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2021年12月29日水曜日

琵琶湖・東京湾における底層溶存酸素量に係る水質環境基準の水域類型の指定について

皆さん、仕事納まりましたか?
今年度は土日休日返上でいつになく忙しかったのですが、年末年始は休むことができそうです。
数日前から寒波が押し寄せ、日本海側を中心に積雪がすごいことになっていますね。沖縄暮らしの人間には想像を絶します。そんな南国沖縄でも13℃とか14℃にまで気温が下がり北風吹きすさぶなか凍えています(本当です)。

北防波堤ドーム(稚内港の防波堤)北海道遺産及び土木学会選奨土木遺産
【北海道稚内市】

口頭試験もいったん小休止。既に口頭試験が終わったひとは久しぶりにゆったりとした年末年始を迎えられることでしょう。
総監を除く一般部門では今年度の新たな傾向もみられますが、それは試験日程終了後に総括しましょうね(沖縄風に)。
そして総監を中心に口頭試験が年明けからまた始まります。その準備(のお手伝い)のため、この休暇中は総監受験生向けにオンライン模擬面接を行います。

令和4年度試験に向けてがんばっているひともいらっしゃることでしょう。
今日はそういったかたにぜひチェックしてほしい報道発表が環境省からありました。
建設環境の筆記試験でもたびたび出題されている(そして総監の択一問題でも出題されかねない)底層溶存酸素に関する話題です。細かい内容はさておき「琵琶湖と東京湾が類型指定された」くらいは気に留めておいてください。

報道発表資料
令和3年12月28日
水・土壌
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琵琶湖・東京湾における底層溶存酸素量に係る水質環境基準の水域類型の指定について

 琵琶湖及び東京湾において、水質環境基準である底層溶存酸素量に係る水域類型の指定を行うため、関係する告示を改正します。底層溶存酸素量に係る水域類型の指定は全国初となります。
 底層溶存酸素量は、魚介類等の生息や藻場等の生育に対する直接的な影響を判断できる指標であり、底層を利用する生物の生息・再生産にとって特に重要な要素の一つです。

1.国による類型指定

 環境基本法(平成5年法律第91)16条に基づき定められる環境基準のうち、生活環境に係る水質環境基準については、河川、湖沼及び海域でそれぞれの利用目的に応じて類型を設け、水域ごとに類型指定を行うこととしています。そのうち、環境基準に係る水域及び地域の指定の事務に関する政令(平成5年政令第371号)に定められた複数の都道府県の区域にわたる水域については、国が類型指定を行っています。

2.改正の概要 

 底層溶存酸素量については、平成28年3月、底層を利用する水生生物の個体群が維持できる場を保全・再生することを目的に、維持することが望ましい環境上の条件として、生活環境項目環境基準として設定されました。

 その後、公共用水域(河川、湖沼及び海域)毎に水生生物の生息状況の適応性に応じた水域類型に係る検討が随時行われています。

 今般、国が直接類型指定を行う水域のうち琵琶湖と東京湾について、令和3年7月30日付けで中央環境審議会会長から環境大臣へ答申がなされたことを踏まえ、以下の関連2告示の改正を行い、琵琶湖と東京湾について底層溶存酸素量に係る水質環境基準の水域類型の指定を行いました。詳細は、以下の添付資料のとおりです。

(改正対象の告示)

琵琶湖:
河川及び湖沼が該当する水質汚濁に係る環境基準の水域類型の指定に関する件(平成21年3月環境省告示第14号)
東京湾:
海域が該当する水質汚濁に係る環境基準の水域類型の指定に関する件(平成21年3月環境省告示第15号)

3.施行期日

 令和3年12月28日(火)

添付資料

2021年10月8日金曜日

大腸菌数

10月になり日を追うごとに秋になっていますね。
ここ沖縄でも自宅の上空をサシバが数羽旋回しています。天高くなってきました。
相変わらず海に潜ってばかりの毎日ですが、水温も27℃になりつつあり、長いこと潜っていると体が冷えるようになりました。

