2024年7月30日火曜日

令和7年度技術士試験対策 添削講座を開講しました

令和6年度の筆記試験から早くも2週間が経ちました。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
本日より令和7年度の試験に向けた添削講座を開講いたします。

SUKIYAKI塾の活動と平行して綴り始めたこのブログですが、平成26年ごろからブログを訪問してくださるひとが増え始め、それに比例するように添削指導の依頼をあちらこちらから受けるようになりました。そこで平成28年から独自の添削講座を開講して受験に真剣に取り組む方のサポートを始めました。

軌道に乗った平成29年度以降、多くの受講生の皆さんとメールによる濃密なやりとりができました。受講生に恵まれたことが大きいと感じていますが、受講生の皆さんの理解の度合や伸び具合がそれはとても良い感触でした。
令和5年度筆記試験及び口頭試験合格発表後に頂いたメッセージを抜粋します。

【建設環境】
●すごろく様
お世話になっております。
おかげさまで、筆記試験、合格いたしました。
とても分かりやすくご指導いただき、本当にありがとうございました。

●すごろく様
お世話になっております。
ご無沙汰しておりました。
建設環境を受験していた、●●です。
試験は無事に合格していました。本当にうれしいです。
ご指導いただきありがとうございました。
この勢いに乗って、今年確実に決めたいと思います。

●すごろく様
お世話になっております。●●です。
先日は再現論文を評価いただきありがとうございました。
筆記試験になんとか合格することができました。
口頭試験の準備のため、今後あわただしくなりますが、取り急ぎご報告させていただきます。

●すごろくさま
いつも大変お世話になっております。●●です。
ご無沙汰しております。
今年は社内の方に指導頂き試験に臨みました。
本日結果発表でしたが筆記試験に合格できたようです。
これまですごろくさまに指導頂いたおかげです。
感謝申し上げます。

●すごろく様
ご無沙汰しております、●●です。
昨年の技術士二次試験セミナーでは大変お世話になりました。
令和5年度の二次筆記試験ですが、受かりましたのでご報告申し上げます(建設環境)。
口頭試験についても十分に対策し、何とか今年度で合格したいと思います。
お忙しいところ恐縮ですが、今後も引き続きご指導ご鞭撻のほどどうぞよろしくお願いいたします。

●すごろく様
お世話になっております。●●です。
おかげさまで、無事に建設環境部門に合格しておりました!
筆記試験対策から口頭試験対策まで、ご指導いただき、大変ありがとうございました。
特に、口頭試験練習では、うまく回答できない中、大変長い時間をかけて指導いただきましたこと、改めてお礼申し上げます。
合格できたことも大変うれしいですが、すごろく様をはじめとして、お世話になった方々にこうしてよい報告ができることもまたうれしいです!
今後、技術者として自由に生きていくためには、ずっと自己研鑽が必要なんだろうな、と感じています。
この試験に合格したからおわりではなく、引き続き、腰を下ろさず頑張りたいと思いますので、また機会がありましたららご指導いただけますと幸いです。(もちろん、技術だけでなく、家庭や趣味も必ず大事にします!)
次は、環境部門(自然環境保全or環境影響評価)にチャレンジしていきたいと思います。
この度は、大変ありがとうございました。
今後ともよろしくお願いいたします。

●すごろくさま
さきほど、技術士の発表があり、なんとか合格することができました。
建設環境は、自分の中で、専門性の薄い分野でしたので、勉強方法に困っていたところ、スキヤキ塾さんにすごろくセミナーを教えていただいたのが、受講のきっかけでした。
不謹慎な言い方ですが、すごろくさんのコメントがいつも適格で分かりやすいので、技術士の勉強がすごく楽しかったです。
筆記試験終了後に、すぐR6年度の受講を申し込んだのは、もっと、すごろくさんから学びたいと思ったからです。
ほんとうに、ありがとうございました。

●すごろく様
いつもお世話になっております、●●です。
本日、技術士二次口頭試験の結果発表がありましたが、
無事、「合格」していました。
技術士試験にあたっては、すごろくさんにさまざまなアドバイス・ご指摘をいただいたので無事に合格できたと思っています。本当にありがとうございました。
取り急ぎお礼とご報告申し上げます。
以上、今後も引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

●すごろく様
お世話になっております。●●です。
無事技術士合格していました。
すごろく様の模擬面接での建設部門アピールをしっかりいれるというアドバイスが非常に良かったと考えています。
ご指導ありがとうございました。

●すごろくさま
おかげさまで合格でした。
これまでのご指導に感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
これからも更なるスキルアップを目指して頑張りたいと思います。
報告とお礼でした。

●すごろく様
お世話になっております。
お陰様で合格することができました。
これまでのご指導に本当に感謝いたします。
取り急ぎご報告いたします。

●すごろく様
お世話になっております。
本日、無事に技術士に合格致しました。
口頭試験対策にあたり、御指導頂いた甲斐あっての結果と思っております。
社内で何度か模擬試験を行いましたが、大昔の経験による試験でしたので、最近の試験傾向を捉えた的確なご助言が大変参考になりました。
ありがとうございました。

【総監】
●すごろくさま
おはようございます。
筆記試験の結果ですが、合格しておりました。
口頭試験に向けて対策していきたいと思います。
取り急ぎ、ご報告まで。

●すごろく様
お世話になっております。
先ほど、令和5年度技術士総合技術監理部門の筆記試験合格を確認いたしました。
筆記試験論文添削では、2年度にわたりご指導いただきました。
重ねてお礼申し上げます。

●すごろくさま
お疲れ様です。●●です。
本日、総監に無事に合格することができました。
昨年度は病気で受験を断念しましたが、北斗の拳のラオウが言っていた「我が人生に悔いなし」の言葉を思い出し、悔いが残らないように勉強したのがよかったのかと思います。
合格まで●回かかりましたが、最後まで熱いご対応頂きありがとうございました。

●すごろく様
R5年度筆記試験再現論文コメント評価(総監ー建設環境)をしていただいた、●●です。
おかげさまで無事に合格しておりました。
あとは口頭試験をなんとかクリアしたいので、また模擬面接講座も参加できればと思いますので、よろしくお願いいたします。

●すごろく様
総監(建設環境)の口頭試験のご指導をいただいた、●●です。
技術士会&官報で間違いなく合格していることを確認いたしました。
すごろくさんの、愛ある厳しい指導を受けて本番を受けたものの、口頭試験の手ごたえが全くと言っていいほどなく、落ちていたらどうしよう・・・と悶々とする日々が続いていましたが、今日、合格を確認してようやく肩の荷を下ろすことができました。
特に、私の場合出願書類の出来がイマイチだったので、なおさらあれこれ思い悩んでいましたが、すごろくさんの的確な指導とアドバイスで本番で何とか曲がりなりにも対応できたので、なんとか合格できたのかなと思います。
この度は、本当にありがとうございました。

●すごろく様
こんにちは。
模擬面接では大変お世話になり、ありがとうございました。
本日、無事、総合技術監理部門に合格できたことをご報告させていただきます。
技術士に合格できたことに改めて感謝申し上げます。
模擬面接で丁寧にご指導いただいたことが合格に結びついたものと実感しております。
模擬面接では、改善ポイント等、的確なアドバイスをいただき、モチベーションを維持しながら口頭試験の準備に注力できました。
今後は、資格に見合う人物になれるよう継続研鑽していく所存です。
ありがとうございました。

●すごろく様
お世話になります。●●です。
すごろく様の模擬面接に大変後押しいただきおかげさまで合格させていただきました!
今回も本当にありがとうございました。

●すごろく様
お疲れ様です。
口頭試験模擬面接でお世話になった●●です。
おかげさまで総合技術監理部門に無事合格することができました。
本当にありがとうございました。
今後も技術者として研鑽に励みます。
以上、よろしくお願い致します。

