2014年5月24日土曜日

自然環境(生物多様性)の経済的価値の評価について

大変ご無沙汰しておりました。
ほとんど海に出ずっぱりの潜りっぱなしで、丘にはほとんど寝るためだけに戻ってきていました。
なんだかある種の甲殻類のようですね。

いよいよ沖縄でも筆記試験対策セミナーの開催が間近となってきました。
しかし上記のとおりわたしがセミナーに参加できるか今のところ不確定なので、午後に行う建設環境の科目別セミナーは、別のかた、それも昨年度試験に合格したひとをメイン講師としてお願いすることになりました。
新試験方法による合格体験を踏まえた、より受験生のためになる講座となるものと思います!
詳しい内容はこちらのページをご覧ください筆記試験対策セミナー開催案内

今回紹介するのは、環境部門のひとは要注意ネタ、建設環境のひとも頭の隅に入れておいてほしいネタである、「自然環境(あるいは生物多様性)の経済的価値の評価」についてのものです。
専門とする事項に『自然環境の保全及び創出』、『環境影響評価に関する事項』あたりを記入しているひとは要チェックです。

トドゥマリの浜(西表島)

報道発表資料

平成26年5月23日

アンケート調査による生物多様性の経済的価値の評価(CVM)の結果について

環境省では、過去に失われた干潟を再生することの経済的な価値、ツシマヤマネコの生息数を回復させることの経済的な価値について、アンケート調査による評価(CVM)を、平成25年度に実施しましたので、その結果についてお知らせします。
1.背景・経緯
・2010年に愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で、TEEB(生態系と生物多様性の経済学)の最終報告書が公表されるなど、生物多様性や生態系サービスの価値を経済的に評価することの重要性が注目されている。
・様々な主体が生物多様性及び生態系サービスの価値を認識し、その保全や利用に際して適切な意思決定が行われることを促進するため、環境省においても経済価値評価の検討を進めている。
・平成25年度は、アンケート調査による評価手法を用いて、過去に失われた干潟を再生することの経済的価値、ツシマヤマネコの生息数を回復させることの経済的価値を算出した。
2.評価対象
平成25年度は下記の対象について評価を実施。
■過去に失われた干潟を再生することの経済的な価値
愛知目標(※1)に基づき、1978年から2010年までに国内で失われた干潟面積の15%にあたる約1,400haを2020年までに回復させることについて、1世帯あたりの年間の支払意思額を確認。
■ツシマヤマネコの生息数を回復させることの経済的な価値
ツシマヤマネコの保護増殖の取組を進めることにより、20年後までに野生のツシマヤマネコの生息数を1980年代の推定生息数(※2)である約140頭にまで回復(現在よりも約40頭増加)させることについて、1世帯あたりの年間の支払意思額を確認。
※1...COP10で採択された生物多様性に関する世界目標。2020年を主な目標年としている。
※2...推定生息数に関する詳細は関連webページの「ツシマヤマネコ生息状況等調査(第四次特別調査)」を参照
3.評価手法
・WEBアンケートを用いたCVMにより評価。
・CVMでは、不適切なシナリオ設定や回答者がシナリオを正しく理解できていない場合などには調査結果にバイアスが生じ、正しく評価されない場合があるため、今回の評価は、可能な限りこうしたバイアスが生じないよう有識者による検討を経て実施した。

※CVM(Contingent Valuation Method:仮想評価法)
アンケート調査等により支払い意思を聞き取ることにより、対象とする環境の持っている価値を評価する手法。回答者に環境改善のシナリオを示し、そのシナリオを実現することに対する支払意思を確認する。

4.評価結果
支払意思額に評価範囲(受益範囲)である全国の世帯数(51,950,504世帯)を乗じて評価額を算出。

評価対象

有効回答数
1
  /回答数

支払意思額
(1世帯あたり年間2

評価額
(年間)

過去に失われた干潟を再生することの経済的な価値

873/1,040

中央値3

2,916円

約1,515億円

平均値4

4,431円

約2,302億円

ツシマヤマネコの生息数を回復させることの経済的な価値

801/1,040

中央値

1,015円

約527億円

平均値

2,790円

約1,449億円
※1 有効回答数は、抵抗回答、温情効果回答、回答時間が明らかに短かった回答を除いた回答数
※2 アンケートでは一世帯あたり数年間(干潟は7年間、ツシマヤマネコは10年間)継続して支払うものとして質問した結果
※3 統計的にYESとNOの回答が半々となる値。政策を実行する際に過半数の支持が得られるかどうかの境界値
※4 統計的に算出した支払意思額の平均値
5.評価結果に関する留意事項
・今回の結果は、仮想的なシナリオを設定し、そのシナリオを実現することの価値を評価したものであり、干潟やツシマヤマネコそのものの価値を評価したものではない。
添付資料