まぁ冷えるといってもたかが知れていますし、そもそも幸いなことに沖縄は海がとってもキレイですもんね。なにを贅沢なことを言っているのだとお叱りを受けるかもしれません。
沖縄の海がキレイ(に見える)のは透明度が高いことが要因としては大きいと思うわけですが、なんでそんなに透き通っているかっていいますと、栄養塩が低いことでプランクトンや懸濁物質が少ないからなんですね、それはとりもなおさず海流にさらされてて海水が滞らないということで、つまり本州でいうところの瀬戸内海やナントカ湾のような内湾環境じゃないってだけなのかもしれません。もちろん陸地からの赤土流出ですごく濁ってしまうこともありますが、降雨がなければ基本的にキレイです。

とはいえ、じつは沖縄などの亜熱帯地域では海やそれこそダムなどの大腸菌群数ってほぼ環境基準をクリアしていないんです。これではキレイな水とは自慢できませんね。
でもですね、これはやっぱり亜熱帯、南の地域なので年中暖かいから生きものの活動が活発でそれは細菌類も例外ではないんです。活発なだけじゃなくって種類も多いし、数も多いんじゃないかと思います。というわけで大腸菌に限らずそれに類する細菌がたくさんいるんですよね。そんな大腸菌以外のたくさんの細菌も「大腸菌群数」としてカウントされてしまうため沖縄では「大腸菌群数」は環境基準を満足しないことが多かったのですが、このたび環境基準が見直され、新たな衛生微生物指標が「大腸菌群数」から「大腸菌数」になりました。
ふん便汚染のない水や土壌等に分布する自然由来の細菌をも含んだ大腸菌群数でしたが、これからそれらを除外して評価できる(であろう)大腸菌数、すごく期待しています。

環境基準の項目追加や今回のような評価基準の大幅変更は試験問題に出やすいです。
改正された環境基準値そのものも重要かもしれませんが、それ以上に項目追加や基準値や試験方法等が変更になった「背景」そのものをしっかり把握しておきましょう。ひとに説明できるくらいが理想的です。

道頓堀
【大阪市中央区】

令和3年10月7日
水・土壌
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水質汚濁に係る環境基準の見直しについて(お知らせ)

 本日、公共用水域の水質汚濁に係る環境基準及び地下水の水質汚濁に係る環境基準の改正について告示しました。
 本告示により、人の健康の保護に関する環境基準のうち、六価クロムについて基準値を見直すとともに、生活環境の保全に関する環境基準のうち、大腸菌群数を新たな衛生微生物指標として大腸菌数へ見直しました。施行期日は令和4年4月1日です。

1.水質汚濁に係る環境基準について

 環境基本法(平成5年法律第91号)第16条に基づき定められている水質汚濁に係る環境基準のうち、人の健康の保護に関する環境基準については、公共用水域について27項目、地下水について28項目が、生活環境の保全に関する環境基準(以下「生活環境項目環境基準」という。)については、公共用水域において13項目が定められています。

2.改正の概要

(1)六価クロムに係る基準値の見直しについて

 公共用水域の水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準及び地下水の水質汚濁に係る環境基準の六価クロムの基準値について、現行の0.05 mg/Lから0.02 mg/Lに改正しました(表1)。

表1 基準値を見直す項目

項目名

新たな基準値

現行の基準値

六価クロム

0.02 mg/L以下

0.05 mg/L以下

備考 基準値は年間平均値とする。

(2)大腸菌群数に係る環境基準の見直しについて

 大腸菌群数を生活環境項目環境基準の項目から削除し、新たに大腸菌数を追加しました。基準値は、現行の類型区分とその利用目的の適応性に基づき設定することとしました。各利用目的の適応性における大腸菌数の基準値及び導出方法の概要は表2~表4のとおりです。

表2 環境基準値【河川】

類型

利用目的

の適応性

大腸菌数環境基準値

[90%水質値]

基準値の導出方法

AA

水道1級

自然環境保全

及びA以下の欄に掲げるもの

20 CFU/100ml

以下備考2

・水道1級の水道原水及び自然環境保全の実態から基準値を導出

水道2級

水浴

及びB以下の欄に掲げるもの

300 CFU/100ml

以下

・水道2級の水道原水の実態及び諸外国における水浴場の基準値等を参考に基準値を導出

水道3級

及びC以下の欄に掲げるもの

1,000 CFU/100ml

以下

・水道3級の水道原水の実態から基準値を導出

備考

1 大腸菌数に係る基準値については、90%水質値(年間の日間平均値の全データをその値の小さいものから順に並べた際の0.9×n番目(nは日間平均値のデータ数)のデータ値(0.9×nが整数でない場合は端数を切り上げた整数番目の値をとる。))とする(湖沼、海域もこれに準ずる。)。

