2021年5月30日日曜日

太陽電池発電所に係る環境影響評価の合理化に関するガイドライン(案)

いやぁ、沖縄収まりませんね、新型コロナ。。。
連日のように新規感染者数の記録を更新し続けています。気がつけば全国で断トツの比率です。ここまで拡がるといつわたしが罹ってもおかしくありません。もちろん気をつけてはいますが、イギリス型などの変異株はいくら気をつけていてもいつの間にか罹っちゃってるようですもんね。。。。不要不急の要件ではないので仕方ないのですが明日から離島出張なんですよ。

先日、日本技術士会環境部会のオンライン講演に参加したのですが、その内容は環境省の職員のかたが講師となって環境省の重点施策についての解説というものでした。このブログでも取り上げていますが、やっぱり「脱炭素社会の構築」に向けた施策を国(政府)を挙げて力を入れていることがビンビンに伝わってきました。
ちょうど先週の26日に「2050年までの『脱炭素社会』の実現」を基本理念とする改正地球温暖化対策推進法が参議院で全会一致で可決、成立しましたしね。

令和3年度の技術士試験は、政策を所管する環境省の取り組みを支える環境部門だけじゃなくって、その他の多くの部門科目でこの脱炭素社会の構築に向けた取り組みが問われるんじゃないかと踏んでいます。ちょうど一昨年の令和元年度試験で多くの部門科目でSDGsが一斉に問われましたが、それとおんなじような感じになるんじゃないかと予想しています。
当然、建設環境を受験するひとも重要視しておくべきでして、もちろんこれまでのコンパクトシティだとかグリーンインフラだとかがそれに該当するわけですが、やはり切り口としては建設環境のメイン事業である環境アセスに関連する施策が気になります。

で、ここ最近の動きでは今回取り上げる太陽光発電所アセスの「合理化」が気になりました。
そもそもアセスの手続きって煩雑ですからね。それでなかなか事業が進まないわけですが、こと再生可能エネルギー発電に限っては、一定の条件を満たすものは手続きを簡略化してすっすっすっと事業を進め、早いとこ建設工事に取り掛かって、早いとこ再生可能エネルギーによる発電所をたくさん作っちゃいましょう!という機運があるように感じます。なんせ2050年のカーボンニュートラルの前に、9年後の2030年には炭素排出量を2013年比で46%に削減することを目標として掲げましたからね、政府が。46%って50%ではないんですが、まぁでもすごいことです。

もちろん手続きを簡略化するということはイイことばっかりじゃなくて、どちらかというとヤバいことにつながりかねないっていう恐れもあるわけでして、つまりはなかなかに諸刃の刃だということは、専門技術者の皆さんならわかりますよね。そういった負の面もしっかり抑えて、そこは留意点としてクギを刺すことを忘れないように論文を記述できると評価も上がることでしょう。
というか我々技術者にはその専門技術力を発揮することで手続きが簡略化されても地域の環境を保全できるようにすることが期待されています。
しかしイケイケどんどんという動きにならないように気をつけないといけませんね。われわれ専門技術者が片棒を担ぐということになりかねません。試験のためというよりも社会から期待されている使命としてここはシッカリ勉強しないといけないと思います。
(脱炭素のための)再生可能エネルギー促進も大事ですが、(地域の)環境保全も大事、というわけです。
もとい、(地域の)環境保全も大事ですが、(脱炭素のための)再生可能エネルギー促進も大事、というわけです。

陸上の再生可能エネルギー発電所は小規模で電力消費地にあるのが理想ですね
【京都市下京区綾小路通】

令和3年5月28日
総合政策
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「太陽電池発電所に係る環境影響評価の合理化に関するガイドライン(案)」に対する意見の募集(パブリックコメント)について

「太陽電池発電所に係る環境影響評価の合理化に関するガイドライン(案)」について、広く国民の皆様から御意見をお聴きするため、令和3年5月28日(金)から6月27日(日)までの間、パブリックコメントを実施いたします。

1.概要

様々な立地への設置が可能な太陽電池発電所について、事業特性・地域特性に応じた合理的な環境影響評価を一層促進するため、環境影響が相対的に小さい開発済みの土地(ゴルフ場跡地等)に立地する際の、環境影響の評価を行う項目の合理的な選定の考え方を、「太陽電池発電所に係る環境影響評価の合理化に関する検討会」による検討を経て、今般取りまとめました。

つきましては、広く国民の皆様からの御意見をお聴きするため、以下の要領で意見の募集をいたします。


2.意見募集の対象

太陽電池発電所に係る環境影響評価の合理化に関するガイドライン(案)


3.意見募集要領.

(1)意見募集期間.

 令和3年5月28日(金)から令和3年6月27(日)まで(※郵送の場合は 6月25日(金)必着)

(2)意見提出方法.

次の様式により、必要事項を日本語で記入の上、[1]電子政府の総合窓口(e-Gov)[2]郵送、[3]ファックスのいずれかの方法で提出してください。

<意見提出様式>

宛 先:環境省大臣官房環境影響評価課

件 名:太陽電池発電所に係る環境影響評価の合理化に関するガイドライン(案)に対する意見

住 所:

氏名(企業・団体の場合は、企業・団体名、部署及び担当者名):

職 業:

電話番号:

ファックス番号:

電子メールアドレス:

該当箇所:   頁  行目

意見内容:(該当箇所を明記の上、1箇所当たり100字以内を目安に、できるだけ簡潔に御記載ください。)

(3)提出先及びお問合せ先

環境省大臣官房環境影響評価課

 〒100-8975 東京都千代田区霞が関1-2-2

 TEL: 03-5521-8236

 FAX: 03-3581-2697

※ 郵送の場合、封筒に赤字で「太陽電池発電所に係る環境影響評価の合理化に関するガイドライ(案)に対する意見募集について」と記載してください。

ファックスの場合は件名を「太陽電池発電所に係る環境影響評価の合理化に関するガイドライン(案)に対する意見」と記載ください。

※ なお、上記以外の方法(電話等)による御意見は受付いたしかねますのであらかじめ御了承ください。


4.資料の入手方法

資料は、以下により入手可能です。

(1)e-Govパブリック・コメント

   (https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public

(2)環境省ホームページ(http://www.env.go.jp/info/iken.html

(3)環境省大臣官房環境影響評価課において配布

   (東京都千代田区霞が関1-2-2中央合同庁舎5号館25階)

   ※ 入館の手続が必要であるため、事前にお電話での御連絡をお願いします。

(注意事項)

・提出いただきました御意見については、氏名、住所、電話番号等個人情報に関する事項を除き、全て公開される可能性があることをあらかじめ御了承願います。      

・皆様からいただいた御意見に対し、個別にお答えすることはできませんので、併せて御了承願います。

・電子政府の総合窓口(e-Gov)とFAXや郵送での二重送付はお控えください。

・御意見の対象となる政令案の該当箇所(項目名及びページ)を明記してください。締切日までに到着しなかった場合や記入漏れ、意見募集対象以外の御意見等、本要領に即して記入されていない場合には、御意見を無効扱いとさせていただくことがあります。

・御意見中に、個人に関する情報であって特定の個人が識別し得る記述がある場合及び法人等の権利等を害するおそれがあると判断される場合には、公表の際に当該箇所を伏せさせていただくこともあります。

添付資料

2021年5月28日金曜日

総監部門の要チェック分野まとめ(記述式)

わたしは1年前のコロナ禍以降、家に閉じこもってばかりなのも癪なので、この機会をなにかプラスに転じたくなり、近所にある小さなダムの周回道路を少しづつですがジョギングするようになりました。自分でも信じられないことに、1年を経たいまでも続いており、続いているどころか走りに出る頻度や距離、そしてスピードも上がっています。おかげで体力もついてきたように感じていて、老後に向けた体づくりをこれから本格的にやろうかな、と考えるまでになりました(笑)
すっかり個人的なはなしにズレていますが、いつもは軽く5kmを目安に走っていて、ちょうどそのダムを6周するとだいたい5kmになるんです。そういうことからあと6周と聞くとこれからのペース配分だとかいよいよ最後のセットだとかの感覚になっちゃうんです。
そうです、総監の筆記試験まで、あと6週となりました。

これまで総監については出題予想だとか過去問まとめだとかは行っていませんでしたが、今回は建設環境だけじゃなくて環境部門だとか水産部門についても取り上げましたので、わたしの講座の受講生のうち1/3を占める総監部門についても取り上げないのはフェアではないかもしれないな、と思うようになりました(そんなことないですかね)。
とはいえここで取り上げたからと言って、もちろん予想問題が的中することはありえないわけで、そういう期待はしないでくださいね、スミマセン(笑)。

とはいえ(ばっかりですが)、総監の場合はどんな問題が出題されようとも、総監として対応したらそれでいいだけです。それに対応できないうちは総監技術士の相応しさが足りないということになります。
総監技術士の相応しさとは総合技術監理を理解していること、そして実施できることであり、それを読み手である試験官に伝えることができて初めて合格することができます。
「総合技術監理」については、ご存知の通り5つの管理のそれぞれの内容を理解することももちろん重要なのですが、記述式問題で書くべき内容は、なんといっても総監キーワード集2021の1ページから4ページにある「1.総合技術監理」にある内容です。これが出題されます。そこに書かれた内容をご自分の立場や役割を設定したうえで出題されたテーマや各設問で要求されていることに沿ったかたちで表現できるかどうかが合否の分かれ目になるわけです。
トレードオフ×優先順位=全体最適化」
つまり、出題テーマなんてなんだっていいわけです。テーマなんかよりは問題文に合わせてしっかり書ききることができるかどうかです。それには事前にテーマが予想できるかどうかはあまり関係ないと思います。