報道発表資料

平成26年5月23日

湿地が有する経済的な価値の評価結果について

環境省では、平成25年度に国内の湿地のうち湿原及び干潟が有する経済的な価値を評価しましたので、その結果についてお知らせします。
1.背景・経緯
・2010年に愛知県名古屋市で開催された生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)で、TEEB(生態系と生物多様性の経済学)の最終報告書が公表されるなど、生物多様性や生態系サービスの価値を経済的に評価することの重要性が注目されている。
・様々な主体が生物多様性及び生態系サービスの価値を認識し、その保全や利用に際して適切な意思決定が行われることを促進するため、環境省においても経済価値評価の検討を進めている。
・平成25年度には、我が国の生態系の中でも特に近年の損失が大きい生態系である湿地について、経済的な価値の評価を実施した。
2.評価の対象
本評価では様々な湿地タイプのうち湿原及び干潟を対象とし、全国の湿原及び干潟が有する生態系サービスの経済価値評価を行った。
表:評価の対象とした湿地の面積
湿地タイプ
面積
湿原
110,325ha
干潟
49,165ha
※湿原及び干潟の定義、面積は環境省自然環境保全基礎調査による。
3.評価方法
・湿原及び干潟が有する生態系サービスを整理し、既存の調査研究事例等を用いて経済価値評価が可能な生態系サービスのみを評価した。
・これまでに全国レベルで定量的な評価が行われている生態系サービスについては、適切な代替財(ダム、水質浄化施設にかかる費用等)を用いて貨幣換算を行った。
・定量的な評価が一部地域でしか行われていない場合には、その値を全国に適用して評価額を計算した。
・評価額は湿原及び干潟が年間に生み出す生態系サービス(フロー)の価値として算出した。
・経済価値の評価が困難な生態系サービスについては、生態系サービスの内容と経済評価にあたっての課題を整理した。
4.評価結果
・湿原及び干潟が有する生態系サービスのうち、今回、経済価値の評価を行ったものは以下のとおり。
■湿原の生態系サービスの経済価値評価結果
生態系サービス
評価額(/年)
原単位(/ha/年)
調整サービス
気候調整
(二酸化炭素の吸収)
約31億円
〔高層湿原〕
約1.4万円
〔中間湿原〕
約2.2万円
〔低層湿原〕
約3.1万円
気候調整
(炭素蓄積)
約986億円―
約1,418億円
〔高層湿原〕
約250万円
〔中間湿原〕
約154万円―
約177万円
〔低層湿原〕
約58万円―
約105万円
水量調整
約645億円
約59万円
水質浄化
(窒素の吸収)
約3,779億円
約343万円
生息・生育地
サービス
生息・生育環境の提供
約1,800億円
約163万円
文化的サービス
自然景観の保全
約1,044億円
約95万円
レクリエーションや
環境教育
約106億円―
約994億円
約9.6万円―
 約90万円
■干潟の生態系サービスの経済価値試算結果
生態系サービス
評価額(/年)
原単位(/ha/年)
供給サービス
食料
約907億円
約185万円
調整サービス
水質浄化
約2,963億円
約603万円
生息・生育地
サービス
生息・生育環境の提供
約2,188億円
約445万円
文化的サービス
レクリエーションや
環境教育
約45億円
約9.1万円

5.評価結果に関する留意事項
・上記の評価は、湿原及び干潟が有する価値のごく一部を既存の調査研究事例から整理したものであり、湿原及び干潟の価値の全てを評価したものではない。このため、今後の調査研究の進展による改善が望まれる。
・経済価値評価には様々な手法があり、用いる手法により評価結果も異なることから、生態系間、生態系サービス間で単純な比較はできないことに留意が必要。
・仮に今回計算した国内の湿地の生態系サービスの経済価値を単純に合計すると、湿原は年間約8,391億円~9,711億円、干潟は年間約6,103億円となるが、また1つの生態系サービスを他の生態系サービスから切り離して単独で評価できない場合もあり、合計額を用いる場合には重複して計算している可能性にも留意する必要がある。
・また、生態系及び生態系サービス毎に異なる評価手法を用いて評価しているため、湿原と干潟に係る経済評価の結果を単純に比較することはできない

6.専門家による検討
本評価の実施にあたっては、湿地及び環境経済学の専門家による湿地の経済価値評価検討会を平成25年度に3回開催した。そのほか12名の専門家へのヒアリングを行い、評価の参考とした。
■湿地の経済価値評価検討会 委員(50音順、敬称略)
金谷 弦    独立行政法人国立環境研究所地域環境研究センター 研究員
栗山 浩一   京都大学農学研究科 教授
中村 太士   北海道大学 大学院農学研究院教授(座長)
山形 与志樹  独立行政法人国立環境研究所地球環境研究センター 主席研究員
吉田 謙太郎  長崎大学環境科学部 教授
参考)生物多様性及び生態系サービスの経済価値評価に関する手法等については、関連Webページを参照。
添付資料

2014年4月28日月曜日

経歴票と、コアジサシ繁殖地の保全配慮指針

経歴票もいよいよ完成まぢかだと思います。
もう出すか、今週いっぱい引っ張るか、来週の期限いっぱいまで粘るか、はひとそれぞれですが、そろそろ受験料だけでも納付しておかないと、手続きに慌ててしまうことになっちゃいますので、経歴票がまだ完成していなくても、受験を真剣に考えているひとは、受験料だけでも先に振り込んでくださいね。
ついでに胸上の顔写真も用意しておいてください。
私は今日で振込は済みましたので、明日の休みに最終チェックして明後日30日か、翌5月1日には投函しようと思っています。