など嬉しい報告をいただきました。


本サービス(添削指導アドバイス)はSUKIYAKI塾とは異なり有料でお受けします。
対象とする技術部門科目は下記の通りです。
※併願・重願の場合はそれぞれの部門科目単位で受け付けます。

●建設部門(建設環境)・環境部門(自然環境保全)・水産部門(水産資源及び水域環境)
技術士受験指導の経験は早いもので13年、そして建設環境分野、自然環境保全分野、水産水域環境分野の技術者としての業務経験は28年になりました。これまで主に沖縄県内での環境調査、環境影響評価、自主アセス(ミニアセス)に携わっております。
わたしの専門はどちらかというと自然環境に関する分野ですので生活環境の保全に関する現場感覚はやや劣るかもしれません。しかしながらこれまで添削するうえで支障はありませんでした。
また、他の科目についてもご希望であればお引き受けします。ただし専門技術に関する指導はできませんので論理構成や文章に関する指導アドバイスとなります。
なお、これまで建設環境、水産資源及び水域環境、自然環境保全以外の科目については、建設部門の都市及び地方計画、道路、河川、砂防及び海岸・海洋ののかた、環境部門の環境保全計画、環境影響評価、森林部門の林業・林産、森林土木、森林環境、水産部門の水産土木のかたを指導いたしました。
また、建設部門の鋼構造及びコンクリート、施工計画・施工設備及び積算、環境部門環境測定のかたに対しては必須科目(部門共通の問題)を中心に指導いたしました。

●総合技術監理部門
総監については科目を問いません。ただし建設-建設環境や水産-水産資源及び水域環境、環境-自然環境保全以外の科目の場合には専門技術を踏まえた管理については言及できないこともあります。
なお、これまで建設環境、水産資源及び水域環境、自然環境保全以外では、電気電子-電気設備、土質及び基礎、鋼構造及びコンクリート、都市及び地方計画、河川砂防・海岸海洋、港湾及び空港、道路、施工計画・施工設備及び積算、上水道及び工業用水道、下水道、農業-農業農村工学、経営工学-サービスマネジメント、環境-環境保全計画のかたを指導いたしました。
ご希望のかたには、平成29年2月23日で頒布が終了した「技術士制度における総合技術監理の技術体系(第2版)」(いわゆる青本)のテキストデータを差し上げます。
なお一部内容を法律等の改正に伴い書き換えています。ただしH29年時点までのものです。とはいえだいぶ年月が経過しちゃいましたね。。。
※択一対策は、繰り返し過去問を解くことの他に、総合技術監理部門 キーワード集2024を用いてご自分でキーワードの解説集を作成するのが合格への近道です。

★お申込みはこちらからお願いします

①令和6年度筆記試験の再現論文に対するコメント評価
内容:再現論文のコメント評価を行います。総監以外は必須科目Ⅰ、選択科目Ⅱ-1、Ⅱ-2、Ⅲの合計4つ、総監は記述論文(必須科目Ⅰ-2)です。
原稿に赤を入れるのではなく、メールでコメントをお返しする方式です。
返信回数:各問題に対し、1回のコメントとそのコメントを受けての再質問・返信を1回の計2回
※令和6年度試験の答案用紙を模したWordファイルを差し上げます。
料金:4,000円

②令和6年度口頭試験対策 オンライン模擬面接
令和6年10月末の筆記試験合格発表後から受付を開始します。
令和6年度技術士第2次試験の筆記試験に合格したかたを対象に、オンライン(ZOOM)で模擬面接指導を行います。
本番さながらの模擬面接とその後の指導アドバイス等を合わせて40分程度を、日を替えて2回行うものです。
面接日時は、本番の試験日を見据えて受講者さんとわたしの都合でバランスよく調整します。
※わたしの口頭試験の再現記録(総監のかたには総監の、一般部門のかたにはR2年度に受験した環境部門の再現記録)と令和以降の口頭試験を受験したかたから提供いただいた再現記録の質問部分を抽出した質問集を提供いたします。
料金:12,000円

【令和7年度試験対策】
③出願書類作成
期間:受付完了時から令和7年度試験の受験申込期限日の7日前まで書類を受け付けます。
内容:受験申込書の記載内容と実務経験証明書(5行の業務経歴と「業務内容の詳細」)についての添削指導を行います。受験する部門科目に合致しているかの確認と令和5~6年度の口頭試験における実際の試問内容を踏まえた記述内容となるよう指導いたします。
令和7年度の様式が正式発表されるまでは令和5年度様式で添削指導を行い、令和7年度様式が発表され次第、あらためて添削指導いたします。
うまく作成できないかたには業務経歴のたな卸しと詳細業務の骨子の作成アドバイスからスタートします。
添削回数:期間内は回数無制限です。ただしわたしがOKと判断したらそこで終了とすることもあります。
料金:20,000円

④筆記試験論文添削 長期コース
期間:受付完了時から令和7年度筆記試験日の7日前まで論文を受け付けます。
内容:総監以外については必須科目と選択科目を、総監については記述論文(必須科目Ⅰ-2)の添削指導を行います。過去問題に対する回答論文の添削です。原稿に赤を入れるのではなく、メールでコメントをお返しする方式です。
論文の仕上がり具合に自信がないかた、文章作成が苦手なかた、論理的思考が苦手なかた、専門技術分野が偏っているかた、それぞれに応じた指導をいたします。
※令和6年度試験の答案用紙を模したWordファイルを差し上げます。
添削回数:期間内は回数無制限です。ただし複数の論文を同時並行では添削しません。わたしが次の問題に移ってOKと判断してから別の設問に取り組んでください。
料金:35,000円

⑤筆記試験論文添削 中期コース
期間:令和7年1月から受付を開始します。受付完了時から令和7年度筆記試験日の7日前まで論文を受け付けます。
内容:総監以外については必須科目と選択科目を、総監については記述論文(必須科目Ⅰ-2)の添削指導を行います。過去問題に対する回答論文の添削です。原稿に赤を入れるのではなく、メールでコメントをお返しする方式です。
論文の仕上がり具合に自信がないかた、文章作成が苦手なかた、論理的思考が苦手なかた、専門技術分野が偏っているかた、それぞれに応じた指導をいたします。
添削回数:期間内は回数無制限です。ただし複数の論文を同時並行では添削しません。わたしが次の問題に移ってOKと判断してから別の設問に取り組んでください。
料金:30,000円

⑥筆記試験論文添削 短期コース
期間:令和7年4月末頃から受付を開始します。受付完了時から令和7年度筆記試験日の7日前までまで論文を受け付けます。
内容:総監以外については必須科目と選択科目を、総監については記述論文(必須科目Ⅰ-2)の添削指導を行います。過去問題に対する回答論文の添削です。原稿に赤を入れるのではなく、メールでコメントをお返しする方式です。
論文の仕上がり具合に自信がないかた、文章作成が苦手なかた、論理的思考が苦手なかた、専門技術分野が偏っているかた、それぞれに応じた指導をいたします。
添削回数:期間内は回数無制限です。ただし複数の論文を同時並行では添削しません。わたしが次の問題に移ってOKと判断してから別の設問に取り組んでください。
料金:18,000円

【注意事項】
●本サービスは、Gmailを使用して行いますので、Gmailの送受信が可能な環境であることが必須条件です
●本サービスに使用するファイル形式はPDFもしくはMS Wordファイルのみです。これ以外のファイルは原則として対応できません
●添削指導の対象である受験申込書や論文等はメールに添付してお送りいただきます
●メール受信後、添削コメント等を返信するまでに最大4日間の日数をいただきます
●総監については科目を問いませんが、建設-建設環境、水産-水産資源及び水域環境、環境-自然環境保全以外の科目の場合には専門技術を踏まえた管理については言及できないこともあります
●PDFの領収書は発行できますが、受講代金の10%を上乗せした代金を頂戴します
●なおインボイス発行事業者への登録は行っておりませんので適格請求書の発行はできません
●振込手数料はご負担ください

