と環境影響要因のマトリックス表を作成し,選定した環境影響評価項目のうち,重要度の高い3項目について,それぞれの調査・予測・評価での留意点を記述せよ。

(3)この事業が実施された場合の想定される環境保全措置について,関係者への理解を得るための方策について記述せよ。

これはそのまんま建設環境で出題されてもおかしくない内容ですね。
環境省の資料ばかり紹介しても代り映えしないので、経産省の資料を貼りました。
発電所に係る環境影響評価の手引き(経済産業省)

もっとわかりやすいのが環境アセスメント学会の資料です。このなかに「マトリックス表の作成時のポイント」や「マトリックス表の読み取り方」もあります。
環境アセスメント図書を読み解く(環境アセスメント学会)

司馬遼太郎 自宅の書斎
【東大阪市】

2019年8月29日木曜日

施工計画、施工設備及び積算における建設リサイクル

佐賀県の豪雨災害はたいへんなことになってしまいました。武雄市は祖母の故郷の近くということもあり(遠い親戚もいるだろうから)とても心配です。九州北部は雨が集中しやすいのでしょうか。
それにしても毎年どこかで発生してしまいますね。

前回に続きまして他科目における建設環境問題、今回は建設リサイクルについての出題です。

9-10 施工計画、施工設備及び積算【選択科目Ⅲ】
Ⅲ-2 天然資源が極めて少ない我が国が持続可能な発展を続けていくためには,「建設リサイクル」(建設副産物の発生抑制,再資源化,再生利用及び適正処理)の取組を充実させ,廃棄物などの循環資源が有効に利用・適性処分されることで環境への孵化が少ない「循環型社会」を構築していくことが重要である。今後,社会資本の維持管理・更新時代の本格化に伴い建設副産物の質及び量の変化が想定されるなど,更なる「建設リサイクル」の推進を図っていく必要がある。

(1)「建設リサイクル」の推進の取組に関して,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

これはそのまんま建設環境で出題されてもおかしくない内容ですね。
実際、建設発生土は今年度試験Ⅱ-1で出題されましたし、施工計画のこれに似た問題が平成27年度試験で出題されています。東京オリンピックに向けた建設ラッシュを想定したものでした。
建設環境 Ⅲ-2 建設副産物の3R

この問題に対しても少なくとも想定回答論文を1本作成しておいてもいいと思います。とても身になるハズですよ。
建設リサイクル推進計画2014

スイッチバックの早岐駅
【長崎県佐世保市】

2019年8月27日火曜日

港湾及び空港における環境影響評価

8月も最終週ですね。
いつの間にかセミの鳴き声も遠くなり、暑いなりにも日も和らいできて、秋を迎えつつあるのを感じます。もうちょっとしたら夜の虫が鳴き始めるのかな。。。

前回から取り上げ始めた他科目における建設環境ジャンルの問題です。
第2回は港湾及び空港のⅡー1から、環境アセスそのまんまの問題です。

9-5 港湾及び空港【選択科目Ⅱ】
Ⅱ-1-4 埋立による港湾整備事業又は陸上における滑走路の増設事業のいずれかを選択し,その環境影響評価における施設の存在及び供用による影響評価項目を3つ以上挙げ,そのうち定量的な予測・評価が可能なもの1つについて予測・評価手法を説明せよ。

この分野はまさにわたしのドストライク分野です。港湾整備事業にするか滑走路増設事業にするか悩みそうですね。
しかしわたしもいろいろな業務、いろいろな立場で関わっている那覇空港第2滑走路増設事業ですが、これは埋立によるものなのでこの問題で指定されている「陸上」にあたるのか微妙ですね。ということを考え出すと港湾整備事業のほうを選択することになるのかな。。。
那覇空港滑走路増設事業

来年、いよいよ開港です♪
那覇空港第2滑走路増設事業
【沖縄県豊見城市・那覇市】

2019年8月24日土曜日

環境に配慮した災害復旧工事

ご無沙汰です。
まだまだ暑いですが、お盆も過ぎてやや過ごしやすくなったでしょうか。沖縄は次々とやってくる台風の影響で風が強く高気圧に覆われることも少ないので比較的涼しいような気がしています。海の仕事はなかなか予定通りに進まないのがツライところですが。。。

わたしの添削講座は来年度試験に向けて始まっています。
その講座と並行して筆記試験の再現論文コメント作成を行っているところです。建設環境や環境部門のかたが多いのですが、他部門他科目のかたからも依頼があり、専門技術的なことには言及できない旨をご了承いただいたうえでお引き受けしています。とはいえ他科目ながら、そのまま建設環境科目で出題されてもおかしくない問題がわりとあるわけで、そういった問題をこれからしばらくピックアップしてまいりたいと思います。いちいち探すのも大変ですからね。わたしとしても自分のブログをチェックすればいいのでほとんど自分のメモ代わりなのかもしれませんが、ぜひとも皆さんも(眺めるだけでなく)解答論文の作成に挑戦してみてください。

