2023年7月21日金曜日

水産部門 必須科目Ⅰ 地域を支える漁村の活性化と水産資源の持続的利用

最後に水産部門必須科目の問題文を取り上げます。
皆さん大方の予想通り、新たな水産基本計画から出題されました。第1の柱(海洋環境の変化も踏まえた水産資源管理の着実な実施)と第3の柱(地域を支える漁村の活性化の推進)でした。ということは来年は第2の柱(増大するリスクも踏まえた水産業の成長産業化の実現)が出題されることでしょう。
出題順に見ますと、1問めの漁村の活性化なんかはもう皆さん万全の準備をしていたのではないでしょうか。もう1問は気候変動による影響に加えてウクライナ情勢等もあってロシアからの水産物が激減したり北方海域での操業も難しくなるほか、公海漁場での外国漁船団によるサンマの大量漁獲、さらには世界的にも将来的な食料の安定供給が不安視されていることを反映した水産資源の持続的利用についての問題でした。
いずれにしろどちらでも対応できたのではないでしょうか。それだけにギリギリまでどっちを選ぶか悩まれたことと思います。そしてそういうときこそ、答案用紙に選択問題番号の記入忘れが発生しがちですからくれぐれも注意してくださいね(ってもう試験は終わっていますが)。

14 水産部門【必須科目Ⅰ】
Ⅰ 次の2問題(Ⅰ-1,Ⅰ-2)のうち1問題を選び解答せよ。(解答問題番号を明記し,答案用紙3枚を用いてまとめよ。)

Ⅰ-1 令和4年3月に水産基本法に基づく新たな水産基本計画が閣議決定された。新たな水産基本計画では,水産に関し総合的かつ計画的に講ずべき施策の柱として,地域を支える漁村の活性化の推進が掲げられている。人口減少と少子高齢化による地方の活力低下が懸念んされる中,地方創生の観点からも,漁村の活性化が重要であるものの,海洋環境の変化等も含め,漁村をめぐる状況は変わりつつあり,地域ごとの特色を活かした新たな取組についても進めていくことが重要とされたところである。このような状況を踏まえて,以下の問いに答えよ。

(1)地域を支える漁村の活性化の推進に当たり,技術者としての立場で,水産部門全体にわたり広く多面的な観点から3つの課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,その課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

(4)前問(1)~(3)の実現に当たり,技術者としての倫理,社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を題意に即して述べよ。


【東京都江東区】

Ⅰ-2 我が国周辺海域が含まれる太平洋北西部海域は世界で最も漁獲量が多く,令和2(2020)年には世界の漁業生産量の21%に当たる1,945万トンが生産された。しかし,地球温暖化等による気候変動は水産資源にも影響を及ぼし,水産業の不安定化が危惧されている。さらに,ロシアによるウクライナ侵攻後,水産物を含め世界の食料調達は深刻な状況に陥った。一方,近年は世界的な水産資源への需要が急速に高まる中,外国漁船による我が国周辺海域での操業が頻繁に見られるようになった。
 このような状況を踏まえ,将来にわたって食料を安定的に確保するために,水産業が果たすべき役割と課題について,以下の問いに答えよ。

(1)水産物を食料として安定的に確保するための水産資源の持続的利用について,技術者としての立場で多面的な観点から3つ課題を抽出し,それぞれの観点を明記したうえで,課題の内容を示せ。

(2)前問(1)で抽出した課題のうち最も重要と考える課題を1つ挙げ,その課題に対する複数の解決策を,水産部門の専門用語を交えて示せ。

(3)前問(2)で示したすべての解決策を実行して生じる波及効果と専門技術を踏まえた懸念事項への対応策を示せ。

(4)前問(1)~(3)の業務遂行に当たり,技術者としての倫理と,社会の持続可能性の観点から必要となる要件・留意点を題意に即して述べよ。


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