経歴票の完成度も重要ですが、ある一定のラインを満足してさえいたら、それ以上内容を研ぎ澄ませるよりも、このGWというまとまった貴重な連休を筆記試験対策に充てたほうが得策だとも思います。
平成25年度の試験方法変更により、これまで以上に筆記試験が重要になった印象があります。
結局のところ、平成18年度以前と同様に、筆記試験にさえ合格できたら、もうほとんど合格は手中に収めたも同然だと思います。

というわけで、今回はコアジサシ保全の指針について紹介します。
「オレんとこは山ん中だし、コアジサシなんて関係ねえ」なんておっしゃらずに、環境保全、生物への配慮を生業としているかたはチラ見だけでも結構ですので覗いてみてください。
●(コアジサシ)繁殖地の保全・配慮の考え方 ~ 保全配慮の流れがわかりやすいですよ
●その具体的手法
●参考事例
が示されています。
問題Ⅱ-1やⅡ-2に際して参考になるのではないでしょうか。
Ⅵ章 今後の課題などは、問題Ⅲの解決策の方向性等の記述の際に参考になる考え方なのではないでしょうか。

富士雲浮かぶ砂浜海岸【本部町】

平成26年3月31日

「コアジサシ繁殖地の保全・配慮指針」の公表について(お知らせ)

 環境省では、コアジサシの保護、特に繁殖地の保全の指針として、「コアジサシ繁殖地の保全・配慮指針」をとりまとめました。
 今後、関係者がコアジサシ繁殖地の保全に役立てるため、広く活用することを想定し作成しましたので公表します。

 コアジサシは、日本に夏鳥として渡来し、河川や海岸でコロニーを作り集団繁殖します。本亜種は絶滅が危惧されており、環境省の第4次レッドリスト(平成24年8月)で絶滅危惧 II 類に位置づけられています。また、日豪等の二国間渡り鳥条約に基づき、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」で、国際希少野生動植物種に指定されています。
 このため、コアジサシの専門家による検討会等を踏まえ、「コアジサシ繁殖地の保全・配慮指針(案)」をとりまとめ、平成26年2月24日(月)から3月15日(土)までパブリックコメントを実施し、その結果を踏まえ、今回公表するものです。
 内容は、コアジサシ繁殖地の保全・配慮の考え方や具体的手法等を示し、コアジサシの保護活動等に取り組む関係者が、コアジサシ繁殖地の保全に役立てることができるようとりまとめています。
(添付資料)
「コアジサシ繁殖地の保全・配慮指針」
こちらの添付資料は以下の環境省報道発表資料のURLから入手できます。
http://www.env.go.jp/press/index.php
添付資料

2014年4月21日月曜日

経歴票と、IPCC第5次評価報告書 第2作業部会報告書(影響・適応・脆弱性)

経歴票の作成も、いよいよ中間折り返し地点に差し掛かってきているのではないでしょうか。
早いひとはもう投函しているようですね。
提出が早いか遅いかは別として、添削を受けていないひとは、早い機会にぜひ周りの身近な技術士のひとにみてもらってください。
第3者の目線で精査を受けたか受けていないかの違いはとても大きいです。

今日は経歴票下半分の「業務内容の詳細(いわゆる小論文)」について書いてみます。

720文字で収めるのは言わずもがなのことですが、この文字数制限が意外と守れていないひとがいらっしゃいますので、今一度、ここはご自分でシッカリと確認してくださいね。

基本的な流れとして、
【業務の概要】
2~3行程度で簡潔に。

【立場と役割】
 立場と役割をそれぞれ簡潔に、しかし省略することなくシッカリ書く。1~2行。

【課題】
 簡潔に表現されたい。1~2行。
 「~(簡単ではない)ことが求められた」というようなことを書くべき部分です。次の【問題点】と合わせてもかまいません。

【問題点】
課題達成を阻むことを技術士(にふさわしい技術者)ならではの視点で抽出してください。
 「しかし~ない」という文章が収まるべき部分です。
ここに書く「問題点」はこのあとの技術的提案と1対1で対応させてください。
また、書く書かないは別ですが、記述するときのスタンスとして「私が(ここが問題となると)考えた」という気持ちは忘れずに。

【技術的提案】
 問題点を解決する技術的な方法、だけじゃなくって、それを導く論理的な考察過程や根拠も示しましょう(スペースがなければ匂わせましょう)。
また同じように、書く書かないは別ですが、記述するときのスタンスとして「私が~と考えた」という意識は忘れずに。

【成果】
 問題点が解決し、課題が達成されたことを簡潔に書く。1~2行。
ここで大事なことは課題で挙げたことをなるべくそのまま成果として書いてください。
つまり文言は統一していたほうがいわゆる起承転結の「結」として論文がビシっと締まります。

満開の桜【東京都調布市 ASIJ近く】

~資料紹介コーナー~
前回のつづきで、気候変動ものです。
添付PDFの(別紙1)にIPCC第5次報告書の観測されている影響とそれに対する適応状況、さらには将来のリスク予測とその適応機会についてまとめられています。A4用紙3枚ほどなのでチェックしておいてください。

平成26年3月31日

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第5次評価報告書 第2作業部会報告書(影響・適応・脆弱性)の公表について(お知らせ)