本サービス(添削指導アドバイス)をご希望されるかたは上記の内容を確認いただいたうえで下記のフォームにてお申込みください。お申込みの時点で上記の注意事項に同意いただいたものとします。

フォームを受信後、遅くとも翌日中には振込先の銀行口座をご案内するメールをGmailで返信いたします。
※3日以上経過しても返信がない場合はGmailとのやりとりが不可能な環境と思われます。その際はお手数ですがご自身で設定等を調整したうえで再度ご応募ください。

★お申込みはこちらからお願いします

2024年7月25日木曜日

水産部門 必須科目Ⅰ 地球温暖化対策と海業の推進

最後に水産部門必須科目の問題文を取り上げます。
わたしの予想した災害からの復旧復興ではなかったですね。。。スミマセン。きっと来年には出ます。。。
とはいえ出題ジャンルとしては2問とも順当というか、既に過去問などでもネタを整理済のものですよね、地球温暖化対策と海業の推進(水産物消費の増進と交流人口の拡大)は。
新たな水産基本計画と照らしてみると、今年度も第1の柱(海洋環境の変化も踏まえた水産資源管理の着実な実施)と第3の柱(地域を支える漁村の活性化の推進)になりますかね。
それにしてもこないだ出たばっかりの令和5年度水産白書の特集テーマ(海業による漁村の活性化)が出題されるとは思いませんでした。。。

14 水産部門【必須科目Ⅰ】
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)

Ⅰ-1 地球温暖化による海水温の上昇などは,水産業に大きな影響を与えている。我が国近海における令和5(2023)年までの約100年間にわたる平均海面水温(年平均)の上昇率は+1.28℃/100年で,世界全体での上昇率(+0.61℃/100年)よりも大きく,我が国の気温の上昇率(+1.35℃/100年)と同程度の数値であった。このような気候変動による影響を考慮しながら,我が国の水産業振興を図るために,以下の問いに答えよ。

(1)水産部門全般を念頭に,地球温暖化対策としての業務を実施するうえでの課題を,技術者として多面的な観点から3つ抽出し,それぞれの観点を明記したうえで課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題の中で,最も重要と考えられる課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を,水産部門の専門技術用語を交えて示せ。

(3)前問(2)で示した解決策を実行して生じる波及効果と,専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

(4)前問(2)で示した解決策の実現において,技術者としての倫理,社会の持続可能性を踏まえて必要な要件を題意に即して述べよ。


いかにも南の魚ですね
【沖縄県那覇市】

Ⅰ-2 近年,漁村の人口減少や高齢化,漁獲量の低迷に伴う漁業所得の減少等により地域の活力が低下する中,豊かな自然や漁村ならではの地域資源と漁港施設や漁港内の水域・公共空地を有効活用した「海業」の取組が推進されている。令和4年3月に閣議決定された漁港漁場整備長期計画では,重点課題として,「海業」の振興と多様な人材の活躍による漁村の魅力と所得の向上が掲げられたところである。このような状況を踏まえて,以下の問いに答えよ。

(1)「海業」を推進し,水産物消費の増進や交流人口の拡大を図るために,技術者としての立場で,水産部門全体にわたり広く多面的な観点から3つの課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題の中で,最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を,水産部門の専門技術用語を交えて示せ。

(3)前問(2)で示した解決策を実行して生じる波及効果と,専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

(4)前問(1)~(3)の実現に当たり,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を題意に即して述べよ。


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第3者目線での評価を欲している方はぜひどうぞ。
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2024年7月24日水曜日

自然環境保全 選択科目Ⅲ 野生復帰事業と国立公園満喫プロジェクト

「問題解決能力及び課題遂行能力に関する」問題Ⅲ、Ⅲ-1が野生復帰事業、Ⅲ-2が満喫プロジェクトでした。わたしにとってはどちらも試験勉強的にはチェックしていた分野ですが実際には携わったことがない事業プロジェクトですね。
皆さんはどちらを選択されましたでしょうか。生きもの好きのかたはやっぱり野生復帰事業のほうですかね。

Ⅲ 次の2問題(Ⅲ-1,Ⅲ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(赤色答案用紙に解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)

Ⅲ-1 種の保存法に基づく保護増殖事業が行われている野生動物の一種について,動物園における生息域外保全の取組が成果をあげてきたことから,野生復帰事業に着手することになり,自然環境保全技術者の立場で事前調査及び実施計画策定を担当することになった。

(1)事前調査及び実施計画策定に当たり,技術者の立場からどのような課題が考えられるか,多面的に検討したうえで課題を3つ示し,その内容を述べよ。

(2)前問(1)で示した課題のうち最も重要と考えるものを1つ選び,重要と考える理由とその課題に対する解決策を,専門技術用語を交えて示せ。

(3)前問(2)で示した解決策を実行しても生じうる将来的な懸念事項とそれへの対応策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。


安田くいなふれあい公園
【沖縄県国頭郡国頭村】

Ⅲ-2 我が国を代表する自然景観を有する国立公園に関して,政府は「国立公園満喫プロジェクト」をいくつかのモデル公園において推進している。このことに関して,以下のケースについて,問いに答えよ。

(1)我が国には,国立公園のほか,自然公園体系ではほかに国定公園,都道府県立自然公園等が指定されている。それらの地域に対する支援を考えるとした場合,技術者の立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち特に重要と考える課題を1つ挙げるとともに,理由を説明し,その課題に対する複数の解決策を,専門技術用語を交えて示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対応策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。


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2024年7月23日火曜日

自然環境保全 選択科目Ⅱ-2 里地里山再生計画と沿岸生態系での自然とのふれあい活動の場等整備基本計画

つづいて「選択科目」に関する応用能力について試される選択科目Ⅱ-2です。
ひとつは健全な水循環の維持回復に資する里地里山保全再生計画、もういっこは沿岸生態系の自然とのふれあい活動や環境学習の場としての整備基本計画でした。ただの(というか受験者側で設定自由な)保全再生計画ではなく、保全再生の目的を提示しての出題でした。これからはこういったパターンになるんだろうなと思います(もともとそうでしたっけ)。
陸域メインのひとは里地里山、海域メインのかたはふれあい活動・環境学習の場のほうを選ばれたのでしょうか。2問の分散具合が絶妙で良い出題だと思いました。

Ⅱ-2 次の2設問(Ⅱ-2-1,Ⅱ-2-2)のうち1設問を選び解答せよ。(青色答案用紙に解答設問番号を明記し,答案用紙2枚を用いてまとめよ。)

Ⅱ-2-1 健全な水環境の維持・回復には,流域における取組が必要で,流域全体を通じて,貯留浸透・涵養能力の維持・向上を図り,湧水の保全・復活に取り組む必要がある。しかし,都市近郊の里地里山では,農地や水路・ため池,農用林等の利用が減り,竹林が増えるなど人間の働きかけを通じて形成されてきた自然環境が喪失・劣化し,水源涵養機能の低下や生物多様性も失われている。このような状況にある地方都市の流域の上流部に位置する公有地(約30ha)において,健全な水循環の維持・回復に資する里地里山の保全・再生計画を策定することになった。この業務を担当責任者として進めるに当たり,下記の(1)~(3)の問いに答えよ。

(1)当該対象地域の保全・再生において想定される課題を示し,課題解決に向けた調査,検討事項を説明せよ。
(2)業務を進める手順を列挙し,それぞれの留意すべき点,工夫を要する点を含めて述べよ。
(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者の調整方策について述べよ。