2 水道1級を利用目的としている地点(自然環境保全を利用目的としている地点を除く。)については、大腸菌数100CFU/100ml以下とする。

3 水産1級、水産2級及び水産3級については、当分の間、大腸菌数の項目の基準値は適用しない(湖沼、海域もこれに準ずる。)。

4 大腸菌数に用いる単位はCFU(コロニー形成単位(Colony Forming Unit))/100mlとし、大腸菌を培地で培養し、発育したコロニー数を数えることで算出する。

表3 環境基準値【湖沼】

類型

利用目的

の適応性

大腸菌数環境基準値

[90%水質値]

基準値の導出方法

AA

水道1級

自然環境保全

及びA以下の欄に掲げるもの

20 CFU/100ml

以下備考1

・水道1級の水道原水及び自然環境保全の実態から基準値を導出

水道2、3級

水浴

自然環境保全

及びB以下の欄に掲げるもの

300

CFU/100ml

以下備考2

・水道2、3級の水道原水の実態及び諸外国における水浴場の基準値等を参考に基準値を導出

備考

1 水道1級を利用目的としている地点(自然環境保全を利用目的としている地点を除く。)については、大腸菌数100CFU/100ml以下とする。

2 水道3級を利用目的としている地点(水浴又は水道2級を利用目的としている地点を除く。)については、大腸菌数1,000CFU/100ml以下とする。

3 大腸菌数に用いる単位はCFU(コロニー形成単位(Colony Forming Unit))/100mlとし、大腸菌を培地で培養し、発育したコロニー数を数えることで算出する。

表4 環境基準値【海域】

類型

利用目的

の適応性

大腸菌数環境基準値

[90%水質値]

基準値の導出方法

水浴

自然環境保全

及びB以下の欄に掲げるもの

300

CFU/100ml

以下備考1

・諸外国における水浴場の基準値等を参考に基準値を導出

備考

1 自然環境保全を利用目的としている地点については、大腸菌数20CFU/100ml以下とする。

2 大腸菌数に用いる単位はCFU(コロニー形成単位(Colony Forming Unit))/100mlとし、大腸菌を培地で培養し、発育したコロニー数を数えることで算出する。

3.施行期日

令和4年4月1日

添付資料

2020年5月23日土曜日

瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方について(答申)

沖縄は梅雨入りしてからというもの連日のように雨が降っています。それも大雨です。今年は前線が張り付いていてシツコイですね。気分も鬱々となりがちです。
そして筆記試験の日程が大幅に後ろ倒しになったのでヤル気を失っていませんか?大丈夫ですか?
昨年度試験(1次試験)もなかなか波乱でしたが、今年の試験はそれに輪をかけて大波乱になっていますね。とはいえ、ここは地道にやれることをコツコツやりましょう。一夜漬けが有効なマークシート試験はもうないのですから(総監はありましたね)、ここはシッカリ論文対策のためにじっくり時間をかけて模範解答を作成するべく論文を練り上げましょう。

本日取り上げるのはこれまでたびたび出題されている「閉鎖性水域の水質改善」に関する方策です。
水産部門の水産庁では以前より政策課題としてメインテーマになっている「豊かな海」ですが、中央環境審議会から同様の答申がありましたので、環境部門の環境省においてもこれを受けてこれから本格的に動き出します。この動きは我らが建設環境でも関連したはなしになってきますので、閉鎖性水域の水質改善についてはただ水を「キレイにする」だけでなく「豊かな海」の視点も盛り込むとよいでしょう、いや、盛り込む必要が出てきたといえましょう。SDGs目標14「海の豊かさも守ろう」に直結する話です。

瀬戸内海では窒素やリンなどの栄養塩類が水質浄化策によって少なくなり過ぎてしまったことで養殖ノリの色落ちが発生、イワシなどと並んで沿岸における食物連鎖の底辺を支える重要な魚種であるイカナゴ資源の減少にも影響するようになりました。
このように、これまでのような水質浄化一辺倒では「豊かさ」が守れないことがあらわになりました。陸域からの栄養塩類を規制する富栄養化対策(だけ)ではなく、適度なイイ塩梅での栄養塩濃度を維持する方向に舵を切ったというわけです。今後は「水質総量削減制度」を見直して魚類等のえさとなるプランクトンを増やすことで魚介類が豊富な「豊かな海」を目指すことになりました。