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第38回総会及び第2作業部会第10回会合(平成26年3月25日~29日、於 横浜市)において、IPCC第5次評価報告書第2作業部会報告書の政策決定者向け要約(SPM)が承認・公表されるとともに、第2作業部会報告書の本体が受諾されました。

 図表を含めた本文については、下記の添付資料をご参照ください。
添付資料

2014年4月16日水曜日

経歴票と、日本における気候変動による将来影響の報告と今後の課題について

経歴票、進んでいますか。
SUKIYAKI塾添削講座の受講生はじめ、そのほかの身近な知り合いからの添削依頼が舞い込み始めました。
昨年度の残務もほぼ片付いたものと思います。お疲れさまでした。

前回の続きで2枚目の業務経歴票について。
上半分は5行の業務内容、下半分がそのうちひとつを選んで業務内容の詳細を書く、というものです。
口頭試験にも使われる大事な書類です。
その目的は、
第一に、受験資格要件を満たしているか?
第二に、当該部門・科目の技術士に相応しい経歴か?
第三に、当該部門・科目の技術士に相応しい課題の解決方法が備わっているか?
になると思っています。

上の5行の業務経歴内容部分では、つぎの3つが大事なように思います。
①7年以上(あるいは4年以上)の業務経験があるか?
※受験資格の根幹です。入力ミス等で年月が重複していないかに注意。ここは投函前にもあらためて確認すべき部分です。

②あなたが主体的に課題解決できる立場にあったか?
※受験資格の必要最低年数ぶんは主体的な立場にないと厳しいです。
もちろん平社員がダメだというわけではありません。
APECさんが言うように、5行で技術者としての成長過程を見せられたらいいと思います。

③受験する部門科目に相応しい業務か?
※建設環境の場合、受験申込書案内にもありますが、選択科目の内容が「建設事業における自然環境及び生活環境の保全及び創出並びに環境影響評価に関する事項」です。
「建設事業における」ものでないとダメです。

 建設事業とは、工事を伴う社会基盤の整備をさす。現在において、建築工事と土木工事は、企業や管轄行政、法律において重複したり区分が違う場合がある。
 斜長橋や鉄塔などである高さが備わるもの、ダムなどに備わるエレベーターシャフトや排水機場の施設建屋、衛生管理処理施設(汚水処理場など)、樋門の管理建屋など、また地下街など、屋根がついていて、人が中に入ることができる工作物に関しては、建築基準法による「建築物」にあたるため、工事区分や行政の取り扱いは土木工事であっても、また土木構造物の範疇であっても一定の規模なら建築確認申請が必要になり、建築士が設計に当たる必要がある。土木構造物の設計自体は建設コンサルタントが担当する。工事区分や行政の取り扱いは土木工事である。また基礎工事は建築、土木ともに重要でありほとんど全ての工事に伴うが、工事区分としては土木工事である(WiKipediaより)。

※科目の相応しさからさらに進んで考えてみると、建設環境には平成24年度以前の出題ジャンルとして8つ(道路、緑地、都市、鉄道、港湾・沿岸、電力、河川、水質)ありました。
建設環境は建設環境でも「あなた」はどのジャンルがメインの技術者なのでしょうか。
同時にいろいろなジャンルの業務をこなしている方の場合、その時期メインの分野から書くようにしたほうがいいと思います。
もっと考えると、どのジャンルの試験官に試験してほしいのか?ということにも繋がるのではないかと思っています。考えすぎでしょうか。

経歴票については今日はここまでにします。
以前にも書きましたが、業務の詳細についてはまた次回。

大学通り【東京都国立市】

地球温暖化対策については以前よりたびたび問われています。
今回の資料は今後の温暖化適応策を策定するための材料として影響予測の最新知見が吟味された上で収集整理されたものですので、その上澄みをそのまま頂いちゃいましょう。

温暖化対策がらみの設問が出た場合には、この資料に書かれた内容を一部分でも引用すると答案に深みが増します。
記述内容が似たり寄ったりの答案論文のなかから「おっ、コイツ合格」と合格箱に入れてもらえるんじゃないでしょうか(もちろん勝手な妄想です)。

平成26年3月27日

「日本における気候変動による将来影響の報告と今後の課題について(中間報告)」 の公表について(お知らせ)

