2023年5月31日水曜日

生物多様性地域戦略策定の手引き(令和5年度改定版)

5月も終わりですね。
沖縄地方は台風2号がゆっくり近づいているところに、今朝は北朝鮮のミサイル騒動がありました。いままで聞いたことがないような防災無線放送が流れまして、いつもより警戒レベルが上がっていることを実感しました。空襲警報とかそういったレベルにだんだん近づいているのでしょうか。。。。。

それにしても蒸し暑いです。歳とともに体が外気の変化に合わせられなくなっているんでしょうか。もうクーラーつけないとやっていけません。
しかし電気代も上がるっていうし、そうするとクーラーの稼働を控えちゃいますよね。高齢のひとは心配だなあ。
そういうことではやっぱり地域の見守りが大事ですよね。声掛けといいますか。
「人口減少・少子高齢化社会」、技術士試験の重要テーマでもありますが、試験のテーマということは、すなわち社会の重要テーマです。だから考えちゃいますよね、って考えないといけないんですが。
そして我々環境分野の技術者は、自然環境についても地域のことから考えるという使命があります。
ちょっと無理やり繋げているような流れですが、出ました、「生物多様性地域戦略策定の手引き」の改訂版です。3月に「生物多様性国家戦略2023-2030」という国家戦略が新しく策定されましたので、それを受けての地域戦略というわけです。

環境部門自然環境保全の出題ジャンルとして、この生物多様性国家戦略、そして生物多様性地域戦略は頻出ジャンルですから要チェックでお願いします。国家戦略のほうは選択科目Ⅰ-1や選択科目Ⅲ対策で、今回紹介する地域戦略はⅡ-2のほうで出題されることが多いです。それぞれの傾向を踏まえつつ、というか過去問に取組む際にはこれら最新の情報を踏まえた回答内容になるようにしてください。既に模範解答レベルの論文を作成済みだとしても、この新しい手引きの内容で作りなおしてください。そうすることでこの新しい手引きをただ文字を追って読むよりも、調査検討すべき事項、業務遂行手順や留意点などが自然と頭に入ると思いますよ。

クワズイモの実を食べるキジハト
斎場御嶽
【沖縄県南城市】


2023年05月30日
  • 自然環境

「生物多様性地域戦略策定の手引き(令和5年度改定版)」 の公表について

■「生物多様性地域戦略策定の手引き」の改定 

 「生物多様性地域戦略策定の手引き」は、生物多様性基本法が平成20年に施行され、生物多様性地域戦略の策定が地方公共団体の努力義務として位置づけられたことから、地方公共団体向けのマニュアルとして平成21年9月に作成されました。その後、平成22年3月に生物多様性国家戦略2010が策定されたことを受けて、平成22年5月に小幅な改訂を行いました。
 平成24年9月に、生物多様性に関する新たな国際目標である愛知目標の達成などを目指して生物多様性国家戦略2012-2020が策定されたことなどを踏まえ、平成26年3月末に、内容を全面的に改めた「生物多様性地域戦略策定の手引き(改定版)」を作成しました。
 そして今般、令和4年12月に生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)において採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」を踏まえた生物多様性国家戦略2023-2030が策定されたことから、再度内容を全面的に改めた「生物多様性地域戦略策定の手引き(令和5年度改定版)」を作成しました。

1.「生物多様性地域戦略策定の手引き(令和5年度改定版)」の主な内容

① 生物多様性地域戦略とは
  
なぜ地域戦略を策定するのか、手引きの方針や構成 など
② 生物多様性に係る国内外の動向、期待される効果
  昆明・モントリオール生物多様性枠組について、生物多様性国家戦略2023-2030について、地域戦略の位置付け・目指す方向性・期待される効果 など
③ 生物多様性地域戦略の策定手順
  
地域の現状把握と整理・課題抽出、将来像の設定、状態目標・行動目標の設定と施策の検討など

2.改定のポイント

 世界目標や国家戦略等の生物多様性に係る国内外の動向を反映
(NbSや民間企業との連携についての言及、推進体制や点検評価に係る記載の強化)
 “生き物保全計画”から脱却し、魅力的で持続可能な地域づくりにつながる地域戦略策定の必要性を強調
 地域戦略策定の支援ツールとなる「ひな形」及び「指標カタログ」の作成
 
「生物多様性地域戦略策定の手引き(令和5年度改定版)」については以下に掲載しています。
https://www.env.go.jp/nature/biodic/lbsap.html
【参考1】 生物多様性地域戦略
 ○ 生物多様性基本法第13条において、「都道府県及び市町村は、生物多様性国家戦略を基本として、単独で又は共同して、当該都道府県又は市町村の区域内における生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならない。」とされている。
 ○ 2023年4月現在、47都道府県、20政令指定都市、145市区町村(政令指定都市を除いた市区町村全体の約8%)が、生物多様性地域戦略を策定済み。


【参考2】 生物多様性地域戦略策定の手引き
 ○ 地方公共団体が、生物多様性地域戦略を策定しようとする際に、参考となる考え方や情報を提供することを目的に作成したもの。(平成21年9月作成、令和5年5月改定)。策定手順、課題の整理、対象区域・目標等の設定、施策・行動計画の立案、推進体制・進行管理等の考え方や参考情報を記載。






2023年5月26日金曜日

自然環境保全基礎調査マスタープラン

いやぁ早くも台風2号で振り回されています。
ついこのあいだ梅雨入りした沖縄ですが、案の定?宣言後はまとまった雨は降っておらず、おかげで毎日爽やかな日々を過ごしていたところ、降ってわいたように猛烈な台風が沖縄にひたひたと近づいていて、来週は(海のほうは今日から)ずーっとその影響下におかれそうです。来週の石垣島出張も延期しました。。。

来月は沖縄県技術士会の創立50周年イベントやら、SUKIYAKI塾沖縄でいごの会の筆記セミナーやらありまして、いまはそれで天手古舞です。いつもながらギリギリになってから慌てるというか追い込まれないと動かない習慣になっちゃってます。マズイですね。

沖縄県独自の技術士会の創立が50周年なわけですが、「自然環境保全基礎調査」もなんと50年間続いている調査なのだそうです。50年前といえば私が生まれて間もなくの頃ですね。日本は高度経済性成長で自然環境がどんどん破壊され、それが社会問題化していたころです。山は崩され、木は切られ、川は直線化し、海は埋め立てられました。
その後も長きに渡り基礎調査で得られた貴重なデータは環境アセスやそのほか自然環境保全対策に活用されてきました。
そして今般、今後10年の基本方針や調査計画などが策定されました。自然環境保全分野の技術者たるもの要チェック(というか必読)ですね。

ふちぶい岩
【沖縄県石垣市】

報道発表資料

2023年05月25日 
  • 自然環境

自然環境保全基礎調査マスタープランの策定について

  1. 令和5年度から10年間で実施する自然環境保全基礎調査の基本方針・調査計画を示す「自然環境保全基礎調査マスタープラン 令和5~14(2023~2032)年度」を策定しました。
  2. その付属資料「自然環境調査に係る生物多様性情報の整備と発信のガイドライン」で、生物多様性情報の取扱いについて基本の考え方を整理しました。
  3. これらに基づき、ニーズを踏まえた実現性のある調査の実施、わかりやすく使いやすい生物多様性情報の整備と発信を行います。

経緯

  • 自然環境保全基礎調査(以下「基礎調査」という。)は、自然環境保全法第4条「基礎調査の実施」に基づき、全国的な観点から我が国の自然環境の概況及び変化を把握し、自然環境保全の施策を推進するための基礎資料を整備するために昭和48(1973)年度から開始され、令和4(2022)年度で50年目を迎えました。
  • これまでの調査成果は自然環境・生物多様性の保全施策や環境影響評価等の基礎資料として活用されるなど、我が国の自然環境の保全において重要な役割を担ってきました。
  • 一方で、基礎調査開始からの50年間で我が国の社会構造は大きく変化しており、基礎調査に求められる調査内容や役割等も大きく変化してきました。
  • そのため、日本全体の自然環境の現状や変化状況・傾向を分かりやすく体系的にとりまとめ、広く発信することにより、調査成果の更なる活用の推進を図る必要があることから、「自然環境保全基礎調査マスタープラン令和5~14(2023~2032)年度」(以下、「マスタープラン」という。)を策定しました。