と、これだけ書いておいてナンですが、これまでの試験テーマを振り返るとほぼそのときどきの社会問題、社会的な課題にちなんだテーマで出題されています。とするといちばんの話題、というか社会問題である新型コロナ(感染症)になるのかもしれません。
でもそのままだと昨年の自然災害に似てしまいますからね。そうするとやっぱりたとえ新型コロナだとしても昨年度とは違った切り口で問われるでしょうから、いったいどういうふうなことを問われるんだろうか、と考えるのも総監的思考力を養うのにイイかもしれません。

しかしアレコレ考えるとやっぱり新型コロナはないかもしれませんね。
次に注目したい話題はなにになるかと考えたところ、わたしのイチオシは脱炭素社会に向けた取り組み、になりました。ちょっと身びいきな感覚かもしれませんが(笑)
ちょうど2日前の26日に「2050年までの『脱炭素社会』の実現」を基本理念とする改正地球温暖化対策推進法が参議院で全会一致で可決、成立したばかりです。脱炭素社会の実現に向けて、国民、国、地方自治体などが密接に連携することが規定されています。つまりこれは決して他人ごとではないわけです。国民それぞれができることから取り組んでいかないといけないわけです。
そういうことからもこれは受験者各々の立場、組織においてどのような取り組みができるのかが問われてもおかしくありません。だいたいこれまであまり社会環境管理メインの出題ってなかったんじゃないですかね。もちろん答案のほうにはいくら脱炭素社会の構築とはいっても社会環境管理メインってわけにはいきませんから、経済性管理を中心に、人的資源管理や情報管理の管理技術を駆使して、もちろん管理間のトレードオフを調整、取組内容の優先順位を検討しながら脱炭素社会に合致した組織運営ができるよう全体最適化を図る計画を立てられるとカッコイイですね。2030年までの短・中期目標と2050年までの最終目標のそれぞれの対策について、組織一丸となって脱炭素社会に向けた取り組みをビシッと計画できるとすごくカッコイイですよね。

あるいはこれは大穴ですが、脱炭素なんかよりもいまの国民全体を(そして参加国を)巻き込んだいちばんホットな話題っていうと、やっぱり避けては通れない話題になりますが、開催するのかしないのかの東京オリンピックになりますね。外部環境に翻弄されるビッグイベント(事業)の管理ってのはどうでしょうか。。。
うー、想像しただけで押し潰されそうです。。。これはどう書いても気が重そうですね。

気持が高揚するほうを取りたいので、やっぱりわたしとしては脱炭素社会かな。

日本オリンピックミュージアム
【東京都新宿区】

気分を変えて、これまでどういったことが出題されていたのか、そして出題のキッカケとなる事象がいつ発生していたのかを見てみましょうか。

R2
【R1に台風や豪雨災害が頻発】

R1
【H29年12月のぞみ34号重大インシデントなど】

H30
働き方改革
【H30年6月に働き方改革関連法が成立】

H29
事業における継続可能性
【H28年12月に「SDGs実施指針」が決定、8つの優先課題と具体的施策が示された】

H28
新技術導入による変更管理
【H28年4月にi-Construction委員会から同報告書がリリース】

H27
国際イベント関連プロジェクト
【H27年6月に東京オリパラ大会特別措置法が成立】

H26
人口減少社会を見据えたインフラ更新
【H26年5月にいわゆる「増田レポート」が発表】

H25
ライフサイクルを鑑みたメンテナンス
【H24年12月に笹子トンネル事故が発生】

ご存知のとおり、総監はほぼその前年~半年程度の期間に話題になっている事柄が出題されていますよね。
社会を揺るがす事件・事故に災害、はたまた今後の中長期にわたって社会変革を促すような施策には敏感に反応してください。そしてそういったニュースに触れるだけでなく、事業主(経営者)の立場でその影響と対応策について5つの管理と全体最適化を考えておいてください、というか考えるクセをつけてください。

まずはイキナリ回答論文を書き始めるのではなく、過去の合格答案事例集を入手してそれを研究、分析することをオススメします。
たくさんの合格論文をみるとわかると思いますが、それら受験生は専門分野(技術部門)が異なるうえに、年度によってテーマも違うわけですけれども、総監としての課題や解決策そのものにはバリエーションがないことがわかると思います。人間、やれることは決まっていますからね。
というわけで、過去問についてしっかり取り組んでおけばOKだと思います。
もちろん事前に準備することなしに、試験本番でゼロベースで課題を抽出、解決策を提示するなんてことは、あの長いようで実はとても短い試験時間にはとてもではありませんができません。しかし事前にしっかり準備しておけば、試験本番では準備していた手持ちのピースのうちどれをどのように当てはめればよいのかを問題文に照らし合わせながら決めるだけです。

なお、APECさんによると、今年度から作問委員が変わるようで、試験問題の出題様式がガラッと変わる可能性もあります。もしかしたらH24以前のように、そのときどきの社会的話題からではなく、普遍的な管理上の課題から出題されるかもしれません。
そういうことからも、テーマにいちいち振り回されないで総監としての相応しさをアピールするにはどうすればよいかのほうに気を配るべきだと思います。

わたしの講座です。課題や解決策の妥当性、論理的整合性の確認を含めて、論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2021年5月26日水曜日

水産部門の要チェック分野まとめ(Ⅰ)

だんだん駆け足になってきているような感じですが、続いては水産部門を取り上げます。
わたしは何を隠そう水産部門は水産水域環境の技術士でもあるんですが、水産水域環境はとてもマイナーな科目でして、それゆえ令和元年度からは漁業及び増養殖と科目が統合され、水産資源及び水域環境ということになりました。
もともと受験者数が少ないことがあると思うのですが今年度は水産資源及び水域環境を受験するかたのお手伝いはしておりません。しかしなぜかありがたいことに水産土木を受験するかたを複数名受け持っています。環境分野からの出題も意外とあるからでしょうか。
そういったわけで環境部門について取り上げたのであれば水産部門を取り上げないわけにはいきませんよね(なんて書いちゃうとついでに取り上げたみたいですね)。

気を取り直して出題ジャンル予想です(っていうか実は予想になっていませんが)。水産部門は必須科目Ⅰしか取り上げませんけれども、ともかく必須科目Ⅰ、令和元年から復活した記述式(解答用紙3枚)です。
「技術部門」全般にわたる専門知識,応用能力,問題解決能力及び課題遂行能力に関するもので,
現代社会が抱えている様々な問題について,「技術部門」全般に関わる基礎的なエンジニアリング問題としての観点から,多面的に課題を抽出して,その解決方法を提示し遂行していくための提案を問う。
というやつです。

水産部門は令和以降、ズバリ「新たな水産基本計画」から出題されています。今後も手を変え品を変えここから出題されるはずです。
では具体的にどういったことが出題されていたのか、見てゆきましょう。

R2
①新技術の活用(新たな水産基本計画から)
②地球温暖化対策

R1
①水産物の安定供給と漁村の維持発展(新たな水産基本計画から)
②SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」

H24
●水産資源の持続的利用

H23
●漁業・漁村の6次産業化

H22
●我が国の水産業の現状と課題

H21
●我が国や世界の漁業及び養殖業の現状と課題

H20
●水産物の安定供給と水産業の健全な発展

H19
●水産分野の現状と課題

※平成18年度以前は部門共通ではなく専門分野ごとに出題されているので割愛します(15問から1問を選択するという形式なんです)。

令和元年度以降は2問のうち1問は最新の水産基本計画から出ています(ちなみにわたしのときはどうだったっけ?と考えてみたら平成30年度の必須科目はマークシートでした)。

平成24年度以前は水産業の現状と課題、そしてその対策で統一されていますね。
同じですね。令和元年度以降もこのテーマがずうっと根底にあります。つまり何が出題されようともコレしか出ません。
ということは試験対策も同じです。
水産分野の課題っていろいろあるようで、実は結構決まっていますよね。特に新技術(ICT)は要注目です。漁業者も高齢化しているし、海外に対抗するには効率化、集約化、自動化、付加価値化するしかないですもんね。それら定番の課題を骨子などでまとめておけば、試験本番では出題テーマが何であろうともそのあらかじめ準備しておいた骨子をアレンジすることで対応できるはずです。

(追記)
とまぁなんだかんだ書きましたが、やはり目玉としては「脱炭素」ですかね。
2030年目標を達成するためには水産分野としてどんな課題があってそれをどう解決すればよいか、ということが出題されると思いますよ。