 中央環境審議会地球環境部会気候変動影響評価等小委員会(以下、「小委員会」という。)では、政府全体の「適応計画」策定に向けて、既存の研究による気候変動予測や影響評価等について整理し、気候変動が日本にあたえる影響及びリスクの評価について審議を進めています。
 この度、小委員会の中間報告として「日本における気候変動による将来影響の報告と今後の課題について(中間報告)」がとりまとめられましたので、公表いたします。
 将来、我が国において気温の上昇、降水量の変化など様々な気候の変化、海面の上昇、海洋の酸性化などが生ずる可能性があり、災害、食料、健康などの様々な面で影響が生ずることが予想されています。政府は、緩和の取組に加え、気候変動による影響への対処(適応)を総合的に進める観点から平成27年夏を目途に政府全体の適応に係る取組を「適応計画」として取りまとめることとしています。
 政府全体の「適応計画」策定に向けて、中央環境審議会は、地球環境部会のもとに小委員会を設置し、既存の研究による気候変動予測やその影響の評価等について整理し、気候変動が日本に与える影響及びリスクの評価について審議を進めてきました。今回公表する報告は、現時点までに収集整理した既存の知見やこれまでの小委員会における審議をもとに、気候変動が我が国の自然や人間社会に与える影響について、現時点までの中間的なとりまとめを行い、あわせて今後の課題を整理したものです。
 今後、本報告の内容や、気候変動が我が国に与える影響について、パブリックコメントを通じて広く国民の皆様の御意見を伺い、また気候変動が我が国に与える影響に係る情報を提供していただきながら、小委員会における審議に活かしていく予定です。また、審議の結果は、平成27年2月を目途に、意見具申としてとりまとめていく予定です。
【参考】今後の予定
平成26年
○4月頃
・パブリックコメントを実施
○6月頃~
順次、気候変動影響評価等小委員会を開催
平成27年
○1月頃
・「日本における気候変動による将来影響及びリスク評価に関する報告と今後の課題(意見具申)(仮)」の素案のとりまとめ
・パブリックコメントを実施
○2月頃
・パブリックコメントを踏まえた「日本における気候変動による将来影響及びリスク評価に関する報告と今後の課題(意見具申)(仮)」について
(その後の予定)
各省における適応策の検討を踏まえ、適応計画の全体調整

平成27年度 夏頃目途 適応計画 閣議決定
添付資料

2014年4月15日火曜日

経歴票と、新たな「国土のグランドデザイン」について

経歴票、進んでいますか。
早くも今週から書類の受付が開始されました。
昨年に仕上げているひとはそのまま送ってしまっているかもしれませんね。
昨年の口頭試験不合格事例の詳細な内容を知らないのでなんとも言えませんが、業務経歴と詳細論文についてはそんなに重要視されていないのかもしれませんけれども、やはり不合格になっている割合もほぼ例年通りなわけですから、やっぱりシッカリと作り込むに越したことはありません。
筆記試験の選択問題の成績がAAでなくても筆記試験に合格できたら、あとは既に提出済みの経歴票が申し分ないものであればそれでほとんどもう「合格」は間違いないものになると思います。
そういう意味ではやっぱり重要ですよね。蔑ろにしてはいけません。

昨年度、出願前の添削や口頭試験前の模擬面接用に拝見したのですが、けっこう「えっ!?」というものもありました。
出願前の場合はアドバイスして修正してもらいましたが、筆記合格者の口頭試験前に見た場合にはどうしようもないですもんね(もちろんそういう場合には口で説明する内容について脚色や力点等についてアドバイスさせていただきましたけれども)。

経歴票作成にあたって、まずは細かいことですが、1枚目のほうで数字入力にあたっては全角と半角それぞれ決まっていますので合わせてください(間違っても受付してもらえないほどではないようですが)。ほとんどの数字は全角です。キーボードのテンキ―部分で数字を入力するクセのあるひとは注意してください。

「入力したPDFファイルが保存できない!」というひともなかにはあるかもしれません。
実はわたしも最初はとっても焦りました。
なんのことはない、最新版のAdobe Readerをインストールすれば保存できるようになりました。

2枚目の業務経歴については次回に書きます。

原宿駅前

今日は先月末に公表された新しい国土のグランドデザインをリンクしておきます。
特に目新しいことはないし、平成24年度以前の建設一般的な内容でもあるのですが、専門科目であろうとも問題Ⅲの前段の前フリ部分に使えます。
それよりなにより当たり前かもしれませんが、建設部門の技術者たるもの、国土のグランドデザインを十分に踏まえてそれぞれの課題に対して取り組むべきものだとも言えます。建設環境といえどもです。
現代社会の重大課題がわかりやすく整理されていますので、概要の2枚の資料は少なくとも目を通しておいてください。こういうのが職場のトイレに貼ってあるとイイかもしれませんね。


2050年を視野に入れた国土づくりに向けて ~新たな「国土のグランドデザイン」(骨子)をとりまとめました~

平成26年3月28日
平成25年秋から検討を進めて参りました、新たな「国土のグランドデザイン」に関し、今般、「骨子」をとりまとめましたので、お知らせします。 新たな「国土のグランドデザイン」は、急激な人口減少や少子化、グローバリゼーションの進展、巨大災害の切迫等、国土形成計画(平成20(2008)年閣議決定)策定後の国土を巡る大きな状況の変化や危機感を共有しつつ、2050年を視野に入れた中長期の国土づくりの理念や考え方を示し、未来に向けて国民の叡知を結集しようとするもので、これまで6回にわたる有識者懇談会を開催し、検討を進めてきたものです。

2014年4月14日月曜日

美しい山河を守る災害復旧基本方針」【ガイドライン】の改定

これからしばらくは経歴票のことにも触れつつ、年度末から年度はじめにかけて次々と発表されている行政資料を紹介していきます。
まずは建設環境ドストライク資料の『多自然川づくりに関する最新知見』です。

これはもうなんらかのかたちで確実に出題されると思います。
河川に携わっていないひとでも一読すべきですし、関わっているのであれば試験うんぬん以前の問題ですよね。

添付のPDFをみると、背景から課題~問題点~解決策(の方向性)が示されています。
改定のポイントには留意事項例として示されていますが、例ではなくそのままのありのまま受け止めたらいいと思います。

