2024年7月14日日曜日

総監 必須科目Ⅰ-2 記述式問題文

筆記試験、たいへんお疲れさまでした(^^)/
記述問題はなんと「カーボンニュートラル」でしたね!そして問題文を読むと「脱炭素経営」についての出題でした!
昨年まで出題予想の分野として脱炭素を推していただけに、ついに出た!やっぱり出た!と心躍りました。
出題のしかたも順当でしたね。
ただ2点ほど気になった個所がありました。
1つめは「論文の解答において,カーボンニュートラルはCNと略して記すこと。」
2つめは「事業や組織の枠を超え,我が国として取るべき施策について解答すること。」です。
1つめのCNなんて解答論文にカーボンニュートラルなんて記述しちゃったらどうなっちゃうのでしょうか。4枚目、5枚目なんて後半に行くに従いCNなんて書き慣れない略字のことなんか忘れてしまいそうです。
2つめなんかは「事業や組織の枠を超えて、我が国として取るべき施策」ですよ!とうとう事業や組織を超えたさらなる俯瞰の境地が求められています!特に最後の設問には「複数の視点には,総合技術監理の視点に限らず,我が国が直面する重要課題等の視点を含めて記述してよい。」とまでありました。総監の視点に限らなくてよい、ってどうゆうことでしょうか(驚)。わたしのこれまでの添削指導では「とにかく何を訊かれても総監として答えてください」ってそればっかり言っていたのですが、総監の視点に限らなくてよい、なんて書かれちゃうと戸惑ってしまいます。

択一のほうはここ数年のようなヘンテコな出題はなかったような印象がありますので、おそらく今年度は合格率が上がるんじゃないでしょうか!
それにしても択一も1つ気になったことがありまして、それは社会環境管理に関することなんですが、これまで8問中1つは環境アセスメントに関する出題がありましたが、今回はなかったですね。もしかして総監技術士の素養として必要性が下がってしまったのでしょうか。。。。環境アセス分野を生業としているわたしにとっては試験とは別にちょっと心配になってしまいました。

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必須科目
Ⅰ-2 次の問題について解答せよ。(指示された答案用紙の枚数にまとめること。)

 地球温暖化の進行に伴い,豪雨や猛暑などのリスクが今後さらに高まることが予想されており,地球温暖化への対応は人類共通の重要課題となっている。地球温暖化の要因である温室効果ガスの抑制を目的とし,世界的に取組まれている『カーボンニュートラル』は,温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする,すなわち,二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から「吸収量」を差し引いて,合計を実質的にゼロにすることを意味している。カーボンニュートラルへの対応は事業や組織の置かれた状況により異なると考えられるが,総合技術監理に求められる俯瞰的な視点から,それぞれに適した施策を検討し,地球規模での課題解決に繋げることは重要であろう。そこで本論文では,このカーボンニュートラルの実現に向けた施策について検討してみたい。
 カーボンニュートラルの実現を年限付きで表明している国・地域は,現在までに150以上にのぼり,我が国においても,2030年度の温室効果ガス46%削減,2050年カーボンニュートラルの実現という国際規約を掲げ,国家を挙げて対応する決意を表明している。これらの公約を受け,1000を超える地方公共団体が「2050年ゼロカーボンシティ」を表明し,脱炭素型まちづくりに向けた取組を進めている。
 さらに,民間部門においては,電力をはじめとした,温室効果ガス排出の多くを占めるエネルギー分野における供給サイドの取組だけでなく,輸送・製造等の需要サイドも含めた,あらゆる産業分野での対応が求められている。また,環境や社会に配慮して適切なガバナンスがなされている会社に投資する「ESG投資」,事業者自らの温室効果ガスの排出のみならず,原材料調達・製造・物流・廃棄等,サプライチェーンを構成する一連の事業活動に伴う排出を考慮する「サプライチェーン排出量」の考え方も広まっている。したがって,コピー用紙の削減や照明の間引き等の従来からの省エネ対策の枠を越えた,抜本的で効果的な施策が求められている。例えば,省エネ製品の開発や活用,再生可能エネルギーの活用,生産現場における自動化の推進,森林保護への投資等の幅広い観点で工夫した施策が必要となろう。
 一方,いわゆる「2050年長期戦略」(パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略。令和3年10月閣議決定)で謳われているとおり,カーボンニュートラルの実現に向けた取組を,経済成長の制約ではなく,産業構造の大転換と力強い成長を生み出す,競争力向上の機会と捉える視点も重要である。同戦略では,優先的に取組む横断的施策として,イノベーションの推進,グリーン・ファイナンスの推進,ビジネス主導の国際展開・国際協力等を掲げており,なかでも,今後の技術イノベーションにより成長が期待される14の重要産業分野(表参照)は,総合技術監理の技術士として将来の施策を検討するうえで参考となろう。また,先進的企業イメージによる優位性の構築,社員のモチベーション向上等の経営メリットに繋げる「脱炭素経営の視点」等も施策を検討するうえで重要な観点となろう。

表 2050年長期戦略における成長が期待される14の重要産業分野
【エネルギー関連産業】
①洋上風力・太陽光・地熱,②水素・燃料アンモニア,③次世代熱エネルギー,④原子力

