2014年4月11日金曜日

「生物多様性国家戦略の点検結果」を点検してみると~その3 基本戦略3

大変にご無沙汰でした。
続きモノだったのでサクサク投稿しようと思っていたのですが、思いのほか仕事が忙しくなり、ついでに自宅PCも壊れてしまい、さらには先週までプライベートのほうでもバタバタと忙しくしていたので、結局いまになってしまいました。
いまさら基本戦略のメモ投稿なんでどうでもいいかもしれませんね。

SUKIYAKI塾の出願添削講座もスタートしたところですし、じつは一昨日にAPECさんの出願セミナーが那覇でありましてなかなかに盛況だったことからも、いま一番に需要があるのはやはり出願書類のことだと思います。
わかっていますが、それはまたの機会に書くこととしますね。

地面に落ちた桜の花びらもきれいです【東京都立野川公園】

今回も(やや強引ですが)5つの基本戦略の3つめを以下に紹介しておきます。
【基本戦略3 森・里・川・海のつながりを確保する】
27ページ
【3-1 生態系ネットワークの形成と保全・再生の推進】
①生態系ネットワークの形成
 地域固有の生物相の安定した存続、あるいは損なわれた生物相の回復を目的として、十分な規模の保護地域を核としながら、それぞれの生物の生態特性に応じて、生息・生育空間のつながりや、適切な配置が確保された生態系のネットワーク(エコロジカル・ネットワーク)を形成するため、
略~
 このほか、森林から海まで河川を通じた生態系のつながりのみならず、河川から水田、水路、ため池、集落などを途切れなく結ぶ水と生態系のネットワーク作りに向けた取組を進めるなど、さまざまなレベルで多層的なネットワーク作りを推進しています。

②重要地域の保全
 生態系ネットワークの形成を進めるためには、ネットワークの核となる優れた自然環境を有する地域を適切に保全し、これらを有機的につなぐことが重要です

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[課題] 
 生物多様性の保全や生物相の回復を図っていくにあたり、気候変動への適応としての取組の必要性も踏まえ、生態系ネットワークの形成を進めることが重要です。
 現在、生態系ネットワークの核となるような重要地域の保全・再生が着実に進められています。引き続き、これらの取組を進めるとともに、より効率的・効果的な実施を図るため、取組の基盤となる調査研究や技術開発のさらなる充実、人材の確保等にも努めていくことが重要です。

【3-2 森林の整備・保全】
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②森林の適切な整備・保全
 森林のもつ、国土保全、水源涵養、地球温暖化の防止、生物多様性保全等の多面的機能を持続的に発揮させるため、適切な間伐の実施、伐採年齢の長期化、針広混交林化・広葉樹林化、モザイク的配置に留意した伐採及び的確な更新など、多様な森林づくりを推進しました。
 森林のもつ防災・減災の機能の活用にも資する取組としては、荒廃地における復旧対策等の実施や、東日本大震災からの復旧・再生の取組として平成24年2月に取りまとめた「今後における海岸防災林の再生について」に基づく海岸防災林の再生等を進めています。

[課題] 
 森林施業に当たって、野生生物の営巣、餌場等として重要な空洞木や目的樹種以外の樹種であっても目的樹種の成長を妨げないものの保残に努める等の配慮を行うとともに、生物多様性保全上特に重要な地域を「保護林」等に設定し、モニタリング調査や外来種対策等の取組を行っているほか、多様な主体が林業に関わる機会を提供するための普及啓発・情報提供等を行っています。

【3-3 都市の緑地の保全・再生など】
①緑地の保全・再生・創出・管理
 都市における緑地は、生物の貴重な生息・生育の場であるとともに、都市住民にとって身近な自然とのふれあいの場として極めて重要であり、都市における生態系ネットワークの要となります。
 都市における緑地の保全・再生・創出・管理については、地方公共団体に対する社会資本整備総合交付金等事業による財政的支援等により推進しており、~略~、都市における緑地による生態系ネットワークの形成を促進しました。
 また、地方公共団体が緑の基本計画を策定又は改定する際、生物多様性の確保に当たって配慮することが考えられる事項をまとめた平成23年10月に策定した「緑の基本計画における生物多様性の確保に関する技術的配慮事項」の普及により、地方公共団体による都市における生態系ネットワークの形成の観点を踏まえた緑の基本計画の策定や改定を推進しました。地方公共団体の緑の基本計画に基づく都市公園等の整備や特別緑地保全地区等の土地の買入れ等の支援、民有地も含めた緑化の推進、風致地区の指定等を行い、緑地の保全・創出・再生・管理を進めるとともに、都市において道路、河川、公園緑地などが事業連携した水と緑のネットワークの形成を推進しました。
 さらに、都市の生物多様性の確保の取組を一層推進する観点から、平成25年5月に「都市の生物多様性指標(素案)」を策定し、地方公共団体における生物多様性の状況や施策の進捗状況を評価し、さらなる取組を推進しました。