そのためには瀬戸内海全体の水質を管理する「水質総量削減制度」と、「湾・灘ごとの栄養塩類管理の仕組み」を調和・両立させることが求められています。
具体的には、管理水域を定め、栄養塩類濃度の目標値や管理計画等を設定、対策の実施、効果や周辺環境への影響の検証、管理への反映というPDCAサイクルを標準化し、その実施のためには湾・灘ごとのような特定の水域における協議会の活用、を提案しています。
(↑ココ重要)。

富栄養化対策で陸からの栄養塩類の流入負荷を減らしたことで水がきれいになったのはいいのですが、きれいにし過ぎて水中の栄養塩がなくなってしまい、肝心の水産資源や海洋生態系、湖沼生態系を支える1次生産者である植物プランクトンや藻類が育たなくなってしまったんです。「過ぎたるは猶及ばざるが如し」そのものですね。
閉鎖性水域、水質保全、(水域の)生物多様性、などが問われた場合には積極的に上記の意識と具体的方策を盛り込んでください。

閉鎖性水域の極み、毛ガニのサブマリン・キャッチャー
【釧路フィッシャーマンズワーフMOO】

報道発表資料
令和2年3月31日
水・土壌
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中央環境審議会「瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方について(答申)」について

令和元年6月19日(水)に環境大臣が諮問した「瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方について」は、中央環境審議会水環境部会瀬戸内海環境保全小委員会において審議され、その結果を受けて本日、中央環境審議会会長から環境大臣へ答申がなされましたのでお知らせします。

1.経緯

令和元年6月19日(水)に環境大臣が諮問した「瀬戸内海における今後の環境保全の方策の在り方について」は、中央環境審議会水環境部会瀬戸内海環境保全小委員会において審議が重ねられました。同小委員会における審議の過程では、関係機関等からのヒアリングを行うほか、令和2年2月7日(金)から令和2年2月28日(金)まで意見募集(パブリックコメント)を実施しました。これらを踏まえた同小委員会における審議の結果を受けて、本日、中央環境審議会会長から環境大臣へ別添1のとおり答申がなされました。

2.意見募集(パブリックコメント)の結果

(1)意見募集(パブリックコメント)方法の概要
  • 意見募集期間:令和2年2月7日(金)から令和2年2月28日(金)
  • 告知方法:電子政府の総合窓口[e-Gov]、環境省ホームページ及び報道発表
  • 意見提出方法:電子政府の総合窓口(e-Gov)意見提出フォーム、郵送、ファックス、電子メール
(2)御意見の件数
  • 意見提出者数:13(団体、個人)
  • 意見数:38
(3)御意見の概要及びこれに対する考え方
頂いた御意見の概要及びこれに対する考え方は、別添2のとおりです。
また、別添3のとおり、中央環境審議会水環境部会における意見を踏まえた修正及び技術的修正を行いました。

添付資料

2019年1月20日日曜日

ネットゼロウォーター

ネットゼロウォーターというのは初めて知りました。
敷地内の水収支をプラスマイナスゼロにするものとのことですが、都市(工業地帯)で緑地を使って水資源を再利用するという持続可能な水資源利用の取組みなんだそうです。グリーンインフラの取り組みのひとつといえますね。
詳しくは下記URLの記事をご参照ください。
水資源有効利用の切り札「ネットゼロウォーター」が日本上陸(日刊工業新聞)

防災面でも非常時の水源としても活用できると思います。
公園緑地、人工湿地など、ビオトープとも絡めて展開できると思います。今後、注目したい取組ですね。必須科目の3枚論文でも使い勝手のよいネタになると思います。

山下公園
【神奈川県横浜市中区】

2018年7月13日金曜日

沿岸透明度の目標設定ガイドライン

西日本豪雨でとんでもないことになってしまいました。
被害に遭われた方にお見舞いを申し上げます。

いよいよ試験目前です。最後まであきらめないで頑張ってますか。
今度の試験で出題されるとは思いませんが、ここへきて閉鎖性水域ジャンルで小ネタとして活用するとすごく評価が上がるニュースが飛び込んできました。チャンスがあれば積極的にねじり込むとイイと思います。
それにしても小浜湾がモデル海域だったとは。。。

