2019年7月31日水曜日

コンパクトシティ政策の次のステージに向けて ~中間とりまとめ~

暑いですね~。
わたしの本業でもある海の生きもの調査が本格的にスタートしました。そんなわけで試験が終わってからというもの連日のように海に潜っています。離島出張が続いているもんですから、沖縄本島とは比べものにならないくらい透き通ったエメラルドグリーンの海を目にすると、仕事なんですが夏休みの小旅行気分です。

その旅行中(じゃなくて出張中)にも添削講座への問い合わせをいただいています。
先週から令和2年度試験に向けた添削講座を開始したわけですが、早くも応募があることに驚いています(開設前から問い合わせもいただきました)。これまではもう少しゆっくり始動していたように記憶していますが、今年は早いですね。
令和2年度技術士試験 添削講座

さらに先日の筆記試験の再現論文コメント評価のほうも例年以上に申し込みをいただいております。応募のある部門もわたしがこれまで拝見したことのない専門外&想像外の部門のかたからもコメントがほしいとの問い合わせも複数いただいております。それだけこのブログを見てくださっているかたが多いのだと、驚くとともに嬉しい気持ちでいっぱいです。専門外ですができるだけ力になりたいと誠心誠意、コメントをお返しするよう努めています。
令和元年度筆記試験の再現論文に対するコメント評価

そんな折、国交省からコンパクトシティについての新たな方策が公表されました(といってもそんなに目新しくはないようですが)。
今年度から建設一般、必須科目も論文試験となりました。これまでの建設環境目線だけでなく、建設部門の技術者としての目線でこういった政策、社会的課題を見つめなおしてみてください。

暑中お見舞い申し上げます
野甫大橋から伊是名島を望む【沖縄県島尻郡伊平屋村】

報道・広報

コンパクトシティ政策の次のステージに向けて

~都市計画基本問題小委員会 中間とりまとめ~


令和元年7月30日
 今般、社会資本整備審議会「都市計画基本問題小委員会」において、「コンパクトシティ政策」「都市居住の安全確保」に関する方策がとりまとめられました。
 今後、国土交通省において、居住誘導区域における生活利便施設の立地促進やハザードエリアへの住宅の立地抑制など、次期通常国会での制度化や、令和2年度予算概算要求等を目指して、本とりまとめの具体化に向けた検討を進めてまいります。

 都市計画基本問題小委員会は、今日の都市計画基本問題(都市において現実に生じている、都市計画に起因し、又は関連する基本的かつ構造的な諸課題)について、解決に向けて講ずべき施策の方向性を幅広く検討するため、社会資本整備審議会都市計画・歴史的風土分科会のもと、平成29年2月に設置されました。(委員は別紙1参照)  
 第一弾として、空き地、空き家等の低未利用地の増加を背景とする「都市のスポンジ化」について、平成29年8月にとりまとめ、それを具体化した改正都市再生特別措置法等が平成30年7月に施行されました。  
 平成31年2月に再開し、「コンパクトシティ政策」「都市居住の安全確保」について7回会議を開催して、議論を重ねてまいりました。

〈中間とりまとめの主な内容〉
 1.コンパクトシティの意義等をわかりやすく整理・共有すること
 2.立地適正化計画の制度・運用を不断に改善し、実効性を高めること
 3.分野や市町村域を超えた連携を進めること
 4.居住誘導区域外に目配りすること
 5.市街地の拡散を抑制すること
 6.立地適正化計画等と防災対策を連携させること

(添付資料)
都市計画基本問題小委員会 中間とりまとめ「概要」 ※とりまとめ資料「本文」「参考資料」、過去の会議資料については、以下の国土交通 省HPに掲載しております。
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s204_toshikeikakukihonmondai_past.html

2019年7月21日日曜日

令和2年度技術士試験 添削講座

新しい評価基準である技術士コンピテンシーによる初めての試験が終わりました。予想どおりだったところもあれば、意外な問いに驚いたりと、とても興味深い2日間を過ごしました。その後1週間にわたって連載した試験問題の振り返りもひと段落しましたので、ここで次年度試験に向けての講座を開講することにいたします。