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②都市域における水辺空間の保全・再生
 都市域における水辺の空間は都市住民の自然とのふれあいの場としても重要であるため、健全な水循環系の構築や汚濁負荷の低減などの取組を推進しています。
 都市地域から流入する汚濁負荷の低減に向けて、流域別下水道整備総合計画の策定・見直しを進め、これに基づく下水処理施設における高度処理を推進するとともに、下水道の普及促進や合流式下水道の改善対策等を推進しました。
 また、地方公共団体が実施する水路等の整備事業のうち、下水処理水等の再利用、貯留浸透による流出抑制、親水性のある水辺空間の整備、及び河川事業等との連携・共同事業を行うことにより健全な水循環系の再生を図る事業等に対して財政的支援を実施しました。
 このような国による財政的支援の実施により、地方公共団体において着実に下水処理水等の再利用、雨水の貯留浸透による流出抑制が進み、良好な水循環の維持・回復が進んでいると考えられます。特に水環境の悪化が著しい河川等については、全国32箇所において、水環境改善に積極的に取り組んでいる地元市町村等と河川管理者、下水道管理者等、関係者が一体となり、「第二期水環境改善緊急行動計画(清流ルネッサンスⅡ)」を策定し、水質改善の取組を進めてきているところです。
 これらの取組により、せせらぎ水路の整備や処理水の再利用などによる水辺の保全・創出や広域的な視点からの水循環系の構築を図り、都市における生物の生息・生育場所を関係者と連携し提供しています。

③住民や事業者の参画を促す取組
 都市近郊の生物多様性の確保には、周辺の自然環境に関心が強い都市住民や都市地域で事業を行っている事業者と連携した取組が有効です。
 土地所有者等が地方公共団体との契約により緑地又は緑化施設を公開する制度(市民緑地制度)や、土地所有者等が緑地の保全や緑化に関する協定を締結する制度(緑地協定制度)などの活用により、都市の住民による良好な緑地の保全・管理等が行われています。
 また、一定規模以上の建築物の新築や増築を行う場合に、一定割合以上の緑化を義務付ける緑化地域制度や地区計画等緑化率条例制度の活用により、民有地における緑化を推進しました。
 開発事業において事業者が積極的に行っている緑地の保全・維持・活用のための取組を評価し、優秀な事例を認定・表彰することで事業者の努力を促す社会・環境貢献緑地評価システム(SEGES)の普及に努めており、平成24年度には新たに2サイトが認定されました。これにより、企業による緑地保全・再生活動を評価する取組を推進するとともに、生物多様性に配慮した事業者の活動を促進しました

[課題] 
 都市においては、生態系ネットワーク形成の観点を踏まえつつ、緑地や水辺の保全・再生・創出・管理に向けたが行われており、緑地面積の増加などの成果が得られています。
 取組の実施に当たっては、地方公共団体、事業者、民間団体、地域住民など多様な主体の参加促進や活動支援を行い、一体的な取組を進めています。
 今後も引き続きこれらの取組を実施し、都市郊外の自然環境とのつながりも考慮しながら都市における緑地による生態系ネットワークの形成を促進していくことが必要です。

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【3-4 河川・湿地などの保全・再生】
①河川の保全・再生
 平成18 年に策定した「多自然川づくり基本指針」及び平成22年8月に通知した「中小河川に関する河道計画の技術基準について」に基づき、全国の河川において、川が有している多様性に富んだ環境の保全を図るなど、自然環境に配慮した多自然川づくりを実施し、河川全体を視野にいれた生態系ネットワークの形成を進めました。

②湿地の保全・再生
 湿原や干潟等の湿地は、多様な動植物の生息・生育地等として重要な場です。しかし、これらの湿地は全国的に減少・劣化の傾向にあるため、その保全の強化と、すでに失われてしまった湿地の再生・修復の手だてを講じることが必要です。

