2023年7月16日日曜日

総監 必須科目Ⅰ-2 記述式問題文

筆記試験、たいへんお疲れさまでした(^^)/
記述問題は「SWOT分析」でしたね!
冒頭「新型コロナウイルス感染症の流行~」なんてあるので「うおぉぉぉっ!?」となりましたが、BCPとかではなく無難(?)な経営戦略的なものでしたね。
SWOT分析やクロス分析なんて言葉に触れたことがあるだけのひとが多かったと思いますが問題文を読むと解説的な内容にもなっているので設問ひとつづつを素直に丁寧に追っかけたら何とかなったのではないでしょうか(なぁんてそんな簡単な話ではないと思いますが)。
要は外部環境と内部環境のそれぞれのプラスマイナスを分類してその組み合わせを踏まえた戦略(対策、将来計画)を立てたらイイと思います(答案に書くのはそのうち3つ)。で、その戦略を立てる場合にちゃんと全体最適化、トレードオフを意識した計画にするとバッチリですよね。

それにしても秋田の豪雨災害は思いのほか酷いことになってしまいました。先月に秋田県を訪問する機会があり、案内していただいた知り合いの秋田県在住技術士のひとに連絡したら今日明日の試験を断念するひとも少なくないだろうとのことです。報道を見ても試験どころじゃない甚大な被害が出ているようです。試験地が仙台になると思いますから移動手段が失われたひともいると思います。1年に1度しかない国家試験というのは重いです。

有料ですが再現論文を添削評価します。よかったら下記フォームからお申し込みください。

【秋田県大仙市大曲通町】

必須科目
Ⅰ-2 次の問題について解答せよ。(指示された答案用紙の枚数にまとめること。)

 近年,新型コロナウイルス感染症の流行,国際的な政情不安等,社会の様々なリスク要因が増加しつつある。またICTの急速な進展の成果等が利用可能となる反面,深刻な少子高齢化や労働力不足の加速化等,我が国の経済社会は大きく変化しつつある。不安定な時代にあって,組織を様々な視点から分析し,組織の持続的発展等に向けた戦略を適切に立案することは,総合技術監理部門の技術士など組織を総合的に俯瞰すべき者にとり,益々重要となってくるといえよう。
 そこでここでは,SWOT分析の考えをベースにした組織分析,組織の戦略立案を行いたい。
 SWOT分析は主に,経営・マーケティング分析で用いられてきた手法であるが,近年は行政機関でもこの手法を施策づくりに活用するなどの例が出てきている。組織の目的はその性質によって様々であり,例えば民間企業では「利益の最大化」などが考えられ,行政機関等では「公益の最大化」などが考えられる。その目的達成のための戦略立案に,SWOT分析が活用できるであろう。以下,この論文において実施するSWOT分析の手法について説明する(図1を参考されたい)。
 まずSWOT分析では,内部環境としての「強味(Strength)」と「弱み(Weakness)」,外部環境としての「機械(Opportunity)」と「脅威(Threat)」の4つの要因に着目し,それぞれに含まれる項目を特定する。本論文では,「内部環境(S:強味,W:弱み)」は組織の活動や努力によって変えうるものとし,例えば人材・設備・技術・ノウハウ等の組織の様々な経営資源や組織文化等の無形資源が考えられる。また「外部環境(O:機会,T:脅威)」は,取り上げた組織の活動や努力とは無関係又は変更が困難なものとし,例えばICTの進展等の技術的要因,景気動向等の経済的要因,法令・規制の変更等の政治的要因,人口動態やライフスタイルの変化等の社会的要因,顧客や市場の変化,競合他社の動向,などが考えられる。
 S,W,O,Tそれぞれに含まれる主な項目を特定した次の段階として,各項目を掛け合わせるクロス分析により,様々な戦略を立案することが一般的に行われる。クロス分析のパターンとしては,以下の4つのパターンがあり,それぞれにおいて考えられる典型的な戦略の例を合わせて示す。
 パターンA:(S:強味×O:機会)組織の強みがある領域に機会が生じたパターンであり,例えば活動の拡大や新規の活動への進出等の戦略が考えられる。
 パターンB:(W:弱み×O:機会)組織の弱みがある領域に機会が生じたパターンであり,機会を活かせるようにするために,例えば外部からの補強や他組織との提携,経営資源の段階的な改善等の戦略が考えられる。
 パターンC:(S:強み×T:脅威)組織の強みがある領域に脅威が生じたパターンであり,例えば製品・サービスの付加価値向上による差別化等の戦略が考えられる。
 パターンD:(W:弱み×T:脅威)組織の弱みがある領域に脅威が生じたパターンであり,脅威を回避するために,例えば活動の縮小や撤退等の戦略が考えられる。