Ⅱ-1、あるいはⅢで出題されても不思議ではないです。
Ⅱ-1であればそのまま書き下せばいいですし、Ⅲでの出題であれば、書き下しに加えてご自分のちょっとしたフレイバーを混ぜ込めば完成ではないでしょうか。

今回も経歴票について触れる暇(いとま)がありませんでした。。。

春の野川
【東京都小金井市・調布市・三鷹市】

報道・広報

「美しい山河を守る災害復旧基本方針」【ガイドライン】の改定について(お知らせ)


平成26年4月4日

■経緯
・平成9年:「河川法」において河川環境の整備と保全を目的化
・平成10年:河川環境の保全に配慮した災害復旧を行うため、「美しい山河を守る災害復旧基本方針」【ガイドライン】を策定
・平成18年:中小河川の原形復旧を対象に、本基本方針を使い易い構成に改定
・平成22年:中小河川を対象に、多自然川づくりの基本的な留意事項や設計方法を示した「中小河川に関する河道計画の技術基準」が改訂
・平成23年:同技術基準の解説書である「多自然川づくりポイントブック3)」を作成

■改定の背景
・被災を受けた自然護岸などの約7割がコンクリートブロック護岸で復旧されている一方で、必ずしも河川が本来有している環境や景観に着目した復旧となっていない
・そのため、現行の基本方針改定以降にまとめられた「多自然川づくり」に関する知見を災害復旧にも取り入れるべく、本基本方針を改定。
・復旧工法を選定する際の配慮事項を明確にし、設計の考え方が確実に現場へ反映できるプロセスを導入したことで、災害復旧事業における多自然川づくりの徹底を目指す。

■改定のポイント
・多自然川づくりに関する最新の知見【留意事項】を反映

【留意事項例】
 [1]水際部への配慮、
 [2]重要な環境要素への配慮、
 [3]護岸における景観への配慮
 [4]環境上重要な区間・箇所では特別に配慮
・設計の考え方が確実に現場へ反映できるプロセスを導入
        →『災害復旧事業における多自然川づくりを徹底』

■今後の予定
・本改定内容を現場へ反映すべく、実行可能な体制を構築するため、各種会議や講習会にて周知

添付資料
報道発表資料(PDF形式:1,052KB)PDF形式

2014年4月11日金曜日

「生物多様性国家戦略の点検結果」を点検してみると~その3 基本戦略3

大変にご無沙汰でした。
続きモノだったのでサクサク投稿しようと思っていたのですが、思いのほか仕事が忙しくなり、ついでに自宅PCも壊れてしまい、さらには先週までプライベートのほうでもバタバタと忙しくしていたので、結局いまになってしまいました。
いまさら基本戦略のメモ投稿なんでどうでもいいかもしれませんね。

SUKIYAKI塾の出願添削講座もスタートしたところですし、じつは一昨日にAPECさんの出願セミナーが那覇でありましてなかなかに盛況だったことからも、いま一番に需要があるのはやはり出願書類のことだと思います。
わかっていますが、それはまたの機会に書くこととしますね。

地面に落ちた桜の花びらもきれいです【東京都立野川公園】

今回も(やや強引ですが)5つの基本戦略の3つめを以下に紹介しておきます。
【基本戦略3 森・里・川・海のつながりを確保する】
27ページ
【3-1 生態系ネットワークの形成と保全・再生の推進】
①生態系ネットワークの形成
 地域固有の生物相の安定した存続、あるいは損なわれた生物相の回復を目的として、十分な規模の保護地域を核としながら、それぞれの生物の生態特性に応じて、生息・生育空間のつながりや、適切な配置が確保された生態系のネットワーク(エコロジカル・ネットワーク)を形成するため、
略~
 このほか、森林から海まで河川を通じた生態系のつながりのみならず、河川から水田、水路、ため池、集落などを途切れなく結ぶ水と生態系のネットワーク作りに向けた取組を進めるなど、さまざまなレベルで多層的なネットワーク作りを推進しています。

②重要地域の保全
 生態系ネットワークの形成を進めるためには、ネットワークの核となる優れた自然環境を有する地域を適切に保全し、これらを有機的につなぐことが重要です

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[課題] 
 生物多様性の保全や生物相の回復を図っていくにあたり、気候変動への適応としての取組の必要性も踏まえ、生態系ネットワークの形成を進めることが重要です。
 現在、生態系ネットワークの核となるような重要地域の保全・再生が着実に進められています。引き続き、これらの取組を進めるとともに、より効率的・効果的な実施を図るため、取組の基盤となる調査研究や技術開発のさらなる充実、人材の確保等にも努めていくことが重要です。

【3-2 森林の整備・保全】
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②森林の適切な整備・保全
 森林のもつ、国土保全、水源涵養、地球温暖化の防止、生物多様性保全等の多面的機能を持続的に発揮させるため、適切な間伐の実施、伐採年齢の長期化、針広混交林化・広葉樹林化、モザイク的配置に留意した伐採及び的確な更新など、多様な森林づくりを推進しました。
 森林のもつ防災・減災の機能の活用にも資する取組としては、荒廃地における復旧対策等の実施や、東日本大震災からの復旧・再生の取組として平成24年2月に取りまとめた「今後における海岸防災林の再生について」に基づく海岸防災林の再生等を進めています。