【沖縄県島尻郡座間味村 座間味島】

Ⅱ-2-2 沿岸域に分布する干潟,塩性湿地,藻場,サンゴ礁などを利用して,自然環境の保全・育成及び自然とのふれあいや環境教育・環境学習の場としての利用を目的とした整備の基本計画を策定することとなった。この業務を担当責任者として進めるに当たり,下記の(1)~(3)の問いに答えよ。

(1)対象地域の自然的社会的条件を設定し,本業務における調査,検討すべき事項について説明せよ。
(2)業務を進めるために必要な手順を示し,それぞれの留意すべき点,工夫を要する点を述べよ。
(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。

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2024年7月22日月曜日

自然環境保全 選択科目Ⅱ-1

続きまして、自然環境保全Ⅱ‐1、4つの設問のうち1問を選ぶスタイルの、「選択科目」に関する専門知識について試される選択科目Ⅱ-1です。

○条件付特定外来生物
○気候変動による生息魚類の変化等
○ワンヘルス
○2030年グローバルターゲット「生物多様性への脅威を減らす」ことに関する数値目標

外来生物でましたね!アメリカザリガニとミシシッピアカミミガメを推していたので一応当たった!という認識です(一応です)。
2問目の気候変動による生息魚類の変化なんて、まるで水産部門ですね。驚きました。まぁ水産部門だったら魚類ではなく魚介類になるわけですが。水産寄りの自然環境分野については(環境部門の出題ジャンルとしては)予想を遠慮していたところも正直なところありました。意識を改めないといけませんね。
そしてワンヘルスですが、わたしの受講生でワンヘルスをテーマとした想定問題に取り組んでおられた方がいます。ドンピシャでしたね!小躍りしたのではないでしょうか。
それにしても公園系が1つも出題なかったことには驚きました。去年2つも出してしまったことも影響しているのでしょうか。
とにかくⅡ-1を予想するのはやっぱり難しいですね。

19-3 自然環境保全【選択科目Ⅱ】
Ⅱ 次の2問題(Ⅱ-1,Ⅱ-2)について解答せよ。(問題ごとに答案用紙を替えること。)

Ⅱ-1 次の4設問(Ⅱ-1-1~Ⅱ-1-4)のうち1設問を選び解答せよ。(緑色答案用紙に解答設問番号を明記し,答案用紙1枚にまとめよ。)

Ⅱ-1-1 2022年に「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」が改正され,2023年6月1日より,新たに特定外来生物を指定する際に,その規制の一部を適用除外とする「条件付特定外来生物」に指定することができる制度が新設された。この制度が制定された背景,指定された種の環境への影響について触れたうえで,条件付特定外来生物の法的位置づけや行為の規制内容,課題について述べよ。

Ⅱ-1-2 近年の気候変動による日本の海洋生態系への影響を示す,生息魚類の変化等に関する事柄について,具体的事例を2つ以上挙げ,その対応に関する取組についても述べよ。

Ⅱ-1-3 人獣共通感染症,薬剤耐性菌対策等の観点から提唱されている「ワンヘルス(One Health)」について,生物多様性保全の観点からその意義を述べよ。

Ⅱ-1-4 昆明・モントリオール生物多様性枠組の2030年グローバルターゲットのうち「生物多様性への脅威を減らす」ことに関しては,空間計画の設定,自然再生,30by30,種・遺伝子の保全,生物採取の適正化,外来種対策,汚染防止・削減,気候変動対策の8つの目標がある。このうち,数値目標が設定されているものについて,その目標と目標達成に向けた活動の考え方を述べよ。

福岡市博物館
【福岡県福岡市】


R6年度筆記試験のコメント評価をしています。
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2024年7月21日日曜日

環境部門 必須科目Ⅰ ネイチャーポジティブの実現に向けて定められた基本戦略と脱炭素実行地域づくり

それでは環境部門の問題文を取り上げます。まずは必須科目から。

19 環境部門【必須科目Ⅰ】
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)

Ⅰ-1 2022年12月にカナダ・モントリオールで開催された生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)では,2010年に採択された愛知目標の後継となる,2030年までの世界目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」が採択され,各国はそれを踏まえ生物多様性国家戦略を策定・改定することが求められた。我が国では,これに先立ち生物多様性国家戦略の見直しの検討が進められ,令和5(2023)年3月31日に「生物多様性国家戦略2023ー2030」が閣議決定された。
 この中で,2030年のネイチャーポジティブの実現に向けて定められた5つの基本戦略の中に,次の3つが示されている。
 ① 生態系の健全性の回復
 ② 自然を活用した社会課題の解決
 ③ ネイチャーポジティブ経済の実現
 これらの3つの基本戦略について,以下の問いに答えよ。

(1)上記3つの基本戦略から1つ選び,技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題の中で,最も重要と考える課題をその理由とともに記し,課題に対する複数の解決策について専門技術用語を交えて示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策を示せ。

(4)前問(1)~(3)の業務遂行に当たり,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から必要な要件・留意点を題意に即して述べよ。

建設部門と同様、課題は「それぞれの観点を明記」することが求められていますね。

フクギによる防風効果
【沖縄県島尻郡渡名喜村 渡名喜島】

Ⅰ-2 地域が主役となる,地域の魅力と質を向上させる地方創生に資する地域脱炭素の実現を目指し,特に2030年までに集中して行う取組・施策を中心に,工程と具体策を示す「地域脱炭素ロードマップ」(令和3(2021)年6月9日国・地方脱炭素実現会議決定)が策定され,また,「地球温暖化対策計画」(同年10月22日)が閣議決定された。このロードマップでは,脱炭素先行地域で,2025年までに脱炭素に向かう地域特性等に応じた先行的な取組実施の道筋をつけ,2030年までに実行することとしている。脱炭素実行地域づくりを推進する環境技術者として,以下の問いに答えよ。

(1)脱炭素先行地域の概要を説明し,さらに技術者としての立場で想定する具体的な事業を明記したうえで,脱炭素先行地域として考慮すべき3つの課題を抽出して,その課題の内容を示せ。なお,抽出する課題が局所的にならないように注意すること。

(2)抽出した課題のうち,最も重要と考える課題を1つ挙げ,その理由を説明したうえで,その課題に対する複数の解決策について専門技術用語を交えて示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行ししても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)~(3)の業務遂行において必要な要件を,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から題意に即して述べよ。


R6年度筆記試験の再現論文についてコメント評価をしています。
第3者目線での評価を欲している方はぜひどうぞ。
詳しくはこちらをご覧ください。

2024年7月20日土曜日

令和6年度技術士筆記試験の再現論文に対するコメント評価

すでに受付を開始しておりますが、あらためてご案内いたします。
デキに手ごたえのあるかたも、自信のないかたも、試験答案について第3者の視点での評価を欲しているかたはぜひどうぞ。

①令和6年度筆記試験の再現論文に対するコメント評価
内容:再現論文のコメント評価を行います。総監以外は必須科目Ⅰ、選択科目Ⅱ-1、Ⅱ-2、Ⅲの合計4つ、総監は記述論文(必須科目Ⅰ-2)です。原稿に赤を入れるのではなく、メールでコメントをお返しする方式です。
返信回数:各問題に対し、1回のコメントとそのコメントを受けての再質問・返信を1回の計2回
※令和6年度試験の答案用紙を模したワードファイルを差し上げます
料金:4,000円

★お申込みはこちらからお願いします

対象とするは以下の2つです。
●建設部門建設環境・環境部門自然環境保全・水産部門水産資源及び水域環境ほか
技術士受験指導の経験は早いもので12年、そして建設環境分野、自然環境保全分野、水産水域環境分野の技術者としての業務経験は27年になりました。これまで主に沖縄県内での環境調査、環境影響評価、自主アセス(ミニアセス)に携わっております。
わたしの専門はどちらかというと自然環境に関する分野ですので生活環境の保全に関する現場感覚はやや劣るかもしれません。しかしながらこれまで添削するうえで支障はありませんでした。
また、他の科目についてもご希望であればお引き受けします。ただし選択科目の専門技術に関する評価、指摘や指導はできません。あくまで論理構成や文章に関する添削となります。
なお、これまでほかの科目については、建設部門の道路、鋼構造及びコンクリート、河川、砂防及び海岸・海洋、環境部門の環境保全計画、環境影響評価、水産部門の水産土木のかたの答案を添削いたしました。