なお、ここで注意してほしいのですが、必須科目Ⅰは水産部門共通の問題です。問題文にもわざわざ書いてある通り「技術者としての立場で,水産部門全体にわたり広く多面的な観点から課題を抽出し」とか「技術者としての立場で,水産部門全般にわたる多面的な観点から抽出し」とあります。
課題の抽出にあたってはご自分の専門とする科目だけじゃなくてほかの科目における課題についても意識してくださいね。そうすることで高い評価が得られますし、他の受験生との差がつくはずです。
ここでおさらいですが、水産部門の専門科目は、「水産資源及び水域環境」、「水産食品及び流通」、「水産土木」の3つからなります。わたしは必須科目や選択科目Ⅲの回答の際には(問題文に数の指定がない限り)課題を3つ程度挙げることを推奨していますが、ちょうどこの3科目から課題をひとつづつ抽出すると多面的な観点がバランスよくアピールができると思います。3科目からが無理だったとしても少なくとも2科目から3つ程度抽出するようにしてください。
そのためには、いまの時期にご自分の受験する科目に関する勉強は当然のことながら、ほかの科目も意識した課題の抽出を時間をかけて整理しておくことで、試験本番では広い視野を備えた課題の抽出が瞬時にできることでしょう。準備することなしに、試験本番でゼロベースで課題を抽出、解決策を提示する、なんてあの短い試験時間にできっこないです。

知床世界自然遺産登録地の漁協
【北海道斜里郡斜里町】

わたしの講座です。課題や解決策の妥当性、論理的整合性の確認を含めて、論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2021年5月25日火曜日

環境部門(自然環境保全)の要チェック分野まとめ(Ⅱ-1)

自然環境保全のⅡ-1の予想はサッパリわかりませんので掲載するのはヤメようと思っていたのですが、それではあんまりだ、せめてこれまでの出題内容を振り返るくらいはしてもいいんじゃないか、とのことで急きょアップすることになりました。
よかったらおつきあいください。
それではさっそく参りましょうか。

R2
①ラムサール条約湿地とその保全措置
②環境DNA分析技術の特徴と効果、課題と展望
③野生生物の保護管理制度
④渓畔林・河畔林の特徴と機能

R1
①藻場の機能と減少要因
②愛知目標、我が国の取り組み
③森林認証制度
④自然環境保全地域と自然公園それぞれの制度

H30
①生物多様性を社会に浸透させる取り組み
②世界自然遺産地域の保護管理
③生物多様性の第2の危機
④ユネスコ世界ジオパーク

H29
①緑の国勢調査やモニタリングサイト1000
②国内希少野生動植物種と保護増殖事業
③ユネスコエコパーク
④生物多様性オフセット

H28
①鳥獣の管理(鳥獣保護管理法)
②生態系を用いた防災・減災(Eco-DRR)
③ミティゲーション
④里地里山における木質バイオマスエネルギー

H27
①自然環境保全地域
②鳥獣保護法改正と狩猟者の確保と育成
③自然公園等における利用者負担
④希少野生動植物の現況と保全

H26
①グリーン復興の取り組みと生物多様性保全への配慮
②里山の生物多様性
③自然の恵みの経済的価値評価
④自然との触れ合いのための歩道

H25
①コナラ林の適切管理
②自然解説標識
③在来生物の生息・生育域の変化
④自然再生事業におけるモニタリング及び順応的管理

でした。
当たり前ですがぜんぶ「生物多様性」ですね。さまざまな側面での生物多様性について問われています。
特に生物多様性や自然公園管理に係る法律や制度の変更時期はその話題が取り上げられることが多いようです。要チェックですね。

とはいえ、出題されるネタ(テーマ)をズバリ予想するのはやっぱり困難です。
でも、何が出ようとも4つのうちから1つを答えればいいわけですから、それくらいはなんとか答えてほしいものです。それができないようでは自然環境保全の技術士に相応しいとは言えません。
なぁーんて脅すようなことを書いちゃいましたが、なにも満点じゃなくてもいいんです。6割でいいんですから、訊かれたことに対してなんかかんか回答しさえすれば合格レベルの6割には達すると思います、達するはずです。
たとえばクライアントとの打ち合わせ協議でなんかしら質問されたというシチュエーションを考えてみてください。詳しくは知らないようなことについて訊かれても専門家を自負している以上、記憶をたどりながらでもわかる範囲でなんとか答えますよね?まったく何も答えられなかった、ということはないんじゃないですか?アレと一緒です。

上記分野は傾向もヘッタクレもありません。こう言ってはミもフタもありませんが、試験に出る出ないも関係ありません。基礎の基礎、専門のなかの専門として習熟しておいてください。

頑張ってください!

自然解説標識
【石垣島】

わたしの講座です。論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2021年5月24日月曜日

環境部門(自然環境保全)の要チェック分野まとめ(Ⅱ-2)

緊急事態宣言が発令されて最初の平日を迎えました。
気持ち、路上を走行する車両の数が減っているように感じます。
わたしの勤務する会社は在宅勤務ではないので(状況によっては在宅OKですが)基本的に出社しています。
通勤手段は自家用車なので(10年前は電動アシスト自転車(笑))、感染リスクは都会の満員電車よりは低いんだと思いますが、いずれにしてもラクチンですよね。渋滞していてもたかが知れています。この境遇はとても恵まれていると思います。なにせ車内では狭いとはいえ他人と接触することもないし、なによりradikoで前日放送のナイツのザ・ラジオショーを聴きながら通勤しているんですから。自分の好きなように過ごせるというのは本当にありがたいです。リラックスできるし楽しい時間を過ごせています。
そういえば総監を受験していたころは青本のテキストを音声変換した読み上げファイルを聴きながら通っていました。あれはあれで今思えばとても充実していたとも言えるのですが、それでも受かったあとはいたって暢気なものですね(笑)

...てなことはどうでもいいですね、スミマセン。
それでは続きまして自然環境科目の選択Ⅱ‐2(2つの設問から1問を選ぶスタイルの応用能力問題)で出題されたネタを見てみましょう。
応用能力については「平成31(2019)年度 技術士試験の概要について 」によると次のような説明があります。
これまでに習得した知識や経験に基づき,与えられた条件に合わせて,問題や課題を正しく認識し,必要な分析を行い,業務遂行手順や業務上留意すべき点,工夫を要する点等について説明できる能力
とあります。
「選択科目」に関係する業務に関し,与えられた条件に合わせて,専門知識や実務経験に基づいて業務遂行手順が説明でき,業務上で留意すべき点や工夫を要する点等についての認識があるかどうかを問う。
ということです。
業務遂行手順、留意点や工夫を要する点、というのがキモになります。

実際の問題文をみてみると、上記の「応用能力」の説明そのままですよね。ということは今後も同じような問われ方になるんじゃないでしょうか(違っていたらゴメンナサイ)。
Ⅱ-2-X (前文に業務テーマが指定されます)~の担当責任者として業務を行うに当たり,下記の内容について記述せよ。
(1)~に関して調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順について,留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。
(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

この流れ、令和元年度から2年続けて同じだったので、令和3年度はもしかしたらじゃっかんアレンジしてくるかもしれませんが、それでも大きくは変えられないと思います。
これまでどおりの準備で大丈夫でしょう(違ってたらゴメンナサイ)。

それでは具体的にどういった業務の遂行手順が問われてきたのか、これまでにどんな業務が出題されたのか振り返ってみましょう。

R2
①生態系ネットワークを踏まえた自然再生事業
②生物多様性地域戦略の改訂業務

R1
①生息域外保全計画
②自然公園における利用者負担

H30
①国立公園満喫プロジェクト(自然公園におけるインバウンド利用推進)
②生物多様性地域戦略の改訂業務

H29
①地域の自然再生事業
②生物多様性地域戦略の改訂業務

H28
①原発事故避難民の帰還にあたり利活用を前提とした自然環境の保全育成基本計画
②地域のエコツーリズム推進

H27
①河川中流域における自然環境の保全とその利活用を目的とした整備基本計画
②自然ふれあい活動計画

H26
①奥山地域における自然環境の保全育成基本計画
②自然公園における情報提供施設の改修計画と運営計画

H25
①里地里山における自然環境の保全育成基本計画
②林地を自然ふれあいの場とする基本計画

まずはなんといっても生物多様性地域戦略(の改訂)ですね。
ついで自然公園の維持管理や自然再生事業が続きます。

H28年度の原発事故避難住民の帰還にあたっての自然環境保全育成計画が出題されたときは唸りました。突然の災害、突然の事故によって、ある日突然に住んでいる家、暮らし慣れたまちから遠く離れることになり、そしてそれから何年も経過していますがいまだに戻ることが許されていません。当然、まちはゴーストタウンと化し、山から下りてきた野生のサルやイノシシなどが道路や住宅街を闊歩している様子が報道されました。わたしも被災から8年後に福島第1原発構内やその周辺地域を見て回る機会があり、止まったままの信号機、草木がのび放題になった民家の庭や駐車場、路上のサルの群れなど、現実とはとても思えないような景色を目の当たりにしました。このわたしにいったい何ができるのか、しかしまずは現地の状況を知ることが大事なのだ、と、まとまらないままにいろんな思いが頭を駆け巡りました。そしてやはり専門技術者として貢献するのがいちばん社会の役に立つことができるのだろうなと、福島から離れてしばらくたってからやっとのことで答えの方向性をなんとか炙り出すことができた次第です。
H28年度のような今の日本社会が避けることのできない真正面から向き合うことが待ったなしで目の前に突きつけられている大きな課題を踏まえた出題があると、それこそ己の真の実力が試されているようで(試されているんですが)どうしても気持ちが高ぶってしまいます。実際のところ、あの短い試験時間内で回答することができたのでしょうか。とても重い課題だと改めて思いました。