 以上を踏まえ,総合技術監理の視点に留意しつつ,以下の(1)~(3)の問いに答えよ。
 なお総合技術監理の視点とは,「業務全体を俯瞰し,経済性管理,安全管理,人的資源管理,情報管理,社会環境管理に関する総合的な分析,評価に基づいて,最適な企画,計画,実施,対応等を行う。」立場からの視点をいう。なお,書かれた論文を評価する際,考察における視点の広さ,記述の明確さと論理的なつながり,そして論文全体のまとまりを特に重視する。

(1)本論文においてあなたが取り上げる組織について,以下の問いに答えよ。
 ここでの「組織」は,継続的に事業やプロジェクトを実施する機能を有する「組織」のことであり,組織が取り扱う事業やプロジェクトそのものではないことに留意されたい。また取り上げる組織としては,組織体全体でもよいし,その一部を構成する「事業部」,「地方組織」などの単位で自由に設定してもよい。
問い(1)については,答案用紙1枚以内にまとめよ。
① 取り上げる組織の概要及び組織の役割を記せ。
② この組織における経営資源(人財・設備・技術・ノウハウ等),及びアウトプット(この組織が創出する製品・構造物・サービス・技術・政策等)を記せ。
③ この組織の主要な業務プロセス(経営資源によりアウトプットを創出する過程の代表例)を記せ。

(2)取り上げた組織に関する,S:強み,W:弱み,O:機会,T:脅威の4つの要因について,「それぞれ2項目ずつ」を挙げ,各項目の具体的内容を記せ(合計8項目を記載すること)。
(問(2)については,答案用紙を替えたうえで,答案用紙1枚以内にまとめよ。)
 S1:(強みの1つめの記載)
 S2:(強みの2つめの記載)
 W1:(弱みの1つめの記載)
 ・・・
 以下同様に,SWOTの順で記載すること。

(3)近い将来(概ね今後5年以内)の実現を図ることを目標とし,「組織が何をすべきか(What),そのためにどう具体的に行動するか(How)」を主体として「戦略」を立案したい。
 ここでは,パターンA,B,C,Dから異なる3つのパターン(例えば,A,B及びD)を選択し,選んだ3つのパターンそれぞれについて,項目の組合せを選び,それらをベースとした戦略を考える(計3つの戦略を立案する)。項目の組合せを選ぶに当たり,S,W,O,Tのそれぞれについて問(2)で記した2つの項目から1項目のみを組み合わせに用いてもよいし,2項目の両方を用いてもよい。
 上記に留意し,以下の問いに答えよ。
問い(3)については,3つの戦略それぞれについて,答案用紙を替えたうえで,答案用紙1枚以内にまとめよ。
① 戦略のベースとなる項目の組合せ及び戦略が目指す目標を簡潔に記せ。
 (なお項目の組合せについては,例えば「S1」と「O2」の組合せを選んだ場合,(S1×O2)と記し,「W1及びW2」と「T1」の組合せの場合は(W1・W2×T1)のように記す。続いて戦略が目指す目標を記す)。
② この目標を達成するための,戦略の具体的な方策(組織が何をすべきか,どう行動するか)について記せ。
③ この戦略を今後5年以内に実現するに当たり直面する障害とその克服策を,総合技術監理の視点から記せ。(異なる総合技術監理分野のトレードオフに留意すること)
ーーーここまでーーー

昨年度に引き続き設問(3)は計画策定ならぬ戦略立案でした。
SWOT分析なんてやったことないひとが多いと思いますが、なんとか喰らいついて試験官の言わんとすることを汲み取れたら、こういった計画立案系は面白いですよね。
自組織の強みと弱みをしっかり抽出できたら、ただの良く書けた答案で終わらせずに今後の組織のさらなる発展に活かしたいです。今回の分析結果を埋もれさせずに戦略をさらに具体化させるなり上層部に進言するなりしてもいいんじゃないでしょうか。

択一のほうはまだ確認していないのですが、皆さん、どうだったでしょうか。
(7/18追記)試験から2日後の本日、日本技術士会HPに早くも択一の正答が発表されています!問題文はまだ未発表なのに(驚)。

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