[課題]
 河川・湿地については、森林、農地、都市、沿岸域などをつなぐことで国土の生態系ネットワークの重要な基軸となることを踏まえ、取組が進められています。
 水系、特に湿原は、生物多様性が豊かな地域であるとともに、人為の影響を受けやすい脆弱な生態系といえます。そのため、モニタリング等の調査により生物多様性の現状を適切に把握し、迅速に施策に反映させることが必要です。
 より一層継続的・効果的な調査を実施するため、手法の見直しやほかの全国的な調査データとの相互活用を図り、得られた情報が水系全体の環境の特性や生物多様性の保全上重要な地域等を容易に把握できるような環境情報図等の作成等に活用されることが重要です。

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【3-5 沿岸・海洋域の保全・再生】
 海洋に囲まれた我が国は、内海・内湾を数多く有し、沿岸では寒流と暖流が流れ、北の流氷域から南のサンゴ礁域までの広がりがあります。海洋域は、深海に至るまでさまざまな環境を有し、海棲哺乳類、海鳥類、魚類をはじめ多くの生物が生息しています。海洋は、海流を通じて国境を超えてつながっており、その生態系は土砂の流下や栄養塩の供給などを通じて陸と密接な関係があります。陸域の水系が生態系ネットワークの縦軸とすれば、沿岸域は横軸として重要な役割を果たします。

②沿岸・海洋域の保全・再生
 沿岸・海洋域については、藻場・干潟、サンゴ礁、砂浜等の保全・再生が行われているほか、港湾においては、港湾整備で発生した浚渫土砂等を有効に活用し、藻場・干潟等の整備を行っています。
 この良好な自然環境を活用し、児童や親子を対象に自然環境の大切さを学ぶ機会の充実を図るため、「海辺の自然学校」等の取組を推進しています。

⑤漁港及び漁場における環境整備
 漁港・漁場では、水産資源の持続的な利用と豊かな自然環境の創造を図るため、平成24年度には漁港区域内の汚泥・ヘドロの除去等の整備を行う水域環境保全対策を2地区で実施したほか、水産動植物の生息・繁殖に配慮した構造を有する護岸等の整備を総合的に行う「自然調和・活用型漁港漁場作り推進事業」を全国11地区で実施しました。

[課題]
 沿岸・海洋域については、保護区の設定等による規制的手法、保全再生、資源管理、汚染対策
の実施等により、国はさまざまな主体と連携して総合的に取組を進めています。特に海洋は他国ともつながっているため、地球規模で状況を捉え、関係諸国と協力して取組を進めることが非常に重要です。
 今後も、柔軟かつ機動的な管理を実現するための科学的知見の蓄積や技術開発を進めつつ、海洋保護区の設定や管理の充実、適切な資源管理の一層の推進、地域の実情に応じた汚染対策の実施や関係各国とのさらなる連携を推進し、総合的に対策を実施していくことが必要です。

40ページ
【3-6 生物多様性の観点からの地球温暖化の緩和策と適応策の推進】
 地球温暖化等の地球環境の変化により、生態系の攪乱や種の絶滅など生物多様性に対しても深刻な影響が生じることが危惧されています。生物多様性は気候変動に対して特に脆弱であり、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書(2007 年)によると、特にサンゴ礁は約1~3℃の海面温度の上昇による白化や広範囲な死滅が頻発すると予測されています。
 また、気候変動の直接的・間接的影響により、世界各地での強い台風や集中豪雨、干ばつ、熱波などの異常気象の数と強さが増す可能性、海洋における植物プランクトンの発生量の減少、海洋酸性化、人間や生物多様性に有害な影響を及ぼす生物の生息域の北上・拡大等が進行し、或いは進行する可能性も指摘されており、我が国においても自然環境の保全による緩和への貢献、及び生物多様性の保全と自然共生社会の実現の観点からの適応策の検討・実行が喫緊の課題となっています。

。。。。。思わず長々と貼り付けてしまいました。
今回は建設環境の多くの受験者の専門とする事項である「自然環境の保全及び創出」に深く関わる内容です。

なぜ自然環境の保全が必要なのか?
(言い換えると、自然環境の保全がなぜ社会から求められているのか?)
そしてなぜ自然環境の再生(創出)が必要なのか?
あらためて見つめなおしてみてください。

基本戦略4(地球規模の視野を持って行動する)と基本戦略5(科学的基盤を強化し、政策に結びつける)については書きません。興味のあるかたは資料を直接あたってみてください。

次回は経歴票のことにも触れつつ、そのほかの報道発表ネタを取り上げたいと考えています。
では!

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