福島第1原発から5kmのところにある旧福島県原子力センター
原子力発電所周辺の環境放射能を測定、原子力に関する知識の普及啓発を行っていた
そして津波被災直後からは放射線測定の拠点としての役割を担うが
3号機の水素爆発を受け、ただちにモニタリング調査を中止し職員全員が撤収した
【福島県大熊町】

気持ちが違う方向に行ってしまいました。
試験対策としては、とにかく2問のうち1つは受験要件を満たした自然環境保全分野の技術者であれば当然これまでに実績、経験を積んでいるはずのものが出題されます。直接の経験がなくとも間接的にでも関わっているはずですし、なんなら耳学問でも体に入っているはずです。とにかくこの分野の技術士を目指すのであれば当然身につけておくべき応用能力です。

R3の試験対策としては、
①生物多様性地域戦略の改訂業務の流れ
②自然公園における維持管理計画
③自然再生事業の流れ
④自然環境の利活用計画
などを整理しておけばOKじゃないでしょうか。

とにかく、
Ⅱ‐2の回答については、APECさんは「業務計画書を作る感覚で」としています。特記仕様書兼作成手順書(問題文です)に沿って業務計画書(回答論文です)を作成するように書き上げればいいと思います。

わたしの講座です。論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2021年5月23日日曜日

環境部門(自然環境保全)の要チェック分野まとめ(Ⅲ)

わたしの住む沖縄にも緊急事態宣言が発出されました。何回目でしたっけ。。。感覚的にだいぶ麻痺してきましたが、1年前と比べて良くなったのか悪くなったのかサッパリわかりません。新規感染者数も毎日過去最高を更新し続けているし、イギリス型の変異株に置き換わったらしいですし、良くなっている兆しはないのかもしれませんね。。。

とかなんとか言っている間にも時間だけはしっかりと過ぎてゆくものでして、早くも試験まで残すところあと7週となりました。
皆さん、追い込んでいますか?
添削依頼が例年以上に頻繁にあるので、皆さん頑張っておられるんだなとわたしも励まされているところです。

というわけでさっそく本題の試験対策のほうに参りましょう。本日は環境部門自然環境保全の選択科目Ⅲを取り上げます。
選択科目Ⅲは「社会的なニーズや技術の進歩に伴う様々な状況において生じているエンジニアリング問題を対象」に出題されます。
では具体的にどういったことが出題されていたのか見ていきましょう。

R2
①事業者による生物多様性保全
②高山植物の衰退

R1
①地域のエコツーリズム推進
②生物多様性地域戦略

H30
①再生可能エネルギー導入
②侵略的外来種対策

H29
①世界自然遺産登録地
②自然公園におけるユニバーサルデザイン

H28
①生物多様性地域戦略
②自然公園の利用促進と保護

H27
①里地里山における生物多様性
②外来生物対策

H26
①多様な主体による協働
②絶滅危惧種の保全策

H25
①生物多様性国家戦略
②再生可能エネルギー

出題ジャンルはほぼ決まっていますね。
自然環境保全なので、
1に生物多様性
2に自然公園
これに尽きます。
生物多様性についてはさまざまなシチュエーションが年度によって変化しているだけです。
なお時折問われる再生可能エネルギーについては、もちろん自然環境保全の技術士として回答するわけですから、当然「生物多様性」や「景観」の保全という観点からの課題と解決策を展開してくださいね。環境部門共通の必須科目Ⅰとは違う意識で書かないと痛い目に合うかもしれません(合わないかもしれませんが)。

わたしの予想(というか希望)は、先だって沖縄奄美が世界自然遺産として登録することが相応しいとIUCNから勧告されたというニュースがあったばかりですので、ここはぜひ世界自然遺産地の維持管理について問われたら嬉しいですね(さすがにまだ早いかな?R4年度ネタですかね)。
それからR2年の環境白書は「気候変動×防災」がテーマでしたので、ここは満を持して生態系を活用した防災減災(Eco-DRR)が出題されてもいいんじゃないでしょうか(本命?)。
そしてこれはネタとして話半分で聴いていただいていいのですが、昨年度受験の際にわたしが密かに準備していたものに国立公園・温泉地でのワーケーションというのがあります(ハッキリ言って穴です(笑))。でも出題されたら総どりまちがいなしです!
どうなりますかね、って完全にわたしの希望にすぎませんね。

ロードキル対策
【世界自然遺産登録候補地の西表島にて】

とにかく基本的なことですから(そして選択科目Ⅱ-1、Ⅱ-2対策にもなりますので)、生物多様性国家戦略、生物多様性地域戦略、外来種対策、自然公園(国立公園)・世界自然遺産登録地・ラムサール条約湿地等の維持管理、についてはしっかり整理、理解したうえで試験に臨んでください

わたしの講座です。論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2021年5月22日土曜日

環境部門の要チェック分野まとめ(Ⅰ)

前回まではこのブログのメイン科目である建設部門建設環境の受験者向けの投稿でしたが、今回からは環境部門も取り上げてみますね。
出題ジャンル予想をまとめた要チェック分野まとめ、必須科目Ⅰ、令和元年から復活した記述式(解答用紙3枚)です。
「技術部門」全般にわたる専門知識,応用能力,問題解決能力及び課題遂行能力に関するもので,
現代社会が抱えている様々な問題について,「技術部門」全般に関わる基礎的なエンジニアリング問題としての観点から,多面的に課題を抽出して,その解決方法を提示し遂行していくための提案を問う。
とのことです。

環境部門はハッキリ言って「第5次環境基本計画」から出題されます。これに尽きます。
令和2年度試験でそのものズバリ出題されましたが、今後も手を変え品を変え出題されるはずです。
第5次環境基本計画の「我が国が抱える環境・経済・社会の課題」と、それを踏まえて「環境・経済・社会の統合的向上」に向けた方策を論理的にまとめることができたらバッチリです!
ぜひ「6つの重点戦略」のひとつひとつを進めるうえでの課題とその解決策を骨子などで整理しておいてください。
そしてその肉付けにあたって環境白書だとか環境省から報道発表される環境分野の施策に関する資料などを参考にしてください。

では具体的にこれまでどういったことが出題されていたのか見てゆきましょう。

R2
①重点戦略(第5次環境基本計画から)
②地域循環共生圏

R1
①持続可能な社会への転換に必要となるイノベーション
②環境分野とかかわりが深いSDGs5つのゴール

H24
●今後の環境政策のあり方(第4次環境基本計画から)

H23
●グリーンイノベーション、3つの社会(低炭素社会・循環型社会・自然共生社会)

H22
●環境先進国HERB(第3次環境基本計画から)

H21
●持続可能な社会(第3次環境基本計画から)

H20
●持続可能な社会(第3次環境基本計画から)

H19
●持続可能な社会(第3次環境基本計画から)

※平成18年度以前は部門共通ではなく専門分野ごとに出題されているので割愛します(15問から1問を選択するという形式なんです)。

最新の環境基本計画からしか出ていないといっても過言ではないですよね。しかも平成19~21年度は全く同じような内容で出題されています。
つまり、令和3年度試験も「持続可能な社会を実現するための課題とその解決策」を「第5次環境基本計画」を踏まえた内容で展開できればOKだということです。
もちろんSDGsは技術者としての基本的素養ですから用語などはチェックしておいてくださいね。
そのほか最近の話題から拾ってみると、菅政権は「脱炭素社会」をあらためて大きく掲げていますよね(「2050年までの『脱炭素社会』の実現」を基本理念とする改正地球温暖化対策推進法が5月26日の参議院本会議で全会一致で可決され成立しました)。環境部門の技術者も大きく期待されているところだと思いますので試験でも問われやすいと思います。
また、昨年はレジ袋有料化というのもありました。ということは「海洋プラスチック汚染」も気になるところです。
そしてつい先日には「奄美・沖縄に対して世界自然遺産地登録(勧告)」というビッグニュースがありました。がこれは環境部門必須科目ではないでしょうね。

磊々峡
【宮城県仙台市秋保温泉】

わたしの講座です。論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2021年5月21日金曜日

令和3年度技術士第2次試験 要チェック分野まとめ(Ⅰ)

7月11日(日)の試験まで、早いもので2か月を切りました。試験までの週末はあと8回です。
出題ジャンル予想をまとめた要チェック分野まとめ、最後に必須科目Ⅰ、令和元年から復活した記述式(解答用紙3枚)です。
「技術部門」全般にわたる専門知識,応用能力,問題解決能力及び課題遂行能力に関するもので,
現代社会が抱えている様々な問題について,「技術部門」全般に関わる基礎的なエンジニアリング問題としての観点から,多面的に課題を抽出して,その解決方法を提示し遂行していくための提案を問う。
とのことです。
部門共通というところがミソですね。
建設環境は建設部門ですので、いまいちど建設部門なのだと認識してください。暗示にかけてもいいです。
とにかく環境系のひとは「建設部門だ」という意識がたいへん低いです。