概要

  • 令和3(2021)年度から、学識経験者等で構成する「自然環境保全基礎調査に係る基本方針検討会」を設置し、検討を行いました。
  • マスタープランは、令和5~14(2023~2032)年度までの10年間を対象期間とし、基礎調査のあり方、10年間で実施する調査項目とスケジュール、成果の情報発信、とりまとめ方針等、基礎調査を実施するにあたっての必要な基本方針をとりまとめたものです。
  • また、マスタープランの付属資料として、マスタープランで実施する各調査項目の実施設計に関する留意事項をまとめた与件(付属資料1.自然環境保全基礎調査マスタープランで実施する調査の実施設計に対する与件)と、自然環境調査で取得される生物多様性情報に係るデータの取扱い、とりわけ、オープンデータ化、推奨される標準データ形式、データ連携等を進めるための道しるべとなる考え方を示したガイドライン(付属資料2.自然環境調査に係る生物多様性情報の整備と発信のガイドライン)も作成しました。
  • これらに基づき、ニーズを踏まえた実現性のある調査の実施、わかりやすく使いやすい生物多様性情報の整備と発信を行っていく予定です。

マスタープラン等の公表場所

  • 自然環境保全基礎調査マスタープラン 
https://www.biodic.go.jp/kiso/masterplan.html
 
(参考)自然環境保全基礎調査について
https://www.biodic.go.jp/kiso/fnd_list_h.html

 

2023年5月20日土曜日

R5総監部門の要チェック分野まとめ(記述式)

GW明けから2週に渡ってほぼ連日投稿していた出題ジャンルまとめと予想ですが、最後に総監部門を取り上げます。
って、これまた毎年のように書いていますが(コピペしていますが)、総監については予想するのはあまり意味はないようなところもあり、何が出題されたとしても総監として答えるのみです。なんて言っちゃうと身も蓋もないのですが、これは真実です。
じゃあどうしてこんな記事を投稿するのかというと、それはこれまでを振り返り、今後に思いを馳せるためです。予想して、アタッタ、ハズレタと一喜一憂するためではありません(って一喜一憂しているんですが(笑))

総監技術士の相応しさとは、総合技術監理を理解していること、そして実施できることであり、それを読み手である試験官に伝えることができて初めて合格することができます。
「総合技術監理」については、ご存知の通り5つの管理のそれぞれの内容を理解することももちろん重要なのですが、記述式問題で書くべき内容は、なんといっても総監キーワード集2023の1ページから4ページの「1.総合技術監理」に記載されていることです。これが出題されます。そこに書かれた内容をご自分の立場や役割を設定したうえで出題されたテーマや各設問で要求されていることに沿ったかたちで表現できるかどうかが合否の分かれ目になるわけです。
「トレードオフ×優先順位=全体最適化」
一般部門はテーマの勉強(ネタを仕入れて骨子作成)が重要でしたが、総監部門の場合はテーマの勉強というよりも、総監そのものの勉強(というか訓練)が重要です。
つまり、出題テーマなんてなんだっていいわけで、テーマなんかよりは問題文に合わせて総監力をしっかり書ききることができるかどうかです。それには事前にテーマが予想できるかどうかはあんまり関係ないと思います。

と、これだけ書いておいてナンですが、これまでの試験テーマを振り返るとほぼそのときどきの社会問題、社会的な課題にちなんだテーマで出題されています。
わたしのイチオシは(昨年度も一昨年も推してて出題されませんでしたが)脱炭素社会に向けた取り組み、になりました。カーボンニュートラルが話題にもなっていますからね。ちょっと身びいきな感覚かもしれませんが(笑)
一昨年のブログからそのまま引用しますが、「2050年までの『脱炭素社会』の実現」を基本理念とする改正地球温暖化対策推進法が参議院で全会一致で可決、成立したばかりです。脱炭素社会の実現に向けて、国民、国、地方自治体などが密接に連携することが規定されています。つまりこれは決して他人ごとではないわけです。国民それぞれができることから取り組んでいかないといけないわけです。
そういうことからもこれは受験者各々の立場、組織においてどのような取り組みができるのかが問われてもおかしくありません。だいたいこれまであまり社会環境管理メインの出題ってなかったんじゃないですかね。もちろん答案のほうにはいくら脱炭素社会の構築とはいっても社会環境管理メインってわけにはいきませんから、経済性管理を中心に、人的資源管理や情報管理の管理技術を駆使して、もちろん管理間のトレードオフを調整、取組内容の優先順位を検討しながら脱炭素社会に合致した組織運営ができるよう全体最適化を図る計画を立てられるとカッコイイですね。2030年までの短・中期目標と2050年までの最終目標のそれぞれの対策について、組織一丸となって脱炭素社会に向けた取り組みをビシッと計画できるとすごくカッコイイですよね。

これは大穴?ですが、新型コロナウイルスやらウクライナ情勢などから考えると、再びBCPが出題されるかもしれません。R2年度に出たばかりなのでアレですが、定期的に繰り返し出題されてますもんね。

あるいは最近のニュースでちょこちょこ話題になっている人口減少に関する出題も考えられます。H26年度にも出題されましたが、別の切り口で再び取り上げられそうな気がしないでもありません。人口減少社会、少子高齢化社会での事業活動について問われると、やっぱり経済性管理、人的資源管理、情報管理、安全管理なんかが絡みますよね(そして社会環境管理も忘れずに)。
あるいは2024年問題なんかも話題になってますよね。トラックやバス運転手だけじゃなくて、建設業界全般にわたって問題になっています。建設業界に限らず後継者不足というのは組織の持続性、維持発展を阻害しますよね。

とにかく何が出題されたとしても、5つの管理を意識しながら俯瞰的視野で見渡したうえでトレードオフを調整し、全体を最適化させる管理方策を展開させてください。

美浜アメリカンビレッジ
【沖縄県中頭郡北谷町】

では、これまでどんなテーマが取り上げられたのか見てみましょう。

DX推進計画
【ビッグデータ解析とかAIとかDXなど】

データの利活用
【ビッグデータ解析とかAIとかDXなど】

自然災害への事前の備え(BCP)
【R1に台風や豪雨災害が頻発】

ヒューマンエラー
【H29年12月のぞみ34号重大インシデントなど】

H30
働き方改革
【H30年6月に働き方改革関連法が成立】

H29
事業における継続可能性
【H28年12月に「SDGs実施指針」が決定、8つの優先課題と具体的施策が示された】

H28
新技術導入による変更管理
【H28年4月にi-Construction委員会から同報告書がリリース】

H27
国際イベント関連プロジェクト
【H27年6月に東京オリパラ大会特別措置法が成立】

H26
人口減少社会を見据えたインフラ更新
【H26年5月にいわゆる「増田レポート」が発表】

H25
ライフサイクルを鑑みたメンテナンス
【H24年12月に笹子トンネル事故が発生】

こうみるとやっぱり総監はほぼその前年~半年程度の期間に話題になっている事柄が出題されていますよね。
社会を揺るがす事件・事故に災害、はたまた今後の中長期にわたって社会変革を促すような施策には敏感に反応してください。そしてそういったニュースに触れるだけでなく、事業主(経営者)の立場でその影響と対応策について5つの管理と全体最適化を考えておいてください、というか考えるクセをつけてください。

まずはイキナリ回答論文を書き始めるのではなく、過去の合格答案事例集を入手してそれを研究、分析することをオススメします。
たくさんの合格論文をみるとわかると思いますが、それら受験生は専門分野(技術部門)が異なるうえに、年度によってテーマも違うわけですけれども、総監としての課題や解決策そのものにはバリエーションがないことがわかると思います。人間、やれることは決まっていますからね。
というわけで、過去問についてしっかり取り組んでおけばOKだと思います。
もちろん事前に準備することなしに、試験本番でゼロベースで課題を抽出、解決策を提示するなんてことは、あの長いようで実はとても短い試験時間にはとてもではありませんができません。しかし事前にしっかり準備しておけば、試験本番では準備していた手持ちのピースのうちどれをどのように当てはめればよいのかを問題文に照らし合わせながら決めるだけです。

わたしの講座です。課題や解決策の妥当性、論理的整合性の確認を含めて、論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2023年5月19日金曜日

R5水産部門の要チェック分野まとめ(Ⅰ)

ここのところ日本各地で地震がありますね。
今朝も愛媛県で最大震度4の地震がありました。近くに原発もあるし、少し離れたところには孫がいるので朝からドキドキしちゃいました。
少し前は(といっても昨晩もですが)能登半島の先っちょの珠洲市でも大きな地震がありました。珠洲市は縁があってこの20年くらいの間に幾度もお邪魔していて思い入れがたっぷりあるところなんです。去年の11月にも久しぶりに訪ねたばかりですし。。。