わたしの講師としての活動は、平成22年度試験に合格した翌年からSUKIYAKI塾の添削講座に参加するかたちでスタートしました。
SUKIYAKI塾のほか、身近な知り合いを含めると、これまでの9年間でのべ180名ほどのかたたちに指導アドバイスしたことになります。そしてその一助となったかどうか、平成30年度試験までの8年間で46名のかたが合格されました。

また、平成27年度からは総監の指導アドバイスも開始したところ、初年度にもかかわらず6名ものかたから吉報をいただくことができました。わたしはあくまで触媒にすぎませんが、『総監合格』にいくらかでも貢献できたであろうことに我ながら驚いています。

SUKIYAKI塾の活動と平行して綴り始めたこのブログですが、平成26年ごろからブログを訪問してくださるひとが増え始め、それに比例するように添削指導の依頼をあちらこちらから受けるようになりました。そこで平成28年から独自の添削講座を開講して受験に真剣に取り組む方のサポートを始めました。

軌道に乗った平成29年度以降、多くの受講生の皆さんとメールによる濃密なやりとりができました。受講生に恵まれたことが大きいと感じていますが、受講生の皆さんの理解の度合や伸び具合がそれはとても良い感触でした。
受講者さんから試験本番の感想を頂きました。

【総監】
●試験がようやく終わりました。論文については、ヒューマンエラーについての記載でした。文章は何らか記載できましたが、評価は・・。かな?私の現時点で出来ることはしたので、後は結果を待つのみです。これまで、指導ありがとうございました^_^。

●日曜日に総監を受けてきました。記述はなんとか五枚を9割りがた埋めることができました。特にはじめは今回の添削の内容をほぼ使うことができたので、考える余裕ができました。ありがとうございます。これで予定の50パーセントは獲得できたと思います。しかし、択一が23~26のできなので、あともう少しだったと思っています。来年はオリンピックもあるので、総監に専念して望みたいと思います。ご指導をありがとうございました。

【建設環境】
●試験終わりました。必須はまぁ書けました。選択は難しかったです。3はなんとか埋めましたが、手応えがありません。2-1と2はほぼ書けませんでした。約半年間色々とご指導をありがとうございました。

●本日、建設環境の筆記試験を受験して参りましたので、試験問題をお送りいたします。必須や専門のⅢでは、最も重要な課題に対する複数の解決策と、それらの解決策に共通するリスクと対策法について問われました。専門のⅡ-2では、これまでのアセスそのものの設問がなくなり、特にⅡ-2-2では、業務経験がないと対応が難しかったという印象です。全問、ほぼ100%埋めることができましたが、新傾向の部分にはどれだけ題意に沿えているのか、自信がないです。昨年のほうが手応えはあったような気がします。以上、速報でした。これまで半年間、ご指導、ありがとうございました。

●本日の筆記試験、なんとか、とりあえずは全ての問題を無事書ききることができたので、取り急ぎお礼と報告をさせていただきます。以下は個人的なご報告ですので、読んでいただけなくとも構いません・・問題は、Ⅱ-2の自主アセス以外は全て、添削で指導いただいたものにアレンジを加えた内容で対応できました。Ⅰは防災、Ⅱ-1は多自然川づくり→生態系ネットワークで書いた課題のアレンジで対応しました。(個人的には手応えありでしたが、そういう時ほど落ちているという声もよく聞きますが・・)ただ、Ⅲでは社会資本整備事業の方を選んだのですが、、(略)・・・と、思っています。しかし、あの瞬間ほかに解答を作成する技量は自分にはなかったので、そういう意味では今ある力でとりあえず悔いなくできたかなと思います。合格ラインに到達できたかはわかりませんが、とにかくご指導のおかけで試験本番乗り切れたと思っております。勝手なメールでかなり長くなってしまいましたが、また10月末に結果のご報告だけでもさせていただければと思います。以上、ありがとうございました。

●15日の技術士試験を無事に終えてきました。今年もお世話になった御礼をメールしようと思いつつも、技術士試験の後、すぐに長期出張だったので落ち着く時間がありませんでした。今年は試験形式が変わりましたが、これまで繰り返し添削してきていただいた、積み重ねてきたことが十分に出せたと感じています。とても完璧とは言えませんが、手ごたえがあります。もちろん、まだ結果は分かりませんが、自信をもって本番を望めたこと自体、ここで添削し続けてもらったおかげだと思っています。(なぜなぜ分析やボトルネック抽出、技術者としての技術力アピール等、とても役に立ちました)今年は、結果発表に向けて前向きに、復元論文や面接対策も進めようと思います。今年こそ、10月29日によい結果報告ができたらと思います。それでは、また。