2014年に水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについて検討されたなかで(下層DO及び透明度の環境基準設定に向けた動き)、下層DOについては2016年に環境基準として追加されましたが(底層溶存酸素量の類型及び基準値)、透明度については保留になっていました。
わたしが海藻や海草類に纏わる生態調査を生業としていることもあり、沿岸透明度についてはすごく気にしていたのですが、ついにガイドラインとして日の目を見ました。

エビとカニが睨めっこ【名護市嘉陽海岸】

報道発表資料
平成30年7月12日
水・土壌
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「沿岸透明度の目標設定ガイドライン」について

 水生植物の保全・再生と親水利用の場の保全の観点から、湖沼及び海域における地域環境目標として設定された沿岸透明度に関して、地域における沿岸透明度の目標設定の際の参考として活用いただくため、「沿岸透明度の目標設定ガイドライン」を取りまとめましたので、お知らせします。

1.経緯

 環境省では、水環境の実態を国民が直感的に理解しやすい指標として、湖沼及び海域を対象とした透明度の目標値の導入について検討を行ってきました。
 平成27年12月に中央環境審議会会長から環境大臣へなされた答申「水質汚濁に係る生活環境の保全に関する環境基準の見直しについて」を受け、海藻草類及び沈水植物等の水生植物の生育の場の保全・再生の観点並びに良好な親水利用の場の保全の観点から、湖沼及び海域における地域環境目標として沿岸透明度の目標値が設定されることとなりました。
 答申では、沿岸透明度の「目標設定に係る考え方及び手順については、国として整理を行った上で示すことが望ましい」とされており、今般、ガイドラインとして取りまとめたものです。

2.ガイドラインの概要

 本ガイドラインは、沿岸透明度を活用した水環境保全の取組が適切に促進されるよう、地域における沿岸透明度の目標設定の検討の際の参考として活用いただくことを念頭に、平成28年度に環境省において実施した諏訪湖(長野県)と小浜湾(福井県)を対象とした目標設定のモデル事業の結果も紹介しつつ、沿岸透明度の目標設定に係る考え方や手順等を解説したものです。
 本ガイドラインの構成としては、沿岸透明度の目標値の設定と水域へのあてはめの考え方、測定地点、評価方法などを整理するとともに、平成28年度に行ったモデル事業の結果等を資料編としてまとめました。

(参考)沿岸透明度の目標設定ガイドライン 目次

1. 沿岸透明度とは
2. ガイドラインの趣旨
3. 沿岸透明度の目標値設定の基本的考え方
4. 目標値設定及び水域あてはめの検討
4.1 地域の関係者の意見聴取
4.2 水域の特性の情報整理(検討手順A)
4.3 水生植物の保全・再生
4.3.1 水生植物の生育状況等の把握(検討手順B)
4.3.2 保全対象とする水生植物の選定(検討手順C)
4.3.3 保全対象種毎の保全対象範囲及び目標分布下限水深並びに目標値の設定(検討手順D)
(1) 分布下限水深の設定
(2) 目標値の設定
4.4 親水利用の場の保全
4.4.1 親水利用の行為の把握(検討手順E)
4.4.2 親水利用の行為毎の目標値の設定(検討手順F)
4.5 水域あてはめ及び目標値の設定(検討手順G)
5. 測定及び評価・活用方法
5.1 実施主体
5.2 測定地点
5.3 測定頻度
5.4 評価方法
(1) 評価値の算出方法
(2) 達成評価方法
6. 沿岸透明度の改善対策の方向性について
7. 湖沼における沿岸透明度の目標設定に係る留意点
7.1 湖沼に生育する水生植物について
7.2 湖沼における水生植物に係る現状と課題
7.3 沿岸透明度の目標設定の留意点
≪資料編≫
1. 沿岸透明度の概要等
2. 平成28年度諏訪湖におけるモデル事業結果
3. 平成28年度小浜湾におけるモデル事業結果
4. 車軸藻類の生育水深と透明度との関係について
5. 湖沼における水生植物の大量繁茂による障害への対策について