[課題] 
 森林施業に当たって、野生生物の営巣、餌場等として重要な空洞木や目的樹種以外の樹種であっても目的樹種の成長を妨げないものの保残に努める等の配慮を行うとともに、生物多様性保全上特に重要な地域を「保護林」等に設定し、モニタリング調査や外来種対策等の取組を行っているほか、多様な主体が林業に関わる機会を提供するための普及啓発・情報提供等を行っています。

【3-3 都市の緑地の保全・再生など】
①緑地の保全・再生・創出・管理
 都市における緑地は、生物の貴重な生息・生育の場であるとともに、都市住民にとって身近な自然とのふれあいの場として極めて重要であり、都市における生態系ネットワークの要となります。
 都市における緑地の保全・再生・創出・管理については、地方公共団体に対する社会資本整備総合交付金等事業による財政的支援等により推進しており、~略~、都市における緑地による生態系ネットワークの形成を促進しました。
 また、地方公共団体が緑の基本計画を策定又は改定する際、生物多様性の確保に当たって配慮することが考えられる事項をまとめた平成23年10月に策定した「緑の基本計画における生物多様性の確保に関する技術的配慮事項」の普及により、地方公共団体による都市における生態系ネットワークの形成の観点を踏まえた緑の基本計画の策定や改定を推進しました。地方公共団体の緑の基本計画に基づく都市公園等の整備や特別緑地保全地区等の土地の買入れ等の支援、民有地も含めた緑化の推進、風致地区の指定等を行い、緑地の保全・創出・再生・管理を進めるとともに、都市において道路、河川、公園緑地などが事業連携した水と緑のネットワークの形成を推進しました。
 さらに、都市の生物多様性の確保の取組を一層推進する観点から、平成25年5月に「都市の生物多様性指標(素案)」を策定し、地方公共団体における生物多様性の状況や施策の進捗状況を評価し、さらなる取組を推進しました。

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②都市域における水辺空間の保全・再生
 都市域における水辺の空間は都市住民の自然とのふれあいの場としても重要であるため、健全な水循環系の構築や汚濁負荷の低減などの取組を推進しています。
 都市地域から流入する汚濁負荷の低減に向けて、流域別下水道整備総合計画の策定・見直しを進め、これに基づく下水処理施設における高度処理を推進するとともに、下水道の普及促進や合流式下水道の改善対策等を推進しました。
 また、地方公共団体が実施する水路等の整備事業のうち、下水処理水等の再利用、貯留浸透による流出抑制、親水性のある水辺空間の整備、及び河川事業等との連携・共同事業を行うことにより健全な水循環系の再生を図る事業等に対して財政的支援を実施しました。
 このような国による財政的支援の実施により、地方公共団体において着実に下水処理水等の再利用、雨水の貯留浸透による流出抑制が進み、良好な水循環の維持・回復が進んでいると考えられます。特に水環境の悪化が著しい河川等については、全国32箇所において、水環境改善に積極的に取り組んでいる地元市町村等と河川管理者、下水道管理者等、関係者が一体となり、「第二期水環境改善緊急行動計画(清流ルネッサンスⅡ)」を策定し、水質改善の取組を進めてきているところです。
 これらの取組により、せせらぎ水路の整備や処理水の再利用などによる水辺の保全・創出や広域的な視点からの水循環系の構築を図り、都市における生物の生息・生育場所を関係者と連携し提供しています。

③住民や事業者の参画を促す取組
 都市近郊の生物多様性の確保には、周辺の自然環境に関心が強い都市住民や都市地域で事業を行っている事業者と連携した取組が有効です。
 土地所有者等が地方公共団体との契約により緑地又は緑化施設を公開する制度(市民緑地制度)や、土地所有者等が緑地の保全や緑化に関する協定を締結する制度(緑地協定制度)などの活用により、都市の住民による良好な緑地の保全・管理等が行われています。
 また、一定規模以上の建築物の新築や増築を行う場合に、一定割合以上の緑化を義務付ける緑化地域制度や地区計画等緑化率条例制度の活用により、民有地における緑化を推進しました。
 開発事業において事業者が積極的に行っている緑地の保全・維持・活用のための取組を評価し、優秀な事例を認定・表彰することで事業者の努力を促す社会・環境貢献緑地評価システム(SEGES)の普及に努めており、平成24年度には新たに2サイトが認定されました。これにより、企業による緑地保全・再生活動を評価する取組を推進するとともに、生物多様性に配慮した事業者の活動を促進しました

[課題] 
 都市においては、生態系ネットワーク形成の観点を踏まえつつ、緑地や水辺の保全・再生・創出・管理に向けたが行われており、緑地面積の増加などの成果が得られています。
 取組の実施に当たっては、地方公共団体、事業者、民間団体、地域住民など多様な主体の参加促進や活動支援を行い、一体的な取組を進めています。
 今後も引き続きこれらの取組を実施し、都市郊外の自然環境とのつながりも考慮しながら都市における緑地による生態系ネットワークの形成を促進していくことが必要です。