●総合技術監理部門
総監については科目を問いません。ただし建設-建設環境や水産-水産資源及び水域環境、環境-自然環境保全以外の科目の場合には専門技術を踏まえた管理については言及できないこともあります。
なお、これまで建設環境、水産資源及び水域環境、自然環境保全以外では、電気電子-電気設備、土質及び基礎、鋼構造及びコンクリート、都市及び地方計画、河川砂防・海岸海洋、港湾及び空港、道路、施工計画・施工設備及び積算、上水道及び工業用水道、農業-農業農村工学、経営工学-サービスマネジメント、環境-環境保全計画のかたの答案を添削いたしました。

【注意事項】
●本サービスは、Gmailを使用して行いますので、Gmailの送受信が可能な環境であることが必須条件です
●本サービスに使用するファイル形式はPDFもしくはMS Wordファイルのみです。これ以外のファイルは原則として対応できません
●添削指導の対象である受験申込書や論文等はメールに添付してお送りいただきます
●メール受信後、添削コメント等を返信するまでに最大4日間の日数をいただきます
●総監については科目を問いませんが、建設-建設環境、水産-水産資源及び水域環境、環境-自然環境保全以外の科目の場合には専門技術を踏まえた管理については言及できないこともあります
●PDFの領収書は発行できますが、受講代金の10%を上乗せした代金を頂戴します
●なおインボイス発行事業者への登録は行っておりませんので適格請求書の発行はできません
●振込手数料はご負担ください

本サービスをご希望されるかたは上記の内容を確認いただいたうえで下記のフォームにてお申込みください。お申込みの時点で上記の注意事項に同意いただいたものとします。

フォームを受信後、遅くとも翌日中には振込先の銀行口座をご案内するメールをGmailで返信いたします。
※3日以上経過しても返信がない場合はGmailとのやりとりが不可能な環境と思われます。その際はお手数ですがご自身で設定等を調整したうえで再度ご応募ください。


★お申込みはこちらからお願いします

2024年7月19日金曜日

建設環境 選択科目Ⅲ 生態系の健全性の回復と防災減災に寄与するグリーンインフラ

どんどんいきましょう。「問題解決能力及び課題遂行能力に関する」問題Ⅲ、Ⅲ-1が生態系の健全性の回復、Ⅲ-2防災減災に寄与するグリーンインフラでした。どちらも自然環境系でしたね。選択科目Ⅱのほうは自然環境系色が弱かったとはいえ、選択科目Ⅲのどちらもが自然環境系で来るとは驚きました。わたしのような人間にとってはどちらの問題を選択するのか悩ましいといころです。小躍りしている場合ではありません。

Ⅲ 次の2問題(Ⅲ-1,Ⅲ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(赤色答案用紙に解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)

Ⅲ-1 令和5年3月に策定された「生物多様性国家戦略2023-2030」では,世界目標である「昆明・モントリオール生物多様性枠組」に対応するため,「2050年自然共生社会」及び「2030年ネイチャーポジティブ」の実現に向けた5つの基本戦略を掲げている。「基本戦略の1つに「生態系の健全性の回復」が掲げられており,河川,道路,都市の緑地,海岸,港湾においても,生物の生息・生育地の保全・再生・創出の取組を推進することが必要である。このような状況を踏まえ,以下の問いに答えよ。

(1)生態系の健全性の回復を図るため,河川,道路,都市の緑地,海岸,港湾において生物の生息・生育地の保全・再生・創出の取組を推進するに当たって,多面的な観点から課題を3点抽出し,その内容を観点とともに示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する建設分野における複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

漢那ダム
【沖縄県国頭郡宜野座村】

Ⅲ-2 グリーンインフラとは,グリーンインフラ推進戦略2023(令和5年9月国土交通省)によれば,社会資本整備や土地利用等のハード・ソフト両面において,自然環境が有する多様な機能を活用し,持続可能で魅力ある国土・都市・地域づくりを進める取組である。我が国においてもグリーンインフラの概念が定着し,産学官の取組が広がりつつあるが,近年,気候変動に伴って水災害等が激甚化・頻発化するなど,グリーンインフラに関連する社会情勢にも大きな変化が生じている。これらの点を踏まえ,以下の問いに答えよ。

(1)防災・減災に寄与するグリーンインフラを一層普及させるとともに,あらゆる場面で実装(ビルトイン)させていくに当たって,取組を実施する技術者としての立場で,多面的な観点から3つの課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち,最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策に共通して生じうるリスクとそれへの対策について述べよ。

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2024年7月18日木曜日

建設環境 選択科目Ⅱ-2-2 自然由来重金属等含有土の汚染拡散防止措置

つづきまして自然由来重金属等含有土の汚染拡散防止措置です。土壌汚染や地盤汚染については忘れたころに繰り返し問われています。こちらが専門のかたは小躍りしたことでしょうね。わたしはサッパリです。。。

Ⅱ-2-2 鉄道事業において山間部におけるトンネル工事が計画されている。このトンネル工事において事前の調査により,地盤中に自然由来重金属等が含まれていることが確認されている。
 トンネル掘削により発生する自然由来重金属等を含有する岩片,土壌,あるいはそれらの混合物(以下,「自然由来重金属等含有土」という)による地下水の汚染や,自然由来重金属等含有土の拡散等がないように,長期的な汚染拡散の防止措置等が求められている。建設環境の担当責任者として地盤汚染に関する調査や,周辺環境対策や汚染拡散防止措置等を検討するに当たり,下記の内容について記述せよ。

(1)トンネル掘削工事において,自然由来重金属等含有土の汚染拡散防止措置,及びその措置に伴う環境影響を合理的に回避又は低減するために,調査,検討すべき事項を列記し,その内容について説明せよ。

(2)トンネル掘削工事において,自然由来重金属等含有土の長期的な汚染拡散防止措置を検討するに当たり,留意すべき点,工夫を要する点を含めて業務を進める手順について述べよ。

(3)自然由来重金属等含有土の汚染拡散防止措置を効率的・効果的に進めるための,関係者との調整方策について述べよ。

沖縄モノレールの唯一の地下トンネルである浦添前田駅~てだこ浦西駅間トンネル
【沖縄県浦添市】

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2024年7月17日水曜日

建設環境 選択科目Ⅱ-2-1 景観の環境影響評価

つづいて「選択科目」に関する応用能力について試される選択科目Ⅱ-2です。
今回はなんと「景観」と「自然由来重金属等含有土」でした。自然由来重金属等含有土については土壌汚染、地盤汚染としてこれまでも定期的に問われていますよね。環境アセスは毎年の出題ですが、今回は景観でした。今年はどちらもわたしの専門外でもあるので、実際に受験していたらいったいどんなことになっていたのかと背筋が凍りました。。。

Ⅱ-2 次の2設問(Ⅱ-2-1,Ⅱ-2-2)のうち1設問を選び解答せよ。(青色答案用紙に解答設問番号を明記し,答案用紙2枚を用いてまとめよ。)

Ⅱ-2-1 環境影響評価法に定める第一種事業に当たる道路事業が,峡谷,滝,植物群,風景林など景観資源が複数存在する地域で計画されている。本事業における環境影響評価のうち,環境要素の区分の一つである「景観」の環境影響評価について,建設環境の担当責任者の立場で以下の問いに答えよ。なお,ここで扱う「景観」は,道路(地表式又は掘削式,嵩上式)の存在に係る景観とする。