そしてここ沖縄も最近になって有感地震が増えてきているように感じます。
震度そのものは1だとか2程度なのですが、マグニチュードは5だとか6だとかそこそこ大きいものが発生しています。数百年レベルだとやっぱり大津波が来襲していることが記録に残っていますからね。なかなか心配です。
まだ本題に入っていませんが、水産部門でも関連する重要資料が公表されました。試験対策としてもしっかりチェックしておいてください。

それではたいへん遅くなりましたが水産部門を取り上げます。
水産部門は必須科目Ⅰしか取り上げませんけれども、ともかく必須科目Ⅰ、令和元年から復活した記述式(解答用紙3枚)です。
「技術部門」全般にわたる専門知識,応用能力,問題解決能力及び課題遂行能力に関するもので,
現代社会が抱えている様々な問題について,「技術部門」全般に関わる基礎的なエンジニアリング問題としての観点から,多面的に課題を抽出して,その解決方法を提示し遂行していくための提案を問う。
というやつです。

水産部門は令和以降「新たな水産基本計画」から出題されていましたがちょっと古くなってきたのか一昨年度と昨年度は「水産白書」から出題されました。
しかし改定された最新版がR4年3月に閣議決定されました。
ということで、R5年度は「新たな水産基本計画」から出題されます!

【令和4年版 新たな水産基本計画】
水産物の持続的な発展に向けて横断的に推進すべき施策
●スマート水産技術の活用
●カーボンニュートラルへの対応
●新型コロナウイルス感染症対策
●東日本大震災からの復興
●水産物の自給率目標

R3でスマート水産業と東日本大震災からの復興が出題されました。
そう考えると、今年度は新型コロナを除いた残り2つの「カーボンニュートラル」と「水産物の自給率」になるんでしょうかね。
あるいは昨年度も出ましたが「防災減災」も可能性があるかもしれません(でもこれはR6年度かな)。
水産活動モノとしては「人口減少(少子高齢化)」も気になるなぁ。これは結局「スマート水産技術」に絡めたはなしになっちゃうんですが。
結局、なんだか全部盛りの予想になっちゃいました(笑)。これらのなかから1つは出題されると思いますよ。

とにかく水産分野の基本中の基本の計画ですからしっかり抑えてください。そのうえで余力があれR4年度の水産白書をチェックされるとよいでしょう。
では具体的にどういったことが出題されていたのか、見てゆきましょう。

①マーケットイン
②震災被害の回避低減

マーケットインは前年度(R3)の水産白書で特集されていたものです。
それにしても東日本大震災関連が2年続けて出題されたのは驚きました。水産部門の作問委員の思いの強さ、そして水産部門の技術士が取組むべき課題の大きさ、を強く感じました。

①東日本大震災からの復旧復興
②スマート水産業

R2
①新技術の活用(新たな水産基本計画から)
②地球温暖化対策

R1
①水産物の安定供給と漁村の維持発展(新たな水産基本計画から)
②SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」

H24
●水産資源の持続的利用

H23
●漁業・漁村の6次産業化

H22
●我が国の水産業の現状と課題

H21
●我が国や世界の漁業及び養殖業の現状と課題

H20
●水産物の安定供給と水産業の健全な発展

H19
●水産分野の現状と課題

平成24年度以前は水産業の現状と課題、そしてその対策で統一されていますね。
同じですね。令和元年度以降もこのテーマがずうっと根底にあります。つまり何が出題されようともコレしか出ません。
ということは試験対策も同じです。
水産分野の課題っていろいろあるようで、実は結構決まっていますよね。やはり新技術(ICT)は必須ネタです。漁業者も高齢化しているし、海外に対抗するには効率化、集約化、自動化、付加価値化するしかないですもんね。それら定番の課題を骨子などでまとめておけば、試験本番では出題テーマが何であろうともそのあらかじめ準備しておいた骨子をアレンジすることで対応できるはずです。

なお、ここで注意してほしいのですが、必須科目Ⅰは水産部門共通の問題です。問題文にもわざわざ書いてある通り「技術者としての立場で,水産部門全体にわたり広く多面的な観点から課題を抽出し」とか「技術者としての立場で,水産部門全般にわたる多面的な観点から抽出し」とあります。
課題の抽出にあたってはご自分の専門とする科目だけじゃなくてほかの科目における課題についても意識してくださいね。そうすることで高い評価が得られますし、他の受験生との差がつくはずです。
ここでおさらいですが、水産部門の専門科目は、「水産資源及び水域環境」、「水産食品及び流通」、「水産土木」の3つからなります。わたしは必須科目や選択科目Ⅲの回答の際には(問題文に数の指定がない限り)課題を3つ程度挙げることを推奨していますが、ちょうどこの3科目から課題をひとつづつ抽出すると多面的な観点がバランスよくアピールができると思います。3科目からが無理だったとしても少なくとも2科目から3つ程度抽出するようにしてください。
そのためには、いまの時期にご自分の受験する科目に関する勉強は当然のことながら、ほかの科目も意識した課題の抽出を時間をかけて整理しておくことで、試験本番では広い視野を備えた課題の抽出が瞬時にできることでしょう。その際、新たな「漁港漁場整備長期計画」も参考にしてみてください。これは各科目ごとの選択科目対策にもなります。
とにかく準備することなしに、試験本番でゼロベースで課題を抽出、解決策を提示する、なんてあの短い試験時間にできっこないです。

イカキング
イカの駅 つくモール
【石川県鳳珠郡能登町】

わたしの講座です。課題や解決策の妥当性、論理的整合性の確認を含めて、論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2023年5月18日木曜日

R5環境部門の要チェック分野まとめ(Ⅱ-1)

前々回にまだ梅雨入りしていない、なんて書いたところですが、無事に本日から沖縄・奄美地方の梅雨入りが発表されました。朝から豪雨雷雨です。災害が発生しなければよいのですが。

では出題予想、環境部門自然環境保全のⅡ-1です。
とはいえ自然環境保全のⅡ‐1の予想は難しいですよね。
昨年度は30by30はズバリ的中しましたが、わたくしイチオシのアメリカザリガニ(などの外来種)は取り上げられませんでした。
それでもシツコクR5こそアメリカザリガニやアカミミガメ(などの外来種)が出るんじゃないかと思います。ただし、Ⅱ-1で出るのか、Ⅱ-2で出るのか、はたまたⅢで出題されるのか、それはわかりませんが。

①自然公園と重複するジオパーク
②遺存固有(古固有)と新固有
③自然公園内での景観配慮
④30by30

①火山地形の国立国定公園
②世界自然遺産のOUV
③特定第二種国内希少野生動植物種
④持続可能な生物資源の管理に関する認証制度

R2
①ラムサール条約湿地とその保全措置
②環境DNA分析技術の特徴と効果、課題と展望
③野生生物の保護管理制度
④渓畔林・河畔林の特徴と機能

R1
①藻場の機能と減少要因
②愛知目標、我が国の取り組み
③森林認証制度
④自然環境保全地域と自然公園それぞれの制度

H30
①生物多様性を社会に浸透させる取り組み
②世界自然遺産地域の保護管理
③生物多様性の第2の危機
④ユネスコ世界ジオパーク

H29
①緑の国勢調査やモニタリングサイト1000
②国内希少野生動植物種と保護増殖事業
③ユネスコエコパーク
④生物多様性オフセット

H28
①鳥獣の管理(鳥獣保護管理法)
②生態系を用いた防災・減災(Eco-DRR)
③ミティゲーション
④里地里山における木質バイオマスエネルギー

H27
①自然環境保全地域
②鳥獣保護法改正と狩猟者の確保と育成
③自然公園等における利用者負担
④希少野生動植物の現況と保全

H26
①グリーン復興の取り組みと生物多様性保全への配慮
②里山の生物多様性
③自然の恵みの経済的価値評価
④自然との触れ合いのための歩道

H25
①コナラ林の適切管理
②自然解説標識
③在来生物の生息・生育域の変化
④自然再生事業におけるモニタリング及び順応的管理

でした。
当たり前ですがぜんぶ「生物多様性」ですね。さまざまな側面での生物多様性について問われています。

特に生物多様性や自然公園管理に係る法律や制度の変更時期はその話題が取り上げられることが多いようです。なんといっても3月に「生物多様性国家戦略2023-2030」が出ましたからね。ネイチャーポジティブだとか5つの基本戦略については簡単に整理しておいてください。これはⅡ‐1に限らないわけですが要チェックです。

そしてシツコイですが、R5年4月に防除マニュアルも出たことから今年こそアメリカザリガニやアカミミガメ(外来種対策)あたりはいかがでしょうか。
外来生物法がR4年5月に改正され、それを受けて9月には特定外来生物被害防止基本方針が変更されました。機は熟していると思います!