添付資料

2017年3月17日金曜日

東京湾の水質改善のための取組

3月もなかばを過ぎ、公共事業にかかわるかたは発注者、受注者ともに検査ラッシュですよね。
調査レポートなどが「成果品」として目に見える形になり、業務がひとつづつ片付いていくこの感じは、春の陽気とともに爽やかな晴れ晴れとした気分を繰り返し繰り返し味わえるので見方を変えるととても気持ちがいい濃縮月間ともいえます(なにを書いているのかわからなくなってきました)。

仕事の区切りともなる秋と春は、例年、行政機関から重要な施策や計画などに関する資料が次々と発表される時期でもあります。
本日の国交省報道発表資料はわれわれ建設環境の技術者が注目すべき発表がいくつかありました。
そのひとつがここで紹介する「東京湾再生のための行動計画」です。
概要をみると、陸域、海域それぞれの取り組み内容とその経過、さらには今後の課題までわかりやすくまとめられています。
つまりはこれってH25年のⅢ-2の問題に対するドンピシャの資料ですよね。
過去に出題された分野なのでもう出ない、と思うのは早計です。
社会的に重要な課題が試験問題としても出題されるわけですから、今後とも要チェックです。切り口を変えて出題されるでしょうし、5年ぶりということで閉鎖性水域の水質改善策については今度の試験で出題されないとも限りません。
ぜひ目を通しておいてください。

東京湾でも海苔養殖【千葉県富津市】

「東京湾再生のための行動計画(第二期)」の第1回中間評価を実施しました
~東京湾の水質改善のための取組が着実に進んでいます~

平成29年3月17日
東京湾に関連する関係省庁及び地方自治体からなる東京湾再生推進会議では、「東京湾再生のための行動計画(第二期)」の策定
 から3年間(平成25年度から平成27年度)の施策の実施状況を総合的に評価し、今後の方針をとりまとめるため、3月9日に東京湾再生
 推進会議を開催し、「東京湾再生のための行動計画(第二期)」の第1回中間評価をとりまとめました。
 東京湾再生推進会議では、平成25 年5月に「東京湾再生のための行動計画(第二期)」(計画期間 平成25年度~平成34年度)を策定し、
3年が経過した段階で、行動計画の評価を行うこととしています。
 今回の中間評価では、「陸域からの汚濁負荷削減方策」、「海域における環境改善対策」、「東京湾の環境モニタリング」等に関する
各施策の取組状況を評価するとともに、平成27年5月に東京湾再生推進会議において決定した28 項目の評価指標を導入しています。
評価の結果、多くの施策が着実に実施され、10年間で達成すべき目標について3年間で達成している評価指標があるなど、
水質や環境の一定の改善が見られました。しかし、東京湾全体の水質改善に向けては目標の達成に至っていない状況です。
 東京湾の再生には長期的な展望が不可欠であることを念頭に、今後も多様な主体と連携して、引き続き、目標達成に向けて東京湾の
水質改善のための取組を推進していきます。

 なお、とりまとめた中間評価は東京湾再生推進会議のホームページにて公表しています。
「東京湾再生のための行動計画(第二期)」 第1回中間評価報告書
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/KANKYO/TB_Renaissance/RenaissanceProject/AP2_Evaluation.pdf 
 

2017年1月23日月曜日

ダム再生ビジョン

寒いですね。
亜熱帯気候のここ沖縄でも気温が13℃ちかくにまで下がり、現場ではいちにち北風吹きっさらしで凍えています。
こういうときは海に手をつけると23℃くらいなので一瞬だけ温く感じますが、ダムなどの現場では気温と同じくらいに下がるのでそれはもう大変です。肌がひび割れしそうで水仕事が本当にキツイですよね。
そんな辛い季節のダムですが、国交省の報道発表によりますと「ダム再生ビジョン」なる動きがあるようです。
こういう動きは今後の試験問題出題ジャンルを占う意味でもすごく重要です。
まだビジョンが策定されているわけではないのですが今後注目しておくべきでしょう(策定されたら超注目です)。

ダム関連の過去問をピックアップしてみると、平成28年度はダムを含む淡水域の富栄養化対策についてⅡ-1で問われました。そのほかダムに限ったわけではありませんが水質保全ものだけでなく生きもの保全系(外来種対策系)などが出題されています。