平成30年度以前はマークシートだったわけで近年の傾向もなにもないのですが、平成24年度試験以前のⅡ-1&2の出題テーマは参考になると思います。
では具体的にどういったことが出題されていたのか、見てゆきましょう。

①担い手確保
②戦略的なメンテナンス

①生産性向上
②国土強靭化

①防災・減災に向けた社会基盤の整備
②地球環境問題3つの視点

H23
①今後の社会資本整備
②建設産業の活力回復

H22
①防災・減災対策
②海外での社会資本整備

H21
①低炭素社会の実現
②高度化細分化した技術

H20
①アセットマネジメント
②技術力の維持・向上

H19
①地域活性化
②大量退職に伴う技術継承

こうしてみると「●●における社会資本整備のあり方」を問う問題ばかりですね。
●●には、限られた予算、人口減少、労働人口減少、少子高齢化、グローバル社会、激甚化する災害、インフラ老朽化、環境保全、ICTといったあたりになろうかと思います。
これすべて「国土のグランドデザイン2050」から取っています。

令和2年度は担い手確保メンテナンスでした。どちらも建設部門の大テーマなので例年通りの想定内だったといえると思います。令和元年度も生産向上国土強靭化でしたのでこれまた王道テーマでした。今年度もこの傾向が続くと思います。へんに捻らず王道テーマで多面的な課題を抽出してそれを解決する骨子を作成しておけばOKだと思います。令和元年度以降の骨子も使えるはずです。

まずは令和2年版国土交通白書2020はあらためて目を通しておいてください。キーワードや課題を拾うくらいだったら概要版でも結構です。
その令和2年の白書といえば「社会と暮らしのデザイン改革」がサブテーマでした。
国交省の報道発表から抜粋すると、
概要
○白書において、既往の調査や国民意識調査を整理・分析したところ、
・土砂災害の発生回数は、1990~2009年の約1,000件/年から、2010年以降は約1,500件/年と1.5倍に増加、2018年は過去最多の3,459件
・2076~2095年において、1980~1999年と比べ、年平均気温最大4.5℃上昇、1日降水量200mm以上の年間日数2倍以上
・南海トラフ地震や首都直下地震が30年以内に70%程度の確率で発生
・地方圏の約9割のバス事業者が赤字など、地方公共交通の衰退が懸念
・2050年には、人口1万人未満の市区町村で人口が半減(2015年との比較)
 等が分かったことから、「激甚・頻発化する災害への対策」、「地域の移動手段の確保」等を、今後、国土交通行政が向き合うべき課題として取り上げました。

○これらの課題に対する取組の方向性として、
・災害対策については、国民目線でわかりやすい、抜本的・総合的な対策や、分野横断的に、平時から非常時、復旧・復興時まで、行政・企業・住民が連携し対応することで、「防災・減災が主流となる社会」の実現を目指す
・地域の移動手段については、上下分離方式、他の事業者との合併・共同経営、自家用有償旅客運送への転換や、まちづくりと一体となった効率的な交通ネットワーク形成により、将来も地域の移動ニーズに応えられる持続可能な交通サービスを確保する
 等を展望しています。

○さらに、現下の課題である新型コロナウイルス感染症に関して、白書の最初に特集として取り上げ、これまでの経緯や取組、国土交通分野への影響とこれへの対策を紹介するとともに、今後の対応を掲載しております。

多面的な課題と課題に対する取り組みの方向性まで示されています。これに沿ったはなしを書けば無難にA評価ではないでしょうか。

(追記)
とまぁなんだかんだ書きましたが、やはり目玉としては「脱炭素」ですかね。
2030年目標を達成するためには建設分野としてどんな課題があってそれをどう解決すればよいか、ということが出題されると思いますよ。
穴としては「インフラシステム海外展開」を挙げておきます。
さていったい何が出ますか。

とはいえ、SDGsは要チェックです!
【沖縄県島尻郡南風原町】

いずれにしろ、選択科目Ⅲと同様、なにがテーマとなっても建設部門の技術者としての対応はそんなにはバリエーションはないと思います(解答ネタ、解答パターンとして)。
あらかじめ上記のテーマごとに骨子を整理しておけば試験当日は出題テーマに合わせてアレンジする程度で対応できると思います。

わたしの講座です。論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2021年5月19日水曜日

令和3年度技術士第2次試験 要チェック分野まとめ(Ⅲ)

それではまずは選択科目Ⅲからいきましょう。
選択科目Ⅲは「社会的なニーズや技術の進歩に伴う様々な状況において生じているエンジニアリング問題を対象」に出題されました。
では具体的にどういったことが出題されていたのか、見ていきましょう。

R2

①生物多様性保全再生
②都市と緑・農が共生するまちづくり

H30

H29

H28

H27

H26

H25

対象とするインフラ整備のステージが防災減災、施設更新、災害復旧ものに分かれています。また、都市計画(持続可能性や地球温暖化対策)もよく問われ、たまに水質改善、再生可能エネルギー、建設副産物等々となっています。
R2は2つとも防災減災とも言えるし都市計画とも言えますね。ひさしぶりのヒートアイランドには驚きましたが、なかなかうまいところを突いてきました。

いずれも建設部門共通の社会的課題について建設環境の技術者としてどのようにアプローチするか(課題を抽出してそれをどのように解決を図るのか)が問われています。

こうしてみても、白書で取り上げられるような建設部門共通の社会的課題に対して、自然環境保全や持続可能性(SDGs)との両立を踏まえた「建設環境の技術者として」の取り組みを書けるかどうかになるのではないでしょうか。

【大阪府大阪市阿倍野区】

建設部門の共通課題(国土のグランドデザイン2050)としては、これまでにも出題されているものも含めて
①人口減少社会(H27・H30・R1)
②少子化・高齢化社会(H27・H30・R1)
③防災減災(H26・H28・H30)
④インフラ更新(H26)
⑤災害復興や東京オリンピック等に向けての建設ラッシュ(H27・H28)
⑥気候変動適応策と緩和策(H28)
⑦持続可能な都市づくり(H25・H27 ・H30・R1・R2)
⑧観光立国
⑨建設産業の活性化・技術継承
⑩建設事業の海外展開
⑪生産性の向上~i-Construction
があります。

SDGsの17のゴールで考えると、以下に分類されます。
●SDGsの17ゴールに向けた建設分野での取組
目標6:安全な水とトイレを世界中に(H25)
目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに(H29)
目標11:住み続けられるまちづくりを(H25・H27 ・H30・R1・R2)
目標12:つくる責任 つかう責任(H27)
目標13:気候変動に具体的な対策を(H25・H28)
目標14:海の豊かさを守ろう(H25・H26・H28・H30・R1)
目標15:陸の豊かさも守ろう(H26・H28・H29・H30・R1)
こうしてみても目標11、14、15は頻出ですね。
⑫SDGsの17ゴールに向けた建設分野での取組(←曖昧でスミマセン(笑)。出るに決まっていますね)
上記の7つの目標別に骨子をまとめておけばどんな問題(テーマ)が出題されようともバッチリだと思います。

環境改善ものとしては、生物多様性についてはR1に出題されましたが、今年度はそれ以外のジャンルで出題されるかもしれません。水質のほかにも底質(水質みたいなものですが)はどうでしょう。
⑬閉鎖性水域の水質改善

たくさん挙げたわりには曖昧なままですが、なにがテーマとなっても建設環境の技術者としての対応はそんなにはバリエーションはないと思います(解答ネタ、解答パターンとして)。
要はどんなテーマであっても環境負荷低減を図ることでボトルネックを解決解消し、課題を解決、達成するということです。あるいはボトルネックを解決解消して課題問題である環境負荷低減を図るということです。この軸さえブレなければ大丈夫です。
この際、カギとなるのが「ボトルネックの抽出」になります。
ここでご自分の解決策を展開しやすいボトルネックを抽出できるかどうかで、あの短い限られた時間で回答論文を書ききることができるかどうかが決まるのではないでしょうか。
頑張ってください!
*ボトルネックとは、課題の達成を阻む問題点のことで、近年の問題文では「技術的課題」とも。

わたしの講座です。論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2021年5月17日月曜日

令和3年度技術士第2次試験 要チェック分野まとめの前に(Ⅰ&Ⅲ)

つづきまして、2つの設問から1問を選ぶスタイルの「問題解決能力及び課題遂行能力」が問われる必須科目Ⅰと選択科目Ⅲです。
毎年のことですが、出題予想のまえにまずは問題解決能力及び課題遂行能力の振り返りです(笑)。振り返りというか完全に過去の投稿のコピペです(笑)。でも、とても大事なことなので繰り返しアップします!