とはいえ、出題されるネタ(テーマ)をズバリ予想するのはやっぱり困難です。
でも、何が出ようとも4つのうちから1つを答えればいいわけですから、それくらいはなんとか答えてほしいものです。それができないようでは自然環境保全の技術士に相応しいとは言えません。
なぁーんて脅すようなことを書いちゃいましたが、なにも満点じゃなくてもいいんです。6割でいいんですから、訊かれたことに対してなんかかんか回答しさえすれば合格レベルの6割には達すると思います、達するはずです。
たとえばクライアントとの打ち合わせ協議でなんかしら質問されたというシチュエーションを考えてみてください。詳しくは知らないようなことについて訊かれても専門家を自負している以上、記憶をたどりながらでもわかる範囲でなんとか答えますよね?まったく何も答えられなかった、ということはないんじゃないですか?アレと一緒です。

上記分野は傾向もヘッタクレもありません。こう言ってはミもフタもありませんが、試験に出る出ないも関係ありません。基礎の基礎、専門のなかの専門として習熟しておいてください。

ヒカゲヘゴ
【沖縄県石垣市】

わたしの講座です。論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2023年5月17日水曜日

R5環境部門(自然環境保全)の要チェック分野まとめ(Ⅱ-2)

本日でちょうど技術士第2次試験の筆記試験まであと2か月となりました。
試験勉強は習慣になりましたか?
1日1時間でも勉強ができないとソワソワと気持ちが落ち着かなくなっちゃうくらいの精神状態になりますか?長年みていて、やっぱり筆記試験に合格するひとはそれくらいの状態になっていることが多いように思います。わたし自身もそうでした。
これからの2か月は、頭の片隅に常に試験のことがあるくらいの意識で毎日を過ごしてくださいね。

それでは続きまして自然環境科目の選択Ⅱ‐2(2つの設問から1問を選ぶスタイルの応用能力問題)で出題されたネタを見てみましょう。
応用能力については「平成31(2019)年度 技術士試験の概要について 」によると次のような説明があります。
これまでに習得した知識や経験に基づき,与えられた条件に合わせて,問題や課題を正しく認識し,必要な分析を行い,業務遂行手順や業務上留意すべき点,工夫を要する点等について説明できる能力
とあります。
「選択科目」に関係する業務に関し,与えられた条件に合わせて,専門知識や実務経験に基づいて業務遂行手順が説明でき,業務上で留意すべき点や工夫を要する点等についての認識があるかどうかを問う。
ということです。
業務遂行手順、留意点や工夫を要する点、というのがキモになります。

実際の問題文をみてみると、上記の「応用能力」の説明そのままですよね。ということは今後も同じような問われ方になるんじゃないでしょうか(違っていたらゴメンナサイ)。
Ⅱ-2-X (前文に業務テーマが指定されます)~の担当責任者として業務を行うに当たり,下記の内容について記述せよ。
(1)調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順について,留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。
*あるいは(2)業務を進める手順を具体的に示し,それぞれの項目ごとに留意すべき点,工夫すべき点を述べよ。
(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

この流れ、令和元年度から4年続けて同じでしたね。令和5年度はもしかしたらじゃっかんアレンジしてくるかもしれませんが、それでも大きくは変えられないと思います。
これまでどおりの準備で大丈夫でしょう。

於茂登岳
【沖縄県石垣市】

それでは具体的にどういった業務の遂行手順が問われてきたのか、これまでにどんな業務が出題されたのか振り返ってみましょう。

①自然資源を活用した地域振興計画
②クマ被害の低減予防計画

地域振興計画はR3のⅢ‐1で出題されましたね。害獣対策も過去に出題されています。Ⅱ-2とⅢはどちらも似たような出題が繰り返されていますね。ただし、Ⅱ-2は計画策定の手順、Ⅲは課題遂行&問題解決です。書き間違えないように注意してください。
また、Ⅱ-2は業務は業務でも、「計画」を策定する業務なのか、「実施」する業務なのかによって書きぶりが全然変わります。注意してください。そして出題されているのは圧倒的に「計画」です。計画を策定する業務の実施手順ですから、計画を実行する業務ではないことに注意してください。

①国立公園の歩道新設
②道路改修業務におけるロードキル対策

R2
①生態系ネットワークを踏まえた自然再生事業
②生物多様性地域戦略の改訂業務

R1
①生息域外保全計画
②自然公園における利用者負担

H30
①国立公園満喫プロジェクト(自然公園におけるインバウンド利用推進)
②生物多様性地域戦略の改訂業務

H29
①地域の自然再生事業
②生物多様性地域戦略の改訂業務

H28
①原発事故避難民の帰還にあたり利活用を前提とした自然環境の保全育成基本計画
②地域のエコツーリズム推進

H27
①河川中流域における自然環境の保全とその利活用を目的とした整備基本計画
②自然ふれあい活動計画

H26
①奥山地域における自然環境の保全育成基本計画
②自然公園における情報提供施設の改修計画と運営計画

H25
①里地里山における自然環境の保全育成基本計画
②林地を自然ふれあいの場とする基本計画

生物多様性地域戦略モノが最近問われていませんが、とにかく2問のうち1つは受験要件を満たした自然環境保全分野の技術者であれば当然これまでに実績、経験を積んでいるはずのものが出題されます。直接の経験がなくとも間接的にでも関わっているはずですし、なんなら耳学問でも体に入っているはずです。とにかくこの分野の技術士を目指すのであれば当然身につけておくべき応用能力です。

R5の試験対策としては、
①自然公園における維持管理計画
②自然再生事業の流れ
③自然環境の利活用計画
④生物多様性地域戦略の改訂業務の流れ
などを整理しておけばOKじゃないでしょうか。

そしてシツコイですが特定外来生物被害防止基本方針が変更されたことから、
⑤外来種被害防止対策事業計画
なんてのも想定しておいて間違いないと思います。準備しておけばⅢで出題されてもⅡ-1で出題されてもなんとかかけるんじゃないでしょうか。

とにかく、
Ⅱ‐2の回答については、APECさんは「業務計画書を作る感覚で」としています。特記仕様書兼作成手順書(問題文です)に沿って業務計画書(回答論文です)を作成するように書き上げればいいと思います。

わたしの講座です。論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2023年5月16日火曜日

R5環境部門(自然環境保全)の要チェック分野まとめ(Ⅲ)

梅雨に入りそうな時期ですがまだ梅雨入りしていない沖縄です。
桜の開花は早かったですが梅雨入りは遅くなるんでしょうか。
なかなか人間の都合よくはいきませんね。

というわけでさっそく試験対策のほうに参りましょう。今回は環境部門自然環境保全の選択科目Ⅲです。
選択科目Ⅲは「社会的なニーズや技術の進歩に伴う様々な状況において生じているエンジニアリング問題を対象」に出題されます。
では具体的にどういったことが出題されていたのか見ていきましょう。

①ツル越冬地の分散
②生物多様性民間参画

R3はカワウが、R4はツルが出ました。鳥が続いたのは意外でした。沖縄にはあんまり関係ないはなしばっかりなのでちょっと困っちゃいますよね。
生物多様性民間参画のほうは、以前建設部門建設環境のほうで出題されたことがあるのですが、自然環境保全で出るとは(って生物多様性関連なので出ますよね)。

①カワウ被害防止特定計画
②国際的な地域登録制度を活用した地域振興計画

R2
①事業者による生物多様性保全
②高山植物の衰退

R1
①地域のエコツーリズム推進
②生物多様性地域戦略

H30
①再生可能エネルギー導入
②侵略的外来種対策

H29
①世界自然遺産登録地
②自然公園におけるユニバーサルデザイン

H28
①生物多様性地域戦略
②自然公園の利用促進と保護

H27
①里地里山における生物多様性
②外来生物対策

H26
①多様な主体による協働
②絶滅危惧種の保全策

H25
①生物多様性国家戦略
②再生可能エネルギー

とにかく自然環境保全なので、
1に生物多様性
2に自然公園
これに尽きます。
生物多様性についてはさまざまなシチュエーションが年度によって変化しているだけです。
そして3月には生物多様性国家戦略2023-2030が出ましたからね。もうここから出題されるのは必定でしょう。