【河川砂防】
●報告が遅くなりましたが、試験を終えてきました。一般は、・生産性向上・国土強靭化であり、想定範囲内の出題内容でした。しかし、問われ方が、(3)までは、河川砂防の問題Ⅲと同じ設問、(4)で倫理(略)、社会の持続可能性(略)であり、回答用紙に収めるのに苦労しました。バランスの悪い字数の記載となりましました。この一般問題で、テンションダウンです。しかし、午後の専門は、すごろく様のアドバイス通り、栄養ドリンクを飲んで、昼休みに添削指導頂いた内容をレビューしたところ、・1枚ものの出題内容は、過去問通り、・2枚ものも出題内容は、過去問通りで、設問を変更。以上は、一応、記載しました。しかし、問題Ⅲで(略)どうも、(2)で(1)の課題のうち1つについて複数の解決策(3)で複数の解決策に共通したリスクと対策になじめませんでしたが、一般ほどの苦労はしなかったと思います。結論としては、一般と問題Ⅲの出来が合格に左右されると思います。ご指導を受けたにも拘らず、反映できずに、申し訳ありません。問題を送るのが、これまでご指導頂いたことへのお礼ですが、それは、明日、対応させて頂きます。

【環境部門自然環境保全】
連絡遅くなり、申し訳ありません。試験が終わり、ようやく落ち着いてきました。改めまして、この度は、ご指導ありがとうございました。添削、指導をいただくのが勉強のモチベーションになっていました。試験は、一応、全ての問題で全てのマスを埋めました。出来ですが・・・、微妙なラインかなと思っています。必須は、SDGsを選択しました。環境部門に関係のある5つの目標について問われたのですが、(1)、(4)が用意不足でざっくりとしか答えられずでした。専門Ⅱは、1は自然環境保全地域を選択、2は域外保全を選択し、これは自信を持って回答できました。専門Ⅲは、地域戦略を選択しました。(1)の課題の抽出と分析について考えてしまい、時間がなくなり、焦って、題意に沿った回答ができてないような気がしています。一応全マス埋めましたがどのくらい点数をもらえるかと思っています。正直、緊張してしまいました。結果が出るまでは、口頭試験の準備をしようと思います。ダメだったら、悔しいので、また一からやろうと思っています。重ね重ねですが、この度は本当にありがとうございました。

などの報告をいただきました。
総監は順当な出題だった印象ですが、総監以外部門のほうはほぼ予想どおりの出題テーマに対して、細かい設問、特に必須科目Ⅰや選択科目Ⅲの問い方の変化に翻弄されている様子が生々しく描写されていますね。試験が終わったいま読んでも「頑張れ!」と手に力が入ってしまいます。

そして早くも次年度試験対策講座への問い合わせもいただいています。ありがたいことにブログの読者にお尻を叩かれここにようやく準備が整いましたので、ただいまより令和2年度試験に向けての添削講座を開講いたします。
これまでの指導経験を注力しますのでお任せください。

そのほか筆記試験再現論文に対するコメント評価も行います。
先日の試験答案について第3者の視点からの評価を欲しているかたはぜひどうぞ。


本サービス(添削指導アドバイス)はSUKIYAKI塾とは異なり有料でお受けします。
対象とする技術部門科目は以下の2つです。
●建設部門建設環境
技術士受験指導の経験は早いもので9年、そして建設環境分野の技術者としての業務経験は24年になりました。これまで主に沖縄県内での環境調査、環境影響評価、自主アセス(ミニアセス)に携わっております。
わたしの専門はどちらかというと自然環境に関する分野ですので生活環境の保全に関する現場感覚はやや劣るかもしれません。しかしながらこれまで添削するうえで支障はありませんでした。
また、他の部門科目(例えば環境部門など)についてもご希望であればお引き受けします。ただし専門技術に関する指導はできませんので論理構成や文章に関する指導アドバイスとなります。
なお、これまで建設環境以外には、河川、砂防及び海岸・海洋の環境寄りのかた、環境部門の環境保全計画と自然環境保全、水産部門の水産資源及び水域環境のかたを指導いたしました。