問題解決能力及び課題遂行能力とはなんでしょうか。
「平成31(2019)年度 技術士試験の概要について」によると、「社会的なニーズや技術の進歩に伴い,社会や技術における様々な状況から,複合的な問題や課題を把握し,社会的利益や技術的優位性などの多様な視点からの調査・分析を経て,問題解決のための課題とその遂行について論理的かつ合理的に説明できる能力」とあります。
その出題内容は、
必須科目Ⅰが
・現代社会が抱えている様々な問題について,「技術部門」全般に関わる基礎的なエンジニアリング問題としての観点から,多面的に課題を抽出して,その解決方法を提示し遂行していくための提案を問う。
選択科目Ⅲが
・社会的なニーズや技術の進歩に伴う様々な状況において生じているエンジニアリング問題を対象として,「選択科目」に関わる観点から課題の抽出を行い,多様な視点からの分析によって問題解決のための手法を提示して,その遂行方策について提示できるかを問う。
ということです。

論理的、ということですから、これは従来から確認されている技術士の資質である論理的考察ができるかどうか、そしてそれを試験官に伝えることができるか、がキモです。
これには骨子(表)で整理して記述するクセを身につけると、書き間違うことはありません。骨子(表)についてはこれまでにも何回か記述していますし、SUKIYAKI塾のHPにも詳しいのでそちらをご確認ください。

問題文の構成は必須科目Ⅰ、選択科目Ⅲともほぼ同じなのですが、問い方(というか文言)がR2では微妙に変化していました。
必須科目ⅠのR1とR2の問題文と比べてみますと、
R1では
(1)~課題を抽出し分析せよ。
だったのがR2は
(1)~課題を抽出し,その内容を観点とともに示せ。
となってました。
観点ってなんだよ、分析しなくていいのかよ、と思わなくもないですが、観点を示すことが分析したことになるんでしょうね。

そして(2)は同じで
(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
でしたが、

次の(3)はⅠー1のほうだけこれまたちょっと変わりました。R1(とR2のⅠー2)は
(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。
だったのが
(3)すべての解決策を実行した上で生じる波及効果と,新たな懸案事項への対応策を示せ。
にアレンジされていましたね。R1のようなマイナスの影響だけでなく、プラスマイナスの影響、つまり正負両面について書けばいいのではと思います。

そして(4)はほぼ同じで
(1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から述べよ。
といったように、技術者倫理と社会の持続性についてのものでした(R1及びR2のⅠー2は社会の持続可能性ですが)。

さらに意外と大きな変化ともいえるかもしれませんが、R1の試験では、
答案用紙3枚以内にまとめよ。
だったのがR2では
答案用紙3枚を用いてまとめよ。
に変わっていました。いくら内容がよくても2枚ではダメかもしれませんね。

選択科目Ⅲは、R1、R2とほぼ同じでした。
ただしR2のⅢー1のほうは「建設分野における」とか「専門技術を踏まえた」などの指定がありました。
Ⅲ-X (前文にテーマが示され)~することが求められている。このような状況を踏まえ,以下の問いに答えよ。
(1)~を行うに当たって,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。
(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。
(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

選択科目Ⅲでは必須科目Ⅰの(4)技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点がないだけで、あとは同じですね。必須科目Ⅰは建設部門の技術者としての視点で、選択科目Ⅲでは建設環境の技術者としての視点で記述してください。

この流れ、平成時代の過去問に取り組む場合も令和時代用にアレンジする際に参考にしてください。もしかしたらR3年度は変えてくるかもしれませんが、それでも上記を整理して準備しておけば大丈夫でしょう。

【沖縄県那覇市首里】

評価にあたっては、課題を課題たらしめている根本の要因を炙り出せるか(これが課題分析)、それを文章で表現できるか、にかかっています。
実はこれができているかどうかでほぼ合否が分かれるといっても過言ではありません。わたしが行っている添削講座でもほぼこの課題の分析(問題点の抽出)についての指導になっています。逆に考えると、提案する解決策のそもそもの理由・根拠なんですが、それだけ皆さんが苦手としている部分です。ここをクリアすると一足お先に「合格」することができます。

また、多面的に課題を抽出、多様な視点からの分析も重要です。
一面的でなく多面的な視点が求められています。よく受講生から多面的(多様)な視点とはどういったものなのでしょうか、という質問を受けますが、定義はないので多面的でさえあれば試験としてはOKです。ここでは課題を幅広い視点(多様な視点)でもって抽出していることをアピールしてください。
手っ取り早く把握するには、過去の合格論文を参考にするとよいでしょう。多くの合格者がさまざまな課題を挙げているのがわかりますが、ほぼ共通したネタに収れんしているということもわかり、多面的なネタ集めとしてもとても参考になると思います。
なお、多面的とはいえ、たくさん書きすぎてもしょうがないので、数の指定がなければ3つくらいにまとめるのが無難です。

必須科目Ⅰと選択科目Ⅲにおける対象分野の傾向と予想はまた次回に。

わたしの講座です。論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2021年5月16日日曜日

令和3年度技術士第2次試験 要チェック分野まとめ(Ⅱ-2)

暑い日が続いています。
沖縄は梅雨入り直後こそ雨でしたが、梅雨前線が九州、四国、中国地方まで北上したのですっかり梅雨明けのような天気が続いています。
入道雲はまだそこまで発達していないのですが、これはもう梅雨明けに等しいのでしょうか。。。

気を取り直して、選択科目Ⅱ‐2(2つの設問から1問を選ぶスタイルの応用能力問題)の過去問で出題されたネタを見てみましょう。
応用能力とは何ぞや、というところですが、「平成31(2019)年度 技術士試験の概要について 」によると、
これまでに習得した知識や経験に基づき,与えられた条件に合わせて,問題や課題を正しく認識し,必要な分析を行い,業務遂行手順や業務上留意すべき点,工夫を要する点等について説明できる能力
とあります。
「選択科目」に関係する業務に関し,与えられた条件に合わせて,専門知識や実務経験に基づいて業務遂行手順が説明でき,業務上で留意すべき点や工夫を要する点等についての認識があるかどうかを問う。
ということです。
業務遂行手順、留意点や工夫を要する点、というのがキモになります。

実際の問題文をみてみると一目瞭然ですが、全部門、全科目ともテーマが異なるだけで問われ方はほぼ同じでした。
Ⅱ-2-X (前文に業務テーマが指定されます)~の担当責任者として業務を行うに当たり,下記の内容について記述せよ。
(1)~に関して調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。
(2)業務を進める手順について,留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。
(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

この流れ、令和元年度から2年続けて同じだったので、令和3年度はもしかしたらじゃっかんアレンジしてくるかもしれませんが、それでも大きくは変えられないと思います。
これまでどおりの準備で大丈夫でしょう。

【沖縄県島尻郡伊平屋島】

それでは具体的にどういった業務の遂行手順が問われてきたのか、これまでにどんな業務が出題されたのか振り返ってみましょう。

R1

H30

H29

H28

H27

H26

①希少種への影響予測と環境保全措置
②生活環境への影響予測と環境保全措置

これはもうほぼ環境アセス(のしかも環境保全措置)ですね。環境影響評価法に基づく手続きはもちろん、法アセスに満たない規模も含んだ建設事業にかかる環境配慮(環境負荷低減)に関する手続きが問われています。そしてそのなかで環境保全措置についてもよく問われています。
これは受験要件を満たした建設環境分野の技術者であれば当然これまでに実績、経験を積んでいるはずです。
建設環境の技術者は大きく、自然環境系、生活環境系、環境影響評価系に大まかに分けられますが、いずれの技術者でも回答できるはずの出題内容となっています。

R3の試験対策としては、
(1)まず法アセスの手続きの流れをしっかり頭に叩き込むこと
(2)ご自分が経験した(あるいは資料が入手可能な)環境アセスの一連の流れ(計画段階から環境保全措置まで)とその内容を概略で結構ですのでチェックしておく

そのほか、
(3)建設事業による環境負荷を低減する技術(つまり環境保全措置)について、その実施手順と留意点を整理しておく
(4)さらに事業の前提条件として「第1種事業」であることがたびたび出題されています。仮に事業規模が指定されていなかったとしても第1種事業で記述してもOKなのですから(たぶん)、この機会に第1種事業の規模は抑えておきましょう。特にご自分が取り上げる予定の事業においては、しっかりと数字(kmだとかhaだとか車線数だとか)を頭に入れておいてください(覚えやすい数字になっています)。なお高速道路建設事業は規模指定がないのでイイかもしれません。

もういっこの「建設事業に係る環境保全措置」のほうは、何が出るのかわかりませんね。毎回、これが楽しみでもあります(笑)
昨年度の災害復旧(「美しい山河を守る災害復旧基本方針」ガイドライン)はズバリ的中!したのでとてもキモチよかったです(笑)
令和3年度の予想としては、ここでグリーンインフラ計画が出題されると面白いですね。防災減災に加えて、都市の緑空間の保全・活用によって潤いのある豊かなまちづくりというのもグリーンインフラと言えますし、受験者の職種を問わないので出題しやすいと思います。

とにかく、
Ⅱ‐2の回答については、APECさんは「業務計画書を作る感覚で」としています。特記仕様書兼作成手順書(問題文です)に沿って業務計画書(回答論文です)を作成するように書き上げればいいと思います。

わたしの講座です。論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2021年5月15日土曜日

令和3年度技術士第2次試験 要チェック分野まとめ(Ⅱ-1)

連日連夜、コロナ一色の報道ですが、1年経過しても収まるどころかオリンピックのこともあって騒ぎが大きくなっていますね。なんだか世情がギスギスしていてちっとも楽しくないです。
そんなことなので今年度の筆記試験もホントのところどうなるかわかりませんね。
昨年度は5月の時点で秋への延期が発表されました。緊急事態宣言下でも口頭試験を実施したことからも今年はおそらく予定通り7月に実施されるとは思いますが、しかしイギリス型に加えてインド型の変異株の拡がり、その社会への影響次第では試験どころではなくなるかもしれません。

とはいえ、前回も書きましたが、技術士試験を目指している限りは筆記試験がいつになろうとも受験して合格して登録しない限り技術士を名乗れませんから、ステイホームを追い風に勉強を頑張ってほしいと思います。

というわけで、これまで好評いただいている(そして昨年度はわりと的中させたような気でいる)当ブログの人気投稿記事ともいえる過去問出題ジャンルまとめと出題予想をこれからしばらく連載します。
もちろんアタルこともあれば年によってはハズレることもあるわけで、当然ながらご自分でもいろいろと思いめぐらせながら試験問題、出題ジャンルを考えてみて下さい。
そして7月の試験まで2か月を切りました、残りの期間を集中して頑張ってください!