なお時折問われる再生可能エネルギーについては、もちろん自然環境保全の技術士として回答するわけですから、当然「生物多様性」や「景観」の保全という観点からの課題と解決策を展開してくださいね。環境部門共通の必須科目Ⅰとは違う意識で書かないと痛い目に合うかもしれません(合わないかもしれませんが)。

わたしの予想(というか希望)は、やっぱり外来種被害防止対策ですかね。外来生物法が改正されましたし、ここのところアカミミガメやアメリカザリガニの話題が頻繁にありました。

明治神宮内苑の杜
【東京都渋谷区代々木】

とにかく基本的なことですから(そして選択科目Ⅱ-1、Ⅱ-2対策にもなりますので)、生物多様性国家戦略、生物多様性地域戦略、外来種対策、自然公園(国立公園)・世界自然遺産登録地・ラムサール条約湿地等の維持管理、についてはしっかり整理、理解したうえで試験に臨んでください

わたしの講座です。論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2023年5月15日月曜日

R5環境部門の要チェック分野まとめ(Ⅰ)

前回まではこのブログのメイン科目である建設部門の建設環境向けでしたが、今回から環境部門自然環境保全の出題ジャンル予想をまとめた要チェック分野まとめ、まずは環境部門共通の必須科目Ⅰ、記述式(解答用紙3枚)です。
必須科目Ⅰでは下記について問われます。
「技術部門」全般にわたる専門知識,応用能力,問題解決能力及び課題遂行能力に関するもので,現代社会が抱えている様々な問題について,「技術部門」全般に関わる基礎的なエンジニアリング問題としての観点から,多面的に課題を抽出して,その解決方法を提示し遂行していくための提案を問う。

環境部門はハッキリ言って「第5次環境基本計画」から出題されます。これに尽きます。
令和2年度試験でそのものズバリ出題されましたが、今後も手を変え品を変え出題されるはずです。
第5次環境基本計画の「我が国が抱える環境・経済・社会の課題」と、それを踏まえて「環境・経済・社会の統合的向上」に向けた方策を論理的にまとめることができたらバッチリです!
ぜひ「6つの重点戦略」のひとつひとつを進めるうえでの課題とその解決策を骨子などで整理しておいてください。
そしてその肉付けにあたって環境白書だとか環境省から報道発表される環境分野の施策に関する資料などを参考にしてください。

では具体的にこれまでどういったことが出題されていたのか見てゆきましょう。

①地方自治体の海外支援
②気候変動適応策

昨年のわたしの予想では「脱炭素」推しでしたが、「適応策」でしたね。
そして海外支援には驚きました。

①環境保全と両立した再生可能エネルギー
②地球規模での環境危機

R2
①重点戦略(第5次環境基本計画から)
②地域循環共生圏

R1
①持続可能な社会への転換に必要となるイノベーション
②環境分野とかかわりが深いSDGs5つのゴール

H24 今後の環境政策のあり方(第4次環境基本計画から)
H23 グリーンイノベーション、3つの社会(低炭素社会・循環型社会・自然共生社会)
H22 環境先進国HERB(第3次環境基本計画から)
H21 持続可能な社会(第3次環境基本計画から)
H20 持続可能な社会(第3次環境基本計画から)
H19 持続可能な社会(第3次環境基本計画から)

最新の環境基本計画からしか出ていないといっても過言ではないですよね。しかも平成19~21年度は全く同じような内容で出題されています。
つまり、令和5年度試験も「持続可能な社会を実現するための課題とその解決策」を「第5次環境基本計画」を踏まえた内容で展開できればOKです。ただ、ここ数年の環境分野の動きも踏まえる必要がありますよね。SDGsを筆頭に、海洋プラスチック汚染なんかも要注目です。
とはいえやっぱりなんといっても「脱炭素」ですよね。G7も広島で開催されますし、R5こそ「脱炭素」じゃないでしょうか。脱炭素ポータルはもちろん、4月からは「脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動」が展開中です。
課題や解決策の方向性はぜひここから拾ってみてください。


木蝋資料館 上芳我邸
【愛媛県喜多郡内子町】

わたしの講座です。論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2023年5月12日金曜日

令和5年度技術士第2次試験 要チェック分野まとめ(Ⅰ)

出題ジャンル予想をまとめた要チェック分野まとめ、最後に必須科目Ⅰ、令和元年度から復活した記述式(解答用紙3枚)です。
「技術部門」全般にわたる専門知識,応用能力,問題解決能力及び課題遂行能力に関するもので,現代社会が抱えている様々な問題について,「技術部門」全般に関わる基礎的なエンジニアリング問題としての観点から,多面的に課題を抽出して,その解決方法を提示し遂行していくための提案を問う。
とのことです。
部門共通というところがミソですね。
建設環境は建設部門ですので、いまいちど建設部門なのだと認識してください。暗示にかけてもいいです。
とにかく環境系のひとは「建設部門だ」という意識がたいへん低いです。

では具体的にどういったことが出題されていたのか、見てゆきましょう。

①DX
②カーボンニュートラル

①廃棄物
②風水害

①担い手確保
②戦略的なメンテナンス

①生産性向上
②国土強靭化

こうしてみると「●●における社会資本整備のあり方」を問う問題ばかりですね。
●●には、①防災減災、②インフラメンテナンス、③地域社会の実現、④経済の好循環、⑤DX、⑥脱炭素・インフラ空間の利活用、といったあたりになろうかと思います。
これすべて「第5次社会資本整備重点計画」から取っています。

令和4年度はDXと脱炭素でした。どちらも建設部門の大テーマなので例年通りの想定内でした。それ以前も「国土のグランドデザイン2050」で取り上げられている王道テーマでした。令和5年度もこの傾向が続くと思います。へんに捻らず王道テーマで多面的な課題を抽出してそれを解決する骨子を作成しておけばOKだと思います。

まずは令和4年版国土交通白書2022はあらためて目を通しておいてください。キーワードや課題を拾うくらいだったら概要版でも結構です。
その令和4年の白書といえば「気候変動とわたしたちの暮らし」がサブテーマでした。

と書いてはみましたが、今回わたしのイチオシは、人口減少のニュースが多かったことから
①人口減少・少子高齢化社会を見据えた社会資本整備(まちづくり・維持管理更新・生産性向上)
です(笑)。
次いで白書で取り上げられていた気候変動対策です。
②気候変動緩和策として脱炭素を踏まえたまちづくり
③気候変動適応策としての防災減災(あるいはまちづくり)

伊平屋島
【沖縄県島尻郡伊平屋村】

いずれにしろ、選択科目Ⅲと同様、なにがテーマとなっても建設部門の技術者としての対応はそんなにはバリエーションはないと思います(解答ネタ、解答パターンとして)。
あらかじめ上記のテーマごとに骨子を整理しておけば試験当日は出題テーマに合わせてアレンジする程度で対応できると思います。

わたしの講座です。論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2023年5月11日木曜日

令和5年度技術士第2次試験 要チェック分野まとめ(Ⅲ)

それではまずは選択科目Ⅲからいきましょう。
選択科目Ⅲは「社会的なニーズや技術の進歩に伴う様々な状況において生じているエンジニアリング問題を対象」に出題されています。
では具体的にどういったことが出題されたのか見ていきましょう。

①河川を基軸とした生態系ネットワーク
②グリーンリカバリー

①生態系ネットワーク
②低炭素型・脱炭素型まちづくり

R2

①生物多様性保全再生
②都市と緑・農が共生するまちづくり

H30

H29

H28

H27

H26

H25

こうしてみると生物多様性と脱炭素がよく問われていますね。
あとは防災減災やインフラ維持管理に絡めた出題もありますが、どっちかというと建設部門共通、つまり必須科目のほうで問われることが多いです。そしてたまに水質改善、建設副産物等々となっています。

いずれも建設部門共通の社会的課題について建設環境の技術者としてどのようにアプローチするか(課題を抽出してそれをどのように解決を図るのか)が問われています。

こうしてみても、白書で取り上げられるような建設部門共通の社会的課題に対して、自然環境保全や持続可能性(SDGs)との両立を踏まえた「建設環境の技術者として」の取り組みを書けるかどうかになるのではないでしょうか。