(1)「景観」に係る環境影響評価の項目を選定するに当たって,調査,把握すべき事項を列記し,その内容について説明せよ。

(2)「景観」に係る環境影響評価の項目の選定後に行う,環境アセスメントの実施に係る手順を列挙して,それぞれの手順において留意すべき点,工夫を要する点を述べよ。

(3)業務を効率的,効果的に進めるための関係者との調整方策について述べよ。


等々力峡谷
【東京都世田谷区】

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2024年7月16日火曜日

建設環境 選択科目Ⅱ-1

あれから早くも24時間が経ちました。業務多忙で試験を振り返る余裕がないひとが多いのではないかと思いますが、このページに来てくださるかたはお忙しいなかでも試験について振り返り、もしくは誰かと試験体験を共有したい、というお気持ちなのかなと勝手に考えています。とにもかくにも訪問くださりありがとうございます。

バッチリうまく書けて自信と期待がたっぷりなひと、問題によってはデキがいまいちだったのがあって不安でいっぱいなひと、なんとか無理やり書いたけどやっぱりたぶん無理なんだろうなと半分諦めてしまっているひと、その間を行きつ戻りつ逡巡しているひと、いろんなひとがいると思います。10月末の合格発表までの短いようでそれなりに長い期間、受験したひとだけが味わえる(味わわざるを得ない)感情の浮き沈みは貴重な体験でもあります。とにもかくにも試験が終わりましたので、頭と体を休めて気持ちをリフレッシュさせ、これからの夏本番、業務に実務に集中してください!

それでは建設環境Ⅱ‐1、4つの設問のうち1問を選ぶスタイルの、「選択科目」に関する専門知識について試される選択科目Ⅱ-1です。

○ダム湖のアオコと気泡式循環施設によるアオコ増殖抑制メカニズム
○再エネ海域利用法
○港湾脱炭素化推進事業
○歴史的町並みの保全活用に係る法制度

例年にも増して4問ともシブいですねぇ。このブログでも6月に出題予想をしたわけですが、今回も昨年度に引き続きひとつも当てることができませんでした。。。昔は4つのうち1つや2つはカスっていたんですけどね。スミマセン。
それにしても一発目が「アオコ」には仰け反りました。わたしの専門ドストライク過ぎるからです。わたしが建設環境を受験したのは10年以上前ですが、その頃以前はまだダム貯水池関連がチラホラ出題されていたのですが、それ以降パッタリと出題されなくなりましたよね。日本全国のダム建設が落ち着いたからかな、なんて考えていましたが、こういったかたちでちゃんと出題されるのは嬉しいですね。受験していたら小躍りしていたことでしょう!
2問目の再エネは再エネとしては予想範囲ではありますが、「認定の手続きにおいて国が勘案すべきことについて述べよ」なんて問いがなされるとは夢にも思いませんでした。まだまだ認識が甘いですね。勉強になります。
3問目のカーボンニュートラルポートも国交省HPではよく見かけていたのですが、港湾空港分野のはなしだとこれまた勝手な印象できちんと取り上げてきませんでした。
4問目の歴史的町並みも歴まち法だとかが制定された頃こそ出題されていましたが、(わたしが専門外ということもありますが)ちょっと見て見ぬふりをしてしまっていたかもしれません。昨年度は景観地区制度について出題されていましたから(それだけでなく道路緑化にかかる景観についても出題されましたから)余計に今年はこっち方面はない、と踏んでしまっていました。。。。そしてこのあとまさかのⅡ‐2で「景観」に係る環境影響評価が出題されるとは(驚)。

以上、4問の出題状況をみるにつけ、わたしの建設環境ジャンルの認識不足が露呈しました。深く反省し、来年の試験に向けて心を新たに、初心にかえり、勉強しなおします。

9-11 建設環境【選択科目Ⅱ】
Ⅱ 次の2問題(Ⅱ-1,Ⅱ-2)について解答せよ。(問題ごとに答案用紙を替えること。)

Ⅱ-1 次の4設問(Ⅱ-1-1~Ⅱ-1-4)のうち1設問を選び解答せよ。(緑色答案用紙に解答設問番号を明記し,答案用紙1枚にまとめよ。)

Ⅱ-1-1 ダム貯水池では,アオコの発生により景観障害や利水障害が引き起こされる場合がある。アオコが発生しやすい環境について,複数の要因を挙げて説明せよ。また,成層型のダム貯水池内におけるアオコ対策には,気泡式循環施設が導入される事例が多い。気泡式循環施設の導入によってアオコの増殖が抑制されるメカニズムについて説明せよ。

Ⅱ-1-2 再エネ海域利用法に基づき,海洋再生可能エネルギー発電設備整備のために一般海域を利用するに当たっては,海洋環境の保全等,海洋の多様な開発等との調和を図ることが基本方針に定められている。そこで,海域の環境に大きな影響を及ぼす可能性があるため海洋環境の保全を図ることが必要とされている場合を1つ挙げるとともに,海域の占用等に係る計画の認定の手続きにおいて国が勘案すべきことについて述べよ。

Ⅱ-1-3 令和4年12月に港湾における脱炭素化の推進等を図る改正港湾法が施行され,港湾管理者は,官民の連携による港湾における脱炭素化の取組を定めた港湾脱炭素化推進計画を作成することができるとされた。同計画に基づくCNP(カーボンニュートラルポート)の形成を通じて目指すべき2つの目的をそれぞれ述べるとともに,港湾脱炭素化推進計画事業の対象となる事業・施設を1つ挙げ,その概要について述べよ。

Ⅱ-1-4 地域特有の歴史や文化,自然の中で,城郭や神社仏閣等の歴史的な価値を有する建造物が,周囲の建造物や自然環境と一体となって歴史的な街並みを形成している地域が全国に存在している。このような歴史的な街並みを保全・活用する必要性を述べるとともに,保全・活用するための法律又は法律に基づく制度を1つ挙げ,その概要について述べよ。


歴史的風土特別保護地区 金閣寺
【京都府京都市北区金閣寺町】

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2024年7月15日月曜日

建設部門 必須科目Ⅰ 第三次国土形成計画(連結拠点型国土の構築)と災害からの復旧・復興におけるDX

筆記試験、たいへんお疲れさまでした(^^)/
皆さん、どうでしたか?
今回も受験していないので別の形で試験に参加してきました(^^)/
沖縄会場は昨年に引き続き沖縄大学でした。やっぱりイイですね、勝手知ったる沖縄大学。AEDの設置場所やらトイレの位置やら守衛さんの詰め所も含めてぜんぶ頭に入っています(笑)。
それではこれから複数回にわたって問題文をアップいたします。
まずは建設部門の必須科目から。

今回の建設部門はジャンルとしては2問とも王道中の王道ジャンルですが、新しい取組を進める上での課題解決でしたね。
どちらもドンピシャで準備していたひとは少なかったとは思いますが、問題文前文を受けて試験会場で持てる知識と経験を総動員すればなんとか対応可能だったのではないでしょうか。
そして注目の各設問の問い方ですが、一応これまでどおりといえばこれまで通りなのですが、(1)のところで課題の内容を示すにあたり、それぞれの観点を明記することが求められています。これは建設部門に限ったものではなく、全部門とも共通でした。
まっ、これも例年通りなのですが、ただ、建設部門だけなぜか(※)の注記で再度の念押しされています。これは絶対守らないと合格させないぞ、という強い意志を感じました。

さらに建設部門で注目すべきは、どちらの問題でも設問(1)で「投入できる人員や予算に限りがあることを前提に,」とありました。それを踏まえた課題、そして解決策としなければなりません。

9 建設部門【必須科目Ⅰ】
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)