テレビ朝日
【東京都港区六本木】

まずはⅡ-1から過去問を振り返ってみましょう。
①再生可能エネルギー発電施設の環境アセス(存在又は供用)
②特定建設資材廃棄物の再資源化促進策
③土壌汚染の除去等の措置
④国土のストックとしての価値向上における取組

①と③がドンピシャ!
②と④もまぁ当たらずとも遠からず、といった結果でした。

①建設リサイクルと建設発生土(有効利用と適正処理の方策)
②騒音発生源対策(の技術的留意点)
③多自然川づくり(の技術的課題)
④環境影響評価法(における計画立案段階から準備書まで)の手続き

①低周波音とその対策
②底層溶存酸素量とその改善策
③再生可能エネルギーの導入状況と太陽光発電事業の課題
④建設事業における外来種対策と留意点

①外来種防止行動計画
②閉鎖性海域の環境保全目標
③気候変動を考慮した防災対策、減災対策
④土壌汚染による有害汚染物質の摂取経路

①湖沼やダム湖の富栄養化対策
②建設発生土のリサイクル
③騒音対策
④生物多様性民間参画

①生態系サービス
②再生可能エネルギー
③景観重要公共施設制度
④廃棄物最終処分場跡地

①生物多様性4つの危機
②ヒートアイランド現象
③循環型社会
④下層DO

①環境再生における順応的管理
②改正環境影響評価法
③建設リサイクル
④生態系ネットワーク

でした。
単純にまとめると、
●環境アセス
●再生可能エネルギー(に係るアセスや環境保全措置)
●騒音の現状と環境保全措置
●建設リサイクル
●生物多様性の取り組み、外来種対策
●富栄養化対策(水質浄化対策)

が繰り返し出題されています。
これが建設環境の基本的な専門分野だということがわかります。
上記分野は傾向もヘッタクレもありません。こう言ってはミもフタもありませんが、試験に出る出ないも関係ありません。基礎の基礎、専門のなかの専門として習熟しておいてください。
そしてこの分野については過去1~2年くらいで改正された法律や更新された技術マニュアルなんかがあれば要チェックです。

令和元年度試験からは4問出題されたなかから1問を選択すればいいのですから、上記対策だけでもイケると思います。1問くらいは頻出分野からなにかしら出るんじゃないでしょうか。
頑張ってください!

。。。と、これでこの投稿を〆てしまうのもなんだかツマラナイので、ハズレ覚悟で予想してみたいと思います。

改正された試験方法の概要が示されている「平成31(2019)年度 技術士試験の概要について 」によると、Ⅱ‐1で問われている『専門知識』とは「選択科目」における専門の技術分野の業務に必要で幅広く適用される原理等に関わる汎用的な専門知識、とあります。
出題内容は 「選択科目」における重要なキーワードや新技術等に対する専門知識を問う。
評価項目としては、技術士に求められる資質能力(コンピテンシー)のうち,専門的学識,コミュニケーションの各項目、とあります。
「重要なキーワード」や「新技術」というのがミソですね。

その「重要なキーワード」や「新技術」を手掛かりに、昨今の話題なども鑑みると令和3年度は以下のようなあたりになるんじゃないかと予想しました。
①SDGsのゴールに向けた建設分野での取組(目標6:安全な水とトイレを世界中に、目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに、目標11:住み続けられるまちづくりを、目標12:つくる責任 つかう責任、目標13:気候変動に具体的な対策を、目標14:海の豊かさを守ろう、目標15:陸の豊かさも守ろう) ←なんだかんだいってもヤッパリコレですね。Ⅱ-1に限らず必須科目や選択科目Ⅲのほうでも問われると思います。というか、直接問われなくてもSDGsに絡めて回答すると評価が上がると思います。
②生物多様性(GBO5) ←先日、日本語版がリリースされましたからね
沿岸透明度の目標設定ガイドライン ←出題されるまでシツコク取り上げます(笑)
砂浜保全 ←久しぶりに出題されていもいいのではないかと勝手に思っています。海岸形状のことだけでなく、海面上昇や陸水域の土砂管理も含んでいますので
海洋再生可能エネルギー発電、洋上風力発電アセス ←アセスや再生可能エネルギーものは1問は出題されるんじゃないかと思うので(関連して⑧と⑨)
建設リサイクル2020廃プラスチックの分別・リサイクルの促進) ←建設リサイクルも1問は出題されると思いますので、それに昨今話題の廃プラ問題と絡めてみました
気候変動(の建設分野への影響・「気候変動×防災」戦略 ←これはⅡ-1というよりは必須科目のほうで問われそうですね。
⑨太陽電池発電所に係る環境影響評価の合理化 ←まだ早いかな?

SDGsはざっくりですね(笑)
無理やりぎみですが、これまでの試験で頻出している分野である生物多様性、水質保全、循環型社会あたりのことをSDGsのゴールに絡めた出題があってもいいのかな、と思いました。

わたしの講座です。論文の添削を受けたい方はぜひどうぞ。

2021年5月10日月曜日

気候変動に伴う降雨量や洪水発生頻度の変化

GWが終わり、令和3年度業務が本格的に動き出しておられるのではないでしょうか。
それにしても新型コロナは変異型が広がっているとのことでまだまだ収束には程遠いですね。
来月に予定している筆記試験対策セミナーも予定どおりに開催できるのか、できるにしてもどういうかたちで開催するのか、(肝心の筆記試験対策そのものよりも)検討しなければいけないことが多くてたいへんに悩ましいです。

令和3年度の試験も7月に実施される予定ですが、変異型の猛威次第ではどうなるかわかりませんね。たぶん大丈夫だと思いたいところですが(あと2か月です!)。
とはいえ、技術士を目指しているひとは受験して合格して登録しないことには技術士を名乗れないわけですので、試験がいつになろうとも来るべき試験に備えて粛々と準備を進めてください(予定通りならあと2か月です!)。

そんななか、わたしの住む沖縄はGW後半から梅雨入りしました。
いまのところだらだら降るというよりは、降るときには強い雨が降る、というサイクルになっています。どちらかというと梅雨の終わりのような降り方のようにも感じます。
これも気候変動の影響なのかどうなのかわかりませんが、とはいえアカショウビンはきちんと渡ってきましたし、季節ごとの自然現象は年によって多少のゆらぎはあるにせよ、新型コロナで振り回されるなかもこうしてきちんと暦通りなことに例年以上にありがたみを感じます。

梅雨といえば、ここ数年来、河川の氾濫や土砂災害が全国各地で頻発しています。災害発生の報道に触れるたびに心を痛めているわけですが、治水対策、災害対策が順次進められてはいても、これでもう心配無用ということには(様々な要因、事情があり)なりませんね。
この防災減災については、技術士の、特に建設部門ではメインテーマとなっていることからも、わたしたち建設分野の技術者にはその持てる技術で安心安全な暮らしに貢献する、そのための力をいかんなく発揮することが社会から求められているのがわかります。

長々と書いてしまいましたが、ちょうど先般、気候変動を踏まえた治水計画の見直しについての発表がありましたので取り上げます。
これは建設環境というよりも建設部門の必須科目対策ですね。もちろん河川砂防を受験されるかたは専門の選択科目の回答のほうでこの見直しされる治水計画の考え方や根拠(特に数値)を踏まえた論文とする必要があるでしょう。
わたしの講座の受講生も今年はなぜか河川砂防海岸海洋を受験するかたが例年よりも多いです。建設環境を取得した後の2科目め、事業所としては建設環境よりも河川砂防のほうが主たる業務のかたなのでしょうね。そういえば県外の建設環境&環境保全計画のSUKIYAKI塾講師のかたも令和2年度試験で河川砂防を受験し見事(というか)無事に合格されました。その口頭試験の際にはフォーラム8の受付で鉢合わせになりそれは驚いたものです。

概要版の添付資料をみると、
○2℃上昇した場合の降雨量変化倍率は、北海道で1.15倍、その他(沖縄含む)地域で1.1倍、4℃上昇した場合の降雨量変化倍率は、北海道・九州北西部で1.4倍、その他(沖縄含む)地域で1.2倍とする。
○4℃上昇時には小流域・短時間降雨で影響が大きいため、別途降雨量変化倍率を設定する。
というように、地域ごと(降雨特性が類似している地域区分ごと)に影響予測が違うことにご注目くださいね。