伊良部島
【沖縄県宮古島市】

建設部門の共通課題(国土のグランドデザイン2050)としては、これまでにも出題されているものも含めて
①人口減少社会(H27・H30・R1)
②少子化・高齢化社会(H27・H30・R1)
③防災減災(H26・H28・H30)
④インフラ更新(H26)
⑤災害復興(や東京オリンピック)に向けての建設ラッシュ(H27・H28)
⑥気候変動適応策と緩和策(H28・R4)
⑦持続可能な都市づくり(H25・H27 ・H30・R1・R2・R3)
⑧観光立国
⑨建設産業の活性化・技術継承
⑩建設事業の海外展開
⑪生産性の向上~i-Construction
があります。

SDGsの17のゴールで考えると、以下に分類されます。
●SDGsの17ゴールに向けた建設分野での取組
目標6:安全な水とトイレを世界中に(H25)
目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに(H29)
目標11:住み続けられるまちづくりを(H25・H27 ・H30・R1・R2・R3・R4)
目標12:つくる責任 つかう責任(H27)
目標13:気候変動に具体的な対策を(H25・H28・R3・R4)
目標14:海の豊かさを守ろう(H25・H26・H28・H30・R1・R3・R4)
目標15:陸の豊かさも守ろう(H26・H28・H29・H30・R1・R3・R4)
こうしてみても目標11、14&15は頻出ですね。昨年度も2問ともここから出題されました。⑫SDGsの17ゴールに向けた建設分野での取組(←曖昧でスミマセン(笑)。出るに決まっていますね)。

上記の7つの目標別に骨子をまとめておけばどんな問題(テーマ)が出題されようともバッチリだと思います。

環境改善ものとしては、生物多様性についてはR1に出題されましたが、今年度はそれ以外のジャンルで出題されるかもしれません。そろそろ水質モノも出題されると思うのですが、たとえば水質のほかにも底質(水質みたいなものですが)はどうでしょう。
⑬閉鎖性水域の水質改善

たくさん挙げたわりには曖昧なままですが、なにがテーマとなっても建設環境の技術者としての対応はそんなにはバリエーションはないと思います(解答ネタ、解答パターンとして)。
要はどんなテーマであっても環境負荷低減を図ることでボトルネックを解決解消し、課題を解決、達成するということです。あるいはボトルネックを解決解消して課題問題である環境負荷低減を図るということです。この軸さえブレなければ大丈夫です。
この際、カギとなるのが「ボトルネックの抽出」になります。
ここでご自分の解決策を展開しやすいボトルネックを抽出できるかどうかで、あの短い限られた時間で回答論文を書ききることができるかどうかが決まるのではないでしょうか。
頑張ってください!
*ボトルネックとは、課題の達成を阻む問題点・障壁のことで、近年の問題文では「技術的課題」とも。

わたしの講座です。論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2023年5月10日水曜日

令和5年度技術士第2次試験 要チェック分野まとめの前に(Ⅰ&Ⅲ)

つづきまして、2つの設問から1問を選ぶスタイルの「問題解決能力及び課題遂行能力」が問われる必須科目Ⅰと選択科目Ⅲです。
毎年のことですが、出題予想のまえにまずは問題解決能力及び課題遂行能力の振り返りです(笑)。振り返りというか今回も完全に過去の投稿のコピペです(笑)。でも、とても大事なことなので繰り返しアップします!

問題解決能力及び課題遂行能力とはなんでしょうか。
「平成31(2019)年度 技術士試験の概要について」によると、「社会的なニーズや技術の進歩に伴い,社会や技術における様々な状況から,複合的な問題や課題を把握し,社会的利益や技術的優位性などの多様な視点からの調査・分析を経て,問題解決のための課題とその遂行について論理的かつ合理的に説明できる能力」とあります。
その出題内容は、
必須科目Ⅰが
・現代社会が抱えている様々な問題について,「技術部門」全般に関わる基礎的なエンジニアリング問題としての観点から,多面的に課題を抽出して,その解決方法を提示し遂行していくための提案を問う。
選択科目Ⅲが
・社会的なニーズや技術の進歩に伴う様々な状況において生じているエンジニアリング問題を対象として,「選択科目」に関わる観点から課題の抽出を行い,多様な視点からの分析によって問題解決のための手法を提示して,その遂行方策について提示できるかを問う。
ということです。

論理的、ということですから、これは従来から確認されている技術士の資質である論理的考察ができるかどうか、そしてそれを試験官に伝えることができるか、がキモです。
これには骨子(表)で整理して記述するクセを身につけると、書き間違うことはありません。骨子(表)についてはこれまでにも何回か記述していますし、SUKIYAKI塾のHPにも詳しいのでそちらをご確認ください。

問題文の構成は必須科目Ⅰ、選択科目Ⅲともほぼ同じなのですが、問い方(というか文言)が微妙に変化しているのが興味深いです。こうして並べてみると、だんだん文章が長くなっていますね。
R1は(1)~課題を抽出し分析せよ。
R2は(1)~課題を抽出し,その内容を観点とともに示せ。←R4の選択科目Ⅲパターン
R3とR4は(1)~課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,課題の内容を示せ。
でした。
R3から変化なしということはR5も変化なし、と考えるのが無難でしょう。もし変えてきたとしても対応できる範囲になると思います。

そして(2)はずっとまったく同じで
前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

次の(3)はじゃっかんバリエーションがありますが、正負両面と負(2次リスク)に対してはその対応策まで書かせるネタを想定しておけばOKです。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。
(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
でした。

そして(4)も同じで
前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から必要となる要件,留意点を述べよ。
といったように、技術者倫理と社会の持続可能性についてのものでした。
なお、技術士倫理綱領が改定されましたので、試験対策としてはキーワード等を更新してもよいかもしれません。

そしてR1の試験では、
答案用紙3枚以内にまとめよ。
だったのがR2以降、
答案用紙3枚を用いてまとめよ。
となっています。いくら内容がよくても2枚ではダメかもしれませんね。

選択科目ⅢもR1以降、ほぼ同じです。
ただし出題テーマによっては「建設環境の技術者として」という指定があることに注意してください。受験科目の技術者として答えるべきなのは当然のことですが、わざわざ指定されている場合は特に注意してほしいところです。同じ技術者であっても建設環境の技術者ではない立場でも解答が可能なテーマの場合に指定されているようです。建設環境は建設環境以外の技術士のひとが2科目めにチャレンジするパターンも多いですよね。建設環境は出題ジャンルが広いので、ついつい建設環境じゃない視点でも書けてしまいますから、そういった2科目めで受験するひとは要注意です。
Ⅲ-X (前文にテーマが示され)~することが求められている。このような状況を踏まえ,以下の問いに答えよ。
(1)~について,多面的な観点から技術的な課題を3点抽出し,その内容を観点とともに示せ。
あるいは
(1)~の課題を多面的な観点から3つ抽出し,その課題の内容を観点とともに示せ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
あるいは
(2)前問で抽出した課題のうち,最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の対策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
あるいは
(3)前問(2)で示したすべての対策に共通して新たに生じうるリスクと,それへの対応策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

選択科目Ⅲでは必須科目Ⅰの(4)技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点がないだけで、あとは同じですね。必須科目Ⅰは建設部門の技術者としての視点で、選択科目Ⅲでは建設環境の技術者としての視点で記述してください。

この流れ、平成時代の過去問に取り組む場合も令和時代用にアレンジする際に参考にしてください。もしかしたらR5年度は変えてくるかもしれませんが、それでも上記を整理して準備しておけば大丈夫でしょう。

東京大学本郷キャンパス 内田ゴシック
【東京都文京区】

評価にあたっては、課題を課題たらしめている根本の要因を炙り出せるか(これが課題分析)、それを文章で表現できるか、にかかっています。
実はこれができているかどうかでほぼ合否が分かれるといっても過言ではありません。わたしが行っている添削講座でもほぼこの課題の分析(問題点の抽出)についての指導になっています。逆に考えると、提案する解決策のそもそもの理由・根拠なんですが、それだけ皆さんが苦手としている部分です。ここをクリアすると一足お先に「合格」することができます。