案内文にもあるとおり(特に太青字)、防災利水のみならず、再生可能エネルギー長寿命化自然環境保全水環境改善などにも関連していることが明記されています。これらのテーマで自由に記述せよ(ダムに限らないという意味です)、というようなときにももちろん使えます。
建設部門の河川砂防だけでなく、われわれ建設環境の技術者もこの検討会を踏まえたダム再生に関するビジョンをしっかりと描けるようにしておくべきでしょう。
特にその背景となる部分は諳んじられるようにしておくと、いろんな回答論文に使えるハズです。

着工から40年余りの真栄里ダム
【石垣市】

「ダム再生ビジョン検討会」の開催について
~ダム再生ビジョンの策定に向けて~

平成29年1月23日
国土交通省では、既存ダムを有効活用したダム再生の取組をより一層推進していくため、それに必要となる方策を示す「ダム再生ビジョン」の策定に向けて、「ダム再生ビジョン検討会」を設置し、第1回検討会を平成29年1月25日(水)に開催します。

 平成27年の関東・東北豪雨や平成28年に相次いで発生した台風などにより、近年、深刻な水害が頻発している一方、渇水による取水制限が毎年のように全国各地で発生しています。
 また、水力などの再生可能エネルギーの導入を積極的に推進するとされていることなどにも対応することが必要となっています。
 さらに、ダムの長寿命化を図り効用を永続させることや、自然環境や水環境の改善を図ることが重要となっています。

 このような状況の中、既存ダムを有効活用したハード対策・ソフト対策の実施事例が積み重なってきており、また、高度な施工技術や降雨観測技術等、これらの対策を支える技術が進展してきています。
 これらを踏まえ、今後、既存ダムを有効活用するダム再生の取組をより一層推進していくため、それに必要となる方策を示す「ダム再生ビジョン」の策定に向けた検討を行う「ダム再生ビジョン検討会」を設置し、第1回検討会を下記のとおり開催します。
 

添付資料

報道発表資料(PDF形式)PDF形式



2016年5月20日金曜日

地下水保全ガイドライン・事例集

沖縄は今週からようやく梅雨入りしました。蒸し暑いです。
カエル、カタツムリ、ミミズなどの小動物が水辺だけでなく舗装道路にも這い出てくるようになり、子育て真っ盛りの野鳥たちもこういった美味しいエサが簡単に確保できるので大喜びです。
地元新聞には道路上で縄張り争い?をするヤンバルクイナの写真も掲載されていました。

ヤンバルクイナの生息する沖縄島北部は急峻な地形でほとんど川らしい川がなくって上流域がそのまま海に流れこんでいます。
反対に島の南部は多孔質の石灰岩からなっていて地表水のほとんどが地下に浸透するので地表にはこれまた川らしい川がありません。
そういったわけで沖縄の飲料用のダムは地下浸透も少ないうえに急峻な谷間を利用できる北部に集中しているわけですが、南部は南部で主に農業用の地下ダムというのがあります。
鍾乳洞も多いし、降雨時だけ水が流れる洞穴というのがたくさんあります。いわゆる地下河川です。
真っ暗闇を轟轟と流れる水はとても恐ろしいものです。やみくろの世界です。
そういう謎の?地底を踏破するのは水曜スペシャル川口探検隊にあこがれた世代にはたまらないようです(わたしは体が硬いので洞窟探検はちょっとニガテなんですが仕事柄、何回か入っています)。

水循環というと河川を介して陸と海を繋ぐというこの流れを妨げないような工夫が我々建設環境の技術者にも求められているわけですが(試験にもよく出ます)、ここ最近は河川の重要性だけでなく、地下浸透した水が干潟などの沿岸域で浸みだすルートの重要性も注目されています(特に沿岸生態系にとって)。
河川はやっぱりどうしても国交省のメインともなる分野なので今後ともその重要性は変わりませんが、地味なようで実は河川にも劣らない「地下水」の重要性を認識してください。
そしてこの地下水の保全について、事例から浮かび上がってきた課題など教養程度には押さえておくといいんじゃないでしょうか。
そもそも建設事業による地下水汚染という問題は昔からあるわけですし、避けてはいけない課題だと思います。

【宮城県仙台市】

環境省:Ministry of the Environment
平成28年5月19日
水・土壌
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『「地下水保全」ガイドライン~地下水保全と持続可能な地下水利用のために~』について