多摩川右岸大丸外災害復旧工事(洗堀した河岸の復旧
是政橋からの眺め
【東京都府中市】

「気候変動を踏まえた治水計画のあり方」提言を改訂
~気候変動の影響を踏まえた治水計画への見直し~

令和3年4月30日

国土交通省では、今般、「気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会」が取りまとめた提言改訂版を踏まえ、水系ごとに、洪水の流量がどの程度増加するか等の科学的な分析を行い、気候変動の影響を考慮した治水計画へ順次見直し、治水対策をさらに強化してまいります。

○近年、水害が激甚化・頻発化しており、今後も気候変動の影響により降水量が増大すること等が懸念されていることを踏まえ、平成30 年4月に有識者からなる「気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会」(以下、「技術検討会」)を設置し、令和元年10 月に技術検討会から提言が公表されました。

○その後、気候変動予測モデルによる新たに整備されたアンサンブルデータを用いた分析や、気候変動を踏まえた治水計画の具体的手法等について、技術検討会で議論を進め、今般、改めて「提言 改訂版」としてとりまとめられました。

○改訂版では、気候変動を考慮した治水計画へ見直すにあたり、計画で想定する外力を世界の平均気温が2度上昇した場合を想定した降雨量とするとともに、過去に経験したことのない雨の降り方も考慮した上で、治水対策の検討の前提となる基本高水を設定すべきことが示されました。
<改訂の概要>
 ・暫定値として公表した「2℃上昇時の降雨量変化倍率」を精査し、確定値とした。
 ・これまで検討対象外としていた「島しょ部地域」および「短時間・小流域の場合」に対して、適用可能な降雨量変化倍率の値を示した。
 ・「気候変動の影響を踏まえた治水計画」について、具体的な検討手法を示した。 等
  ※添付資料:気候変動を踏まえた治水計画のあり方 提言 改訂版【概要】を参照

○提言や検討会の開催状況、資料等は、以下URL に掲載しています。
 http://www.mlit.go.jp/river/shinngikai_blog/chisui_kentoukai/index.html

添付資料

報道発表資料(PDF形式:161KB)PDF形式

添付資料(PDF形式:472KB)PDF形式

2021年5月2日日曜日

技術士試験 合格者からの声

GWが始まりましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
コロナのため、コロナ前のようにはやれませんね。。。。仕方がないのでステイホームで勉強しているかたが多いようで、わたしの講座のほうには例年にも増して添削依頼がじゃんじゃん寄せられています(驚)

よく考えたら筆記試験まであと10週間しかありません。
ついにテンカウントのカウントダウンが始まったというわけです!

ちなみに今日から10週間前はナニをしていたかな?と調べてみたらナント2/28(日)、それってわたしの口頭試験の試験日だったじゃあ~りませんか(笑)
そう考えるとこの10週間は待ち遠しかったですね。

それはそうと、先日発表のあった技術士試験に合格したかたがたから嬉しい報告をたくさんいただきました。
これから受験するかたたちの刺激になるといいなと考えまして、せっかくですのでここに紹介させていただくことにします。
とにもかくにもあと10週間です。どう過ごすかはあなた次第です。効率よく取り組むのが良いと思います。

【建設環境】
●すごろく先生
お世話になっております。●●です。
やりました!技術士第二次試験、口頭試験も無事に合格できました!
もうほんとに、すべてすごろく先生にご指導いただいたおかげです。
口頭試験を終えてから約2ヶ月、ずっともやもやしながら日々過ごしていましたが、
これでやっと一息ついて、GWに入れます。
コロナ禍ということもあり、筆記添削も含めると長期に渡り先生のご指導を受けさせていただけたことは、自分の人生においても本当に特別な期間だったと思っております。
今後はこの経験を活かして、日々自分の技術力向上だけでなく、後輩達の良き手本となるよう、更に自分をアップデートしていきたいと思っております。
今年のGWは久々にゆっくりとしたいと思っております。
先生のブログは今後も日々チェックさせていただきますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。本当にどうもありがとうございました。

●おはようございます。
早朝から、すみません。●●です。
口頭試験、合格していました!!
おととし?の筆記試験対策からブランクをはさみながら、今回の口頭試験対策まで、先生のわかりやすい丁寧なご指導のおかげです。本当に、ありがとうございました。
昨年3月に、●●●●から緊急帰国した時には、この日を想像もしていませんでした。
正直、主夫の立場で合格できるとは期待していませんでしたが、復職するにあたり、良いお土産ができました。本当に、ありがとうございました。まずは、お礼まで。

●技術士受験のすごろく語録  すごろく先生
お世話になっております。2020年度の建設環境受験に際して、添削のご指導をいただいていた●●と申します。
先ほど、口頭試験の合格発表があり、無事、自分の受験番号を確認することができました。
すごろく先生には、3年間だったと思いますが、ご指導をいただきました。
厳しい添削方針が、試験のときにどれほど発揮できたか定かではありませんが、先生のご指導を受ける前とでは、解答内容が変わったのは自覚できていましたので、効果は大きなものだったと思います。どうも、ありがとうございました。
今年は、環境部門を受験しようと考えています。スタートが遅れているうえに、建設環境の頭から切り替わっていないために、苦戦が予想されますが、少しでも前進できるように望みたいと思います。取り急ぎ、ご報告とお礼をお伝えしたく、ご連絡させていただきました。今後とも、よろしくお願いいたします。

●すごろく様
無事、合格することができました!
取り急ぎご報告とさせていただきます。おかげで良いGWを迎えることができます。本当にありがとうございました。

●すごろく様
お世話になっております。●●です。
技術士試験、無事に合格しました!
この度は、大変お世話になりました。筆記試験の合格発表~口頭試験まで、口頭試験~合格発表まで、辛かったです・・・。すごろくさんも環境部門で合格されていましたね!官報でお名前確認しました。おめでとうございます。
筆記試験の添削は大変勉強になりました。後輩が試験を受ける際は、すごろくさんの添削講座をすすめたいと思います。ブログも拝見しています。ありがとうございました。
コロナが落ち着いたら、遊びに来てくださいね。

●すごろく
お世話になっております。●●です。
無事、技術士第二次試験合格することができました。
これもすごろく様からのご指導があったからだと感謝しています。
取り急ぎ口頭試験の内容を整理したものを送付します。
これまでどうもありがとうございました。

●すごろく
お世話になります。おかげ様で無事合格しました。
ブログでの情報提供がなければ合格はなかったと思います。
これからも有益な情報を紹介してください。
ありがとうございました。

●無事に合格できました!
本当にありがとうございました。

●口頭試験,合格しました!
サクラ咲きました。
そして,環境部門合格おめでとうございます(官報みました)!
筆記試験後も温かいメールをいただき,ありがとうございました。
(悶々と過ごす中で返信もせず大変失礼しました)
あらためて,ありがとうございました。

【環境部門】
●すごろくさま 
お世話になっております。
技術士の試験、無事に合格していました。 すごろくさんも合格おめでとうございます!
試験の申込みから口頭試験までご指導本当にどうもありがとうございました。
特に筆記試験講座では何度も添削を受ける中で、答案の構成の仕方や合格できる答案の書き方を身につけることが出来ました。

●合格してました。本当にありがとうございました。

【総監】
●すごろく様
おはようございます。ご無沙汰しております。
こんな時間ですが(^-^; いの一番のご報告です。
無事に口頭試験の合格者名簿に番号ありました!!! 合格していました。
とてもとても嬉しいです!
受験申込をしてから1年以上経ちましてさすがに今年は長かったですので(長かったから、合格できたようなものですが)嬉しさも、地味にじわじわかなりきています。というか最高級に嬉しいです。
すべてご指導のおかげです。ありがとうございました!
最初は総監の感覚すらつかめていなかったスタートから根気よく指導して頂き、また口頭試験の模擬面接でも心が折れないような暖かいご指導を頂き、背中を押して頂けてもう感謝の言葉しかでてまいりません。本当にありがとうございました。
これからも、総監技術士を目指して学んだことを忘れないで何か目標を見つけて、学び続けたいと思います。後輩技術士として、これからもご指導頂けますよう改めまして今後ともよろしくお願いいたします。

●すごろく様
いつもお世話になっております。●●です。
本日口頭試験の結果発表があり、なんとか合格していたので報告します。
昨年度は良い結果を報告することが出来ず申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが一年越しに合格の報告ができ嬉しいかぎりです。
特に口頭試験対策についてはギリギリまで細やかにご指導いただき本当にありがとうございました。厳しく的確な助言に助けられました。
これからも研鑽を続けたいと思いますので今後ともご指導の程よろしくお願いします。
追伸
合格おめでとうございます!!私と違い不安要素がゼロだったのでまったく心配はしていませんでしたが官報に名前を見つけた時はやはり嬉しかったです(^∇^)ではまた。

●おはようございます。●●です。
無事に合格致しました。ありがとうございました。引き続き研鑽して参ります。
以上、ご報告致します。

【沖縄県那覇市 国際通り】