また、多面的に課題を抽出、多様な視点からの分析も重要です。
一面的でなく多面的な視点が求められています。よく受講生から多面的(多様)な視点とはどういったものなのでしょうか、という質問を受けますが、定義はないので多面的でさえあれば試験としてはOKです。ここでは課題を幅広い視点(多様な視点)でもって抽出していることをアピールしてください。
手っ取り早く把握するには、過去の合格論文を参考にするとよいでしょう。多くの合格者がさまざまな課題を挙げているのがわかりますが、ほぼ共通したネタに収れんしているということもわかり、多面的なネタ集めとしてもとても参考になると思います。
なお、多面的とはいえ、たくさん書きすぎてもしょうがないので、数の指定がなければ3つくらいにまとめるのが無難です。

必須科目Ⅰと選択科目Ⅲにおける対象分野の傾向と予想はまた次回に。

わたしの講座です。論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2023年5月9日火曜日

令和5年度技術士第2次試験 要チェック分野まとめ(Ⅱ-2)

昨日から新型コロナが5類になりましたね。
ようやくです。長かったです。最初のころは疫病によるパンデミックなんて経験したことがなかったのでいったいどうなってしまうのかと、それはとても不安でした。
とはいえ、まだなくなったわけではないですし、罹患したらたいへんですから、感染対策は各々皆さん抜かりなく。

前回から続いて建設環境選択科目Ⅱ-2筆記試験問題の出題ジャンル予想です。
「平成31(2019)年度 技術士試験の概要について 」によると、
これまでに習得した知識や経験に基づき,与えられた条件に合わせて,問題や課題を正しく認識し,必要な分析を行い,業務遂行手順や業務上留意すべき点,工夫を要する点等について説明できる能力
とあります。
「選択科目」に関係する業務に関し,与えられた条件に合わせて,専門知識や実務経験に基づいて業務遂行手順が説明でき,業務上で留意すべき点や工夫を要する点等についての認識があるかどうかを問う。
ということです。
業務遂行手順、留意点や工夫を要する点、というのがキモになります。

実際の問題文をみてみると一目瞭然ですが、全部門、全科目ともテーマが異なるだけで問われ方は同じでした。
Ⅱ-2-X (前文に業務テーマが指定されます)~の担当責任者として業務を行うに当たり,下記の内容について記述せよ。
(1)~に関して調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順について,留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。
(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

令和元年度から4年続けて同じでしたから、今後も変わらないと思います。もしかしたら令和5年度はじゃっかんアレンジしてくるかもしれませんが、それでも大きくは変えられないと思います。
これまでどおりの準備で大丈夫でしょう。

国の重要文化財 内子座
【愛媛県喜多郡内子町

それでは具体的にどういった業務の遂行手順が問われてきたのか、これまでにどんな業務が出題されたのか振り返ってみましょう。
R4

R3

R2

R1

H30

H29

H28

H27

H26

①希少種への影響予測と環境保全措置
②生活環境への影響予測と環境保全措置

これはもうなんといっても環境アセスですね。R4は2問ともアセスでした。
環境影響評価法に基づく手続きはもちろん、法アセスに満たない規模も含んだ建設事業にかかる環境配慮(環境負荷低減)に関する手続きが問われています。そしてそのなかでは方法書以降の手続き、特に環境保全措置についてよく問われています。
これは受験要件を満たした建設環境分野の技術者であれば当然これまでに実績、経験を積んでいるはずです。
建設環境の技術者は大きく、自然環境系、生活環境系、環境影響評価系に大まかに分けられますが、いずれの技術者でも回答できるはずの出題内容となっています。

令和5年度の試験対策としては、
(1)まず法アセスの手続きの流れをしっかり頭に叩き込むこと
(2)ご自分が経験した(あるいは資料が入手可能な)環境アセスの一連の流れ(計画段階から環境保全措置、その後の事後調査まで)とその内容を概略で結構ですのでチェックしておく

そのほか、
(3)建設事業による環境負荷を低減する技術(つまり環境保全措置)について、その実施手順と留意点を整理しておく
(4)さらに事業の前提条件として「第1種事業」であることがたびたび出題されています。仮に事業規模が指定されていなかったとしても第1種事業で記述してもOKなのですから(たぶん)、この機会に第1種事業の規模は抑えておきましょう。特にご自分が取り上げる予定の事業においては、しっかりと数字(kmだとかhaだとか車線数だとか)を頭に入れておいてください(覚えやすい数字になっています)。なお高速道路建設事業は規模指定がないのでイイかもしれません。

もういっこのアセスじゃないほうは、何が出るのかわかりませんね。毎回、これが楽しみでもあります(笑)
R2の災害復旧(「美しい山河を守る災害復旧基本方針」ガイドライン)はズバリ的中!したのでとてもキモチよかったです(笑)。
逆にR3の地盤汚染、R1の便益計測手法、H29の歴史まちづくりなんかは予測できるわけないですね。

令和5年度のアセス以外の予想としては、まちづくり&防災減災系でグリーンインフラ計画が出題されると面白いですね。国土交通グリーンチャレンジも打ち出されています。防災減災に加えて、都市の緑空間の保全・活用によって潤いのある豊かなまちづくりというのもグリーンインフラと言えますし、受験者の職種を問わないので出題しやすいと思います。
あとはH27にも出ましたが、やっぱり外来種対策でしょうか。意外とそろそろ出るような気がしないでもありません(←出題されたらアタッタ!と大騒ぎするんでしょうね)。

とにかく、
Ⅱ‐2の回答については、APECさんは「業務計画書を作る感覚で」としています。特記仕様書兼作成手順書(問題文です)に沿って業務計画書(回答論文です)を作成するように書き上げればいいと思います。

わたしの講座です。論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2023年5月8日月曜日

令和5年度技術士第2次試験 要チェック分野まとめ(Ⅱ--1)

GWいかがでしたか。
わたしは目標としていた部屋の模様替えは中途半端で持ち越しに、目標にしていなかったベランダピロティの植物の植え替えは思いのほか進みました。
思いのほかといえば、添削依頼が毎日のように届き、さらには添削結果をお返ししたら即行で修正論文が届く、といったことが休みのあいだ続きました。
今年の受講生の皆さんは熱いですね。その調子で頑張ってください!

いよいよ筆記試験対策のラストスパートです!ここで最後のダッシュをかけられるかどうかで決まるといっても過言ではありません。
というわけで、これまで好評いただいている(そして昨年度はわりと的中させたような気でいる)当ブログの人気投稿記事ともいえる過去問出題ジャンルまとめと出題予想をこれからしばらく連載します。
もちろんアタルこともあればハズレることもあるわけで、当然ながらご自分でもいろいろと思いめぐらせながら試験問題、出題ジャンルを考えてみて下さい。
7月の試験まであと2か月ちょっととなりました、残りの期間を集中して頑張ってください!

【沖縄県島尻郡伊平屋島】

まずは建設環境科目のⅡ-1から過去問を振り返ってみましょう。
①道路または鉄道の騒音対策
②猛禽類の「前倒環境調査」
③Eco-DRR
④建設発生土と建設汚泥

事前予想としては、風力発電、騒音、土壌汚染対策or建設発生土を取り上げており、ジャンルとしてはアタッタと言えばアタッタといえるのではないでしょうか。
要チェック分野まとめ、それから元ネタをピックアップしたブログ記事等を参考に、引用元資料や周辺知識も含めて整理しておけばじゅうぶん対応できたのではないでしょうか。
それにしても建設環境でEco-DRRが出題されたのには驚きました。

①富栄養化がもたらす魚類の生息環境の悪化
②2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略
③SDGs、建設部門における生物多様性保全に向けた取組
④太陽電池発電所アセス

①再生可能エネルギー発電施設の環境アセス(存在又は供用)
②特定建設資材廃棄物の再資源化促進策
③土壌汚染の除去等の措置
④国土のストックとしての価値向上における取組

①建設リサイクルと建設発生土(有効利用と適正処理の方策)
②騒音発生源対策(の技術的留意点)
③多自然川づくり(の技術的課題)
④環境影響評価法(における計画立案段階から準備書まで)の手続き

①低周波音とその対策
②底層溶存酸素量とその改善策
③再生可能エネルギーの導入状況と太陽光発電事業の課題
④建設事業における外来種対策と留意点

①外来種防止行動計画
②閉鎖性海域の環境保全目標
③気候変動を考慮した防災対策、減災対策
④土壌汚染による有害汚染物質の摂取経路

①湖沼やダム湖の富栄養化対策
②建設発生土のリサイクル
③騒音対策
④生物多様性民間参画

①生態系サービス
②再生可能エネルギー
③景観重要公共施設制度
④廃棄物最終処分場跡地

①生物多様性4つの危機
②ヒートアイランド現象
③循環型社会
④下層DO

①環境再生における順応的管理
②改正環境影響評価法
③建設リサイクル
④生態系ネットワーク

でした。
単純にまとめると、
●環境アセス手続き
●再生可能エネルギー(に係るアセスや環境保全措置)
●生物多様性の取り組み
●外来種対策
●建設リサイクル
●土壌汚染対策
●騒音の現状と環境保全措置
●富栄養化対策(水質浄化対策)

