2022年9月21日水曜日

特定外来生物被害防止基本方針の変更

台風も過ぎ、ここ沖縄もまだまだ暑いようなところはありますが、それでもそれなりにちゃんと秋になりました。だいたい日が沈むのが早くなりましたよね。これから一気に季節が進み、技術士試験スケジュールも後半戦に突入することでしょう(←無理やりな言及ですね)。

今回は、環境部門の自然環境保全はもとより、建設部門の建設環境でも問われる(特定)外来生物対策です。5月に外来生物法が改正されたことに伴って、外来生物対策の基本的な事項を定めた被害防止基本方針が一部変更されました。変更内容の概要あたりは確認しておいてください。

絶滅危惧種か?特定外来種か?
同定が難しいアカウキクサ類
【福岡城跡5号堀 福岡県福岡市】

2022年09月20日
  • 自然環境

特定外来生物被害防止基本方針の変更の閣議決定について

令和4年5月に特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)の改正案が成立したことに伴い、中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会において、特定外来生物被害防止基本方針(※)の変更についての審議が行われ、令和4年9月9日に変更案の答申がなされました。

※特定外来生物被害防止基本方針
外来生物法第3条に基づき、特定外来生物による生態系、人の生命・身体及び農林水産業に係る被害を防止するため、被害防止の基本構想を定めるとともに、特定外来生物の選定、取扱い、防除等に関する基本的事項などを定めるもの。

この答申を踏まえ、外来生物法第3条第4項において準用する同条第1項に基づき、本日、特定外来生物被害防止基本方針の変更が閣議決定されました。

背景

特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成16年法律第78号。以下「法」という。)第3条第1項に基づき策定されている「特定外来生物被害防止基本方針」(以下「基本方針」という。)では、特定外来生物による生態系等に係る被害を防止するための基本的な方針を定めています。
本年5月に成立した特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律の一部を改正する法律(令和4年法律第42号。以下「改正法」という。)を踏まえ、基本方針の変更を行うべく、令和4年5月に中央環境審議会に諮問を行い、これを受けて中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会から9月9日に中央環境審議会から環境大臣、農林水産大臣に対して「特定外来生物被害防止基本方針(変更案)」が答申されました。
本答申を踏まえた基本方針の変更案について、9月20日に閣議決定されました。

変更の概要

改正法を踏まえ、主に以下の点を追加等しております。
外来種被害防止行動計画・生態系被害防止外来種リストの外来生物法における位置づけ
各主体の役割に関する責務規定の新設に伴う、国、都道府県、市町村、事業者、国民等の役割や、関係者の連携
附則第5条による一部規制の適用除外のある特定外来生物の選定(アカミミガメ、アメリカザリガニの指定を想定)の考え方
要緊急対処特定外来生物の選定(ヒアリ類の指定を想定)の考え方
要緊急対処特定外来生物が存在等している輸入品等、物品等、施設の移動の制限又は禁止の命令
特定外来生物等が存在等している輸入品等又は要緊急対処特定外来生物が存在等している物品等が付着等している土地又は施設の消毒又は廃棄
要緊急対処特定外来生物に係る対処指針
詳細については、添付資料3を御覧ください。

意見の募集(パブリックコメント)の実施結果について

令和4年7月8日から8月6日にかけ、7月7日の中央環境審議会自然環境部会野生生物小委員会において取りまとめられた基本方針の変更案についてパブリックコメントを実施し、合計33件の御意見をいただきました。これについての実施結果は、添付資料5、6のとおりです。

今後の予定

基本方針の変更については、告示として10月頃に官報掲載を予定しております。
なお、外来生物法の改正に関連した今後のスケジュールについては、添付資料1の2頁を御参照ください。

2022年9月13日火曜日

流域治水の観点も踏まえた河川整備基本方針の見直し

ここ沖縄地方は台風が次から次へとやってきていて、現地調査のやりくりが大変です。テキヤ殺すにゃ刃物は要らぬ、雨の3日も降ればいい、って寅さんも嘆いていましたが、なかなか思うように仕事が進まないのでヤキモキしています。