●総合技術監理部門
総監については科目を問いません。ただし建設-建設環境以外の科目の場合には専門技術を踏まえた管理については言及できないこともあります。
なお、これまで建設環境以外には、施工計画・施工設備及び積算、道路、都市及び地方計画、河川砂防・海岸海洋、土質及び基礎、上水道及び工業用水道、農業土木、環境保全計画、自然環境保全のかたを指導いたしました。
ご希望のかたには、平成29年2月23日で頒布が終了した「技術士制度における総合技術監理の技術体系(第2版)」(いわゆる青本)のテキストデータを差し上げます。
なお一部内容を法律等の改正に伴い書き換えています(ただしH29年時点までのものです)。

下記の5つのコースを設けました。
※併願・重願の場合はそれぞれの部門科目単位で受け付けます。

★お申込みはこちらからお願いします
お申込みフォーム

①令和元年度筆記試験の再現論文に対するコメント評価
内容:再現論文のコメント評価を行います。建設環境は必須科目Ⅰ、選択科目Ⅱ-1、Ⅱ-2、Ⅲの合計4つ、総監は記述論文(必須科目Ⅰ-2)です。
原稿に赤を入れるのではなく、メールでコメントをお返しする方式です。
返信回数:各問題に対し、1回のコメントとそのコメントを受けての再質問・返信を1回の計2回
料金:3,000円

【令和2年度試験対策】
②出願書類作成コース
期間:受付完了時から令和2年度試験の申込期限日7日前の4月13日(月)まで書類を受け付けます。
※令和元年度技術士第一次試験再試験の合格者で、受験資格を満たすひとについては5月1日(金)まで。
内容:受験申込書の記載内容と業務経歴票(5行の業務経歴と「業務内容の詳細」)についての添削指導を行います。令和2年度の様式が正式発表されるまでは令和元年度様式で添削指導を行い、令和2年度様式が発表され次第、あらためて添削指導いたします。
うまく作成できないかたには業務経歴のたな卸しと詳細業務の骨子の作成アドバイスからスタートします。
添削回数:期間内は回数無制限です。ただしわたしがOKと判断したらそこで終了とすることもあります。
料金:15,000円

③筆記試験論文添削 長期コース(7~11カ月)
期間:受付完了時から令和2年度筆記試験日7日前まで論文を受け付けます。総監部門は7月4日(土)まで、その他部門は7月5日(日)までです。
内容:建設環境については必須科目と選択科目を、総監については記述論文(必須科目Ⅰ-2)の添削指導を行います。過去問題に対する回答論文の添削です。原稿に赤を入れるのではなく、メールでコメントをお返しする方式です。
論文の仕上がり具合に自信がないかた、文章作成が苦手なかた、論理的思考が苦手なかた、専門技術分野が偏っているかた、それぞれに応じた指導をいたします。
添削回数:期間内は回数無制限です。ただし複数の論文を同時並行では添削しません。わたしが次の問題に移ってOKと判断してから別の設問に取り組んでください。
料金:30,000円 (平成31年度の筆記試験論文添削コースを受講したかたで同部門同科目の場合は25,000円)

④筆記試験論文添削 中期コース(3~6カ月)
期間:令和元年12月下旬頃から受付を開始します。受付完了時から令和2年度筆記試験日の7日前まで論文を受け付けます。総監部門は7月4日(土)まで、その他部門は7月5日(日)までです。
内容:建設環境については必須科目と選択科目を、総監については記述論文(必須科目Ⅰ-2)の添削指導を行います。過去問題に対する回答論文の添削です。原稿に赤を入れるのではなく、メールでコメントをお返しする方式です。
論文の仕上がり具合に自信がないかた、文章作成が苦手なかた、論理的思考が苦手なかた、専門技術分野が偏っているかた、それぞれに応じた指導をいたします。
添削回数:期間内は回数無制限です。ただし複数の論文を同時並行では添削しません。わたしが次の問題に移ってOKと判断してから別の設問に取り組んでください。
料金:20,000円