が繰り返し出題されています。
これが建設環境の基本的な専門分野だということがわかります。
上記分野は傾向もヘッタクレもありません。基礎の基礎、専門のなかの専門として習熟しておいてください。
そしてこの分野については過去1~2年くらいで改正された法律や更新された技術マニュアルなんかがあれば要チェックです。

試験方法の概要が示されている「平成31(2019)年度 技術士試験の概要について 」によると、Ⅱ‐1で問われている『専門知識』とは「選択科目」における専門の技術分野の業務に必要で幅広く適用される原理等に関わる汎用的な専門知識、とあります。
出題内容は 「選択科目」における重要なキーワードや新技術等に対する専門知識を問う。
評価項目としては、技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち,専門的学識,コミュニケーションの各項目、とあります。
重要なキーワード」や「新技術」というのがミソですね。
その「重要なキーワード」や「新技術」を手掛かりに、昨今の話題なども鑑みると令和5年度は以下のようなあたりになるんじゃないかと予想しました(とはいえ昨年の予想とあまり変わり映えしませんが)。

ブルーインフラ ←昨年度はEco-DRRが出ましたが、その流れからすると、国交省が推している海版グリーンインフラであるブルーインフラあたりは匂いますね。
②生物多様性 ←3月に生物多様性国家戦略2023-2030が出ましたからね。概要は抑えておいてくださいよ。環境部門自然環境保全ではもう必出になると思いますが、建設環境でも出題される可能性が高いと思います。
③外来種対策 ←外来種対策、ここ数年出題がありませんのでそろそろ出るかもしれませんね。上記の生物多様性国家戦略に絡めて出題されることもあるかもしれません。そしてアカミミガメ及びアメリカザリガニに関する防除マニュアル等も出ましたよね。
④底層DO ←一昨年、琵琶湖・東京湾における底層溶存酸素量に係る水質環境基準の水域類型が指定されました。とはいえ、水質分野の王道は富栄養化対策です。
⑤砂浜保全 ←久しぶりに出題されていもいいのではないかと思っています。国交省で気候変動を踏まえた海岸保全のあり方についても検討されています。これが当たるとキモチイイだろうなぁ。
⑥洋上風力発電 ←昨年度も風力発電が出ましたが、国交省が推している再エネとしては洋上風力発電があります。もちろん再エネについては太陽光も要チェックですからね。
⑦建設リサイクル2020(廃プラスチックの分別・リサイクルの促進) ←昨年度は建設発生土と建設汚泥でしたので、いよいよ昨今話題の廃プラ問題、海洋プラスチック問題に絡めた出題があるのでは?
⑧工事中騒音 ←昨年度に出題されたので今年は出ないと思いますが、そうはいっても騒音振動ジャンルの受験生向けになんかしら出るかもしれません。工事中の、つまり工事用資材等の搬出入・建設機械の稼働に係る騒音及び振動といったあたりはいかがでしょうか。

わたしの講座です。論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2023年5月2日火曜日

技術士倫理綱領が改定されました

ここ沖縄では天気がいい日が続いています。沖縄なので日差しはそれなりに強いし気温も高いのですが、それでも真夏のように暑すぎず、梅雨のように湿気が高くないので、いまの時期が一年を通していちばん過ごしやすいと思います。
とはいえ、わたしはGW中日の平日は普通に出勤しています。忙しいというわけでもないのですが、加齢に伴う免疫力低下からくる体調不良だとか孫に会うためだとかでここのところ頻繁に休んだりしていたものですからこれ以上休むのは得策ではないという判断です(笑)

休みの日はといいますと、30日(日)は職場の有志数十名でビーチクリーン(海岸清掃)のボランティア活動に参加してきました。今回は砂浜に堆積しているマイクロプラスチックの回収を個人的なミッションにすえ、小一時間ばかりひたすら砂浜に這いつくばって頑張りました。
バケツに水を張って、そのなかにスコップ1ぱいぶんの砂を掬い入れ、浮いてきたマイクロプラスチックをストッキングでこしらえた簡易的な網で掬い取る、という手法を採用したわけですが、これが想定どおりにはうまくいきませんでした。
なぜなら沖縄の沿岸には一昨年でしたか、小笠原の海底火山の噴火による軽石が大量に漂着し、その軽石がいまだ結構な量で海岸に堆積しているんですよ。その軽石が集積している漂着帯にマイクロプラスチックも一緒に堆積していたんですよね。ちょうど比重が同じくらいだからなのでしょうね。軽石ごと取らないといけない事態になっちゃいまして、とてもじゃないけどマイクロプラスチックどころではなくなっちゃいました。
そんなことで結局、軽石の間に潜んでいるマイクロプラスチックの粒を手でつまんで拾うはめになり、地味すぎるうえにとても非効率でした。
しかし今後に向けて改善、改定のためにはとにかくやってみないことにはわからない、といういい経験ができました。まさにPDCAサイクルってやつですね。
そしてもちろん上記のボランティア活動についてはCPD記録としても申請し、さきほど無事に承認されたところです(PDCAとCPDって似てますよね)。

灰色の粒々が軽石です
宜野湾海浜公園 トロピカルビーチ
【沖縄県宜野湾市】

改善、改定といえば、技術士倫理綱領が去った3月に改定されました。

大きな変更があったわけではありませんのでそこまで気にすることはないかもしれませんが、必須科目Ⅰの設問(4)では、技術者倫理について回答することが求められています。
(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から必要となる要点・留意点を述べよ。

この改定された技術士倫理綱領を踏まえた文言で解答すると、点数がさらにUPするんじゃないでしょうか。
ぜひ、本文の1.と2.をチェックして、なんなら設問(4)に対する解答論文案の改定版を作成しておいてください。
添削をご希望のかたは下記講座をどうぞ。

青字は今回追記された箇所です。
技術士倫理綱領(一部抜粋)
【本文】
安全・健康・福利の優先) ←(公衆の利益の優先)から変更 
1.技術士は、公衆の安全、健康及び福利を最優先する。
(1)技術士は、業務において、公衆の安全、健康及び福利を守ることを最優先に対処する。
(2)技術士は、業務の履行が公衆の安全、健康や福利を損なう可能性がある場合には、適切にリスクを評価し、履行の妥当性を客観的に検証する
(3)技術士は、業務の履行により公衆の安全、健康や福利が損なわれると判断した場合には、関係者に代替案を提案し、適切な解決を図る

(持続可能な社会実現
2.技術士は、地球環境の保全等、将来世代にわたって持続可能社会の実現貢献する
(1)技術士は、持続可能な社会の実現に向けて解決すべき環境・経済・社会の諸課題に積極的に取り組む
(2)技術士は、業務の履行が環境・経済・社会に与える負の影響を可能な限り低減する。

技術士倫理綱領が改定されました

2023年3月8日
 倫理委員会では、2011年改定後の技術者を取り巻く周辺状況や社会情勢の大きな変化、技術者倫理に関わる社会問題の多発など、技術士を取り巻く状況の大きな変化を踏まえ、2017年度から3期にわたり技術士倫理綱領の改定に取り組んでまいりました。
 この検討に当たっては、委員会内に有識者を含めたワーキンググループ(2019年9月から「倫理綱領検証」、2021年1月から「倫理綱領関係規定改定」に改組)を立ち上げて、外部動向や最近の倫理事例の調査・分析を行いつつ、倫理綱領の課題を抽出して議論を行い、検討を進めて来ました。
 2022年6月20日~7月31日の期間には、改定案を日本技術士会ホームページに掲載して会員の意見を募集するとともに、2022年10月の全国大会(奈良・関西)に合わせて開催された「技術者倫理情報連絡会」でも地域本部倫理委員会委員や有識者とも協議の場を持ち、これらの意見を踏まえて改定最終案を取りまとめました。
 そして、2023年3月理事会において、新たに「技術士倫理綱領」として承認されました。

 「技術士倫理綱領への手引き」を併せてお読みいただき、社会から広く信頼を得て、技術士として活躍していただきたいと思います。

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