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【3-4 河川・湿地などの保全・再生】
①河川の保全・再生
 平成18 年に策定した「多自然川づくり基本指針」及び平成22年8月に通知した「中小河川に関する河道計画の技術基準について」に基づき、全国の河川において、川が有している多様性に富んだ環境の保全を図るなど、自然環境に配慮した多自然川づくりを実施し、河川全体を視野にいれた生態系ネットワークの形成を進めました。

②湿地の保全・再生
 湿原や干潟等の湿地は、多様な動植物の生息・生育地等として重要な場です。しかし、これらの湿地は全国的に減少・劣化の傾向にあるため、その保全の強化と、すでに失われてしまった湿地の再生・修復の手だてを講じることが必要です。

[課題]
 河川・湿地については、森林、農地、都市、沿岸域などをつなぐことで国土の生態系ネットワークの重要な基軸となることを踏まえ、取組が進められています。
 水系、特に湿原は、生物多様性が豊かな地域であるとともに、人為の影響を受けやすい脆弱な生態系といえます。そのため、モニタリング等の調査により生物多様性の現状を適切に把握し、迅速に施策に反映させることが必要です。
 より一層継続的・効果的な調査を実施するため、手法の見直しやほかの全国的な調査データとの相互活用を図り、得られた情報が水系全体の環境の特性や生物多様性の保全上重要な地域等を容易に把握できるような環境情報図等の作成等に活用されることが重要です。

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【3-5 沿岸・海洋域の保全・再生】
 海洋に囲まれた我が国は、内海・内湾を数多く有し、沿岸では寒流と暖流が流れ、北の流氷域から南のサンゴ礁域までの広がりがあります。海洋域は、深海に至るまでさまざまな環境を有し、海棲哺乳類、海鳥類、魚類をはじめ多くの生物が生息しています。海洋は、海流を通じて国境を超えてつながっており、その生態系は土砂の流下や栄養塩の供給などを通じて陸と密接な関係があります。陸域の水系が生態系ネットワークの縦軸とすれば、沿岸域は横軸として重要な役割を果たします。

②沿岸・海洋域の保全・再生
 沿岸・海洋域については、藻場・干潟、サンゴ礁、砂浜等の保全・再生が行われているほか、港湾においては、港湾整備で発生した浚渫土砂等を有効に活用し、藻場・干潟等の整備を行っています。
 この良好な自然環境を活用し、児童や親子を対象に自然環境の大切さを学ぶ機会の充実を図るため、「海辺の自然学校」等の取組を推進しています。

⑤漁港及び漁場における環境整備
 漁港・漁場では、水産資源の持続的な利用と豊かな自然環境の創造を図るため、平成24年度には漁港区域内の汚泥・ヘドロの除去等の整備を行う水域環境保全対策を2地区で実施したほか、水産動植物の生息・繁殖に配慮した構造を有する護岸等の整備を総合的に行う「自然調和・活用型漁港漁場作り推進事業」を全国11地区で実施しました。

[課題]
 沿岸・海洋域については、保護区の設定等による規制的手法、保全再生、資源管理、汚染対策
の実施等により、国はさまざまな主体と連携して総合的に取組を進めています。特に海洋は他国ともつながっているため、地球規模で状況を捉え、関係諸国と協力して取組を進めることが非常に重要です。
 今後も、柔軟かつ機動的な管理を実現するための科学的知見の蓄積や技術開発を進めつつ、海洋保護区の設定や管理の充実、適切な資源管理の一層の推進、地域の実情に応じた汚染対策の実施や関係各国とのさらなる連携を推進し、総合的に対策を実施していくことが必要です。

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【3-6 生物多様性の観点からの地球温暖化の緩和策と適応策の推進】
 地球温暖化等の地球環境の変化により、生態系の攪乱や種の絶滅など生物多様性に対しても深刻な影響が生じることが危惧されています。生物多様性は気候変動に対して特に脆弱であり、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価報告書(2007 年)によると、特にサンゴ礁は約1~3℃の海面温度の上昇による白化や広範囲な死滅が頻発すると予測されています。
 また、気候変動の直接的・間接的影響により、世界各地での強い台風や集中豪雨、干ばつ、熱波などの異常気象の数と強さが増す可能性、海洋における植物プランクトンの発生量の減少、海洋酸性化、人間や生物多様性に有害な影響を及ぼす生物の生息域の北上・拡大等が進行し、或いは進行する可能性も指摘されており、我が国においても自然環境の保全による緩和への貢献、及び生物多様性の保全と自然共生社会の実現の観点からの適応策の検討・実行が喫緊の課題となっています。

。。。。。思わず長々と貼り付けてしまいました。
今回は建設環境の多くの受験者の専門とする事項である「自然環境の保全及び創出」に深く関わる内容です。

なぜ自然環境の保全が必要なのか?
(言い換えると、自然環境の保全がなぜ社会から求められているのか?)
そしてなぜ自然環境の再生(創出)が必要なのか?
あらためて見つめなおしてみてください。

基本戦略4(地球規模の視野を持って行動する)と基本戦略5(科学的基盤を強化し、政策に結びつける)については書きません。興味のあるかたは資料を直接あたってみてください。

次回は経歴票のことにも触れつつ、そのほかの報道発表ネタを取り上げたいと考えています。
では!