 環境省では、地下水マネジメントを計画的に推進するため、地方公共団体等の地下水保全施策の手引きとして『「地下水保全」ガイドライン~地下水保全と持続可能な地下水利用のために~』を取りまとめました。

本ガイドラインの趣旨

 平成26年7月に施行された水循環基本法第3条には、基本理念として、水が国民共有の貴重な財産であり、公共性の高いものであること、総合的な管理と適正な利用によってその恩恵が将来にわたって享受されなければならないこと、水循環系全体に与える影響を回避又は最小にし、流域を単位とする総合的かつ一体的な管理が必要であることなどが示され、水循環の重要な構成要素である地下水の利用環境についても同様の保全管理が求められています。
 このため、環境省では地方公共団体等の地下水保全施策を支援することを目的に、地下水をめぐる最近の動向と地下水保全に向けた技術的、法・制度的課題、地下水保全のあるべき基本的な考え方を整理し、地下水の適切な保全管理のための方策を『「地下水保全」ガイドライン~地下水保全と持続可能な地下水利用のために~』として取りまとめました。地下水保全に関して先進的な地域の取組事例を紹介している『「地下水保全」事例集~地下水保全と持続可能な地下水利用のために~』と併せてご活用下さい。

ガイドライン・事例集

2016年4月21日木曜日

二次的自然を主な生息環境とする淡水魚の保全

平成28年熊本地震により、亡くなられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、被災に伴い避難生活を余儀なくされている方々に対し、心よりお見舞い申し上げます。

熊本や大分には、技術士試験でこれまでに関わったかたが幾人かいらっしゃいますし、そのほか知り合いのひとも何人かいます。
また、わたしの曽祖父だか高祖父だかが熊本に深い縁があると聞いています。
遠く離れた沖縄でほとんどなにもお役にたてませんが九州の皆さんを案じています。
早く収束することを念じています。

受験申込書類の提出期限も目の前に迫ってきました。
今度の週末に仕上げようというかたも多いのではないでしょうか。
簡易書留に封をするその前は、年月日や○印しの記載もれ、添付書類忘れ、証明印もらい忘れ、写真貼り忘れ、受験料領収貼り忘れ、など、経歴票の記載内容以外のことを入念にチェックしてください。
書類不備で突き返されたら時間切れです。
がんばってください!

今回紹介する提言は建設環境というよりも環境部門自然環境保全に相当するネタなのですが、それでも2次的な自然を主な生息環境とする生きものがいるということを意識した自然環境の保全、再生および創出を進めていくことは建設環境の技術者にも求められていることだと思います。
ぜひ一度目を通しておかれることをオススメします。

井の頭公園【東京都武蔵野市-三鷹市】

環境省:Ministry of the Environment

報道発表資料
平成28年4月7日
自然環境
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「二次的自然を主な生息環境とする淡水魚保全のための提言」の公表について(お知らせ)

 有識者からなる「淡水魚保全のための検討会」により、「二次的自然を主な生息環境とする淡水魚保全のための提言」がとりまとめられましたので、公表します。
1.概要
 平成25年2月に作成された第4次レッドリストでは、汽水・淡水魚類のうち42%が希少種に選定されました。この割合は、哺乳類、鳥類等全分類群の中で最も高く、その多くが二次的自然を主な生息環境とする淡水魚であるため、優先的に対応する必要があります。
 このため、環境省では、平成26年度に有識者からなる「淡水魚保全のための検討会」を設置し、同検討会から「二次的自然を主な生息環境とする淡水魚保全のための提言」を得ることとし、検討を続けてきました。
 その結果、二次的自然を主な生息環境とする淡水魚が生息する豊かな環境を保全・再生するため、関係主体がそれぞれ可能な取組を考えて自ら実施することを促すとともに、連携して地域における自主的な保全活動を促進し、現在生息する種及び地域個体群の絶滅を防ぐことを目的とした、「二次的自然を主な生息環境とする淡水魚保全のための提言」がとりまとめられましたので、公表します。
 この提言は、環境省、関係省庁、地方自治体(特に環境、農業、水産、河川、文化財、教育部局)、農業者、現場で保全活動を行う団体、研究者、その他関係団体等を対象としていますが、それぞれが提言を参考として可能な取組を実施することが望まれます。

添付資料