【輸送・製造関連産業】
⑤自動車・蓄電池,⑥半導体・情報通信,⑦船舶,⑧物流・人流・土木インフラ,⑨食料・農林水産業,⑩航空機,⑪カーボンリサイクル・マテリアル

【家庭・オフィス関連産業】
⑫住宅・建築物・次世代電力マネジメント,⑬資源循環関連,⑭ライフスタイル関連

 そこであなたがこれまでに経験した,若しくはよく知っている事業(研究開発・製品製造・販売等の業務機能の集合体としての事業,個々のプロジェクトの集合体としての事業,国・地方公共団体の事業等が代表例である。)や組織(役所や法人の全体とすることも,個々の部署や事業部等とすることもできる。)を1つ取り上げ,その目的や創出している成果物等を踏まえ,カーボンニュートラルの実現に向けた施策について,総合技術監理の視点から以下の(1)~(2)の問いに答えよ。さらに,取り上げた事業や組織の枠を超え,2050年カーボンニュートラル達成に向けた我が国の取るべき施策について,以下の(3)の問いに答えよ。なお,論文の解答において,カーボンニュートラルはCNと略して記すこと。(以下,同様に略す。)
 解答に当たり,事業や組織について,関連するステークホルダーや他組織との連携を含めてもよい。また,ここでいう総合技術監理の視点とは,「業務全体を俯瞰し,経済性管理,安全管理,人的資源管理,情報管理,社会環境管理に関する総合的な分析,評価に基づいて,最適な企画,計画,実施,対応等を行う。」立場からの視点をいう。なお,書かれた論文を評価する際,考察における視点の広さ,記述の明確さと論理的な繋がり,そして論文全体のまとまりを特に重視する。

(1)本論文においてあなたが取り上げる事業や組織の内容と,そこにおけるこれまでのCNに関連する取組状況について,以下の問いに答えよ。
問い(1)については,答案用紙1枚以内にまとめよ。)
① 事業や組織の内容として,名称,目的,及び創出している成果物(製品・構造物・サービス・技術・政策等)を記せ。
② この事業や組織において,現在既に実施している温室効果ガスの抑制(排出量の削減や吸収量の増加。以下同じ。)に効果があると考えられる施策を1つ取り上げ,以下の項目をすべて含む形で記せ。なお,十分に効果が発揮できていない状況を記すことを妨げない。
・具体的な施策の内容
・その施策が温室効果ガスの抑制に繋がる理由・根拠
③ ②で取り上げた施策の問題点・今後に向けた課題を記せ。

(2)この事業や組織において,温室効果ガスの抑制策として近い将来(おおむね5年以内)に導入が可能で効果が高いと考えられる施策を2つ取り上げ,それぞれについて,以下の問いに答えよ。なお,想定する時期までに事業や組織の内容や形態そのものが変化することを踏まえて解答しても構わない。
問い(2)については,答案用紙を替えたうえで,まず1つめの施策について1枚以内にまとめ,さらに答案用紙を替えたうえで2つめの施策について1枚以内にまとめよ。)

① 施策の内容と温室効果ガスの抑制に繋がる理由・根拠を記せ。
② ①で記述した施策を進めることで,温室効果ガスの抑制により,脱炭素経営や社会貢献等の観点から事業や組織にとって期待できる効果を,理由とともに記せ。
③ ①で記述した施策を進めていくうえで,総合技術監理の視点からどのような課題があるかを記せ。ただし,2つの施策それぞれについて,総合技術監理の視点における5つの管理分野のうち2つ以上を含むこととし,解答欄にはどの分野の視点であるかを明記すること。

(3)今後の技術革新の進展等を見据え,我が国において2050年時点でのCN実現に向けて,あなたが重要と考える施策を2つ取り上げ,それぞれについて以下の問いに答えよ。なお,問い(3)では,事業や組織の枠を超え,我が国として取るべき施策について解答すること。
問い(3)については,答案用紙を替えたうえで,まず1つめの施策について1枚以内にまとめ,さらに答案用紙を替えたうえで2つめの施策について1枚以内にまとめよ。)
① 取り上げる施策を記せ。なお,解答に当たっては,表に示した重要産業分野に関連する施策を取り上げてもよいし,その他あなたが重要と考える施策を取り上げてもよい。
② ①で記述した施策に関し,2050年時点でのCNに向けた有効性と実現性について,今後の技術革新の進展等の背景を含めて記せ。
③ ①で記述した施策を進めていくうえでの最も重大な障害とその克服策を複数の視点に
留意して記せ。なお,複数の視点には,総合技術監理の視点に限らず,我が国が直面する重要課題等の視点を含めて記述してよい。

ーーーーーーここまでーーーーーー

そして早くも7月16日に択一の正答が発表されました!試験から2日後ですか。もちろんありがたいではありますが、正答発表までの期間にああだこうだと議論するのが楽しかったのですが。昔はもっと悠長というかもっとのんびりしていましたよね。世の中だんだんセッカチになってきているんでしょうか。。。。

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