2018年6月28日木曜日

A評価論文を書くために~Ⅱ-2は手順について詳細に

これからは選択科目それぞれの書き方、試験年度や試験部門・科目で共通する解答パターンを探っていきましょう。

今回は問題Ⅱ-2です。わざとⅡ-1は後回しにしています。
日本技術士会が公表している試験内容の解説「平成25年度技術士第二次試験の内容について」によると、Ⅱ-2は応用能力に関する問題となっています。そして応用能力とは、
これまでに習得した専門的知識や経験等に基づいて、与えられた条件に合わせて正しく問題点を認識し、必要な分析を行ない、適切な業務プロセスや留意すべき内容を説明できる能力
とあります。
具体的にはどんなことが問われるのかを見てみると、
・選択科目に関係する業務に関し、与えられた条件に合わせて、専門的知識や実務経験に基づいて業務遂行手順が説明でき業務上で留意すべき点や工夫を要する点等についての認識があるかを問う内容とする。
ということです。
業務遂行手順留意点工夫を要する点、というのがキモのようです。

H29年度の問題を見ると、まさに「専門的知識や実務経験に基づいて業務遂行手順が説明でき、業務上で留意すべき点や工夫を要する点等についての認識があるかを問う」ものになっています。

Ⅱ-2-1 環境影響評価法に定める第一種事業に当たる建設事業が計画されており,あなたは担当者として,この事業に関する方法書以降の手続に係る環境影響評価を行うこととなったが,以下の問いに答えよ。なお,環境保全措置については複数案の比較を通じて検討した結果,回避,低減,代償の措置が取られることとなった。

(1)あなたが想定した建設事業の概要と,その事業が実施される地域の状況を具体的に述べよ。


(2)(1)で述べた地域の状況との関連性を踏まえ,この事業による環境影響を想定して,影響要因及び影響を受ける環境要素の項目(以下「環境項目」という。)を3つ挙げよ。また,それらを選定した理由を併せて述べよ。


(3)(2)で選定した環境項目から2つ選び,実施することが適切であると考えられる環境保全措置の内容を説明せよ。ただし,1つ目の環境項目は回避・低減措置の内容を,2つ目は代償措置の内容を説明せよ。このうち,代償措置については,当該措置をとるに当たって行った複数案の比較検討の内容を説明せよ。


【福岡市中央区西中洲】

前々回のA評価論文を書くために~書く前に、骨子やタイトル構成で整理するのところでも書いたように、問題文で書くことが求められていることをそのままタイトルとしたらいいです。

Ⅱ-2-1 第1種事業の環境アセス(環境保全措置~回避低減、代償措置)
(1)まず第1に、第1種事業である事業を設定してください。つまり第1種事業であることがわかる事業規模を示してください(一般国道であれば4車線以上で10km以上、ダムやそのほか土地区画整理事業や宅地の造成事業であれば、面積100ha以上など)。
そのあと、(2)や(3)で取り上げる環境項目が課題となるであろう状況を設定してください。河川があるとか、宅地があるとか、猛禽類が営巣する森林があるだとか等々。
ボリュームとしては、だいたい解答用紙の2/3~3/4くらいでしょうか。

(2)影響要因は、たとえば
①工事中だと施工による(一時的な)影響の要因のことで、建設機械の稼働や資機材の運搬車両(ダンプ)の走行などがあります。
②工事後の供用時だと施設の存在や供用による影響の要因のことで、土地の形状の変更、施設の存在、利用車両の走行などがあります。

そしてこれらの影響要因に連なって影響を受ける環境要素の項目を以下の4分野からなるべく幅広く3つ、影響要因と環境要素をセットで3パターンを書いて下さい。
①環境の自然的構成要素の良好な状態の保持(騒音、振動、悪臭、水質、底質、土壌、地形など)
②生物多様性及び自然環境の体系的保全(植物、動物、生態系)
③人と自然との触れ合い(景観、人と自然との触れ合い活動の場、歴史的文化的環境)
④環境への負荷(廃棄物、温室効果ガスなど)

(3)環境保全措置は、取り上げた3つの環境項目の中から2つを選んで、2通りの環境保全措置を書いて下さい。
①1つ目は回避低減措置
②2つ目は代償措置と(その措置を取るにあたって行った)複数案の比較検討について
複数案は少なくとも2案(A案、B案)以上は示して下さい。そして、●●なのでA案が採用された、というような採用する際の根拠についても忘れずに。

以上、問題Ⅱ-2は手続きの流れ、調査や検討する手順などをしっかり再確認しておいてください。フロー図などが頭の中に浮かぶとバッチリです。
●環境調査を発展させた環境アセスの手続きの流れをしっかり頭に入れる(こっちが王道です)
●都市計画ものは何が出るか不明ですが、都市計画ものならではの調査及び検討手順を余力があれば確認しておく
●多自然川づくりなど自然再生事業の実施手順についても再確認しておいてください(←なんだか匂います)

建設環境が取り組む業務(調査)はほぼ同じような手順で進められると思います。問題文で提示された業務分野にあわせてアレンジする程度で対応できると思います。事業アセスをやったことがないひともたくさんおられますが、基本的な流れは抑えておいてください。建設環境の技術士は事業アセスを担当できる技術者であることが暗に求められているからです。
いずれにしろ実務経験のあるかたはそんなに難しい問題ではないと思います。
「あなたは建設環境の技術士に相応しい業務遂行手順を知っていますか?」という試験官からの質問です。知っていることを整然と答えることが求められています。

問題Ⅱ-2の選択とその推敲に5~7分、2枚を50分、見直し1~2分といったところでしょうか。これで合計1時間です。ちなみに解答する順番は、Ⅱ-2から先にやってください。

添削指導を受けているひとは他者から気づきを与えてもらえるのでそれほど心配はしていませんが、独学でがんばっているひとはこの点を意識してご自分の解答論文を再度見直してみてください。

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