⑤筆記試験論文添削 短期コース(1~2カ月)
期間:令和2年4月末頃から受付を開始します。受付完了時から令和2年度筆記試験日の7日前まで論文を受け付けます。総監部門は7月4日(土)まで、その他部門は7月5日(日)までです。
内容:建設環境については必須科目と選択科目を、総監については記述論文(必須科目Ⅰ-2)の添削指導を行います。過去問題に対する回答論文の添削です。原稿に赤を入れるのではなく、メールでコメントをお返しする方式です。
論文の仕上がり具合に自信がないかた、文章作成が苦手なかた、論理的思考が苦手なかた、専門技術分野が偏っているかた、それぞれに応じた指導をいたします。
添削回数:期間内は回数無制限です。ただし複数の論文を同時並行では添削しません。わたしが次の問題に移ってOKと判断してから別の設問に取り組んでください。
料金:15,000円

【注意事項】
●本サービスは、Gmailを使用して行いますので、Gmailの送受信が可能な環境であることが必須条件です
●本サービスに使用するファイル形式はPDFもしくはMS Wordファイルのみです。これ以外のファイルは原則として対応できません
●添削指導の対象である経歴票や論文等はメールに添付してお送りいただきます
●メール受信後、添削コメント等を返信するまでに最大4日間の日数をいただきます
●総監については科目を問いませんが建設-建設環境、水産-水産資源及び水域環境以外の科目の場合には専門技術を踏まえた管理については言及できないこともあります
●領収書は発行いたしません
●振込手数料はご負担ください

本サービス(添削指導アドバイス)をご希望されるかたは上記の内容を確認いただいたうえで下記のフォームにてお申込みください。お申込みの時点で上記の注意事項に同意いただいたものとします。

フォームを受信後、遅くとも翌日中には振込先の銀行口座をご案内するメールをGmailで返信いたします。
※3日以上経過しても返信がない場合はGmailとのやりとりが不可能な環境と思われます。その際はお手数ですがご自身で設定等を調整したうえで再度ご応募ください。

★お申込みはこちらからお願いします
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2019年7月20日土曜日

環境部門と水産部門 選択科目Ⅲ 生物多様性

建設環境でもズバッと出題された生物多様性ですが、なんと環境部門(自然環境保全)でも、水産部門(水産資源及び水域環境)でも出題されました。
同じテーマですが回答する場合はそれぞれの部門科目の技術者としての立場が異なります。見比べることでそれぞれの部門科目で求められている視点が浮かび上がってくると思います。
同じ「環境」分野、「生物多様性保全再生」分野ですが、この違いを理解することも技術士受験の場合には大事な視点になりますので、ぜひ研究してみてください。これが経歴票作成や口頭試験の際に受験する部門科目の技術士としての相応しさに繋がります。

まずは環境部門自然環境保全です。

19-3 自然環境保全【選択科目Ⅲ】
Ⅲ 次の2問題(Ⅲ-1,Ⅲ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

 Ⅲ-2 「生物多様性国家戦略2012-2020」においては,生物多様性を社会に浸透させることが生物多様性施策の基本戦略の1つに挙げられ,地方自治体による地域戦略の策定を促進することが示されている。このような状況において,以下の問いに答えよ。

(1)ある市町村において,豊かな自然の恵みを地域資源として活用し地域産業の活性化に繋げる生物多様性地域戦略を策定するに当たり,技術者の立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ選択し,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で提示した解決策において新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

市町村の生物多様性地域戦略策定に向けた提言

生物多様性地域戦略は鉄板ですよね。これまでもたびたび出題されているので皆さんシッカリ書けたのではないかと思います。
続いて水産部門水産資源及び水域環境から。

14-1 水産資源及び水域環境【選択科目Ⅲ】
 Ⅲ-2 サンゴ礁は海洋生態系の中で最も生物多様性が高い場所であると言われている。しかし,サンゴ礁は地球規模並びに地域規模で起こる環境改変に対して脆弱であり,さまざまな原因により被害を受け衰退の危機にさらされている。このような状況の中で,サンゴ礁の再生に取り組むに当たって,以下の問いに答えよ。

(1)技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

サンゴ礁の修復と再生

環境部門の鉄板さに比べて、水産部門は(自然再生はまぁ鉄板なのですが)サンゴ礁生態系限定というのに驚きました。サンゴ礁が身近にない全国各地の受験生は大丈夫だったのかちょっと心配です。。。