Ⅰ-1 国が定める国土形成計画の基本理念として,人口減少や産業その他の社会経済構造の変化に的確に対応し,自立的に発展する地域社会,国際競争力の強化等による活力ある経済社会を実現する国土の形成が掲げられ,成熟社会型の計画として転換が図られている。令和5年に定められた第三次国土形成計画では,拠点連結型国土の構築を図ることにより,重層的な圏域の形成を通じて,持続可能な形で機能や役割が発揮される国土構造の実現を目指すことが示された。
 この実現のために,国土全体におけるシームレスな連結を強化して全国的なネットワークの形成を図ることに加え,新たな発想からの地域マネジメントの構築を通じて持続可能な生活圏の再構築を図る,という方向性が示されていることを踏まえ,持続可能で暮らしやすい地域社会を実現するための方策について,以下の問いに答えよ。

(1)全国的なネットワークを形成するとともに地域・拠点間の連結及び地域内ネットワークの強化を目指す社会資本整備を進めるに当たり,投入できる人員や予算に限りがあることを前提に,技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,課題の内容を示せ。(※)
 (※)解答の際には必ず観点を述べてから課題を示せ

(2)前問(1)で抽出した課題のうち,最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり,技術者としての倫理,社会の持続性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。


おつかれさまでした!
【愛媛県松山市】

Ⅰ-2 我が国では,年始に発生した令和6年能登半島地震を始め,近年,全国各地で大規模な地震災害や風水害等が数多く発生しており,今後も,南海トラフ地震や首都直下型地震等の巨大地震災害や気候変動に伴い激甚化する風水害等の大規模災害の発生が懸念されているが,発災後の復旧・復興対応に対して投入できる人員は予算に限りがある。そのような中,災害対応におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)への期待は高まっており,既に様々な取組が実施されている。
 今後,DXを活用することで,インフラや建築物等について,事前の防災・減災対策を効率的かつ効果的に進めていくことに加え,災害発生後に国民の日常生活等が一日も早く取り戻せるようにするため,復旧・復興を効率的かつ効果的に進めていくことが必要不可欠である。
 このような状況下において,将来発生しうる大規模災害の発生後の迅速かつ効率的な復旧・復興を念頭において,以下の問いに答えよ。

(1)大規模災害の発生後にインフラや建築物等の復旧・復興までの取組を迅速かつ効率的に進めていけるようにするため,DXを活用していくに当たり,投入できる人員や予算に限りがあることを前提に,技術者としての立場で多面的な観点から3つの課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,課題の内容を示せ。(※)
 (※)解答の際には必ず観点を述べてから課題を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち,最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行しても新たに生じうるリスクとそれへの対策について,専門技術を踏まえた考えを示せ。

(4)前問(1)~(3)を業務として遂行するに当たり,技術者としての倫理,社会の持続性の観点から必要となる要件・留意点を述べよ。


とにかく論文の再現だけは、今日か、遅くとも明日中にはやっておいてくださいね!
毎年再現できなくて泣きを見る人がいます。

再現論文を添削評価します。よかったらどうぞ下記からお申し込みください。

2024年7月14日日曜日

総監 必須科目Ⅰ-2 記述式問題文

筆記試験、たいへんお疲れさまでした(^^)/
記述問題はなんと「カーボンニュートラル」でしたね!そして問題文を読むと「脱炭素経営」についての出題でした!
昨年まで出題予想の分野として脱炭素を推していただけに、ついに出た!やっぱり出た!と心躍りました。
出題のしかたも順当でしたね。
ただ2点ほど気になった個所がありました。
1つめは「論文の解答において,カーボンニュートラルはCNと略して記すこと。」
2つめは「事業や組織の枠を超え,我が国として取るべき施策について解答すること。」です。
1つめのCNなんて解答論文にカーボンニュートラルなんて記述しちゃったらどうなっちゃうのでしょうか。4枚目、5枚目なんて後半に行くに従いCNなんて書き慣れない略字のことなんか忘れてしまいそうです。
2つめなんかは「事業や組織の枠を超えて、我が国として取るべき施策」ですよ!とうとう事業や組織を超えたさらなる俯瞰の境地が求められています!特に最後の設問には「複数の視点には,総合技術監理の視点に限らず,我が国が直面する重要課題等の視点を含めて記述してよい。」とまでありました。総監の視点に限らなくてよい、ってどうゆうことでしょうか(驚)。わたしのこれまでの添削指導では「とにかく何を訊かれても総監として答えてください」ってそればっかり言っていたのですが、総監の視点に限らなくてよい、なんて書かれちゃうと戸惑ってしまいます。

択一のほうはここ数年のようなヘンテコな出題はなかったような印象がありますので、おそらく今年度は合格率が上がるんじゃないでしょうか!
それにしても択一も1つ気になったことがありまして、それは社会環境管理に関することなんですが、これまで8問中1つは環境アセスメントに関する出題がありましたが、今回はなかったですね。もしかして総監技術士の素養として必要性が下がってしまったのでしょうか。。。。環境アセス分野を生業としているわたしにとっては試験とは別にちょっと心配になってしまいました。

有料ですが再現論文を添削評価します。ご希望のかたは下記フォームからお申し込みください。

東京電力武蔵野支社府中事務所
【東京都府中市】

必須科目
Ⅰ-2 次の問題について解答せよ。(指示された答案用紙の枚数にまとめること。)

 地球温暖化の進行に伴い,豪雨や猛暑などのリスクが今後さらに高まることが予想されており,地球温暖化への対応は人類共通の重要課題となっている。地球温暖化の要因である温室効果ガスの抑制を目的とし,世界的に取組まれている『カーボンニュートラル』は,温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする,すなわち,二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から「吸収量」を差し引いて,合計を実質的にゼロにすることを意味している。カーボンニュートラルへの対応は事業や組織の置かれた状況により異なると考えられるが,総合技術監理に求められる俯瞰的な視点から,それぞれに適した施策を検討し,地球規模での課題解決に繋げることは重要であろう。そこで本論文では,このカーボンニュートラルの実現に向けた施策について検討してみたい。
 カーボンニュートラルの実現を年限付きで表明している国・地域は,現在までに150以上にのぼり,我が国においても,2030年度の温室効果ガス46%削減,2050年カーボンニュートラルの実現という国際規約を掲げ,国家を挙げて対応する決意を表明している。これらの公約を受け,1000を超える地方公共団体が「2050年ゼロカーボンシティ」を表明し,脱炭素型まちづくりに向けた取組を進めている。
 さらに,民間部門においては,電力をはじめとした,温室効果ガス排出の多くを占めるエネルギー分野における供給サイドの取組だけでなく,輸送・製造等の需要サイドも含めた,あらゆる産業分野での対応が求められている。また,環境や社会に配慮して適切なガバナンスがなされている会社に投資する「ESG投資」,事業者自らの温室効果ガスの排出のみならず,原材料調達・製造・物流・廃棄等,サプライチェーンを構成する一連の事業活動に伴う排出を考慮する「サプライチェーン排出量」の考え方も広まっている。したがって,コピー用紙の削減や照明の間引き等の従来からの省エネ対策の枠を越えた,抜本的で効果的な施策が求められている。例えば,省エネ製品の開発や活用,再生可能エネルギーの活用,生産現場における自動化の推進,森林保護への投資等の幅広い観点で工夫した施策が必要となろう。
 一方,いわゆる「2050年長期戦略」(パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略。令和3年10月閣議決定)で謳われているとおり,カーボンニュートラルの実現に向けた取組を,経済成長の制約ではなく,産業構造の大転換と力強い成長を生み出す,競争力向上の機会と捉える視点も重要である。同戦略では,優先的に取組む横断的施策として,イノベーションの推進,グリーン・ファイナンスの推進,ビジネス主導の国際展開・国際協力等を掲げており,なかでも,今後の技術イノベーションにより成長が期待される14の重要産業分野(表参照)は,総合技術監理の技術士として将来の施策を検討するうえで参考となろう。また,先進的企業イメージによる優位性の構築,社員のモチベーション向上等の経営メリットに繋げる「脱炭素経営の視点」等も施策を検討するうえで重要な観点となろう。