まずは河川砂防の選択科目Ⅱです。

9-4 河川、砂防及び海岸・海洋【選択科目Ⅱ】
Ⅱ-2-1 近年,激甚な災害が各所で発生し大規模な災害復旧事業が進められているが,環境の保全に配慮しつつ災害に強い社会資本の整備が求められている。あなたが環境に配慮した災害復旧工事の検討業務を担当することとなった場合,河川,砂防及び海岸・海洋のいずれかの分野を対象として,以下の問いに答えよ。

(1)調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)業務を進める手順について,留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的・効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

河川砂防ジャンルの場合は、これは以前にも取り上げた「美しい山河を守る災害復旧基本方針」ガイドラインが改定をそのまま参考すればバッチリですね。

海岸・海洋分野は上記ガイドラインでは「山河」なので弱いですが、でも同じことです。その方面の技術者であれば容易に読み替えできるはずです。
あるいは海岸の場合はやはり津波災害からの復旧というのがありますからこれでもいいですね。実は建設環境科目の平成28年度試験ですでに出題されています。
選択科目Ⅲ-2 大規模津波災害からの復旧復興事業における自然環境への配慮

建設環境科目ではこれまで選択科目Ⅱ-2はアセスものばかりでしたが、こういった環境に配慮した復旧事業や復興事業の手順を問われる問題も出題されるかもしれません。ご自分ならどうするか、を意識して取り組んでみてください。

災害復旧(再興)工事
【福島県南相馬市】

2019年8月3日土曜日

アカミミガメ防除の手引き&防除マニュアル

8月になりました。暑い日が続きますね。
この時期は私の住む沖縄よりも他府県のほうが気温が高いのが当たり前になりつつありますね。北海道でも沖縄超えすることが珍しくなくなりました。うーん....

メルマガ停止中のためチェックを怠っていましたが、久しぶりにのぞいてみるとアカミミガメ防除の手引きとそのマニュアルが公表されてました。
小さい頃はミドリガメでおなじみのあのカメです。このアカミミガメとコイ(鯉)はなんだかコンビを組んでいるようにいまでは日本全国どこの池や湿地でもその姿を見かけますね。動物界における身近な、そして全国レベルの外来種2大スターといえるかもしれません。うちの実家にもなぜかいました(わたしが成人後の話です。帰省したら父が世話していてビックリしました)。
アカミミガメのなかで日本でよくみるのはミシシッピアカミミガメで、目尻が赤くなっているやつですね。目の後ろだから耳というわけですかね。赤い耳。

建設環境(や環境部門)の筆記試験で定期的に出題される「外来種対策」ものですが、こないだの試験では出題がなかったので、次回はきっとありますよ。要チェックですね。
特に手順が問われる問題Ⅱ‐2で出題された場合には、今回の手引き&マニュアルに沿った記述ができるとバッチリですよね。概要を頭に入れたのち、念のため手順を確認しておいてください。

その名も亀の池
【大阪市天王寺区四天王寺】

報道発表資料
令和元年7月29日
自然環境
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「アカミミガメ防除の手引き」の公表について

 環境省では平成27年にアカミミガメ対策推進プロジェクトを公表し、アカミミガメ対策に係る取組を進めてきました。この度、アカミミガメによる生態系への影響を緩和するための手法をとりまとめた「アカミミガメ防除の手引き」とその普及版を作成しましたので、お知らせします。

1.背景

 北米原産のアカミミガメは都市部を中心とした水辺環境に蔓延し、身近な生き物となっている一方で、自然度の高い地域にも侵入し地域の生態系に影響を及ぼしつつあるなど、外来種問題を考える上で象徴的な存在となっています。また、一般家庭などで大量に飼育されています。
 平成27年3月に環境省及び農林水産省が作成した「生態系被害防止外来種リスト」では、「緊急対策外来種」に位置づけられ、環境省では平成27年7月に「アカミミガメ対策推進プロジェクト」を公表し、アカミミガメ対策に係る取組を進めてきました。
 その取組の中で行われた生態調査や、全国各地で実施されている防除の取組の収集を通じて得られた知見、最新の科学的知見を集約し、アカミミガメによる生態系への影響を緩和するための手法をとりまとめた「アカミミガメ防除の手引き」を作成しました。
 また、同手引きをもとに「はじめてみよう!アカミミガメ防除マニュアル」も作成しました。こちらは、防除活動のリーダーが活動参加者へ説明する際にお使いいただけるよう、写真や図解を多く用いた普及版となっています。

2.手引きの内容について

第1章 アカミミガメ対策の考え方
・アカミミガメとはどのような生き物なのか、また、アカミミガメによる影響や被害の実態を踏まえてその対策の必要性を示しています。
第2章 防除実施計画策定の考え方
・地域で防除を進めるに際に必要となる、目的や目標、実施範囲や期間の設定方法等についてまとめています。
第3章 効率的な防除の実施
・野外にいるアカミミガメを効率的に捕獲するための技術や方法について示しています。
参考資料
・現場で使える調査票様式

3.入手方法

本手引き及びマニュアルは以下の環境省HP「日本の外来種対策」にて公表します。
○環境省HP 日本の外来種対策 アカミミガメ

添付資料