国の名勝及び天然記念物、日本の重要湿地500、生物多様性保全上重要な湿地
八重干瀬(やびじ)
【宮古列島池間島の離礁】

2019年7月19日金曜日

環境部門と水産部門 必須科目 SDGs

わたしの講座の受講生は建設環境と総監を受験するひとが多いのですが、今年度は環境部門(自然環境保全)と水産部門(水産資源及び水域環境)、建設部門の他科目では河川砂防を受験するかたに指導アドバイスを行いました。
これらの部門科目についても目を引いた問題文を掲載したいと思います。

まずは、環境部門と水産部門の必須科目で出題されたSDGsです。
建設部門や建設環境の選択科目でも出題されてもおかしくない分野です。建設環境のかたも令和2年度試験対策の際は参考にしてください。

建て替え工事のため6/17で閉鎖した牧志公設市場
【沖縄県那覇市】

19 環境部門【必須科目Ⅰ】
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-2 SDGsを中核とする2030アジェンダは,2015年9月にニューヨーク国連本部で開催された持続可能な開発のための首脳会議国連総会で採択された。SDGsは,17のゴールとゴールごとに設定された合計169のターゲットから構成されている。17のゴールの中では「ゴール6(水)」,「ゴール12(持続可能な生産・消費)」,「ゴール13(気候変動)」,「ゴール14(海洋)」,「ゴール15(生態系・森林)」の5つのゴールは,特に環境と関わりが深くなっている。

(1)これら5つのゴールの目標を明確にした上で,現状・課題をそれぞれ述べよ。

(2)これら5つのゴールのうちあなたが最も重要と考えるゴールを1つ挙げ,その選定理由と複数の解決策を述べよ。

(3)解決策の実施に際して,新たに生じ得るリスクとそれへの対策についてあなたの専門技術を踏まえて考えを述べよ。

(4)上記事項を業務として遂行するに当たり,技術者としての倫理及び経済・社会・環境の三側面統合の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。

第1章 地球環境の限界と持続可能な開発目標(SDGs) - 環境省

そして水産部門でもSDGsが出題されました。

14 水産部門【必須科目Ⅰ】
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-2 平成27(2015)年に国際連合で採択されたSDGs(SUSTAINABLE DEVELOPMENT GOALS 持続可能な開発目標)のうち,目標14は「海の豊かさを守ろうー持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し,持続可能な形で利用する」である。こうした国際目標は我が国の水産技術者にとっても個々の専門分野の枠を超えて念頭に置くべき目標であることはいうまでもない。
 そこでこの目標を実現するために,以下の問いに答えよ。

(1)技術者としての立場で,水産部門全般にわたる多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

(4)以上を総合した取組においてを必要な要件を技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から述べよ。

水産研究機関からのSDGsへの貢献 〜SH“U”Nプロジェクトの推進〜
SDGsとは? SDGs14 海の豊かさを守ろう!

今回は環境部門と水産部門から掲載しましたが、ほかの部門でも出題されていることでしょう。ぜひチェックしてみてください。

2019年7月18日木曜日

建設部門 必須科目Ⅰ 生産性向上と国土強靭化

今年から復活した記述式による必須科目、テーマは「生産性の向上」と「国土強靭化」でした。
この2題こそ、王道中の王道で(←コレばっかり繰り返してますね)、どちらの問題でも書けるように準備していたかたが多いのではないでしょうか。建設環境のひとはやはり防災減災対策をからめた話を準備していた人が多いですから結局Ⅰ-2のほうを選んだひとが多いかもしれませんね。

それにしても選択科目Ⅲのところでも書きましたが、『平成 31 年度技術士第二次試験に関する出題内容等について』には必須科目Ⅰは「専門知識、応用能力、問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの」とあるのに、ふたを開けてみたら「課題を抽出し分析せよ」て、話が違いますよね。。。。皆さん動じずに対応できていたらよいのですが。

そして面白いことに、(1)~(3)まで選択科目Ⅲと同じでしたね(出題はこっちが午前で先なわけですが)。そしてそしてこれまた興味深いことに、選択科目Ⅲでは(3)のリスクとその対策で終わっていたのですが、必須科目Ⅰではさらに(4)として「技術者としての倫理と、社会の持続可能性」が問われました。
「倫理と持続可能性」がここまであからさまに問われるとは想像もしていませんでした。受講生からも「倫理」についてはどんな準備をしたらいいですか?という質問も頂いていていたのですが、それに対しては「そんなに気にする必要はないと思います。倫理的に誤っていないことを当たり前に記述していたらいいんじゃないでしょうか」なんて回答していたのですが。実はもっと積極的に記述すべきだったのですね(過去問対応では限界がありますが)。
皆さん、倫理と持続可能性の観点ってどんな感じで書きましたか?