表 2050年長期戦略における成長が期待される14の重要産業分野
【エネルギー関連産業】
①洋上風力・太陽光・地熱,②水素・燃料アンモニア,③次世代熱エネルギー,④原子力

【輸送・製造関連産業】
⑤自動車・蓄電池,⑥半導体・情報通信,⑦船舶,⑧物流・人流・土木インフラ,⑨食料・農林水産業,⑩航空機,⑪カーボンリサイクル・マテリアル

【家庭・オフィス関連産業】
⑫住宅・建築物・次世代電力マネジメント,⑬資源循環関連,⑭ライフスタイル関連

 そこであなたがこれまでに経験した,若しくはよく知っている事業(研究開発・製品製造・販売等の業務機能の集合体としての事業,個々のプロジェクトの集合体としての事業,国・地方公共団体の事業等が代表例である。)や組織(役所や法人の全体とすることも,個々の部署や事業部等とすることもできる。)を1つ取り上げ,その目的や創出している成果物等を踏まえ,カーボンニュートラルの実現に向けた施策について,総合技術監理の視点から以下の(1)~(2)の問いに答えよ。さらに,取り上げた事業や組織の枠を超え,2050年カーボンニュートラル達成に向けた我が国の取るべき施策について,以下の(3)の問いに答えよ。なお,論文の解答において,カーボンニュートラルはCNと略して記すこと。(以下,同様に略す。)
 解答に当たり,事業や組織について,関連するステークホルダーや他組織との連携を含めてもよい。また,ここでいう総合技術監理の視点とは,「業務全体を俯瞰し,経済性管理,安全管理,人的資源管理,情報管理,社会環境管理に関する総合的な分析,評価に基づいて,最適な企画,計画,実施,対応等を行う。」立場からの視点をいう。なお,書かれた論文を評価する際,考察における視点の広さ,記述の明確さと論理的な繋がり,そして論文全体のまとまりを特に重視する。

(1)本論文においてあなたが取り上げる事業や組織の内容と,そこにおけるこれまでのCNに関連する取組状況について,以下の問いに答えよ。
問い(1)については,答案用紙1枚以内にまとめよ。)
① 事業や組織の内容として,名称,目的,及び創出している成果物(製品・構造物・サービス・技術・政策等)を記せ。
② この事業や組織において,現在既に実施している温室効果ガスの抑制(排出量の削減や吸収量の増加。以下同じ。)に効果があると考えられる施策を1つ取り上げ,以下の項目をすべて含む形で記せ。なお,十分に効果が発揮できていない状況を記すことを妨げない。
・具体的な施策の内容
・その施策が温室効果ガスの抑制に繋がる理由・根拠
③ ②で取り上げた施策の問題点・今後に向けた課題を記せ。

(2)この事業や組織において,温室効果ガスの抑制策として近い将来(おおむね5年以内)に導入が可能で効果が高いと考えられる施策を2つ取り上げ,それぞれについて,以下の問いに答えよ。なお,想定する時期までに事業や組織の内容や形態そのものが変化することを踏まえて解答しても構わない。
問い(2)については,答案用紙を替えたうえで,まず1つめの施策について1枚以内にまとめ,さらに答案用紙を替えたうえで2つめの施策について1枚以内にまとめよ。)

① 施策の内容と温室効果ガスの抑制に繋がる理由・根拠を記せ。
② ①で記述した施策を進めることで,温室効果ガスの抑制により,脱炭素経営や社会貢献等の観点から事業や組織にとって期待できる効果を,理由とともに記せ。
③ ①で記述した施策を進めていくうえで,総合技術監理の視点からどのような課題があるかを記せ。ただし,2つの施策それぞれについて,総合技術監理の視点における5つの管理分野のうち2つ以上を含むこととし,解答欄にはどの分野の視点であるかを明記すること。

(3)今後の技術革新の進展等を見据え,我が国において2050年時点でのCN実現に向けて,あなたが重要と考える施策を2つ取り上げ,それぞれについて以下の問いに答えよ。なお,問い(3)では,事業や組織の枠を超え,我が国として取るべき施策について解答すること。
問い(3)については,答案用紙を替えたうえで,まず1つめの施策について1枚以内にまとめ,さらに答案用紙を替えたうえで2つめの施策について1枚以内にまとめよ。)
① 取り上げる施策を記せ。なお,解答に当たっては,表に示した重要産業分野に関連する施策を取り上げてもよいし,その他あなたが重要と考える施策を取り上げてもよい。
② ①で記述した施策に関し,2050年時点でのCNに向けた有効性と実現性について,今後の技術革新の進展等の背景を含めて記せ。
③ ①で記述した施策を進めていくうえでの最も重大な障害とその克服策を複数の視点に
留意して記せ。なお,複数の視点には,総合技術監理の視点に限らず,我が国が直面する重要課題等の視点を含めて記述してよい。

ーーーーーーここまでーーーーーー

そして早くも7月16日に択一の正答が発表されました!試験から2日後ですか。もちろんありがたいではありますが、正答発表までの期間にああだこうだと議論するのが楽しかったのですが。昔はもっと悠長というかもっとのんびりしていましたよね。世の中だんだんセッカチになってきているんでしょうか。。。。

2024年7月1日月曜日

令和6年版国土交通白書 ~持続可能な暮らしと社会の実現に向けた国土交通省の挑戦~

沖縄は梅雨明けしましたが、梅雨まっただなかの本土のほうでは線状降水帯の発生が頻発していますね。どうか無理せず、安全にお過ごしください。

国土交通白書が出ました。
テーマは「持続可能な暮らしと社会の実現に向けた国土交通省の挑戦」です。持続可能な暮らしといっても、これまでのような脱炭素や循環型社会といったことではなく、『少子高齢化・人口減少』に対するものがテーマとなっています。
なんだかんだ言って我が国が直面する大きな課題ですからね。これまでいまいちちゃんと向き合っていなかったことでさらに大ごとになってしまった感があります。それを建設技術者としてどのように課題解決してゆくか、が問われています。試験でも問われるはずです。試験本番まで残り2週間となりましたが、キーワードや主な施策はぜひチェックしておいてください。

ヤギ
【沖縄県石垣市】



「令和6年版国土交通白書」を公表します。
~持続可能な暮らしと社会の実現に向けた国土交通省の挑戦~

令和6年6月28日

 

 国土交通白書は、国土交通省の施策全般に関する年次報告として毎年公表しています。今回の白書は、深刻な少子高齢化と人口減少に直面している我が国の現状を踏まえ、「持続可能な暮らしと社会の実現に向けた国土交通省の挑戦」をテーマとしました。
 人口減少の影響を最小限に抑えるため、防災、まちづくり、公共交通、物流、インフラなど、国土交通分野における施策の方向性を示した上で、今後の「持続可能で豊かな社会像」を展望しています。

本白書についての概要は、以下のとおりです。
 
第I部 持続可能な暮らしと社会の実現に向けた国土交通省の挑戦
 第1章 
 人口減少と国土交通行政
  第1節 本格化する少子高齢化・人口減少における課題
  第2節 未来につながる変革と持続可能で豊かな社会を目指して
 第2章 国土交通分野における取組みと今後の展望
  第1節 国土交通分野の現状と方向性
  第2節 望ましい将来への展望

特集 令和6年能登半島地震への対応
 令和6年能登半島地震について、国土交通省の対応を紹介

第II部 国土交通行政の動向
 国土交通行政の各分野の動向を政策課題ごとに報告