とはいえものごとには何事も両面があるものでして、宮古島や石垣島などの先島諸島ではこの夏は台風がぜんぜん来なかったこともあって海水温が高めで推移していたせいかサンゴが白化し始めていましたが、ここへきてようやくばんばん台風がやってきて海の水を引っ搔き回し、さらには熱エネルギーを吸収したことで高水温によるサンゴの死滅という最悪の事態は避けられるんじゃないかと期待しています。

でもやっぱり人間社会にとっては度を超えた風雨になると困りますよね。台風の影響を受けて南からの湿った空気が日本全体に流れ込み、大気が不安定化するところが増えてしまいます。所によっては大雨を降らせ、河川の氾濫なども引き起こしてしまいます。
流域治水が叫ばれて久しいですが、まだまだ安心な暮らしには至っていません。行政もメインテーマで取り組んでいますし、技術士試験でも特に建設部門では毎年のように問われているテーマになっています。

今回はそんな流域治水ネタを取り上げました。
建設部門の必須科目対策としても、さらには建設環境など環境配慮の事例としても参考になる内容になっています。報道発表資料の概要部分だけでもチェックしてみてください。河川利用や環境などに配慮した河道掘削のところでは、環境面への効果として「平水位以上の掘削を行うことで、 サケの遡上環境となる現況の澪筋、瀬・淵環境を保全」といったことなども記載されていますよ。

春の十勝大橋
【北海道帯広市】

気候変動を考慮して十勝川、阿武隈川の長期計画を変更しました
~流域治水の観点も踏まえた河川整備基本方針の見直し~

令和4年9月9日

 近年の水災害の頻発に加え、今後、気候変動の影響により更に激甚化するとの予測を踏まえ、治水計画を「過去の降雨実績に基づくもの」から「気候変動の影響を考慮したもの」へと見直し、抜本的な治水対策を推進することとしています。
 このたび、十勝川水系および阿武隈川水系の河川整備基本方針について、気候変動の影響による将来の降雨量の増大を考慮するとともに、流域治水の観点も踏まえたものに見直しを行いました。
 気候変動の影響を考慮した一級水系の河川整備基本方針の変更は、令和3年度に変更した新宮川、五ヶ瀬川、球磨川の3水系に続き、今回の変更で5水系になります。
 引き続き各水系における河川整備基本方針の見直しを進めてまいります。

<河川整備基本方針変更の主なポイント>
●将来の降雨量の増加を見込んだうえで、長期的な河川整備の目標流量である洪水の規模(基本高水)を変更しています。
 十勝川水系 帯広地点 既定計画6,800m3/s → 今回変更9,700m3/s
 阿武隈川水系 福島地点 既定計画7,000m3/s → 今回変更8,600m3/s
 ※この基本高水の流量を河道と洪水調節施設等に配分。

●十勝川においては、
 ・河川利用や環境などを考慮した河道づくり
 ・上流部や支川における霞堤の保全
 ・災害リスクを考慮した立地誘導と連携した市街地への氾濫抑制対策(二線堤等の整備)

 阿武隈川においては、
 ・沿川の土地利用と一体となった遊水機能の確保や遊水地整備
 ・水田貯留の普及・拡大
 ・上下流の交流・連携の推進
 など、流域治水の取組を推進する方向性を提示しています。

<関係資料の掲載先について(国土交通省ウェブページ)>
・「十勝川水系及び阿武隈川水系河川整備基本方針」の本文
 http://www.mlit.go.jp/river/basic_info/jigyo_keikaku/gaiyou/seibi/about.html
・社会資本整備審議会での審議経過
 https://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/shaseishin/kasenbunkakai/shouiinkai/kihonhoushin/index.html

添付資料

報道発表資料(PDF形式)PDF形式