9 建設部門【必須科目Ⅰ】
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

Ⅰ-1 我が国の人口は2010年頃をピークに減少に転じており,今後もその傾向の継続により働き手の減少が続くことが予想される中で,その減少を上回る生産性の向上等により,我が国の成長力を高めるとともに,新たな需要を掘り起こし,経済成長を続けていくことが求められている。
こうした状況下で,社会資本整備における一連のプロセスを担う建設分野においても生産性の向上が必要不可欠となっていることを踏まえて,以下の問いに答えよ。

(1)建設分野における生産性の向上に関して,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

(4)(1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる条件を,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から述べよ。

生産性革命プロジェクト(国土交通省)
平成27年度 国土交通白書 ~生産性の向上~

そしてもういっこの問題もテーマが異なるだけでそれ以外は全く同じ問い方でしたので、続けてⅠ-2も掲載しちゃいます。見比べてみてください。そして実はこれ、建設部門だけじゃなくて、全部門全科目ともこんなだったみたいですよ。

粘り強い防波堤【那覇港】

Ⅰ-2 我が国は,暴風,豪雨,豪雪,洪水,高潮,地震,津波,噴火その他の異常な自然現象に起因する自然災害に繰り返しさいなまれてきた。自然災害への対策については,南海トラフ地震,首都直下型地震等が遠くない将来に発生する可能性が高まっていることや,気候変動の影響等により水災害,土砂災害が多発していることから,その重要性がますます高まっている。
 こうした状況下で,「強さ」と「しなやかさ」を持った安全・安心な国土・地域・経済社会の構築に向けた「国土強靭化」(ナショナル・レジリエンス)を推進していく必要があることを踏まえて,以下の問いに答えよ。

(1)ハード整備の想定を超える大規模な自然災害に対して安全・安心な国土・地域・経済社会を構築するために,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)(2)で提示した解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

(4)(1)~(3)を業務として遂行するに当たり必要となる要件を,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から述べよ。

国土強靭化基本計画の見直し(概要)
国土強靭化(内閣官房)
地域強靭化基本計画(国土強靭化地域計画)(内閣官房)

今回、いちばんの変更点ともいえる必須科目の記述問題ですが、問題テーマ、出題方式だけでなく、答案用紙のマス目の色も何色になるんだろうと思っていました。
これまた予想に反してなかなか上品な紫色でしたね。わたしはベタに黄色系を想像していたのですが、さすが技術士会、センスがありますね~。プリンス好きにとってもすごく嬉しいです。

建設環境はひとまずこれで終了です。次からは環境部門や水産部門を取り上げますね。お楽しみに(ってまもなく公表されますが)。

2019年7月17日水曜日

建設環境 選択科目Ⅲ 生物多様性保全再生の取組と、都市と緑・農が共生するまちづくり

「問題解決能力及び課題遂行能力に関する」問題Ⅲ、Ⅲ-1が生物多様性保全再生の取組、Ⅲ-2が都市農業振興計画でした。
都市農業は数年前にブログで取り上げたきり、すっかり忘れていました。。。。まさかⅢで出題されるとは。
というわけで、ほとんどのかたは生物多様性のほうを選ばれたのでしょうか。しかし自然環境系のひとにとっては基本中の基本、王道中の王道なのでいいとして、生活環境系のかたはなかなかに厳しかったかもしれませんね。。。だからと言って農業を選ぶわけにもいかないし。。。。
そして『平成 31 年度技術士第二次試験に関する出題内容等について』には選択科目Ⅲは「問題解決能力及び課題遂行能力に関するもの」とあるのに、ふたを開けてみたら「課題を抽出し分析せよ」て、話が違いますよね。。。。午前の必須科目で経験済とはいえ、皆さん動じずに対応できていたらよいのですが。

【南海電鉄の車内にて】

Ⅲ 次の2問題(Ⅲ-1,Ⅲ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚以内にまとめよ。)

 Ⅲ-1 これまでの急激な都市化等により,水辺や緑地,藻場,干潟等の自然環境が失われつつあるなど,生態系の破壊,分断,劣化等が進行している。そのため人類の存立基盤である環境が,将来にわたって維持されるよう,生物多様性が保たれた良好な自然環境の保全,再生等の取組を加速する必要がある。このような状況を踏まえ,以下の問いに答えよ。

(1)社会資本整備事業において,生物多様性の保全,再生等の取組を行うに当たって,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

自然共生と生物多様性の保全(国土交通省)

シツコク「課題」について取り上げますが、「課題を抽出し」はこれまで通りなのでまだいいとして、「分析せよ」ってビビっちゃいますよね。
生物多様性の保全・再生というテーマそのものには抵抗がなかったと思いますが、この「分析せよ」に怯んじゃったひともいるようです。言葉の圧力に惑わされずに落ち着いて対応できたらいいのですが。

もういっこの問題もテーマが異なるだけでそれ以外は全く同じ問い方でしたので、続けてⅢ-2も掲載しちゃいます。見比べてみてください。そして実はこれ、建設環境のなかのはなしだけじゃなくて、全部門全科目ともこんなだったみたいですよ。

 Ⅲ-2 人口減少,少子高齢化等を踏まえた計画的な土地利用コントロールによる緑地・農地と調和した都市環境・都市景観の形成や,平成28年5月に策定された「都市農業振興基本計画」等を踏まえ,都市農地の保全や都市農業の多様な機能の発揮に関する取組を地域ごとに行うことが求められている。このような状況を踏まえ,以下の問いに答えよ。

(1)ある地域で都市と緑・農が共生するまちづくりの検討を実施するに当たって,技術者としての立場で多面的な観点から課題を抽出し分析せよ。

(2)抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)解決策に共通して新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

考えてみよう。都市農業の多面的機能。 ←6つの機能があるんですね
農地を都市に「あるべきもの」 へと転換 ~ 「都市農業振興基本計画」

これは都市計画系のひとじゃないと書けませんね。あるいは農業部門農村地域・資源計画(旧農村環境)の技術士のひとか。。。。繰り返しますがまさかこれが選択科目Ⅲで出題されるとは。。。。

2019年7月16日火曜日

建設環境 選択科目Ⅱ-2-2 便益計測手法

問題数も多いのでサクサク行きましょう。
つづいて2つ目のⅡ-2-2環境整備事業の便益計測手法です。

渋いとこ突いてきましたねぇ~。唸りました。作問者に拍手を送りたいです。
私自身はやったことないのですが、5年前くらいでしょうか、まさにこの環境改善事業の費用対効果をアンケートにより調査し、結果を分析し、評価した知り合いがいて、そのアンケート用紙の内容について事前に相談を受けたことがあります。

コレ、環境部門では過去に問われていたでしょうか。総監の社会環境管理でも齧るところですよね。でもここまで実際的な作業手順等はチェックしないでしょうから、ホントに実務で経験したひとしか書けないのではないでしょうか。
でも、だからと言って、環境アセス以外の手順モノとしては、なかなかいい問題だと思いました。
これからは環境保全措置に対する効果を「定量的」に評価することが社会からも求められていると思います。「順応的管理でPDCAを回す」なんて機械的に書いていますが、PDCAを回すためにも定量評価をしないことにはさらなるアクションは起こせませんよね、実際のところ。

この問題を選んだひとは少ないと思いますが、そこそこ書いていたら高い評価が得られるのではないでしょうか。

Ⅱ-2-2 ある環境を改善する事業において,事業効果の評価を行う必要が生じた。アンケートを活用した適切な手法によって,環境整備による効果を便益として計測する業務を担当責任者として進めるに当たり,下記の内容について記述せよ。

(1)具体的な便益計測手法を選定するに当たって,調査,検討すべき事項とその内容について説明せよ。

(2)選定した具体的な便益計測手法に基づいて業務を進める手順について,留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。

(3)業務を効率的,効果的に進めるためのアンケート回答者を含む関係者との調整方策について述べよ。


堀川水辺環境整備事業
【京都府京都市】


今回、これを選択しなかったひともこの機会に勉強してみてください。視野が広がりますよ。そして総監チャレンジのひともぜひ目を通してください。択一試験では頻出の項目です。